僕と寝ぼすけ男 - 僕と寝ぼすけ男シリーズ

俺もほんっとついてねぇよ。
ほんと、笑っちまうくらいに。
このガキは何にもしてねぇじゃねーか。
この村は何もしてねぇじゃねーか。

俺が狙いなら、俺だけ消せばいい。
めんどくせーよ、本当に。



僕と寝ぼすけ男 4




「俺がここで死ぬだと…?ふざけるな、小僧」
「…。ほんと、この村が何したってんだよ。何かしたってんなら言ってみやがれ」
ガノフは口の端を吊り上げ、にんまりと笑った。
「全て貴様のせいだ。貴様がこの村に隠れていると情報が入ったのだ」
コウタはギロ、をガノフを睨み、口を開いた。
「他の同胞は?」
「王家の盾が出向いて殺した」
ガノフはニタニタ笑ったまま、拳を握った。
「つまり、貴様が死ねばこの国は女王様に委ねられるのだ!」
ガノフが拳を振り上げる!岩のような拳の先にはコウタの頭。
「!危ない!」
サヤはサーベルを抜き、二人の間に入った。
拳と刀身がぶつかった。
「何ぼーっとしてるんですか!死んじゃいますよ!」
「俺はいいから…!サヤ、どっか安全な所に逃げろ!」
ギギギギギギ、と剣と拳が競り合う中、サヤは口を開いた。
「僕だって、一応村の少年剣士なんだ…!あなたの監視を任されたのも、実力があっての命令だったんです!」
ガノフは剣を弾き、拳はゴゴン!と地面にひびを入れた。
サヤを後ろに下がるように飛び、ダメージを受けずに済んだ。
「貴様のようなガキが、村の少年剣士だと…?笑わせてくれる!まずは貴様から殺してやろう!」

黒い寝癖のついた髪が、横を通った。
革で出来たブーツが地面を蹴り、高く飛び上がった。
「ぬぅ…!?」
ガノフが上を見上げた時は、もう遅かった。
龍牙閃!!」
剣を横一文字に薙ぎ、軌跡がガノフの右肩を抉った。
「ぐ、はは、そうか、その異名は伊達ではなかったのだな」
ガノフは右肩を抑えながら、
「黒ノ閃光…、コウタ=レジェンディア」
コウタは何も言わなかった。
ガノフはさらに話を続けた。
「その赤い剣だけで国を滅ぼし、大勢の人間を殺した。殺されそうになった者は口々にこう言うらしいぞ?」
サヤもコウタも黙って聞いていた。
「傷を負うまで、姿が見えなかった。黒い閃光が、戦場を掛けていたと。軍服は返り血に染まっていたと」
黒く、重力に逆らうかのように伸びた寝癖が風に揺れる。
「もっとも、その姿はもう何年も見てないがな」
ガノフは半身になって、拳を再び構えた。
「このまま永遠に見られなくなるのも、少し名残惜しい気もするが…、これで最後だ」
ガノフの意外な攻撃の早さに、コウタの体は反応しきれなかった。
「っ!?う、ぐぅぅぅっ!」
ガノフはコウタの首根っこをつかみ、そのまま上に持ち上げた。
「クククク…さぁ、死ねェ!!」
ぐん、と方向が変わり、頭から地面に激突した。
「がぁぁぁっ!?」
額から血が流れる。コウタは背中も打ち、呼吸が難しくなっていた。
「コウタ!?」
サヤは走って彼のもとへ走った。
「サヤ…!早く・・・逃げッ…!」
「おい、少年剣士のガキ、邪魔だ」
ガノフはコウタにトドメを刺そうとしている。サヤはそれを瞬時に理解したが、体が動かなかった。
「…ッ!!」
拳が振り下ろされる瞬間。

サヤの目の前に赤い魔法陣が浮かんだ。
「ぐぅ!?」
3発の火炎弾が、ガノフに直撃する。
「な、何…?」
一番驚いたのはサヤ本人だった。
「何で僕が、魔法を使えたんだ…?」
倒れているコウタも魔法を使えそうな状態ではない。しかも、生存者がいたとしてもこの村に魔法を使える者はいなかった。


「くそ、このガキはまさか…あの…」
ガノフは何事かを呟いたが、サヤ達には聞こえなかった。
刹那、またもやサヤの目の前に青い魔法陣が浮かんだ。
「!」
中心から、水で出来た刃が飛び、ガノフの巨体を切り刻んだ。
程なくして巨体は倒れた。


「何なんだよ…、これ…」
サヤはコウタに聞こうと、振り返り手を伸ばした。
ふわ、と白い光が傷口を包み込んだ。
コウタは呼吸が安定したようだった。
「サヤ…、お前…魔法を…」
「僕は今まで一度も魔法なんて使った事は無かったのに…」

コウタは一呼吸起き、口を開いた。
「サヤ…。お前はもしかしたら、王家に太刀打ちできるかもしれない」
サヤは起き上がるコウタを見ながら、言った。
「え…?」
「俺と一緒に、王都に付いて来てくれ。あそこならお前が使った魔法についても何かわかるだろうし、軍の上層部にもこの事は知らせなきゃならない」

サヤは、首を縦に振った。
「行きます。僕のこの力が何なのか、僕自身も知りたい」


少年の旅は、今始まる。
続く

後書き

何日も開けてすみません…。
入院予定があったもんで、入院していました。
これからはちょくちょく書くようにします。
読者の方から指摘があったところは直してみました。
意見や感想、質問などありましたらコメントを利用して下さい。

この小説について

タイトル 僕と寝ぼすけ男シリーズ
初版 2006年12月29日
改訂 2006年12月29日
小説ID 1117
閲覧数 1503
合計★ 3
霜柱 光の写真
ぬし
作家名 ★霜柱 光
作家ID 97
投稿数 45
★の数 80
活動度 5973
まったりファンタジー。
最近幽霊部員と化してましたが生きてます。

コメント (2)

★トリニティ 2006年12月30日 11時14分40秒
これは和風ではない話ですよね??
何故日本語での技?術?が出ているのでしょうか。

とうとう!サヤとコウタ旅の始まりですねっっ。
どこらへんが「寝ぼすけ」なのか分かりませんが
次も期待しています。
★霜柱 光 コメントのみ 2006年12月30日 19時46分22秒
和風ではないです。むしろ西洋です。
やっぱり、漢字…おかしいですか、ね…
でも外国語を使うと訳がわからなくなってしまいそうなので…。許していただけるでしょうか?己の力不足で…すいません。
やっと旅が始まりました。私も少しほっとした次第です。
あ、あと寝ぼすけの意味についても少し。
寝ぼすけ男=コウタのことです。コウタが物語に登場した時、彼は寝ていますので…。ついでに言うと彼は食べるのも大好きです。
では意見、感想ありがとうございました。
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