僕と寝ぼすけ男 - 僕と寝ぼすけ男

みんなには別に気にしてないように見えるようにしてたけどさ、
俺、すっごく誕生日楽しみだったんだよ。
13歳になれば、父さんから新しい技教えてもらえるかもしれないだろ?



なのに、なんで。




僕と寝ぼすけ男





「シノン、いるか?」
シノンの部屋のドアがキィ、と開く。
「父さん、どうしたんですか?」
父親は学習机とベッドと本棚しかない質素な部屋に入ると、シノンのベッドに腰掛けた。
学習机に座っていたシノンは、父親のほうを向いた。
「明日はコウタの13の誕生日だな。お前は何か買ってやってるのか?」
シノンは机の隅に置かれた、緑の包装紙に青いリボンがついた包みをちら、と見た。
「ええ。コウタには勉学にも励んでほしいので、万年筆を」
父親は優しく微笑み、
「さすがシノンだな。将来あいつは神になる存在だ、今の内からちゃんと稽古をつけてやらなきゃいかん。稽古には勉学も入っているしな」
シノンは何も言わなかった。






「コウタにーちゃん、明日の誕生日、ホントは楽しみでしょ?ね?」
一方その頃、コウタは自分の部屋に来たジェガンと話をしていた。
「ふん、お、俺だってもう子供じゃないんだから。自分の誕生日がきたって別に…」ジェガンはニヤニヤ笑い、
「にーちゃん、[俺]はダメなんじゃないのー?」
「う、うるさいぞジェガン!茶化しに来たんなら早く自分の部屋に戻れ!」
コウタは顔を少し赤くしながら言った。
ジェガンはけらけら笑って、
「あはは、ごめん、ごめん、にーちゃん。じゃぁ、明日の誕生日に向けて早く寝れば?」
コウタはぷいとそっぽをむき、
「そうするつもりだよ。ふん」

ジェガンが部屋を出た後、コウタは自分の机にあるカレンダーを手にとった。
次の日の欄には太く、汚い赤文字で

[ぼくのたんじょうび]

と書かれてある。
コウタはそれを見て、薄く笑った。
実を言えば、物凄く誕生日が楽しみだった。
コウタはベッドに横になり、布団をすっぽり被った。

とても幸せそうな笑顔を浮かべながら。









「コウタ、お誕生日おめでとう。母さん、今日は張り切ってケーキ作ったわよ!」
いつものように母が起こしに来た。
だがいつものように布団は無理矢理剥がされない。
「ん…おはよう、母さん」
コウタは結局あまり眠れなかったのだ。
母に起こされるとすぐにリビングに向かった。
「コウタ、ちゃんと歯磨くのよ。顔も洗いなさいね」
コウタは頭を掻きながら、
「わぁかってるよー。ったく」


コウタがリビングに出ると、父と兄、弟がニコニコしながらテーブルについていた。
「誕生日おめでとう、コウタ」
一番最初に言ってくれたのはシノンだった。
「う、うん、ありがとう」
照れくさそうに鼻の頭をかいて笑う。
「プレゼントは夕ご飯の時渡すからな。それまで楽しみに待ってろよ」
続いて父が言う。
コウタは笑って頷いた。






あっという間に時間は過ぎた。
コウタは大体夕ご飯ができるぐらいにリビングに行く。
今日も同じようにリビングへ向かった。

だが、どこかおかしかった。
料理の良い匂いがするどころか、少し鉄臭い。
コウタがキッチンを覗こうとしたとき、



ピチャ…、と。

コウタの足元から、水音がしたのだ。
コウタが足元を見ると、



血が広がっていた。

コウタは腰を抜かしてその場に座り込んだ。
「う、うわぁ…!? うわぁぁぁぁぁあ!」
コウタは立ち上がり、周りを見渡した。
血が広がるばかりだ。

「父さ…、父さん!父…!!」
「コウタ、どうかしたの?」

後ろから声がした。
コウタはビックリして前に倒れた。
顔や服に血がべったりと付く。
「にーちゃん、これ、どうして…? 母さんと父さんは!?」

シノンはニッコリして言った。



「ぜーんぶ、俺が殺したんだ」



コウタは何も言わなかった。


言えなかった。

ただ、声には出せなかったが、口は動いていた。



な   ん    で    ?



と。



続く

後書き

暗い…グロイ…。

なんだか自分焦らし魔になってるようなw

この小説について

タイトル 僕と寝ぼすけ男
初版 2007年1月28日
改訂 2007年1月28日
小説ID 1238
閲覧数 1002
合計★ 3
霜柱 光の写真
ぬし
作家名 ★霜柱 光
作家ID 97
投稿数 45
★の数 87
活動度 5973
まったりファンタジー。
最近幽霊部員と化してましたが生きてます。

コメント (2)

★トリニティ 2007年1月28日 22時12分05秒
ひあああ! シノンー!

どうも迷いまくりの子羊トリニティです。
今回はえらくシリアスですな。
コウタの辛い過去があんな自由奔放な性格を作っているのかな? なんて思ったり。

焦らし魔。
そう、あなたは焦らしのIT革命やー(?
うわっ! 昔の007が巨大蛇と戦ってる!
★霜柱 光 コメントのみ 2007年1月29日 21時01分23秒
どうも、霜です。
とりあえず迷った場合は交番にゲフゲフゥ!
ギャグを盛り込みたい今日この頃…。ギャグ担当のコウタがこんなんじゃぁな…。

革命起きちゃった。IT革命起きちゃった。
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