Is this a dream? - プロローグ すべてのはじまり

来雛
               「なんでこんなことに……」
     満月の光が差す水面にひとつ水滴が落ち、そこから波紋が広がっていく・・・。
     俺の心の中の穴も広がっていきそうだった。髪から落ちてゆく雫に心を翻弄
     される。俺の心の中には後悔しかない。自分の浅はかな考えをつくづく呪い
     たくなる。だが、すべてがもう遅い。


 学校では、お調子者でプレイボーイ的なちょっとかっこいい人気者の俺(自称)。普段の俺の生活は、夜中まで友達と遊び呆けて、こっそり二階にある自分の部屋の窓から入り、朝までゲームをする。睡眠時間は授業中さ♪(ある意味健全な高校生?)親とは一緒に暮らしてない。だから、バレやしないわけだ。まあ、こんな生活をしているのは無駄に広い一軒家に一人で居たくないからなんだけどな・・・。
 だけど、今日は友達全員の都合が悪く、誰とも遊べず一人で町をぶらついていた。でもつまらないから家に帰る事にした。ゆっくり着替えを済まし、ゲームをしようと(結局こうして遊ぶわけだ。)思ったが・・・『ピンポーン』家のチャイムが鳴り邪魔が入る。―チッ―舌打ちをし、わざと音を立てながら階段を下る。その途中で、友達かもしれないと淡い期待を持った。さっきも言ったが、一軒家の一人暮らしだから滅多に客人は来ない。
 階段を下り終わり、廊下をまっすぐ歩いて玄関へたどり着いた。その覗き穴を覗くと、黒いスーツ姿の男が立っている。手には、黒いアタッシュケースが握られている。ンッ!
黒スーツ・・・黒髪・・・黒のアタッシュケース・・・グラサン・・・黒い革靴・・・全身黒一色。待った!!あきらかに怪しいぞ。でも・・・でも!なぜか開けたい。咄嗟に手がドアノブに伸び、勢いよく回してドアを開く。―ゴッ―その瞬間、頭に強い衝撃を受けた。俺は、その場で意識を失う。


 頭がボーっとした感じの状態で目が覚めた。上半身をゆっくりと起こしてみる。すこし頭に痛みが走る。部屋を見渡してみると、自分の家でないことにやっと気づく。そして、一瞬自分が、洋画の中にでも入ったのかと思った。そのぐらいすごかった。濃い赤のじゅうたんが引き締められた床、クリーム色の壁、家具もブランド物でまとまっているっぽい。落ち着いた雰囲気の部屋で超一流ホテルの一室みたいだ。あるものすべてがとにかく高級に見える。
 あまりにビックリしていると、部屋に誰かが入ってきた。そっちを見ると、部屋に負けないほど美しい人がいる。儚げなのに、芯はしっかりしていそうな感じで、髪は艶のある黒のロング。こーゆうのをヤマトナデシコみたいというのだろう。・・・・・・ハッ、ちょっと見惚れてしまった。
 その彼女は俺が起きたのに気づいたようだ。こっちへと品のある動きでやってくる。そして、ついにベッドへたどり着き、声をかけてきた。
「良かった。なかなか起きないから心配しました。気分はどうですか?」
なんとなんと!声も素敵!見たまんまってゆうかなんつーかイメージ通りの声。あ〜なんか幸せ!涙が出てくるよ。俺が感激しすぎていると、彼女は心配したように、
「あの〜大丈夫ですか?どこか痛みます?」
その言葉でやっと俺は落ち着きを取り戻し返答できた。
「いや、全然平気!」
「本当?良かった。」
彼女は俺の言葉を聞き、安心したように優しく笑ってくれた。そこで、俺は訊きたい事を訊いた。
「で、訊きたいんすけど・・・ここどこっすか?」
誰かに頭を殴られたのは覚えてる。それも、アタッシュケースで・・・。慌てたように説明を始めた。
「あっとね、外国の山奥にある大きな学校で、変わった人達を育てています。例えば…スパイや、えっと暗殺者・・・ここでは、アサシンって呼びます。ここはそういう闇の世界の人を育てている学校です。多くの人は、貴方みたいに選ばれて連れてこられるんです。この学校は、表向き超バカ学校なのに、選ばれた人しか入れない変な学校って事になっています。だから、たまに怪しむ人も要るけど今のところ大丈夫なんですよ。」
ちょっとちょっと!!いきなり、暗殺者って単語がでてきたよ!何か危なくない?でも・・・興味津々なんすけど・・・。もう平凡な日々はつまらないから、たまにはこーゆうこともいいよね?とか思っちゃうな。で、ここで一番気になっていた事を笑顔で訊く。
「名前はなんてゆうんすか?」
「あっ!名前言ってなかったですね。わたしは、故陰(ふるかげ) 瞳(ひとみ)です。」
すごく彼女に似合った名前だと思った。まるで、こう育つのが分かっていたような感じだ。
「瞳さんって呼んでいい?俺は・・・」
「知ってます。藤堂(とうどう) 海里(かいり)君ですよね?わたしも海里君って呼びますね。」
俺の言葉を途中で区切り、微笑みながらそんなこと言われたもんだから俺・・・・・・めっちゃときめいちゃいました!
 俺がドキドキ胸を躍らせていると、『コンコン』部屋のドアを誰かが叩いた。
「あっ、多分伽耶(かや)さんですよ。」
俺が誰だか判らず眉を顰めていると、瞳さんは付けたしをする。
「海里君をここに連れてきてくれた人です。」
そう言って、ドアのほうへ瞳さんは向っていった。まだベッドの上にいた俺は、ベッドから降りながら思い出した。ここに連れてこられる前を・・・。確か、アタッシュケースで頭殴られたよね?ってことは・・・まさか!
「藤堂君、先ほどはすいません。頭に別状がなくて良かったです。」
「伽耶さんはもう少し力加減しないと駄目ですよ。亡くなっちゃう人もいるんですから。」
おっと・・・まさかのまさかだったみたい。てか、思ってたより酷くないか?あはは、笑うしかねぇな。
「そういえば、故陰さん。あと十分くらいで集合がかかりますから、着替えてきたほうがいいですよ。」
「もう、そんな時間ですか?急いで行かなくちゃ!じゃあ、すいません。伽耶さん、後はお願いします。海里君、また後でね。」
待ってぇ〜一人にしないで〜。とか言いたい勢いなんだけど・・・。だってすごく怖いんだもん!
「藤堂君。」
ドッキ―ン!って音が鳴っても、おかしくないくらい心臓が跳ね上がった。いきなり声かけないで下さいよ・・・。
「は、はい。なんでしょう?」
「これから、理事長室に案内しますからついて来て下さい。」
伽耶さんはにっこりと優しく微笑んだ。この人・・・無駄にさわやか過ぎませんか?
「あっはい。分かりました。」
なんか超いい人っぽいんすけど・・・。
「僕に敬語使わなくてもいいですよ。」
いいえ、断言します!この人はいい人です!
「まじっすか!よかった〜。俺、敬語苦手で・・・。普段使わないからすっごいむず痒かったんすよ。」
「ははは、藤堂君は正直者ですね。訊きたい事があったら何でも訊いて下さいね。」
「じゃあ、早速なんすけど、瞳さんから聞いた話によると俺って選ばれてここに連れてこられたんすか?」
「うん。そうですよ。といっても、ここの学校は大きいから、生徒が約二千人で教師が千五百人くらいはいますよ。っと、そろそろ歩き出しましょうか。」
俺が頷くと緩く微笑み、部屋から廊下へ出た。
「うわっ!」
つい俺は間抜けな声を出してしまった。だって、廊下も広いんだもん!天井は見上げると高すぎて首が痛いし、横幅もありすぎやしないか?もう何があっても驚かないと思う。俺はあることに気づいた。
「あの、なんで誰もいないんすか?」
「それは、もう少しで君の歓迎会があるからだよ。」
ほ〜、俺の歓迎会かぁ〜♪ってあれ?なんで歓迎会?不思議な顔をしていると、
「藤堂君はこれから理事長室に、この学校の入学手続きに行くんですよ。」
「えぇっ!誰も入学するなんて言ってないよ!」
すると、伽耶さんはくすっと笑いながらこう言った。
「大丈夫ですよ。断われませんから。それに・・・顔に書いてありますよ。興味津々だってことが。」
「うっ!」
図星だ。俺は、興味津々だった。断われないってゆうのが何でだかよく分からないけど・・・。
「そうそう、この学校にも一応制服がありますよ。皆さん、きちんと着る人のが少ないですけどね。」
「へぇ〜そうなんですか。ちなみにどんな制服ですか?」
「男女共に黒のパンツスーツで、胸元に赤龍の刺繍があります。」
「・・・なんで黒なんすか?」
「初代、理事長が「闇の世界に生きるならやはり黒を身にまとうべきだ!」と、おっしゃったそうです。」
まじかよ!ってか理事長なんかお茶目じゃね?
「着きました。さあ、挨拶をパパッと終わらしちゃいましょう。時間もないですしね。」
いつの間にか大きな扉の前に立っていた。あらま、おったまびっくり!お〜っと、ぶっ壊れかけていた。
「はい。」
緊張しながらノックしようとしたその時、「きゃーーーーーーーー」と奇声が聞こえた。部屋の中から・・・。
「すいません。藤堂君、いつもの事だから気にしないで下さい。」
言葉を無くしていると、伽耶さんが声をかけてくる。気にしないでって無理っしょ。『トントン』伽耶さんが扉を叩く。中から「はぁ〜い。」と返ってきた。
「失礼します。」
伽耶さんと俺が中に入る。その瞬間・・・
「きゃ〜。伽耶じゃないの〜♪久しぶりね。最近、顔見せに来てくれないんですもの。寂しかったのよ。」
金髪にブルーアイズのスレンダーな女性が、勢いよく抱きつく。伽耶さんは若干微笑んでいる。慣れているみたいだ。相手を引き剥がしながら言う。
「忙しかったんですよ。それより、藤堂君連れてきました。」
「あなたね〜、そんな理由で私が納得するとでも…なんですって!あたしの藤堂君が来てるですって?なんでもっと早く言わないのよ。伽耶のバカ〜!」
・・・俺さっき、もう驚かないって思ったけど、誰が闇の世界の人を育てる学校の理事長がこんなだと思うよ?普通は、思わないだろ?かなり、びびったんすけど・・・。
「はいはい。そこにいますよ。」
俺を指差す。予想はしていたが、勢いよくこっちに向かってきた。抵抗したが無駄だった。首に腕が巻きついてくる。
「無駄な抵抗はしちゃダ〜メ。でも、そこもかわいい〜♪きゃ〜。」
ちょっと待った。力が入ってるって!苦しいよ!細い腕のどこにそんな力あるの?もがいていたら、伽耶さんが止めに入る。
「憂薇(ゆうび)さん。時間がないですよ。急いで下さい。」
「ぶ〜。わかったわよ。」
そう言って、おとなしく絡んでいた腕を解く。
―げほっげほ――けほ―かなりキツかった。声には出さずに伽耶さんに礼を言う。
「そうそう、本題に入るわ。とりあえず・・・ここの説明は聞いたわよね。もちろん入学するでしょ。この私の学校ですもの。まさか・・・しないなんて言わないわよね。入学してくれたら・・・好きにして良いわよ。」
『『ドキーン』』それってもしや…あーゆう意味ですか?いや、早まるな。ん?ちょっと待て!なんか脅してなかった?背筋にゾクッときた。とっさに、
「もちろん、入学します!」
あっ、言っちゃった…。でも、結構心躍るよな。うん、プラス思考で行こう。・・・ねぇ、俺ってこんなんでいいのか?
「きゃ〜、さすが藤堂君!いえ、海里君。え〜い、もうこのさい呼び捨てにしちゃうわ!あっいけない!もうこんな時間急いで準備して!みんなに紹介するから!」
そう言って、バタバタ音を立てて走っていった。なんかすごい人だったな・・・・・・。
「藤堂君急いでもらえますか?なんと、あと五分で始まってしまうんですよ。君の歓迎会だから着替えてきて下さい。」
伽耶さんが俺に服を渡し、背中を押して部屋に押しやる。面倒くさいけどちょっと嬉しい。自分の為だけに開いてもらえるなんて。やべっ、時間がないんだった。にやけてる場合じゃねぇ。急げ俺!

 着替え終わって、ドアを開けると正装をしている伽耶さんが立っていた。いつの間に?考えていると話しかけられた。
「いつの間に着替えたかは内緒です。ご想像にお任せします。ほら、行きますしょう。」
楽しそうに話している。とりあえず走るかな。走ろうとすると、なぜか止められた。その後、伽耶さんは携帯で誰かに電話をかけたが、すぐに切った。
「走らないでいいですよ。すぐに迎えが来ますから。」
俺が不思議に思い、変な顔をしていると、
「見ていれば分かりますよ。」
笑顔でこう言った。すると、『ブッブー』と、何処からか音が聞こえる。うしろを振り返ると・・・車がいる。いや、まさかね・・・。廊下が広くって、車が走れるぐらいだからってこれはないっすよね。さすがに・・・。
「何やってるんですか、藤堂君?早く乗って下さい。」
放心状態の俺は何とか車に乗る。まもなくして、大ホールに到着したが、俺の心ここに在らず・・・。車に乗ったのに、二分遅刻だそうだ。主役が遅刻してどうするって感じだよな。でも、憂微さんのせいだしなぁとか、ぼやきながらホールの扉を開けると、「わぁ〜」と歓声が上がる。なんか俺、超歓迎されてません?それにしても、この歓声はすごいな。つーか、こんな大人数が入れるホールってすげ〜な。
 それからみんなに囲まれて朝まで飲まされて、なんだかんだで寝たのは昼前だった。もちろん飲んだのはジュースだ。でも俺は酒もいける口だけどね♪起きたのは夕方で、夕焼けがとても綺麗だった。久しぶりにあんなに騒いだ。だけど、俺は見てしまったんだ。自分がこれから進み行く道を・・・。



こうして俺の物語はゆったりと始まった。

後書き

この続きは近々upしたいと思います。
できれば感想など下さい。
勉強になりますんで…

ちなみに名前「ゆきはな」って読みます。

この小説について

タイトル プロローグ すべてのはじまり
初版 2008年2月14日
改訂 2008年2月14日
小説ID 1828
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