最強女王×最弱騎士 - 第四話 執事への適性検査!?

 俺が騎士(ナイト)に任命(?)されてから四日。俺の学校生活は劇的に変化した。

「ハア、ハァ……ハァ……!」

 放課後になると、俺は息を切らしながら教室がある本館より北の2号館の3階へと走り、階段を上る。
 一見すれば楽そうに思えるだろうが、私立学校の広さを侮ってもらっては困る。
 北凰学園には校舎が八つもあり、軽く大学並の広さ。その割には半分が体育館なんだけど。
 四つの校舎が、円状に南に本館、東に1号館、北に2号館、西に3号館となっている。それを囲うようにして長方形に体育館が四つ建ててある。
 それぞれの校舎はひし形に通路が作られていて、そこからそれぞれの体育館に繋がっているだけで縦、横には通路は作られていない。つまり、南北の位置にある本館から2号館へ行こうとすれば、否が応でも東の1号館を通らなければならない。
 拉致されてきた時はまったく気付かなかったけれど、女王、もとい葵さんの部屋は2号館。しかも3階。
 ちょっとしたマラソンの様な距離を俺はこれから毎日行き来しなければならない事になる。


 葵さんの部屋に続く最後の階段を俺は死力を尽くして上る。
 階段を二段飛ばしで上りきり、廊下を走り、部屋のドアノブに手をかけて回す。

「ハアハァ……こ、こんにちは?」

 俺はゆっくりと中に入り挨拶をしてみる。すると、葵さんとは違う声が返ってくる。

「やっほー。森瀬クンだっけ? 入ればいいよん」

 葵さんの部屋にいたのは先日会った兎堂、それに水戸という生徒会の人だった。葵さんもいる。

「えっと……」
「あれ、名前言わなかったっけ? 兎堂 海鶴だよ。こう見えても二年だけど。ミツル先輩って呼んでよ」
「はあ、ミツル先輩、ですか。そっちの水戸くんも二年ですか?」

 俺が聞くと、後ろにいた彼はいきなり俺に向かって真剣な面持ちで土下座をした。

「!?」
「すいません!! 君をここに連れてきたのは俺なんだけど、大至急だって聞いていて、つい、手荒な真似を……本当に、すいません!」
「ええっ!? あ、いや、あんまり、気にしないで。事情ももう、飲み込めたし。これから、よろしく頼むよ。俺、全然ここの事とか分からないし。色々教えて欲しいからさ」
「ああ、勿論だ。生徒会としても、学生としてでも仲良くしてもらえるなら、こちらこそよろしく。侑斗って呼ぶよ。俺のことも名前で呼んでくれ」
(何だかこの中では一番の常識人かも。友達になれたし)
 俺は失礼ながら友達が出来た事に感動して思わず心の中で本音が出た。

「水戸君は一年。僕とこの前の銀髪の南条って奴が二年。会長と副会長の天峰先輩達が三年。これでいい? 森瀬クン。まあ、これからは侑斗クンって呼ぶよ。名前の方が呼びやすいし」

 シャボン玉の中に小さなシャボン玉を入れるという技を披露しながらミツル先輩は言った。
 俺も素直に答える。

「はあ、これからよろしくお願いします」



「さて、僕等がここにいる理由なんだケド。何て言えばいいかなあー」

 そう言いながらミツル先輩は何処から持ってきたのか水鉄砲式でシャボン玉を作るいわゆる泡鉄砲で、沢山のシャボン玉を溢れさせる。

「ミツル先輩。部屋汚さないで下さい、迷惑です」

 葵さんがそう注意してもミツル先輩は悪びれる様子も無く言う。

「大丈夫、大丈夫。だって掃除するのは執事の侑斗クンの仕事でしょ?」
「……って俺ですか!?」

 俺は思わずツッこむ。そこで話題に引っ張り出されるとは思っていなかったからだ。


「……んーやっぱ面倒だ。しんじろー、代わりに説明して」
「あ、はい。実は、昨日北凰学園の生徒に侑斗が執事になった事を公表したんだが、結局一部の生徒から批判が出て来て……それで、一週間後に侑斗が本当に執事としてやっていけるか適性検査をする事になったんだ」
「へ!?」

 せっかく状況を理解できたばかりなのに今度は適性検査だなんて。
 葵さんも意見を言う。

「誰ですか、そんな事言うの。一週間程度で辞めろ、なんて侑斗にも失礼だと思いますけど」
「うーん、南条もちょっと反対してるっぽいしね。そういうの聞いて生徒が反対の方へ動いているみたいなんだよね」

 ミツル先輩も肩をすくめる。俺は聞いてみた。

「それで俺、何するんですか?」

 その質問に、真司郎が丁寧に答えてくれる。

「神宮さんの執事として大切なのは、いかなる状況でも彼女を支え、そして守れるかって事です。だから、一週間、侑斗と神宮さんにはここで共同生活をしてもらいます。普段だったらここにいるのは放課後からの数時間で終わるんですが、今回は適性検査なので、一日中侑斗にはここにいて執事をしてもらう事になる……かな」
「ええ!?」

 俺の絶叫も気にせず真司郎は続ける。

「期間中の二人の授業は免除になります。そして、神宮さんには鈴をつけてもらい、一週間の間に十人の刺客がそれを狙いに彼女を襲撃します。それらから彼女を守るのが適性検査。刺客の襲撃は不定期、鈴を取られた時点で即失格、侑斗には、辞めてもらう……」
「…………」

 俺は絶望的な気持ちになった。葵さんにも凄く迷惑をかけるし、守りきれるかどうかも分からない。
 だが、葵さんは強気に言い切った。

「分かった。受けて立つ」
「え!?」

 俺が驚くと、葵さんは俺に向かって言う。

「大丈夫だ。私が鈴を取られなければいい。違うか? それに、侑斗に執事として世話になるのに、私が何もしないのはおかしいから」
「葵さん……」

「じゃあ、僕達はこれで。あ、それから言っておくけど、最終日に正式に決定して学園の生徒に報告するからね」

 ミツル先輩が言う。

「あ、はい。分かりました」
「それと」

 ミツル先輩が僕にこっそりと耳打ちする。

「ちゃんと気付かなきゃダメだよ。自分の気持ちにね」
「えっ?」

 俺が聞き取らないうちにミツル先輩達は部屋から出て行ってしまった。

 その時はまだ気付いていなかった。
 今から起こるこの事が、キミを想う気持ちに気付くきっかけだったなんて。

後書き

やっと本格的になってきたかな、という感じです。
「適性検査」がこれから二人にどの様な影響を与えるのか楽しみにしていてくださいw

この小説について

タイトル 第四話 執事への適性検査!?
初版 2008年3月19日
改訂 2008年9月7日
小説ID 1931
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作家名 ★ひとり雨
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コメント (1)

ming1111 vcvcb コメントのみ 2018年8月14日 18時58分23秒
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