僕と寝ぼすけ男 - 僕と寝ぼすけ男

今度はさぁ、もう死なせたくないんだ。
なんでかって?
そうだなぁ、俺の周りの人間が例外なく死に始めたのは、あの日からだった。





僕と寝ぼすけ男






「死なせたくない…って…?」
コウタは返事をしなかった。
眠そうに下がっていた瞼は上がり、やる気がごっそり無くなったようなタレ目は鋭く切れていた。


そして何より。

彼の金色だった目は、血のように赤く染まっていた。


そしてコウタは口を開いた。
「俺は、ずっと一人だったんだ。仲間とか、友達とか。出来てもすぐに死んじゃうんだよ」
サヤは何も言わなかった。言えなかった。
コウタは笑っていた。
ずっと一人だったと。

もう、慣れたような口調で言ったのだ。
信じられなかった。
話す友達も居なくて。助け合う仲間も居なくて。
どうして、そこまで笑ってられるのか。

「少し昔話でもするか?前言ったと思うけど、俺は兄貴に両親と兄弟を殺されたんだ」

それからだったんだ、俺の悪夢はさ…
************************

「何するんだよ!オレは兵士になるために軍に入ったんだ!なんでこんな所に閉じ込めるんだよ!」
ツンツンの黒みがかった蒼の髪を乱暴に掴まれ、バタバタと暴れる。
13歳ぐらいの少年。少年は今、牢屋の中に入れられようとしているのだ。
「くそ、暴れるなっつってるだろ、このガキ!」
鎧に身を包んだ兵士が、少年を牢屋に投げ入れた。
ガン、と頭を床に叩き付けられる鈍い音が響く。
「ぅぐぅ!」
額が切れ、血が床に滲む。
「は、お前みたいな龍の化け物にも血が流れてるんだな」
兵士は笑った。
少年のボロボロの手足を踏みながら。
「痛い!やめろ、痛ェ!」
「お前みたいな化け物は兵士になれないぜ。そうだな、兵器にならなれるかもしんねぇなぁ、ぎゃははは!」
殴り、蹴り、踏み、嘲笑った。
少年はこの兵士を人間だとは思えなかった。
少年は唇を噛んだ。
元から切れている唇に、血が滲んでいくのがわかる。

たすけて。助けて。タスケテ。
少年の口からはその言葉しか出なかった。
「はぁ、はは、そろそろお前にも飽きたぜ。せいぜい生き延びて戦争に役立てよ」
兵士は笑いながら少年の牢屋を出た。

すぐに、他の声が少年の耳に届いた。
「君、大丈夫?」

緑の髪の、優しそうな顔をした少年だった。
年はさほど変わらないと思われる。
「ねぇ、君、名前は?」
少年は掠れた声で言った。
「オレ…、コウタ。コウタ=レジェンディア」
少年はニッコリ笑うと、
「君、コウタっていうの?僕はね、シーガル。シーガル=フォード」
シーガル、と名乗った少年は鉄格子の外から、白い腕を伸ばして、コウタのボロボロの指を掴んだ。
「よろしく、コウタ君」

コウタは薄れていく意識の中で、微かに笑った。









続く

後書き

短いけど…。
後編は長いです、多分。
冒頭部分読むとわかるかもしれませんが、シーガルも…。
では、後編を待っててくれると嬉しいです。

この小説について

タイトル 僕と寝ぼすけ男
初版 2007年1月15日
改訂 2007年1月15日
小説ID 1174
閲覧数 1157
合計★ 3
霜柱 光の写真
ぬし
作家名 ★霜柱 光
作家ID 97
投稿数 45
★の数 104
活動度 5973
まったりファンタジー。
最近幽霊部員と化してましたが生きてます。

コメント (2)

★トリニティ 2007年1月16日 0時14分21秒
例外なく死んでいく・・・壮絶な過去の前に愚かなトリはかわいそう、よりも怖すぎると思いました。

両親と兄弟を殺されたって・・・なんかナ○トのサ○ケみたいですね。

そしてシーガルくーん!!
サヤ、コウタ、そしてシーガル。
でもやっぱり、自由気まま(?)なコウタがすきです。
★霜柱 光 コメントのみ 2007年1月18日 17時23分25秒
こにゃにゃちわ(古
お腹が空いて力が出ない霜です。
〇ルトのサス〇ですかー、よくよく考えてみれば似てる気もするなぁ。
シーガルの名前は某ナ〇コから出てるPSPのゲームのキャラから貰ってます。外見全然違うけど。
コウタ好きですかー、そうですか…。他のキャラも好きになってもらいたいと思いつつ実は自分もコウタが一番好きな霜ですた。

伏字多いなぁww
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