僕と寝ぼすけ男 - 僕と寝ぼすけ男

あの人が女王様…。
悪い人には見えないけど、あの人が軍隊を解体させたりしたんだよな。
そして、僕の村を潰させた人…!
絶対、許すもんか。



僕と寝ぼすけ男



「早く歩け!」
手はロープで縛られた。首には囚人ナンバーの入った革の首輪がつけられている。
脱走すればすぐに脱走犯だとわかってしまう。
隣りをぼへーっと歩くコウタを横目でみたが、何か策を考えてそうな感じではなかった。
「どうするんだよコウタ…、逃げられないかもしれない」
「んー、もうちょっと待ってろな」
コウタは言うが、何も考えてはなさそうだ。
いろいろ言っている内に城門前広場についてしまった。
周りにいる他の囚人たちは興味なさそうに下を向いたり喋っている。



「みなさん、よく集まってくれました」
よく通る声だった。
城から広場を見渡せるテラスに、「女王様」は姿を見せた。
桃色の髪を腰まで垂らし、白いドレスに身を包んでいる。
赤い目の瞳孔は猫のように縦に割れていた。
「わたくしの名前はイリカ=フェンネル。この国はフェレンデ王族の方が統治してまいりました。ですがフェレンデ王族が謎の失踪をなされました」
コウタは眉をひそめる。
謎の失踪、とぼやけた表現をするのは何故か。
コウタが王都を出る数日前に、イリカは女王になった。
その前までは普通に王族が政治を行っていた。
コウタは軍でも秀でた能力を持っていた為、何度か顔を合わせた事がある。
だが政治は上手くやっていけていたし、王族同士は仲も良かったように見えた。
精神的に辛そうではなかったのだ。だとしたら…、とコウタは考える。
「(あの女王から何かされたのか…!?)」
「わたくしが今までの古臭い政治を変え、新しい王国を築いて見せます!」
わぁぁっ、と歓声があがる。
サヤが見たのは何も知らない国民の姿。魔物を殺してはいけないという事は、まだ国民には知らされてなかったのだ。
「皆さん、これからは魔物を殺してはなりません」
イリカは微笑んだ。
疑問の声も聞こえたが、歓声のほうが大きかった。
コウタは機嫌がものすごく悪いらしく、舌打ちをしている。
「これからは魔物との共存も考えねばなりません。よろしいですか?」
イリカの表情は変わらない。
周りの国民は「イリカ様の考えはちょっと変わっているが、今までにない方針でいいかもな」などと話している。


何が新しいだ…何が共存だ!!


空と同じ蒼の髪が揺れた。
声が出そうになるが、イリカの声が先に耳に届いた。
「話は変わりますが…、我が国に所属する小さな村が滅びました」
サヤの心臓がドク、と脈を打った。
「元凶は今は解体した軍に所属する一人の軍人で…」
「ふざけるな!!」
サヤは叫んだ。
周りがシン、と静まり返る。
サヤは構わずにイリカに叫んだ。
「お前が、お前が、お前が!!お前が殺した!お前が僕の村を殺した!僕の大切な日常はお前が壊した!」


「お前がアイレス村を滅ぼしたんだろォ!!」

囚人たちがサヤを冷ややかな目で見た。
「貴様…、女王に向かって何を!」
看守がサヤの頭に拳銃を突きつける。
サヤは銃口の固い感触に我に返った。
さぁ、と血の気が頭から引いていく。
「(…殺されっ…!?)」
カチン、と引き金を引く音がした。直後、ドン、と発砲音が響く。
サヤの頭は…打ちぬかれていなかった。


「…サヤ、よく言ったぜ。俺もムカムカしてた」
しゅる、と手の縄が解ける。
コウタは看守の手から拳銃を抜き取ると、手の中でクルンと回した。
サヤは首輪を千切って外すと、イリカを睨んで、
「許さない…!お前は…僕が殺してやる。お前が僕の大切な人を殺したように、今度は僕がお前を殺してやる」
「何を言っている。わたくしがあのような村に手を下す筈がないでしょう?」
イリカの笑顔が引きつる。サヤは犬歯を剥き出しにして言う。
「確かにお前の手下が僕の村を滅ぼした…、だけど、命令を出したのはお前だろ!」
コウタがポケットに拳銃ごと手を突っ込み、口を開いた。
「いくら女王様だつっても、やっていいことと悪い事があるんだぜ」
イリカが目を見張った。まだ投降しない軍人がいたなんて、とイリカは舌打ちをする。
そんなイリカの考えが読まれたのか、コウタは口の端を持ち上げた。

「俺の名前か?レリーフ王国特務師団所属、位は大佐。コウタ=レジェンディアさ」






続く。

後書き

なんだかんだでもう八話目。早いです。
コメントをつけてくれる方には感謝の言葉しかッ…。ありがとうございます。
そしてぐだぐだ時間の流れが相変わらず遅い…。すいません。

お好み焼きのソースを摂取しすぎて喉がカラカラだよ…

この小説について

タイトル 僕と寝ぼすけ男
初版 2007年1月6日
改訂 2007年1月6日
小説ID 1146
閲覧数 1201
合計★ 2
霜柱 光の写真
ぬし
作家名 ★霜柱 光
作家ID 97
投稿数 45
★の数 104
活動度 5973
まったりファンタジー。
最近幽霊部員と化してましたが生きてます。

コメント (1)

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