僕と寝ぼすけ男 - 僕と寝ぼすけ男

自分でも何がなんだかわからない。
現に、コウタの赤いアザは消えている。
助けた事に……なるのかな。








僕と寝ぼすけ男




雨はあがりつつあった。
雲と雲の合間から光が漏れて、寝癖のついた黒髪を照らす。
サヤは地面に足をついて、コウタの元へ駆け寄った。

「コウタ!!」
ローブが濡れるのも構わず、コウタの顔を覗き込む。
――――――息はある。
安心して息をついた所へ、コウタがうめき声をあげた。
「……、コウタ、大丈夫?! しっかりしろよ!」
口の中が切れているのか、口の端から血が流れた。
ローブの袖で血を拭ってやった。
「………、俺、は………お前を………斬っちまった」
「僕は大丈夫だよ、もう一人の僕が治してくれたんだ……」
「、もう一人?」
ピクン、とコウタの眉が動いた。
「うん、そして………僕に力をくれた」

そうか、とコウタは言うと、立ち上がろうと地面に手をついた。
「だ、駄目だよ、起きたら傷が広がるよ!」
「ならここで寝てろって言うのかよ? 風邪ひいちまうぞ、俺も……お前も」
コウタはそう言ってよろよろと立ち上がり、空に向かって叫んだ。

「イニス!!」

名前だろうか。サヤはコウタを見上げたまま、座り込んでいた。
……雲の切れ間から、一頭のドラゴンが飛んでくる。
淡く輝く藍色の鱗をまとった巨龍だ。

「コウタ、ドラゴンで帰るの?」
「速いし、他に乗る物ないからな。流石に徒歩は堪えるぜ」

ドラゴン―――――イニスはコウタの前に着陸すると、サヤの方へ手を伸ばした。
「………帰ろう、サヤ」

サヤは微笑んで頷いた。






*******

「サヤ君!」
「サヤ!」
シノンとジュリアが町の入り口で迎えてくれた。
ジュリアはエプロンでサヤの頭を拭いてやろうとしたが、サヤは顔を赤くしてジュリアの手から逃れた。
……そういうお年頃だもんな。
シノンは適当に考えて頷くと、コウタの方に目をやった。
「コウタ。あの力はどうやって押さえた?」
「サヤだよ。輝鳥レディアントの力を得たサヤに助けられた」
背に背負っていた輪や羽、伸びた髪は戻ってしまったものの、着ているローブだけは今も着ているままだ。
「…………相反する存在。闇翼神龍ジャネリオと光翼輝鳥レディアント……。」
シノンは呟いて、晴れた空を見上げた。




一方その頃、レリーフ城……


「闇翼神龍と光翼輝鳥が目覚めた。両者が目覚める理由は主に世界の危機を救うため。彼らに対抗できる術はあって?」
ワインを揺らし、女王イリカは乳母を振り向く。
「はい。かつての両者に仕えていた元素衆の力を持つ者5人。彼らを向かわせましょう」
んふ、とイリカは笑って、
「顔を観たいわね……。案内しなさい」




重い扉が開かれる。
ショーケースのような物に入っている人間をイリカは見つめた。

「綺麗ね」
イリカは一つのショーケースに近づき、顔を覗いた。
「これは……龍神の末裔かしら?」
「いえ」
乳母は即答した。
「この者はアロイドコウタ……闇翼神龍の器のレプリカで御座います」
長い黒髪、金の瞳、整った顔立ち。
右手には赤剣を握っている。
「この者はコウタ(オリジナル)を探し出し、自分がオリジナルとなるために剣を振るいつづけてきました………故についた二つ名が『赤剣の悪魔』」
「名前は?」
イリカはショーケースを叩き壊し、問うた。
結界が解かれる。

乳母は頷き、
「元素番号・水。レイド=レジェンディア。  『無知なる複写者』という意味の名前に御座います」

「まずはこのコに行かせるとするわ。さあレイド、お行き。貴方がオリジナルとなる為に………私が神となる為に!」

レイドはイリカを一瞥すると、長く垂らした髪を揺らし、部屋を出た。









「必ず殺す。闇翼神龍の力は俺にこそふさわしい」














続く

後書き

ひさしぶりだなぁオイ(笑
さあイリカおばちゃん出撃です。

この小説について

タイトル 僕と寝ぼすけ男
初版 2007年9月23日
改訂 2007年9月23日
小説ID 1663
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霜柱 光の写真
ぬし
作家名 ★霜柱 光
作家ID 97
投稿数 45
★の数 80
活動度 5973
まったりファンタジー。
最近幽霊部員と化してましたが生きてます。

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