最強女王×最弱騎士 - 第一話 騎士(ナイト)誕生!?

 雲ひとつ無い空、蕾が満開に開いた桜の花。ざわめきが聞こえる学校の体育館前。
 そう、思えばこの日から、自分の人生は180度変化したんだ。

 体育館は生徒で埋め尽くされ、混み合っていた。
 沢山の生徒の中心にいるのは柔道着を来た二人の男子。互いに組み合い、睨みあっている。
 そんな中睨みあう二人の内の一人の俺は、様々な野次や声援を受けながら、体育館の真ん中で相手と戦っている。いつになく真剣そのものだ。

「うらあぁっ!!」

 勇ましく声をあげ自分よりも少し大柄な相手に突進していく。
 が、俺の身体は相手にあっさり受け止められ、逆に胸を掴まれる。

「いっ!? どわぁっ!!」

 受身を取る隙もなく俺は背中から畳へと一直線に急降下。かなり高い所から叩きつけられ案の定俺は一発でノックアウト。
それを見て近くにいた審判が言い放った。

「試合終了! 背負い投げにて、一年D組 日向 剛(ひゅうが つよし)の一本勝ち!!」
「よっしゃあ!!」

 相手の喜びの声があがると、一斉に歓声が巻き起こる。
 俺はそんなお祭り騒ぎの中、畳に這いつくばり、息も切れ切れになりながら呟いた。

「ま、また負けた……」


 鳴り止まぬ生徒達の声を背に、カッターシャツに藍色のズボンの制服に着替えた俺は長いため息をつきながら体育館を出て行く。
 俺の手には「1年B組森瀬 侑斗、柔道成績、一年215人中215番、総合格闘成績、高等部1327人中1327番」と書かれた先程の柔道を含めた格闘競技の成績表が握られている。

「また、最下位かぁ……」

俺が再び声にならない声を上げようとした時、後ろから妙に明るい声が響く。

「よっ、侑斗!! また最下位か?」

 俺の後ろには同じ学校の友達、宮 恭平(みや きょうへい)がいた。軽やかに走りよってくるそいつの声に俺は思わず反論する。

「また、って言うな! 恭平!!」
「たった今自分で言ってたじゃねーか。それよりメシ行こうぜ。俺、腹へってさー」

 俺はため息が一段と深くなる。
(俺って口喧嘩でも誰にも勝てないかも……)

「ん、どうした? 今日は一段とネガティブ思考だな」
「お前、俺を慰めようって気は無いのか?」

 恭平に向かって拗ねた様に俺は言う。だが、恭平はあっさりと言う。

「お前に今更慰めようが無いだろ。今回ので七回目だろ、成績最下位。記録だって言ってたぜ、先生が」
「はぁ……」

 その言葉を聞いて俺は完全に打ちのめされた。
 もはや何も言い返す気力も無く、俺は恭平に半ば引きずられる様にしてその場を去った。





 俺達が通う学校、私立 北凰学園(ほくおうがくえん)は「弱肉強食」、つまり読んで字の如く力の弱い者は強い者の糧になるという校風がここには、ある。
 この学校では強さが全て。男も女も関係なく、体育でも習わないような武道の試験が定期的に行われ、その成績で学校総合の成績もついてしまう。勿論、学力も成績に加味されるが、圧倒的にこの学校では強い方が有利なのだ。普段の学校生活も、周りから「格闘高校」と言われるだけあって一味も二味も違う。 普通の机に向かっての勉強より校庭や学園内に四つもある体育館での武道の授業の方が多い。


 俺はさっきの成績で分かるようにこの北凰学園で一番弱い「男」。
 普通こういうのってか弱い女子とかが最下位とかなら許されるんだけど、俺は男だし、武道試験七期連続最下位という先生も呆れる様な成績。
 おまけに周りからは「最弱」などと呼ばれて馬鹿にされる始末。本当に最悪だ。

 じゃあ何でこんな学園に入ったんだって?
 勿論、俺が望んだわけではない。
 俺が高校を決める前に両親や中学校の担任が北凰学園の先生の勧誘にあっさりと承諾し、半強制的に俺は北凰学園への進学が決定してしまった。それで、この有様。
 ここに来て、もうすぐ一ヶ月の四月。俺は、はや一ヶ月の学園生活でどん底に落とされていた。



 俺は学園の食堂で注文したランチをほおばりながら隣の恭平に向かって愚痴を言う。

「何で、一ヶ月に七回も武道のテストがあるんだよっ!!」
「今月が多いだけだろ? 入学したばっかりだし、学力検査みたいなモンだろ」

 恭平が受け流すようにさらっと返す。恭平も決していい成績とは言えないが、俺よりは、成績が良い。

「学力検査の方がまだマシだ……学園で一番弱いなんて……」

俺はテーブルに突っ伏しながら言った。

 俺が落ち込みながらランチを食べ、愚痴を言いまくっていたその時、いきなり俺の後頭部にごきり、と鈍い音がする。

「いっっつ! な、何――!? ぐわっ!!」

 俺が振り向く前にもう一発頭にいれられ、俺は何の抵抗も出来ない。

「お、おい、侑斗!?」

 恭平の声が微かに聞こえたが、その声にも反応が出来ずに俺はまたもやノックアウト。
 誰かに一気に抱え上げられる感覚を覚えながらも、俺はそのまま意識を手放した。



 正面に「生徒会室」と書かれたドア。
 その向こう側では円卓に座り複数の男女による意味深な会話が交わされていた。

「連れて来れたか?」

 右端の七時の方向に座る一人が口を開く。

「はい、じきに目を覚ますと思われたので、『女王(クイーン)』の部屋に」

 口を開いた人物の後ろに居た男が答える。
 それを聞いて、真正面、十二時の方向に座る男が笑みを深め、言う。

「何にしても上手く行くといいけどね。まあ、とりあえずめでたく騎士(ナイト)誕生って事で」

 その円卓での会話がどんな意味を持つか、まだ、誰も知らない。



 真っ暗だった目の前が、うっすらと明るくなるのが分かった。
 ゆっくりと目を開けると、そこはもう食堂ではないのは確かだった。
 ズキズキする頭を押さえながら俺は辺りを見回す。

「どこだよ、ここ……」

 赤いロングカーテンで仕切られたお城の大広間の様な部屋。
 床は大理石だし、家具やテーブル、ソファーもあり、全部宮廷様式の様に華やか。
 だが、どれだけ豪華な部屋の様子を見ても、俺の記憶にはまったく存在しない物だ。

「何で、こんな所に……?」
「それはこっちのセリフだ」
「――へっ?」

 聞き覚えの無い声がして声のした方向に振り返ると、先程は誰も居なかったはずのソファーに座り本を読む女子生徒が居た。
 その女子生徒は俺を見つめて再び言う。

「お前は、誰だ? どうしてあたしの部屋にいる?」

 少し強く男っぽい口調で言われるが、自分にだって心当たりが無いのだから答えようが無い。

「い、いや、あの……」
「?」

 よく見てみると、彼女は肩まで届く様な栗色の長髪に凛とした目。
 制服も似合っている。偶然でもない限り、出会えそうにも無いだろう。
 それに、まともに女子生徒と話した事も無く、見たことも無い容姿の女子に俺は正直、戸惑っていた。

 試合惨敗+拉致(強制)=理解不能。
 そんな方程式が頭の中でグルグルと回ったまま、俺は呆然として立ち上がる事も出来ないで居た。
 これがこれから紡がれていく出会いであることを知らずに。

後書き

初めまして。ひとり雨と申します。
ラブコメらしく、軽快なテンポで書いたはずなんですが・・・あんまりラブコメらしくありませんね;;
まあ、これからそれらしくしていく予定です;;
何か感想、ご指摘等ありましたら遠慮せずにどうぞ。今後の参考にさせていただきます!

この小説について

タイトル 第一話 騎士(ナイト)誕生!?
初版 2008年3月16日
改訂 2008年9月7日
小説ID 1914
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作家名 ★ひとり雨
作家ID 223
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コメント (1)

ming1111 vcvcb コメントのみ 2018年8月14日 18時57分08秒
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