アエモノ学園の夏 - 1 夏も出会いの季節

 アエモノ王国の名門校のひとつ、アエモノ学園の男子寮に、同学園の学園長はいた。今日が夏休み初日だというのに。用件は見回りではなかった。目的の部屋に着くと生徒を呼び出し、うやうやしく手紙を差し出す。
「王妃様からのお手紙です。至急お読みください…。」
「ふ〜ん、母さんからね〜」
 金髪の受取人がつぶやくと同時に、2人のルームメイトが背後から手紙を覗き込む。ひとりは赤毛、もうひとりは茶髪。内容はこうだ…。

   親愛なるわが息子へ 城内で困ったことが起こりました。
   至急お友達と一緒に城まで来てください。         母より

「短すぎ!」
赤毛少年が突っ込む。その次に口を開いたのが、普段は無口の茶髪少年だった。
「ちょっとヤバいんじゃないのか?国王よりも強大な権力を持ち、肝が据わったあの王妃様が助けを求めるなんて。どうするのか、ケイ?」
「そうだなぁ…。 学園長先生!」
ケイと呼ばれた金髪少年が、男子寮を脱出しかけた学園長を呼び止め、言い続ける。
「帰省許可を申請します!」


 ちょうどその頃…遠く離れた日本国の某住宅で、夏用の制服(ブラウス・リボン・スカート)を着た黒髪少女が身支度を整えていた。が、父に「今日から夏休みだよな」と突っ込まれ、彼女は意気消沈しながら自室に戻った。鏡に映った制服姿の自分の上半身を見る。
「一学期、楽しかったなぁ」
 口から言葉が漏れた。『いつものおまじない』として、鏡の真ん中に右手を当てる。こうすると、平常心を取り戻している気がするのだ。始めて数秒後、鏡が突然光りだした。光は、部屋中に広がった。目を開けていることは不可能だった。


 場所は変わってアエモノ学園の学園長室。先ほどの3人の男子生徒と、彼らと共に班を構成する2人の女子生徒、そして学園長が集合していた。
「君達も知っているとおり、帰省を含めた外出は、6人一組でない限り許可されない」
5人だからダメだよな、と学園長の言葉に肩を落とす生徒達。
「だが今回は王妃様の御用命ってこともあるから、特別措置をとることにした」
「なら、どうするのですか〜?」
銀髪女子生徒の質問に対して学園長は、
「別の場所からもう1人を呼び出すことにした。この鏡を通して」
と背後の壁に掛かった鏡を指す。
「その方は、いついらっしゃるのでしょうか?」
と問うのは緑髪女子生徒。だが、学園長が答える前に、例の鏡が光りだした。

 目が眩むほどの強い光が止んだ時、鏡の前には不思議そうに辺りを見渡す少女がいた。制服、突き出したままの右手、周りを囲む人間からしたら、ちょっとおかしな格好だった。
「ほぅ、王子様に魔女さんが…」
「すげ〜! オレのあだ名を一発で当てたよ、この娘!」
彼女の第一声に口を突っ込むのはケイだった。彼は、金髪とか、腰に指した剣とか、羽織ったマントとか、少女の眼から見ると王子としか見えない風貌だったのだ(冠はないが)。実際、学生兼アエモノ王国の王子だから、あの手紙を受け取ったのだ。興奮した銀髪魔女が、声を上げる。
「わたし、ユリ!この王子は、ケイっていうのよ! あとあと、あの緑髪ちゃんがマナで、そっちの茶髪無口がリョウだよ〜! そんでもって、スミっこにいるのが学園長!」
「俺の存在忘れないでくれよ〜!!!!!!! っと、俺はヒロだ。よろしくな。名前、教えてくれよ」
赤毛の突っ込みが冴える。
「…ミホっていいます…よろしくね…。あの…私はなんでこんな所にいるのかなぁ?」
「自分がお答えします、ミホさん…」
 事のあらましを説明するのはリョウだ。くどいようだが、他人に自分の博識を披露するときに彼の口は開かれる。数分後…。
「ほぅ、そうなんだ。だいたい分かったよ。ありがと」


 こうして、ミホを仲間に入れた王子一行は城へと旅立った。余談だが、ミホの環境適応力に驚いていたのは、ヒロの他には誰もいない…。

後書き

読んで下さりありがとうございました。
今後も、ゆっくり、ゆっくり更新していきますのでよろしくお願いします。

この小説について

タイトル 1 夏も出会いの季節
初版 2008年3月1日
改訂 2008年3月23日
小説ID 1877
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作家名 ★メリエリ
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