桃太郎レジェンド - 桃太郎レジェンド

〜桃太郎レジェンド〜
 
 姉貴は大股で俺のところに来ると強い正義感というよりは天性の好奇心に満ち溢れた目を俺に向けた。
「あ、姉貴!?何でここに」
 今までのシリアスさなんて遠くに追いやって叫ぶ俺。飛鳥は姉貴の方を向いて愕然としたような顔で呆けていた。
「そんなことよりも、桃!何で断るのよ。理由なんて無いじゃない!」
「何でって・・・わけを知ってるのか」
 姉貴はそんな俺の言葉を無視して呆然としている飛鳥の方を見ると不敵な笑みを浮かべて指を立てる。
「あんたが術を掛ける人?犬の耳なんてつけちゃってオタクなの?」
「え・・・いえ・・え?オタ・・・?」
 姉貴の声に現実に戻った飛鳥だったがまだ何かぼうっとしていた。菊千代は何がおもしろいのかくつくつと笑いながら俺達のやりとりを見ている。
「早く桃に術を掛けなさいよ。何を迷ってるの」
「いや、迷ってるのは俺だぞ。しかも迷う余地なんてないだろ!」
「何で」
「聞いてないのか?術を掛けられたら」
「人間には戻れないんでしょ?いいじゃない。おもしろそうだわ」
 姉貴は、あの白髪頭に術でも掛けられたんじゃないのか?おもしろそうだと?そんな次元じゃねえんだぞ。俺達はここが神の領域であることも忘れて叫ぶ。そういえばあの白髪頭は誰だ?
「困っている人には手を貸してあげるのが人情ってものでしょう?」
「だからそういう問題じゃないんだよ!」
 実際に術を掛けられるのは俺なのに姉貴は妙に張り切っている。
「あのなぁ]
[巽・・・」
 飛鳥はふらふらと白髪の方へ歩み寄った。
「荒天斎は・・・」
「巽」
「俺が助ける。俺の失態だからな」
 聞こえる会話と声音から深刻な話のようだ。横でまだ何か言っている姉貴は次は菊千代に話し相手を変えている。
「それで?術はどうするんだい?」
 菊千代の言葉は紛れも無く俺に聞いているものだった。俺は菊千代のほうを振り返ると下を向く。そりゃ、何とか助けたいとは思う。思うが、これからの人生を人として生きたいんだ。妖怪には、なりたくない。
「俺は・・・」
 言葉に詰まる俺。姉貴は今度ばかりは何も言ってこなかったが目はきらきらと輝き、相当俺の返事を期待している。いい返事は出来なさそうだぞ、姉貴。
「ああ、迷いに多い奴だね。もういいよ。荒天斎はなじみなんだ。あんたみたいな人間はこんなことででしか役に立てないんだから、観念しな」
 そうは言うものの顔は笑っている。姉貴も首をちぎれんばかりに縦に振ると子供のように手を顎の下で組んだ。飛鳥と白髪、巽とかって呼ばれてたか・・・奴らは菊千代の言葉に何か言い合っていたのをぴたりとやめて俺を見ている。
 菊千代に姉貴に飛鳥に巽。四人からの攻撃に耐えられなくなった俺の前で、菊千代が突然立ち上がった。そして俺の前に両腕を突き出して何かを呟き始めた。
「え?」
 まさか術ってのはこんな単純な作業で掛けられるものなのか?
「き、菊千代・・・!」
 何故か耳の奥で飛鳥の声を聞く俺は何かに落ちていく感覚に襲われた。
 何か?術ってのはこんなに単純でこんなに強引なものなのか?
 
 誰か俺の疑問に答えてくれ。いい加減に疲れてきたぞ。

後書き

異常に短いです。
こんななら投稿するなよ!?と突っ込みたいですが・・・
まあ、そんなこんなで(?)次は長いことやりたいと思っています。
そして技術の向上!

この小説について

タイトル 桃太郎レジェンド
初版 2006年12月8日
改訂 2006年12月8日
小説ID 1044
閲覧数 1009
合計★ 0

コメント (1)

★涼月 コメントのみ 2006年12月9日 2時01分14秒
 話が多少細切れという印象がありますが、徐々に深く掘り下げていっているように思います。
 是非とも完結させてください。
名前 全角10文字以内
コメント 全角3000文字以内 書式タグは利用できません
[必須]

※このボタンを押すと確認画面へ進みます。