僕と寝ぼすけ男 - 僕と寝ぼすけ男

俺はこの日を待っていた。
この狂った男を。俺の兄貴を打つ日が来る事を待っていた。

親父の[カミサマの血]で真っ赤に染まった俺の剣で






同じ目に遭わせてやるよ…!!





僕と寝ぼすけ男









サヤは黙っている事しか出来なかった。

不気味なコウタの剣がぎらぎらと光を跳ね返す。
赤く染まった聖剣の、ぼろぼろの柄を握りなおして、コウタは走る。

「お前は…、俺がぶっ殺してやる!! うおおおおぉぉぉお!」
剣を振りかぶり、シノンの頭に叩きつけるように振り下ろす。

周りの街人はざわざわとして、家路につくものもいれば、離れて黙って見ている者もいる。
「フフ、コウタに俺が殺せるかなぁ!! あははははは!! 」
長剣を頭に持ってきてコウタの剣を弾く。
衝撃でコウタは吹っ飛んだが、空中で体勢を整えて着地した。
シノンは長剣を舐めると、


「この剣に赤い血がこびり付くのが楽しみだなぁ、うふふ、あはははっ!」


シノンは恐ろしい速さでコウタが膝を付く所へ走った!

コウタは立ち上がると、バックステップで間合いを計る。
シノンは剣を強く握り、コウタの首を狙って横に薙いだ!
「うわっ…!!  あっぶねぇ!」

コウタは上体を反らし、シノンの剣は虚空を斬る。
「そう、もうちょっと踊ってもらわないと。楽しくないもんねぇ?」
シノンは剣を持ち替え、刀身が後ろに来るように持ち直した。

「まだまだこれからさ、コウタ。もっと俺を楽しませてよ!」

明らかにシノンが押している。
コウタの剣はあまり前には出ていない。

「ちく、しょう!」
剣先で切れた頬の血をなぞって、兄の姿を確認する。
シノンは笑ってコウタの腹を蹴り、さらに頭を長剣の鞘で薙ぐ。

コウタは横捻りに吹っ飛び、そのまま横たわったままだ。
「どうしたんだよ、コウタ?もう終わり?はは、あははっ」

シノンが近づき、首に剣を掛けた。

「ゲームオーバー。カミサマの仕事は俺がちゃーんとしてあげるよ」


剣を振り上げた時だった。





「見つけたぞ、サヤ=エミリア!」




シノンは周りを見張った。



イリカ=フェンネルが新しく作った王国軍兵士がズラリと並んでいる。


「くく、覚えているか? 酒場で会ったクロウクだ」

金色の国家紋章が刺繍されている赤いマントを翻して、白い軽鎧を見せた。
長い髪を揺らして、剣を抜く。

「イリカ様が命を下さったのだ。お前達を捕らえよとな!」
サヤに歩み寄ると、ニタ、と気味の悪い笑顔を浮かべた。
そんな彼から距離を取るようにサヤは後ろに下がり、腰のサーベルを抜いた。
「近づくな!」
クロウクは笑い、シノンに目をやった。

「ほう、[一族殺し]。生きていたか」
シノンは振り返らずに、返事を返した。

「俺が死ぬわけ無いだろう?俺は神になる男だよ」
「ふん。あのままイリカ様に忠誠を誓っていれば貴様も直ぐに神にでもなんでもなれただろうに」

シノンはコウタの首元から剣を離し、クロウクを振り返る。

「…これは俺の過去との決別を兼ねてるんだ。手を出さないでくれよ」

クロウクは眉をピク、と動かし、舌打ちをした。
「貴様等兄弟は揃って馬鹿だな。お前達は大人しく尻尾を振っていれば良いのだ」




シノンは顔を上げ、切れ長の目を鋭くした。



「ふぅ。キミが来ちゃったから、コウタとの勝負お預けになっちゃったよ」

剣をしまい、頭を掻いた。

「でもねぇ、コウタを殺すのは俺だから。キミに殺させはしない」







クロウクは口の端を吊り上げた。








続く。

後書き

おなか空いた…。
最後のシノンの言葉で心情がわかったりします。深読みすれば…、ね。

この小説について

タイトル 僕と寝ぼすけ男
初版 2007年2月14日
改訂 2007年2月14日
小説ID 1299
閲覧数 1558
合計★ 0
霜柱 光の写真
ぬし
作家名 ★霜柱 光
作家ID 97
投稿数 45
★の数 80
活動度 5973
まったりファンタジー。
最近幽霊部員と化してましたが生きてます。

コメント (3)

★トリニティ コメントのみ 2007年2月14日 22時45分59秒
ひいい!
シノン怖すぎ!

どうもです、リンク貼りに疲れきったトリニティです。
最近来ていなかったのでどうしたのかな、と思っていましたが・・・
テストでしたか。
日本史はわたしも得意ですわ。
今は戦国にいるんですが(遅っっ)
楽しいですな。アレは
★霜柱 光 コメントのみ 2007年2月15日 19時34分02秒
どうも、お久しぶりな霜です。
テストで忙しかった…。ちっくしょー!
リンク貼りと。もしやもしやHPを開設されているのですか?
大変ですよねぇ(←経験者
歴史は楽しい時代と楽しくない時代がありますよね。
私は鎌倉らへんが好きです(ぇ
★冬野 燕 コメントのみ 2007年2月15日 22時46分08秒
 コウタ、弱いよ……。
 ふふ、うふふとか笑ってしまった変人一号です。

 神様の血、シノンがこれまで何を考えてきたのか。
 狂気が凝縮されたワンシーンですね。
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