僕と寝ぼすけ男 - 僕と寝ぼすけ男

そうだ、俺は死んだ。
俺は天国には行けねぇだろうな……、いくら神でも。
さて、地獄には何が待ってるんだろうな。
まぁ、俺の記憶の中の地獄よりはずっとマシだろうけど。












僕と寝ぼすけ男










サヤの特大魔法を喰らう直前、コウタの視界は黒に塗りつぶされた。




どくん、と心臓が跳ねる。
前のようにキリキリと締め付けられるような痛みが走る。

『なにしてんだ、テメェはよ』

青筋を浮かべた[コウタ]はコウタの胸を踏みつけた。
血反吐を吐いた。
『何の為にテメェに力をくれてやったと思ってんだ。ああ? わかってんのかテメェはよ!』

ニィ、と犬歯をぎらつかせ、コウタを睨みつけた。
『前みたいに殺せ。お前の専門分野はなんだ? 殺しだろうが』

「俺はもう……無駄な殺生はしない」
『ナニ言ってやがる。テメェは殺すしか能の無い人形なんだよ』
人形、という言葉がぐるぐると巡った。
頭が痛い。
「黙れ!!」

『ナメた口きいてんじゃねぇぞクッソ野郎がぁ!』
ビシビシバキバキ!! と黒の世界にヒビが入る。
『俺がガキを殺す!! テメェは引っ込んでろ!!』
コウタは苛々した様子で、
「………っせぇ」
『あァ?』


「うっせぇっつってんだよコラァ!!」
金色の瞳が[コウタ]を睨む。
「サヤは死なせねぇ! 何が何でも、だ」
『……そォかよ』
[コウタ]はいやらしく笑って、踵を返した。








『こうなりゃテメェも巻き添えだぜ、アロイドコウタ』




「コウタ!」
大きな羽を動かして、急降下した。
雨脚は強く、一向に止む様子はない。

その時だった。



ビクン!! とコウタの指が動いた。
ガシャガシャカシャカシャ!! と指の動きには似つかわしくない音が響く。
「サヤ………」

雨に濡れた髪がユラリと地面から離れた。
『なァんてなァ、そんなに無防備に寄ってくるんじゃねぇよクソガキ』
「……ッ!?」

サヤの手がビク、と震えた。
機械なような動きでコウタは起き上がり、焦点の合わない瞳でサヤを睨んだ。
サヤは後ろに下がり、コウタを睨んだ。

「………、誰? 」
『誰? 俺だ、コウタ=レジェンディア』
「違う! 貴方はコウタなんかじゃない!」
コウタはニタァと笑うと、聖剣を振るってサヤに突きつけた。
背筋が凍るような冷たい瞳にサヤは震えた。
このままじゃ殺される。
サヤは剣から逃れるように横に跳び、細身の聖剣を構えた。
手は震えていた。


「(………どうすれば)」
さっきの魔法で力を使い果たした。
もう大きい魔法はサヤには使えない。初級魔法を使ってもせいぜい2、3発が限度だろう。
対してコウタは魔法も剣技も使っていない。魔法でダメージを受けたとはいえ、体力はサヤよりもある。

サヤに勝ち目は僅かしかない。

『逃げたって無駄だぞ、クソガキ。俺がちゃァんとミンチにしてやるからそこで突っ立ってろ!』

寝癖のついた髪が揺れる!
サヤは剣撃を避け、身を屈めた。
懐に潜り、思い切り鞘で胴を殴った。
体が吹っ飛び、頭から思い切り地面に叩き付けられる。

『ッてぇなァ……』
頭からは血が流れている。
気にも止めずに剣を握り直し、サヤを睨む。


『スクラップにしてやろォか』

刹那、遠くにいた筈のコウタがサヤの頭上にいた。
黒ノ閃光。まさしくそのままだ。
サヤは体を横に捻って避けた。
次は、避けられそうにも無い。

剣がサヤの居たところに突き刺さる。
避けなければ死んでいた。サヤは息をつき、コウタの動きを見ている。
朱色の瞳がサヤを捕らえた。

『さっき言ったろ。     ニゲテモムダダゾ』

剣を振るい、地面から剣を抜いた。
額から伝う血を舐めて、ニヤ、と笑う。

「………ない」
『あァ?』



「僕は!  もう逃げない!」

細剣と鞘を両手に持ち、独特の構えをとった。
右手に剣を握り、左手に鞘を握る。腰を落として右手を前に出し、刀身を地面と水平になるように構えた。
鞘を刀身に垂直になるように重ねた。

魔法を使わないのなら、両手を使っても支障はない。





『上等だぜ、かかってきやがれ』
「………」














続く

後書き

長い間投稿してなくてすいません。
重度のスランプに陥ってしまって、小説が書けなくなってました。
続きを楽しみにしてた方にはお詫びを申し上げたいと思います。

では、今回の作品のアトガキですが……。
コウタが変な人に乗り移られてます。これにもちゃんとした設定はあるのですよー。

この小説について

タイトル 僕と寝ぼすけ男
初版 2007年8月18日
改訂 2007年8月18日
小説ID 1624
閲覧数 1204
合計★ 0
霜柱 光の写真
ぬし
作家名 ★霜柱 光
作家ID 97
投稿数 45
★の数 104
活動度 5973
まったりファンタジー。
最近幽霊部員と化してましたが生きてます。

コメント (2)

東城 春菜 コメントのみ 2007年8月20日 20時53分26秒
お久しぶりです!!
スランプ・・・もしや私のせい?
ごめんなさい。
でも凄く楽しみにしてて、この小説を見たとき、凄く嬉しかった!(>_<)。゜

サヤ、好き♪(え
もう、続きがめちゃ楽しみ!!
★霜柱 光 コメントのみ 2007年8月21日 19時07分03秒
>東城 春菜さん
コメント有難う御座います。
スランプは東城さんのせいでは御座いませんです、謝らないで下さい(笑
サヤくん好きですか、有難うございます。
剣で戦うのは次が二回目ではないかと思われます。
次も楽しみにして下さると幸いです。
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