最強女王×最弱騎士 - 第二話 女王(クイーン)の実力

 豪華に彩られ、広々とした部屋。目の前のソファーに座りこちらを見つめる容姿端麗な女子生徒。
 一時間ほど前に居たむさ苦しい体育館の中とはまるで違うドラマのような雰囲気の中、その中心で俺はただ混乱していた。
 先程ソファーに座る女子生徒から発せられた言葉は「お前は、誰だ? どうしてあたしの部屋にいる?」という言葉だったはずだ。
 それならば、この豪華絢爛な部屋の主は間違いなく彼女。
 やっと自分が置かれている状況を理解した俺は、ワンテンポ遅れて思いっきり動揺した。

「あっ! いやっ、これは……俺も、何でここに居るか分からなくて、いや、いきなり気絶させられて、拉致されて来て……」
「何言っているんだ?」
 
 俺のしどろもどろの言い訳にその女子生徒はかなり怪しんでいる。
 それもそうだ。いきなり自分の部屋(?)に見知らぬ男子生徒が居る。
 そして、そいつが訳の分からない説明ばかり繰り返しているとなれば怪しい、かなり怪しい。
 誰もが簡単にその結論に行き着く。
 最悪の想像を俺の頭の中が駆け抜けた。
 こんな事が先生達に知れたら、ただでさえ成績が悪いのだから悪く行ったら即座に退学へと一直線だ。
 その想像に早くも強大な危機感を覚えた俺は必死に説明する。

「ほ、本当に怪しい奴じゃ……いや、こんな所に入って来ている時点で駄目なんだけど。でも、信じてくれよ! 何もしてないって!!」
「!」

 俺の説明を聞いているのか、聞いていないのか、ソファーに座っていた女子生徒は、何故か俺の方に歩み寄ってくる。

「い、いや違うんだって!! 誤解だよ、誤解!!」

 必死に否定するが、彼女は俺を睨みながら歩くのを止めない。

「信じてくれよ! 誓って何にもしていない!!」
「黙れ」


 俺の抵抗は彼女が発した一言によって脆く崩れ去った。俺は観念したように素早く頭抱え小さくうずくまる。
 しかしその一言を発した瞬間、彼女は左手に隠し持っていたソファーのクッションを俺の頭に押さえつけると、僅かに聞こえる程度の声で俺に囁いた。

「――伏せていろ」
「へっ?」

 俺がヘンテコな声を返したその時。


「神宮 葵(かんのみや あおい)、覚悟っ!!」

 部屋一面に響き渡る声が発せられたかと思うと、突然、部屋のドアが蹴破られ(破壊され)、竹刀を持ち、ご丁寧に剣道着と袴を着た三・四人の男子生徒が現れた。おそらく、男子剣道部の面々。
 どうやら、女子生徒の名前は神宮 葵というらしい。

 だが、俺がそんなのんきに考えている間に、剣道部の奴らが竹刀を構えていきなり彼女に襲い掛かる。
 彼女は瞬時に、後ろに宙返りをして避ける。バック宙というやつだ。すぐに他の数本の竹刀が襲ってくるが、今度は避けようとしない。
 竹刀のぶつかり合う音が耳に響く。俺は何もする事が出来ないままクッションを盾にひたすら伏せる。

「危ない!!」

 俺がそう叫んだ瞬間、彼女は両脇から振り下ろされた二本の竹刀を器用に片手で一本ずつ受け止め、正面からさらにもう一本が襲って来ようとした時、それを何と足で蹴り上げた。

「!?」

 そして、竹刀を押さえていた両手を離し、上空へ蹴り上げられた竹刀を掴むと、両手で掴まれていた竹刀が再び振り下ろされようとする、が、その隙を与えずに早業で彼女は竹刀を持っている二人の手首から竹刀を叩き落とした。

「うあっ!」
「ぐわっ!」

 手首をやられた二人の剣道部員が声をあげる。彼女は最後の一人が横からの竹刀の一閃も自分の竹刀を斜めに振り上げ受け止め、相手が構える前に胴に突きを喰らわせた。

その一撃で倒れ込んだ相手に向かって再び竹刀を喉下に突きつけて彼女は言い放った。

「まだ、やるのか?」

 その声を聞いて、剣道部員達は一斉に並んで正座して言う。

「ま、参りましたっ!!」

 その実に奇妙な光景を見ていて俺は確信した。
(俺、生きて帰れない……!!)

 俺が本気で怯えていると、壊れたドアの向こうから拍手が聞こえてくる。
 それと共に今度は制服をキチンと着こなした男女五人組が現れた。詳しく言えば、男子四人に、女子一人。
 カッターシャツの右胸には紅い桜の紋章。それが意味するのは、彼らは、この北凰学園の生徒会だという事。
 一番先頭で一人拍手をしていた男子が明るく言う。

「いやーお見事! 流石だね、葵ちゃん? この学園最強の女王(クイーン)だけはある」
「女王?」

 俺は訳が分からずに呟く。疑問があり過ぎて声にする事が出来ない。

 兎にも角にも、俺が始めて「女王(クイーン)」の実力を思い知らされた瞬間だった。

後書き

ラブコメに戦闘シーン・・・。すいません、何か恋愛っぽくなくて;; 
私の場合長く、ゆっくりとっていうのが恋愛だと考えている堅物でして。
まあ、最強の女王ですし。
強そうなのが表現できていればそれでいいです(笑)

この小説について

タイトル 第二話 女王(クイーン)の実力
初版 2008年3月17日
改訂 2008年9月7日
小説ID 1918
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作家名 ★ひとり雨
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