僕と寝ぼすけ男 - 僕と寝ぼすけ男

サヤが笑った。
最近元気なかったみてぇだし、大丈夫かとは思ってた。
だけど、俺がアイレスに行かなかったら、こんなことにはならなかったんだろうな。
さぁ、俺もいつまで「俺」でいられるだろう?












僕と寝ぼすけ男









「美味しい?」
「はい! このパン、美味しいですね」
シノンは、アルルで買っておいたパンをサヤに食べさせていた。
アルルを出てからというものの、サヤは大した食事もしていなかった。
「僕、最近思いつめてて…。あまり食べてなかったからかな…、あはは」
パンを頬張りつつ、サヤは微笑んだ。
「コウタは? いらないの?」
「いるいるーっ!! 俺クリームパンがいい!」
シノンが鼻で笑い、
「はいはい。ガキはクリームパン食って寝てな」
「が、ガキだと!?俺23だぞ!」
「ふっふーん。俺から見たらお前もガキなの」
コウタはシノンに聞こえるように舌打ちをして、クリームパンを一口で飲み込んだ。

「さて、これからどうする。ここから一番近い所に小さな村があるよ」
シノンが地図を広げて、現在地、ガンシェルを指差した。
「…………。ヴォイトか」
コウタが腕を組んで地図を眺めた。
「ヴォイト?」
サヤの問いかけには、シノンが答えた。
「うん。近くに鉱山があってね、レリーフはその鉱山で採れる鉱石を輸入してるんだ。鉱石の名前は…なんだったかな、えっとー」
「レイズ。サヤがアルルでシェイドから貰ったブレスレットに付いてるやつもそれだ」
コウタが答え、説明をした。
サヤはブレスレットを見て、綺麗に輝く石を見た。
「これが…?」
「そう。レイズ鉱山でしか採れない特殊な鉱石。魔力をエネルギーに変換する作用があるから、魔法が盛んなレリーフでは魔道師育成の為に重宝されてる」

シノンが手を叩いて、
「そうそう、レイズだ。素質の無い人間でも簡単な魔法位なら使えるようになる鉱石なんだよね。結晶が大きければ大きい程エネルギーが大きくなる」
「なら、大きいレイズを手に入れられれば、イリカにも…!」
サヤの目が輝く。
コウタは腕を組んで、胡座をかいた。
「だけど、新生レリーフ王国軍はもう動いてる。物資を調達する時、まずはヴォイトに行くくらいだから新しい幹部もぞろぞろ居るだろうよ」

うーん、とサヤは悩んで、コウタを向いた。
「その中に、コウタと同じ、前のレリーフ軍が混じってるとしたら?」
「居るわけ無いだろ、生き残ったのはほんのわずかだ」
サヤは人差し指を立てて、コウタの顔に突き出した。

「軍に投降した敵の人達はどうなってた?これはコウタが一番知ってる事だろ?」
「力仕事とか、だな。キツイ仕事とかさせられてたな………! そうか!」
「そ。逆状態なんだよね。物資搬入の仕事ってきついんでしょ?」
コウタはふんふん、と首を縦に振った。
「だから俺と同じ、旧王国軍の奴らが搬入班に配属される可能性が多いってか」


ここで、それまで口を閉じていたシノンがパンパン、と手を鳴らした。
「投降したっていっても、彼らは『新生王国軍所属』の軍人だ。顔見知りだといってもそうそうは力を貸してくれないよ」
「どうして!? 彼らはコウタの仲間だったんですよ?」
「シノンクイズ。ばれたらどうなるでしょ〜か?」

コウタは低い声で、
「首が刎ねるだろうな。あの女はああいう奴だ」
サヤは口に手を当てて、目を見開いた。
「殺されるってことか…?」
「そう。こっちにもコウタとキミがいる以上、胸を張って村を歩けないよ」


突如、轟! と風が屋敷内に吹き込んだ!!
よく見ると、ドアと周りの壁が砕け散って、砂埃を上げている。

砂埃が晴れ、女性の声が聞こえてきた。

「ふふふ、久しぶりね        サヤ」



サヤの青い髪が揺れる。



「ジュリア……………!? どうして、君が…………」









続く

後書き

ジュリたん登場。

この小説について

タイトル 僕と寝ぼすけ男
初版 2007年4月17日
改訂 2007年4月17日
小説ID 1471
閲覧数 2779
合計★ 0
霜柱 光の写真
ぬし
作家名 ★霜柱 光
作家ID 97
投稿数 45
★の数 80
活動度 5973
まったりファンタジー。
最近幽霊部員と化してましたが生きてます。

コメント (4)

★冬野 燕 コメントのみ 2007年4月19日 20時33分21秒
 久しぶりー。とりあえず一言。
 二十話突破、おめでとう! 霜柱さんの根気には負けたぜ!

 ……でもサヤとコウタとシノン以外のイベントはほとんど覚えてないよ。
 ジュリア、いつ出てきたっけ?
 というわけで現状報告希望。コメント上でオッケーなので。
 ついでにコウタ、すでに寝ぼすけって感じじゃないよねww なんかキリリとカッコいいよ。
★霜柱 光 コメントのみ 2007年4月19日 21時12分57秒
どうもですー。
二十話突破…。なんだかんだいってがんばってきたなぁぁ。
冬野さんも毎回コメント有難うございます。

サヤとコウタとシノンのむっさい男だらけのイベントが最近続いてましたからね。忘れられているのも無理ないです。

折角なので、ジュリアの紹介をば。

ジュリア=マース     16歳 女  職種:宿屋お手伝い

武器:大杖(現在)
好きなもの:サヤ、可愛いもの、ケーキ
嫌いなもの:虫、蛇、魔物、ピーマン
特徴:ブロンドの髪を赤いリボンで結わえている。ピンクのエプロンドレスを着用。

と、こんなところでしょうか。

コウタは最近常識人になりつつあります。うわ、序盤はへタレ・寝癖王子・変態(ぇの三拍子そろってたのn(吐血
本気モードになったときに初めて「カッコイイ」と思わせたかったのに…。撃沈です。
シノンさんも隠れファンがいそうな。
★東城 春菜 コメントのみ 2007年5月25日 18時16分25秒
はいはい!
シノンさんの隠れファン!(実はサヤも好き)
2人とも甘党かわいい♪
これからもがんばってくださいね!
★霜柱 光 コメントのみ 2007年5月26日 13時18分56秒
おおう、シノンファンきたっ!(笑
どもども、コメントありがとです。
サヤは癒しキャラと化しつつありますね、そういえば。
これからもサヤは癒しを振りまきながら、コウタはアホを連発しながら、シノンは甘い物食べまくりながら頑張ります! ありがとうございましたー。
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