Gaia Hearts - Gaia Hearts 〜序章〜

〜序章〜

 ―――しぶといやつだ。先程から続けざまの斬撃を受けているにもかかわらず依然としてその雄大な巨躯を誇示する翼竜、ワイバーンを相手にしながら軽く舌打ちをする。

「遊撃1・2部隊、共に射かけよっ!」

この俺、誇り高き獣人(ライカンスロープ)の血を引くゼックス=ブレイズの声に応えホークアイたちで構成された弓手隊が一斉にワイバーンへと矢を放ち始めた。

 ホークアイとは獣人族の弓使いを指すが、スナイパーの異名を取るエルフやダークエルフのレンジャー、スカウトたちとは違いその特徴は鍛え抜かれた身体から打ち出される矢の、その威力にある。ましてや人間(ヒューマン)の弓手(アーチャー)など問題外だ。

 飛竜種の中でも特別大きな翼を持つワイバーンは、しかしその翼から大量の血を流し既に飛ぶことすらままならないようだ。俺は軽く手を挙げて射撃を止め、合図をした。傍らにいた兵士が素早く閃光玉を打ち上げると青く晴れた空にカッと光が放たれた。

「突撃!」

 同時に怒号を発して俺は疾風の如くワイバーンとの間合いを詰める。ワイバーンは傷ついた身体にもかかわらず瞳を生への執着に爛々と燃やし、魂が震えるような咆哮をあげる。

 その刹那、ワイバーンの背後から紅の影が飛び出しワイバーンの猛々しい角へと凄まじい蹴りを放つ。角はそのままボキリと折れ今度は苦痛の咆哮を上げさせる。紅き影はそのままワイバーンの頭頂に着地し、残った角に再び雷撃のような回し蹴りを放った。そして今度もその角をへし折り―――その時には俺はワイバーンの眼前にいた。

 抜刀した幅広の長剣、バスターブレードを首筋の硬い鱗の隙間に潜り込ませて深々と突き刺しそのまま素早く飛び去る。
同時に紅き影も両脇に角を抱えたまま大きく跳躍しその場から離れたのを見届け、俺は怒号を放った。
 途端、その怒号に答えるように俺の後方から電撃が突き刺した剣めがけてほとばしる。
激しい電撃に身体を焼かれ声もなくワイバーンの巨躯がくずおれた。と同時に軍全体から歓喜の声が沸き上がる。


「よくやった。」

先ほどの電撃―――サンダーベインを放った獣人族の魔導部隊、オーバーロード達に労いの言葉をかける。

「その言葉はまず私にかけてもらいたかったな。」

急にかけられた言葉に多少驚きつつも、それを表にださずに振り返る。いつの間に傍らまで歩み寄ったのか、先ほどの紅き影―――エルネア=マロウが腕を組み、首を斜めに傾げながら無表情にたたずんでいた。

「タイミングは自己判断に任せる…、大任を任せる割には少しばかり厳しい作戦だったな。」

「エルネアの力はよく知っているつもりだからな。信じてたさ。」

さらりと言い放ちそれ以上の言及をかわすように俺は背を向けた。エルネアも初めから言及するつもりはなかったのかそれ以上は何も言わずに付いてくる。
 俺はエルネアが輜重隊に預けたワイバーンの角の状態を確認し満足気に頷く。飛竜の角は大変希少な素材だからだ。

 角のほかに眼球、骨髄もまた希少素材として知られているが、その理由は1頭から得られる量が極端に少ないから―――というわけではない。甲殻や鱗などと違い、これらの素材はその固体が死ぬと同時に壊死を始めてしまうからだ。つまり生きている間に入手するしかない。まだこれらの中で角は比較的手にいれやすい方だが、眼球は飛竜の睡眠中、または麻痺させている間にえぐりだすしかないため、非常に手に入れにくい。骨髄に至っては稀に壊死を免れた部分を採取するしかないため、直接それを見たという存在自体が稀有だ。

 今回の任では副将に位置するエルネアに任せた、彼女の言う大任―――後方奇襲及び角の入手。できれば2本。部隊を預けずに個人で、である。確かに彼女を知らなければ無謀な作戦と言われるかもしれないか…。

 しかし彼女を知るものにとっては十分に清算のある作戦だろう。俺たち獣人族の中でも、強靭な肉体を鍛え、己を武器とする者をバトラーと呼ぶが、バトラーの中でもほんの一握りの存在であるタイラントと呼ばれる者たち―――その一人がエルネアだ。彼女たちは厳しい修行を自らに課し、そして王国に認められた存在であり、全ての民衆の憧れと言っても過言じゃない。

「首尾は上々、だろ?」

俺は笑みを浮かべ後ろのエルネアを振り返る。

「日はまだ高い。今日中に帰還するぞ!」

副官に告げ、全軍に撤収を命じる。
 帰ればうまい酒を呑めそうだ。俺の気持ちは戦闘の名残りか、高揚していた。

後書き

初投稿です。どれだけの人に読んで頂けるか…、不安ですが読んだ方、コメントお願いします(_ _;

この小説について

タイトル Gaia Hearts 〜序章〜
初版 2007年4月1日
改訂 2007年4月2日
小説ID 1419
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常連
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