僕と寝ぼすけ男 - 僕と寝ぼすけ男

怖い。

怖い。

怖い。

どうして、コウタはこんなに怖いんだ。
こんなに鋭い目で。
こんなに禍禍しい姿で。



でも。



どうしてコウタは、こんなに苦しんでるの?










僕と寝ぼすけ男












サヤは細身の聖剣―――エミリア―――を、上下に軽く振った。
軌跡は雨粒を斬り、空気を裂いた。

綺麗な装飾がなされた聖剣は、貴族用の剣(ドレスソード)よりも豪華で、神の処刑斧(グーングニル)よりも鋭い切れ味を持っている。

青の光が、少年の細い体を包み込む。
彼の背に輝く羽が動く度に光の金粉が散っていった。

「……ッ!?」

コウタの赤剣がサヤの青い髪を僅かに掠った。
ヒュゴ!! と、次の攻撃が来る!

「お願い、コウタ……、話を聞いて!」
「あああああぁぁぁぁあぁああぁぁあぁぁあぁ!!」

赤いアザが力強く脈を打つ。
コウタは空気抵抗を減らすように剣を水平に倒し、一気に間合いを詰めた。

一瞬だ。

黒ノ閃光。その異名は、伊達ではなかったのだ。
化物のような速さで戦場を駆け、剣を振り回した男。

男は翼を得た事で、空を意のままに駆け巡る。


赤剣がサヤの横から振るわれる。
避けられない、ということはわかっていた。


それでも、少年は動かなかった。



サヤの白い手を、するりと聖剣が踊った。
金属が擦れあう音がする。

「っは」
聖剣を振るって剣を弾き、間合いを開けた。
コウタの赤眼はサヤを睨みつづけ、赤剣を再び構えた。
まともに戦えるとは思えない。
相手は軍人だ、剣の腕も自分より上だろう。


だが、サヤにも切り札はある。




魔法。





魔力を込めれる魔法陣に組み込み、使える魔法の中で上級クラスの物を放てば、少しはダメージを負わせる事が可能だろう。
サヤは手首にはめた、革製のブレスレットを見た。
中心に、七色に光る石がついている。

「(これに……頼るしかない!)」

サヤは踵を返すと、翼を広げてその場を離れた。

金粉が散り、できるだけ早く飛んだ。
一センチでも彼から離れられるように、飛んだ。

後ろからは黒ノ閃光が追ってくる。
速い。だが、翼の面積が広い分、抵抗が多いのだろう。強風に煽られ、さっきまでの速さは出ていない。

一方、サヤの姿はモデルが輝鳥――つまり鳥であるため、翼を水平に広げる事ができる。




チャンスは、一回。


サヤは距離を離したまま静止、右手を翳した。

少年の口はゆっくりと動き出した。




『元素の象徴マクスウェルの名の元に使役する。
  
   其の右腕には炎剣を携え、其の右手には撃流の矛を握る。

    右足で地を踏み鳴らせば大地は唸り、左足振るえば疾風舞い踊る。

     出でよ雷光、彼の者を貫け!』




空中を指が走った。

黒い雲に虹色の大魔法陣が浮かんだ。
並みの大きさじゃない。

王都を軽々と覆うくらいの大きさだ。



少年の頭を覆うヴェールが広がった。
首から伸びた帯は広がり、青いアザが光を帯びた。

そして少年は口を開く。









勝負は決まった。

指の動きが止まる。










『ジャッジメント!!』











続く

後書き

セリフが少なめです。
描写がうまくいったかな、と?

この小説について

タイトル 僕と寝ぼすけ男
初版 2007年6月19日
改訂 2007年6月19日
小説ID 1556
閲覧数 1264
合計★ 0
霜柱 光の写真
ぬし
作家名 ★霜柱 光
作家ID 97
投稿数 45
★の数 80
活動度 5973
まったりファンタジー。
最近幽霊部員と化してましたが生きてます。

コメント (1)

★東城 春菜 コメントのみ 2007年7月1日 20時51分54秒
こんばんは>^_^<
春菜です。
雰囲気激しいとありましたが、うーん、あんまり激しい感じはしない・・・カナ?
いや、偉そうなこと言ってすみません(>_<:)
でも、好きです。はい。
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