僕と寝ぼすけ男 - 僕と寝ぼすけ男

僕は、どうすればいい。
イリカは憎い。イリカに荷担した奴も憎い。
だけど……、ジュリアは。僕の……。



僕に、彼女を斬り捨てられるか。









僕と寝ぼすけ男







シュウゥゥ……、と地面がこげる音がする。
耳障りな音を発していた骨は光の槍に貫かれ、完全に動かなくなっている。

ジュリアは死んだと思っていた。
愛した男に殺されるのなら、それでもいいと思っていた。

「……ジュリア」
少年が名前を呼ぶ。
その声が聞こえるのに、一日、一年もかかったような気がした。

少年の顔は苦しそうに歪んでいた。
今にも泣き出しそうな、小さな子供のように。
少女はすぐにその顔を撫でてやりたかったが、体が思うように動かない。


「どうして、イリカに荷担したの…? そんな、物騒な力を持ってまで、僕達を殺したかったの…?」
どこまでも甘く、そして優しい少年は言った。
少女は言った。

「私は…、貴方を……、助けたかっただけ。貴方があの女の手に落ちるくらいなら…、私が貴方を殺してしまおうと思ったの」

「……僕はジュリアに助けてなんて言ってない!」
サヤが俯いて、肩を震えさせた。

「僕はもう子供じゃないんだ! 僕だって、大切なものの為に戦えるんだ!」


「今度は、僕がみんなを救う番なんだ!」

ああ、そうか、と少女は思う。
少年は、もう少女の後ろに隠れている泣き虫ではない。
立派な男なんだ、と。


「サヤ………」
名前を呼んだ途端、彼は走って少女の元に来た。
大きな青い瞳が涙に揺れている。

「そんな……顔しないの。男の子でしょ…?」
「でも、ジュリア……!」
少女は微笑んで、
「ちょっと、疲れちゃった。ごめんね…、サヤ」
さら、と金髪が地面に広がった。
サヤがジュリアの口元に手をかざす。
死んではいない。
サヤはホッとして、その場にストン、と座り込んだ。

「これで…よかったんだよね、コウタ」
「ああ。俺たちが討ち取るのはジュリアちゃんじゃねぇ。イリカ=フェンネルだけだ」

赤剣についた髄液を振り落として、鞘に収めた。
コウタは緩く笑って、
「生きてるんだろ? 回復を待って、話を聞こうぜ」
サヤは眼を服の袖でごしごし拭いて、うん、と頷いた。
*******************


ジュリアが次に目を覚ますと、建物の中にいた。
高級そうなベッドの横には、カップに注がれた水とクッキー。
そしてうとうとしているサヤがいた。

ジュリアは、ふふっと笑って、サヤの青い髪をすいた。
「……んぅ〜…」
くすぐったそうに眉を寄せた。

夜は更けている。
寝ていてもおかしくない時間だ。隣りから野太い男のいびきと寝言が聞こえてくる。

「あ、ジュリア…、起きたんだ…」
「ええ。少し休んだら、この通りよ」
にっこり笑って言った。
「良かった。あ、そういえばさ…」
サヤはカップをジュリアに渡して、
「ジュリアは、これからどうする? アイレスはもう無いから…」

「私は、貴方と一緒に行くわ」
ジュリアの言葉にためらいは無かった。
「帰る家もないし、行くアテだってない。それなら答えは決まってるでしょ? 私は貴方と一緒に…イリカを討つ」

サヤは目を丸くして、
「そんなの危険だよ! 死ぬかもしれないんだぞ!」
「それならサヤだって一緒でしょ? お互い様よ」


「決まったみたいだね」
右目の下に泣きホクロが特徴の男、シノンが入ってきた。
「シノンさん…」
サヤが振り向いた。
ジュリアがピクン、と体を強張らせたが、シノンのニコニコ顔を見てほぐれたようだ。
「この人は……?」
ジュリアがサヤの服を引っ張る。
「シノンさんだよ。コウタのお兄さんなんだ」
よろしくねぇ、とシノンが首を横に傾けた。

「話、聞いてたんですか?」
シノンは呆れたような顔で、
「あんな超音波空間で寝れる訳ないだろ?」

『うおらぁ〜、サヤぁ、次の酒持ってきやがれぇ〜』

横の部屋から唸り声が聞こえてくる。
「そ、そうですね…」
サヤは苦笑して言った。

「まぁ、これから道中よろしくね、ジュリアちゃん」






続く

後書き

ようやくジュリアが仲間になってくれました。

この小説について

タイトル 僕と寝ぼすけ男
初版 2007年6月3日
改訂 2007年6月3日
小説ID 1543
閲覧数 927
合計★ 4
霜柱 光の写真
ぬし
作家名 ★霜柱 光
作家ID 97
投稿数 45
★の数 83
活動度 5973
まったりファンタジー。
最近幽霊部員と化してましたが生きてます。

コメント (3)

★東城 春菜 2007年6月3日 20時59分51秒
おめでとうございます。(ん?何で)
いや、ジュリアちゃんが仲間になってくれたとあったので。

うーん。これからの展開がめちゃ楽しみやわ♪
がんばってください!!
★冬野 燕 コメントのみ 2007年6月3日 21時21分50秒
 >ジュリアが仲間になった!
 >サヤのレベルが上がった!
 >コウタは寝言を覚えた!

 んなわけないっすよねww
 サヤ御一行はついに四人パーティに!! うーん、今後が気になるぜぃ。
 コウタ、シノンが剣士でサヤが魔法戦士、ジュリアが魔法使いかな?
 でも気になるなぁ。色々と。ジュリアの過去とか。うん、期待ですwww
★霜柱 光 コメントのみ 2007年6月4日 20時14分14秒
東城 春菜さん>
コメント・ポイント有難う御座います。
ジュリアは元々仲間にさせる予定でしたので。経緯が長くなりましたがw

冬野 燕さん>
>「ジュリア」が現れた!
>「ジュリア」は ほねを よびだした!
>コウタ と シノン の こうげき!
>ほね は くだけちった!
>サヤ の こうげk(略

どうも、コメント有難う御座います。
最近はマイナーになりつつある4人パーティになりましたよ。
ゲーム的にいくとこのパーティはバランスに優れt(黙
げふげふ。ジュリアは個人的に呪療士に位置付けたいこの頃。
でもサヤが使う(予定)しなぁ。
名前 全角10文字以内
コメント 全角3000文字以内 書式タグは利用できません
[必須]

※このボタンを押すと確認画面へ進みます。