お前を一番愛してる - お前の笑顔を初めて見た日

次の日、学校に向かう途中に多田に会った。
いつもは気にしていなかったが、なんとなく気まずい。
多田も同じように思ったらしく、俺と一定の間隔を保ちながら歩いている。

でも、短気な俺はそんな事すら腹を立てた。
「おい、お前さあ、なんで避けてんの?」
「…」
何も言わない多田に、ますます苛立つ。
「聞こえねえのかコラ!!!」
「うっせ〜な!!!んだよさっきから!!!」
「…へ?」
いつも教室では隅で女子と溜まって話すでもなく、元気に外で遊ぶでもなく、
おとなしい、そんなのが俺の中の多田のイメージだった。
それなのに、今、俺に怒鳴った。
しかも、言葉遣いが汚い。
ビックリして、思わず声が出た。
「あ…ごめん。大丈夫?」
「お…おう」
「あはは…驚いた…?」
苦笑いしながら俺に尋ねる。
「まあ…多少」
戸惑いながら言う俺を、多田は笑った。
「ごめんごめん、あたし、こーいう性格でさあ。キレやすくて」
笑いながら言う多田を、俺は唖然と見ていた。
「あ、学校でおとなしいから、ビビッたんだ?ウケるー!!!」
一言も喋らない俺に対して喋り続ける多田。
俺は、あんなに楽しそうに俺に話しかける女を初めて見た。

それから、気まずい雰囲気は消え、学校に着くころにはお互い意気投合していた。
好きなアーティスト、ウザい先生、好きな科目、嫌いな食べ物…。
そんな他愛も無い話でさえ、多田と話すと、面白かった。

気付いたら、多田のことをもっと知りたいと思うようになっていた…。
まだそれが恋だとは気付かずに。




それが、お前の笑顔を初めて見た日だった。
あの時のお前の笑顔は、今でも頭に焼き付いて離れねーんだ。
キラキラした瞳の奥に俺が居たことも、覚えてる。

この小説について

タイトル お前の笑顔を初めて見た日
初版 2008年3月17日
改訂 2008年3月17日
小説ID 1921
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コアラの写真
常連
作家名 ★コアラ
作家ID 221
投稿数 8
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活動度 719

コメント (1)

★達央 2008年3月19日 1時14分26秒
前の話から性格が180度変わったように思える雪奈。
自分のイメージとしては大人しい感じを貫き通すのかなぁと思っていたのですが←ありきたりの予想しかできない(T_T)

今回も読みやすく仕上がっていてとても良かったですよ!
次回も期待しています☆

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