りれしょ物語 - 第二話

 本村さんに村崎のことを聞かれたのが昨日のこと。
目を覚ました俺はふと思った。あれが全部、夢なら良いのに、と。
 本村さんは寝ぼけた俺が見た幻で、村崎がラブレターを貰ったことがあるというから、俺がそれをどこかで意識していたんだろう。あいつがもてるはずがないからな。うん。
「そろそろ起きないと遅刻するわよ」
「おう〜」
 わざわざ起こしにきた母親に緩い返事をして、俺は朝食を食べに下に降りた。
自分の頭の中で、さっきのことを自己完結させて。


「本寺。今日は早いじゃん」
「たまたまな」
 教室に入ってすぐ、クラスメイトの話し声がする。まあ、自分には関係ないと思って席につこうとすると、これまた村崎が邪魔をしに来る。
もう放っといて、寝せてくれよ。マジで……。
「さっきさ、隣のクラスの女の子とぶつかっちゃってさ。その子の顔見たらすっげぇ可愛かったんだよ」
まさか……。
「名前は〜、確か本村秋って言ってたかな」
マジかよ。俺の見た幻じゃなかったのかよ、本村さん。
きっと本村さんの顔を思い出しているのだろう。村崎の顔には締まりがない。
 誰だ。こいつにラブレター渡したりする、目の悪い奴は。ああ、本村さんもその一人か……。
「でさ、ぶつかった時のその子の反応が可愛くてさ、もう一度会いてぇな〜」
 勝手に会ってろ。
「お。一時間目は図書室で調べ物だ。お前はここで一人でデレデレしてろ」
「おまっ、何様だよ!!」
 村崎に一言言って教室を出ようとすると、村崎が俺の背中をバシンっと叩いた。
いや、うん。本人に悪気はないんだと思う……。むかつくが、ここで須藤の件の二の舞になるのは嫌なので、何も言わずに図書室へ足を運んだ。

 図書室の扉を開けると、生ぬるい風と共に少し日陰の匂いがする。
貸切状態の図書室は、それはもう騒がしくて、思わず舌打ちしてしまったほどだ。
 よく見れば隣のクラスも混ざっているようで、見知らぬ人も多い。そして、その中におそらく友達であろう人達と笑いあっている本村さんを見つけた。
どうか、村崎に見つかりませんように。
 と、叶わないであろう願いをこめて踵を返した。
「あの、本村くん」
 また、女の声。
振り返ってみれば、そこにいたのは先ほど本村さんと話していた子の一人だった。
 黒い髪を肩のあたりまで伸ばし、幼稚園児のように耳の上あたりで髪を結んでいる小さな女の子。
よく見ればすごく可愛い。
「秋ちゃんのこと、ありがとう」
「へ?」
 二コリと笑って、その子はそう言った。当然、何に対してのお礼か分からない俺は、阿呆みたいな声をあげてしまった。
「秋ちゃんがね、嬉しそうに話してたの。「隣のクラスの本寺くんが村崎くんについて教えてくれた」って」
「ああ。その事ね」
 まず、あんな美少女に頼まれたら断れないよ。うん。だから、お礼を言われるほどのことじゃないんだけどな……。
「知らない子に頼まれても、いやな顔せずに教えてくれて、秋ちゃんが嬉しそうだったから。少し見直しちゃった」
ああ。本村さんと言い、この子といい、何でこんなに可愛いんだろう。
 もしや、この子も村崎狙い!
「あ、私は煽 初音(あおり はつね)っていうの。よろしくね」
「あ、うん。よろしく」
 そう言って、煽さんが差し出してくれた手を握ろうとした時、
「初音。本、見つけたけど」
 煽さんと手を繋ぐなというように、また女の子が現れた。
「あ、五鈴ちゃん。この人が、秋ちゃんの恋に協力してくれた人だよ」
「……そう。アンタが」
 おいおい。初対面の人に対して「アンタ」はないだろ。
「あたしは雛利 五鈴(ひなり いすず)。うちのがお世話になりました」
 よく見ると、この子も美少女だ。茶色のショートヘアと、白い肌が綺麗で、お人形さんみたいな……。
「秋と初音には手を出すなよ」
 でも、性格に難ありだな。
煽さんには聞こえないように言ったあたり、確信犯だ。
「あ、うん。分かってる」
 むしろ、怖くて手が出せません。
そう言いながら、俺はまた一つ、違うことを考えた。
 今年の俺には女難の相があるのかもしれないと。

後書き

キャラ紹介
煽 初音(あおり はつね)
学年・高校2年生。
ポジション・秋の友達
性格・人懐っこい・ドジ・単純(純粋?)・小動物系

雛利 五鈴(ひなり いすず)
高校2年生
ポジション・秋の友達
性格・クール・秋と初音に甘い・ツッコミ

次は、達央さんに指名します。
登場させたいキャラがいたら、増やして良いですからね。

この小説について

タイトル 第二話
初版 2008年4月4日
改訂 2008年4月4日
小説ID 1990
閲覧数 1070
合計★ 5
梨音の写真
作家名 ★梨音
作家ID 119
投稿数 83
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活動度 11119

コメント (2)

★日直 2008年4月5日 17時50分52秒
やーなんか嬉しいですね。なんででしょうね。
とても楽しかったです。こんな展開になるとわ思いもしませんでした。

ところで煽やら五鈴やら、みなさん難しい漢字よく知ってますね。
僕には振り仮名見るまで読めませんでした(笑)
★達央 2008年4月7日 3時01分40秒
なんだか、日直さんとはまた違った面白さがありましたが・・・自分としては引継ぎが大変でした(汗

第三話を読んでいただければわかると思いますが、完璧に逃げてます。
そのせいで内容がズレてしまった感じがして不安です。

※このコメントは第三話を書き終えてから書いてます←遅い!
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