夜に咲く花 - 第二話 美人で可愛い女の子?

夕暮れの中、俺は自転車に乗りながら中身の消えた財布のことを思い出していた。
ちくしょう……。どうすんだよ、今日と明日の飯!もう月末だから良かったけどよ。あいつら調子に乗るとこれだからなぁー。
自転車を止めて今日だけで何十回見たであろう財布の中身を確かめる。
―残金………千円……………。
あー……。どーしよ。
………ま、どーにかなっか!!
俺は半ばあきらめてバイト先のコンビニへと自転車をこぎ始めた。
いざとなったら、米onlyでいってもらおう。よし。

「お、梅崎。やっと来たか。遅刻だぞ。罰金っ」
店長の葉山(はやま)さんはニヤニヤしながら俺に右手を出してきた。
「すんません。俺のクラスやたらHR長いんスよ」
といいながら50円を渡した。一分遅刻するごとに10円、つまり俺は5分の遅刻をしてしまった。
「まいどっ」
店長は50円をギュッと握ってズボンのポケットに入れた。
店長はこの手でいくら稼いでいるのだろう。
何に使っているのかというのは、一度副店長の日下部(くさかべ)さんに聞いてみたことがある。
「店長って遅刻するたびに金取るじゃないっスか。あれって、どーしてんスかね」
「あーあれ?僕、本人に聞いてみたんだけど、何か母親の病気を治すために貯めてるんだって。みんなには悪いけどって言ってたよ」
と、日下部さんは言っていた。
日下部さんは嘘をつく様な人ではないと思うから、おそらく本当だろう。
同情した。と言うわけではないが、その話を聞いてから、俺は色々と理由を付けて遅刻するようになった。別に考えてそうしているわけでもないけど、普段よりのんびり行くようになった。
俺はロッカーを開けて、学ランを脱ぎ、コンビニの制服に着替えた。ロッカーに備え付けてある鏡で軽く髪を整えていたら、葉山店長がロッカー室に入ってきて、少しからかうような口調で言った。
「おいおい、なんだ?普段全然気にしてないくせに髪型なんかいじっちゃってよ」
店長はいつものニヤニヤ顔で入り口の所に立っていた。
「いや……特に理由はないっスけど。っていうか、俺ってそんな風に見えます?」
「うん」
即答かよ。
「いや……」
何となく反論する気になれなかったので、話しを変えることにした。
「……ところで、何か俺に用があったんじゃないんスか?からかいに来ただけっていうのはなしっスよ」
軽く睨んでみた。
「いやいや、さすがにそんなことねーけどよ。俺、今からちょっと本部の方に行かなきゃなんねーんだわ。それでよ、明後日給料日だけど、顔出せねーから今渡しちまおうと思ってな」
店長は、古封筒を持った手を伸ばし、ひらひらとゆらした。
「マジッスか!?ありかとうございます!いや〜今日と明日どうやって乗り切ろうかなって考えてたんスよ、さっきまで!」
俺は店長のもとへ駆け寄って、ペコペコと頭を下げながらその封筒を受け取った。
「そーなのか?じゃあさっきもらった50円も返すか?」
店長はポケットに手を突っ込んで探し始めた。
「あ、いや、それはいいんスよ。……えっと、け、けじめっスから!」
俺は慌ててそれを制した。
まーそれに50円貰ったって、10円ガムを5個買うぐらいしか使い道はないしな。
「そーか?」
「はい!」
「じゃあ早くレジは入れよ」
「うぃっス!」
俺は深く頭を下げて、出て行く店長を見送った。
いやいやいやいや。これは思わぬ収入だぞ?助かった!後はこれを優紀達の魔の手にかからないように気を付けねば!
俺は、鞄の奥底にそいつをしまうと、鼻歌交じりで、今レジをしていた一ノ瀬(いちのせ)というヤツとレジを代わってもらった。
「何かごきげんだなぁ」
180cmはある大柄な彼はのんびりとした口調で細い目をこちらに向けた。
「別に〜?」
思いっきりご機嫌だ。
「そうか?まぁいいや、じゃあ交代な。俺もうあがるから」
「おうっじゃあな」
俺は一ノ瀬と代わったあと、気持ち悪いぐらいニコニコしながら、レジの小銭の残りの数を確認していた。
そこに、倉庫から蓮見(はすみ)先輩が出てきて、今日は火曜日か、と思った。
蓮見先輩は俺の2こ上で、髪を茶色に染めていて、少し長い。チャラチャラした男だ。いい加減で、人に嫌われることが多いが、話してみれば結構いい人だったりする。
その蓮見先輩は、火曜日と木曜日の週2回、バイトに来るのだが、火曜日は、店員(俺たちが)男だけなのだ。むさ苦しいったらない。しかし、火曜日以外は九条聖奈(くじょうせいな)というかわいらしい、この店唯一の女店員が来るのである。彼女の周りにある、ホワ〜っとした優しい雰囲気がいつも俺たちを癒してくれるのだが……今日が火曜日だということに少しがっかりした。
あぁ、聖奈さんが恋しいよう……。
などと考えていたら蓮見先輩がレジに寄ってきた。
「やぁやぁ、タイガーくん」
「何ですか?がお」
ちょっと乗ってみた……。
「お、もしかしてなんか良いことあったのかい?」
「……いや、別に」
どうやら俺はわかりやすいらしい。それか、よっぽど普段の俺のテンションが低いのかもしれない。まぁ、こういうのは自分では自覚できないものだ。
「そんなタイガーくんに良い情報があるぜぃ?」
「何ですがぉ?」
「確か君は彼女はいなかったね?」
……嫌みか……?と思いつつも答える。
「そぉっスけど?」
「今すっげー美人で可愛い子が店にいるんだけどなぁ〜」
美人なのか可愛いのかどっちなんだ?
「まじっスか?それ、俺のタイプっスか?」
「……ん〜、いや、誰のタイプっていうか、アレ見たら男全員ホレるね」
かなりの面食いの蓮見先輩が言う程の美人で可愛い子ってどんなだろ。
俺は周りをキョロキョロ見渡してみたがちょうど俺の死角にいるらしく、それらしき人物は見あたらなかった。
「ま、俺には最愛の彼女がいるしぃ〜」
蓮見先輩はロッカー室へと引き上げていった。これからその彼女とやらとデートらしい。うらめしいぜ……。
……それが言いたかっただけなんじゃねーの?
と、疑ってしまったため、あまり期待はせずにレジにくるのを待っていた。

ちょうど時計の針が6時をさす頃、彼女はようやく俺の前に姿を現した。
「いらっしゃいませ〜」
というお決まりの台詞を言ってから、一品一品バーコードを読み取っていった。
その間、俺はずっとちらちらと彼女の顔や格好を見ていた。
彼女の髪は二の腕くらいまでの長さで、シャンプーなどのCMにでてしまいそうな位髪はサラサラで真っ直ぐだったが、右側の髪がはねているのが特徴だ。クセっ毛らしい。服は白いブラウスを着ていて、胸元にはシルバーのリングのネックレスをしていた。そんな姿を見ていると彼女の背中に白い羽が生えて、空へ飛んでいってしまいそうな気がした。
…やっべぇ……メッチャ美人で可愛い……。
さっき自分でつっこんだくせに、何故か俺はそんなことを考えていた。
確かに彼女は、誰が見ても「美人っ!」とか「かわいいっ!」とか言えると思うくらい、きれいな整った顔立ちをしていた。
目はつり目がちで一見近寄りがたいイメージがあるが、パッチリとした目と、醸し出す雰囲気がそうさせなかった。
すると、残念なことにレジの会計が終わってしまった。
「お会計は1250円になります」
俺がそういうと彼女は財布を出そうと鞄をあさり始めたが、なかなか出てこない。俺はそんな姿を見て気長に待っていると、彼女が声をかけてきた。
「あの……すみません」
「はい?なんですか?」
「えっと……財布を忘れてきてしまって……」
彼女は頬を赤く染め、困った顔で言う。
「あ〜……そういうことでしたら、ご自宅まで取りに行って良いですよ?」
軽くほほえみかけてみる。ぎこちなかったに違いない……。
「ほ、本当ですか?」
「はい」
「すみません、では、すぐ戻ってきますね!」
彼女は慌てて店を出て行った。もう外は暗くなり始めていた。
俺は彼女が買う予定の物が入ったかごをわきに寄せて、次の人の会計をして待つことにした。

後書き

こんばんわ。夜になってしまいました。秋水です。
読んで下さった方、ありがとうございました。
もしかしたらもう気が付いているかもしれませんが。
……間違えましたぁぁぁあ!!!(赤面
「題名」と「シリーズ名」とが、逆になってしまっていて、気づいたときは悲鳴をあげました。。。
      …
「よーし、今日も書くかぁ〜w
 さぁ、何処まで書いたっけなぁ〜……………
 ぎゃぁぁぁぁぁあああああああ!!!!」
「ぎゃぁぁぁぁああああ!!!!!」←私の驚く顔に驚いた兄の絶叫。
     …
と、まぁ、こんな感じでした。。。ちなみに修正しておきました。m(__)m

あと、紹介文ですね。
書くのは苦手で……今回は書きます!
何かこうかなぁ〜……。

というか、この小説はシリアスになるのかっ!?
というわけで、こんな感じで次回も頑張ります。

この小説について

タイトル 第二話 美人で可愛い女の子?
初版 2008年2月6日
改訂 2008年2月7日
小説ID 1812
閲覧数 973
合計★ 2

コメント (1)

★達央 2008年2月6日 23時06分39秒
こんにちは秋水さん。

早速、第二話を読ませていただきました。
今回はコンビ二でのアルバイト風景でしたが、やさしい雰囲気に包まれていた感じがしてとても良かったです。

文章でおかしいなぁと思った所を
指摘させていただくと店長に50円を渡すシーンですが、店長がポケットに10円入れたとなっているので確認してみて下さい。
名前 全角10文字以内
コメント 全角3000文字以内 書式タグは利用できません
[必須]

※このボタンを押すと確認画面へ進みます。