僕と寝ぼすけ男 - 僕と寝ぼすけ男

長い蒼の髪が舞う。
その時、『僕』は『父さん』に抱えられていて。

頬に、ドロリとした血が付いた。










僕と寝ぼすけ男









「お、おい、来るな! 来るな! ガキが死ぬぞ!」
男は破片を握り、『僕』の首筋に付けた。
皮膚が切れて、血が滲む。

血が破片を流れた。
途端、フロワードの切れ長の目が大きく見開かれる。

「サヤに…、触るなぁぁぁああぁぁああああ!!」

フロワードの“走る”動作が見えなくなった。

走る、というより、





瞬間移動。


「ひ………!!」

細身の剣が横一線に振るわれる。

その時、『僕』はフロワードの腕の中にいた。


ボチュ、と首が飛んだ。
切断面から血を噴出す頭は地面を転がり、やがて村を囲む業火に呑まれた。

女性――エリザ――は口を押さえて震えている。
『僕』は自分を抱える『男』を見た。

二タァ、と気味の悪い笑顔を浮かべる『男』。

「私の…、大切な…、サヤに触れた報いだ…ヒヒヒ、ヒャハハハハハッ!!! 」



ぞっとする。

剣を振りかざして、既に動かなくなった男の死体を刻み始めたのだ。

「あははははっ、はは、ィ…ヒィ…!!」

もはや原型を留めていない肉隗を踏み、潰し、切り刻む。


途端、ピタ、とフロワードの動きが止まる。
かつて人間だった肉隗の最後の抵抗だったのだろう。

彼の左胸に、破片が深く食い込んでいた。
口の端から赤い血が溢れた。

「あ……」

フロワードはここで初めて異変に気付いた。
衣服に赤い血が滲む。

「フロワードぉっ!」
エリザがフロワードに駆け寄ってくる。
フロワードは破片を抜いて、エリザを睨んだ。
「来るなッ!」
ぼたぼたと血だまりが広がっていく。
「フロ……ッ」

「来るなと言っているだろうがぁぁぁぁ!!」
ぶしゅ、と『僕』の顔に血が飛んだ。

エリザの胸に刺さった破片。
フロワードは倒れ、剣を手放した。



「フロワード…、フロワードぉッ! しっかりして!」
エリザは破片を捨て、フロワードの頭を膝の上に乗せた。
『僕』は黙ってそれを見ていた。

やがてエリザは立っている
「サヤ…貴方は生きるのです…」



「なぜなら貴方は……この世界の神なのですから……」








******************







「………ッ!!」
サヤは上体を起こし、周りを見た。

「んへへぇ、もう食べられないぜぇ…むにゃむにゃ」
「あ、起きた」

にこにこ笑顔で話し掛けてきたのは笑顔青年シノン。
「サヤ君、ここでぶっ倒れてんだもん。びっくりしたよ」
サヤは横のベッドに寝ているコウタを見て、
「…そっか、僕…」
「あ、無理したらいけないよ。もうちょっと寝てな」
シノンはサヤの肩を押してベッドに横にならせた。
「シノンさん…」
サヤは無意識にシノンの名前を呼んだ。

「どうした?」
シノンが笑って顔を覗き込んだ。
「怖い夢でも見たのかな?」
「へへ…、ある意味合ってるかな…」

シノンが口を開こうとした時、

「サヤぁ〜〜」
隣りの黒いつんつん頭が動いた。
「俺の…、俺のオヤツ食っただろぉ〜〜…」


「はぁ…。俺がサヤを見とくーって言ってたのにスグ寝ちゃってねぇ」


サヤはツンツン頭を見て、ほんの少し微笑んだ。








続く

後書き

後半がなんともまぁ…。
どうも、霜です。
後編です。長かったなぁ。
ぐだぐだですが、コメント下さると嬉しいです。

この小説について

タイトル 僕と寝ぼすけ男
初版 2007年4月4日
改訂 2007年4月4日
小説ID 1446
閲覧数 913
合計★ 3
霜柱 光の写真
ぬし
作家名 ★霜柱 光
作家ID 97
投稿数 45
★の数 83
活動度 5973
まったりファンタジー。
最近幽霊部員と化してましたが生きてます。

コメント (4)

★冬野 燕 コメントのみ 2007年4月5日 19時17分23秒
 お父さんの執着が怖い。
 も、もしや近親s(吐血

 なぜフロワードはサヤにこだわったのか。
 うにゃ。サヤの運命の重みを感じましたね。
★霜柱 光 コメントのみ 2007年4月5日 19時57分21秒
コメントどもです。
執着し過ぎてましたね…、やっちまった感が少し…。
最近は『神』のイメージが漠然としていて…、文章でどう表そうかが最近のお悩みです。イメージとかはあるんだけどなぁ。
やっべぇ、この話がお父さん×息子の話に見えてきた…
★トリニティ 2007年4月6日 21時05分01秒
フ、フロワード怖すぎ・・・・。
細かな描写がそれを倍増させていますね。
良いです。

そして夢のあとのほのぼのとした状況が殺伐とした雰囲気を見事に払拭しているようでした。
★霜柱 光 コメントのみ 2007年4月7日 19時24分50秒
コメントありがとうございます。
狂ったキャラが個人的に好きなんです。狂ったっていうか精神的にイッちゃってるキャラとかが好きですね。某霊王漫画でいうとファウストとか。
今回は描写に気をつけてみました。いかに物語をリアルに想像できるか、ということですね。まぁ血生臭い話でしたのでより想像が膨らむかと。


長々なっちゃったな…。
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