Gaia Hearts - Gaia Hearts 〜1章〜 中編

〜1章〜

―2―

「で、待たされるわけか…。」

 城内の広大な中庭に移し、私は一人でぽつりと呟いた。空は既に夕闇に支配され、暖かかった風も多少冷たいものへと変わりつつあった。
 あれから私はゼックスと共にヘリオスのもとへ謁見に向かったエルネアと別れ、中庭で待つように言われたのだが…。たかだか翼竜討伐の報告にこれほど時間をかけることなどないであろうに、いったい私をいつまで待たせる気なのであろうか。それに、酒宴の卓や酒を運んでくる者が誰もいないというのが気にかかる。

 広場にある噴水とは二回りほど規模が違う、巨大な噴水の前に置かれたベンチから立ち上がり空を仰ぎ見るが、残念ながら雲が出始め満天の星も月明かりすらも私を歓迎してはくれないようだった。
 いい加減焦れ始めたころ、ようやく中庭に人影が現れる。しかしそれはゼックスやエルネアの両将軍ではなく、まだ若い兵士のようだ。

「アレク様、王からの伝令です。」

彼は私がずっと外にいたことを知っているのか、申し訳なさそうに口を開いた。

「今宵は肌寒いので私室にて席を設けるとのことです。」

「私室だと?」

王の私室ともなると豪勢でかなりのスペースもあるが、どう考えても一軍が入れるほどの大きさではない。

「今日は討伐隊の酒宴を設けるのではないのか?」

「いえ、そのようなことは聞き及んでおりませんが…。」

私の当然の疑問に、しかし兵士は腑に落ちない答えを返した。
 またヘリオスの気まぐれなのか…。私は嘆息し、落ち着かない表情をしている兵士を下がらせた。


 謁見の時間はもう終了しているため、無人となっている謁見の間を通り過ぎ、その奥に延びる階段を上り私は王の私室へとたどり着いた。大きく重厚な、しかし見るものに感嘆を与える繊細な彫刻が施された扉の脇に、王の侍従を務めるディースがたたずんでいた。

「お待ちしておりました、レックハート様。どうぞ中へ。」

彼は深々と礼をした後に扉を開く。私は軽く頷き、室内へと歩を進めた。

「遅いぞ、アレク。将軍や俺を待たせるとはな。」

開口一番にそう言い放ったのはヘリオスだった。

「遅いのはどちらだろうな。早く来て欲しかったのならもっと使いを早くにだしたらどうなんだ?」

憮然としながら私は応じた。寒い中に待たされ、挙句に呼び出された上に小言とは冷静な私でも少しは言い返したくなるというものだ。
 エルネアに目配せすると彼女は申し訳なさそうにしていたが、もう一人はそうではなかったらしい。

「いつものことだがお前は王に対する口の聞き方ってもんを知らないのか。あまり調子に乗るんじゃないぞ、人間が。」

辛辣なゼックスの言葉だが、こちらは逆に、私は涼しい顔で聞き流してやった。まぁゼックスが辛辣なのはいつものことなので取り立てて気にする必要もあるまい。

 この地ガイアに住む種族間では、遥か昔からの争いで生まれた好悪の感情がいまだに少なからず残っている。一番相性が悪いとされているのは森に住み水の精霊シリエンを信仰する守人、エルフと彼らに追われ闇に落ちた存在、闇の精霊ディルガイアを信仰するダークエルフだ。

 そして同様に相性があまり良くはないと言われているのが我々人間と、獣人だ。この二種族間においては外見上は全く変わらない。唯一の違いは我々とは違い彼ら獣人は変身(メタモルフォーゼ)を行い、獣へと姿を変じることができるということだ。もちろん内面的な違いは我々に比べて彼らのほうが格段に高い身体能力を誇るなど、多少なりとも存在する。人間の中には、自分たちと変わらぬヒトの身体が突如醜い獣へと姿を変えることに強い嫌悪や拒絶を覚える者がおり、そして獣人たちは己と変わらぬ器を持ちながらも脆弱な人間を蔑む…、そういった風潮が戦争の無い今となっても完全に無くなってはいない。私は特に気にしたこともないのだが。

 私の態度にいまいましげに舌打ちするゼックスを無視し、私は尊大に腕を組むヘリオスの正面に当たる椅子に腰を下ろした。ちなみにゼックスとエルネアは長方形のテーブルの左右に座している。

「それで、私は今夜は酒宴だと聞いていたんだが…、聞き違えたか?」

「兵にも酒は振舞われている。兵舎では立派に酒盛りをしているところだろう。」

私のエルネアに対する問いに、しかし国王ヘリオスが鼻をならし答えた。

「…だそうだ。すまないな。」

やはり申し訳なさげにするエルネアに私は嘆息し、言及を諦める。

「お前が城内にいると聞いたので都合がいいからこうしたまでだ。」

「何?」

ヘリオスの言葉に私は思わず聞き返した。だが彼は私を制し手を上げる。

「まずは乾杯といこうではないか。」

―――よからぬことを考えている。なんとなくそんな思いを抱かせる笑みを浮かべヘリオスは杯をかかげた。私もしかたなく、そしてエルネアも何のことか聞いていないようで怪訝な顔で、ゼックスは憮然として不機嫌に杯を上げる。

 私たちの思いと違い酒の注がれた杯は軽やかな音を響かせ、琥珀色の液体を揺らした。

後書き

ぇー、この後ようやっとある意味プロローグが終わりというかなんと言うか・・・。構想は色々既にあるんですが文にするのって難しいですね(・・;
こんな遅々とした小説でも読んでくださっている方、コメントお願いします(_ _;

この小説について

タイトル Gaia Hearts 〜1章〜 中編
初版 2007年4月27日
改訂 2007年4月28日
小説ID 1494
閲覧数 846
合計★ 3
Skipの写真
常連
作家名 ★Skip
作家ID 134
投稿数 3
★の数 6
活動度 603

コメント (4)

★トリニティ コメントのみ 2007年4月27日 22時57分57秒
はうあっ! 終わっ・・・(泣
もう少し展開が欲しいところです。読みたいよぉー!
一人称の文は面白くて引き込まれます。自分がそこにいるみたいな。
★Skip コメントのみ 2007年4月28日 0時34分14秒
ぉぉぉ、トリニティさんっ
またもやコメントありがとうですっ。
1章後編早く書き上げられるよう頑張りますっ。
数日の猶予をぉーー。
あと他の方も是非ぜひコメントよろしくお願いします(_ _;)
★take. コメントのみ 2007年5月3日 18時06分38秒
短いのが難点ですね
気持ちはわかりますが章ひとつ書きあがってから出すというのがマナーでしょう
話自体は面白いので考え直されたい
★りん 2007年5月23日 22時52分59秒
コメントのカキコございましたので
呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃーーーーーーん♪♪(≧▽≦)ノ
って感じのりんです☆
さて、
序章とかから呼んでいるとどうも妙なとこでキレている感じがして煮え切らない感じです。
話自体はなかなかいいと思うので、もう少し、長くしてみてください☆
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