最強女王×最弱騎士 - 第七話 適性検査三日目〜混乱と、恋の始まり〜

 執事適性検査二日目にしてやっと一人目の襲撃者撃破。
 残る襲撃者はあと九人。
 俺が一番最初に葵さんの実力を知ったのは、葵さんと剣道部との戦いを見た時。
 そう、つまり部活単位での襲撃もその数に含まれるって事。
 三日目は容赦なくそれが襲ってきた。




「神宮 葵、覚悟!!」

 勢いよく部屋のドアが開けられたかと思うと、剣道部と同じ様な袴姿の男子達が部屋に入ってきた。

「まさか……これが襲撃者!? 剣道部が!?」

 俺の絶叫をよそに、葵さんは落ち着いて言う。

「落ち着け、侑斗。彼らは剣道部じゃない。竹刀を持っていないだろう?」
「そ、そういえば……」


 俺達の会話が聞こえたのか、袴姿の男子が大きく言った。

「ご名答! 我らは合気道部! 生徒会の命を受け、神宮 葵の鈴を頂きに参上した!!」
「やっぱり! っていうか、合気道!? 合気道部なんてあったんですか!」
「手加減無用! 問答無用! 覚悟!!」

 俺の言葉を聞いていたのか聞いていないのか分からない内に、合気道部は一気に飛散して葵さんを囲み、鈴を奪おうと体制を整える。




「葵さん!」
「大丈夫だ! それより、合気道部が物を壊さないように周りの物を退かしてくれ!」
「わ、分かりました!」

 俺は葵さんに言われたとおり、部屋の周りにあるテーブルやソファ、割れやすい物などを遠ざけた。

 だが、俺がそんな事をしている内にもうすでに戦いは始まっていた。
 合気道部が葵さんの腕を掴もうと襲いかかる、が、葵さんは何故か鈴を胸ポケットから外し、思い切り上空へ投げ上げた。鈴の凛とした音が辺りに響き渡る。
「……!?」

 合気道部が一瞬強張る。その刹那。

「……油断大敵!!」

 葵さんが掴まれかけていた腕を使いがっしりと合気道部の男の腕を掴むと男の腕の外側から、腕をくぐる。男の腕は外側にねじれ、葵さんがその腕を男の後方に持って行くようにすると、肘が曲がり、男は力が入らなくなる。

「ぐあっ!!」

 男の悲鳴があがる。葵さんは投げ上げた鈴を軽やかに手に取り、そして強く言い放った。

「まだやるのか? 鈴など気にしていては、私に倒されるのが関の山だぞ」
「……参りました。我等、合気道部五人は襲撃者。これで合計六人撃破という事です」

 合気道部の言葉に、俺はほっとため息をつく。だが、あと四人も残っているのだ。

「四日目、そして最終日は容赦なく残りの四人が襲撃してくるでしょう。残りの三人は間違いなく我等よりも強敵。お気をつけ下さい」
「あ、あのー」

 俺の弱々しい声にも、合気道部は反応してくれる。

「何ですか?」
「あんた達は……俺が葵さんの執事だって事、反対しているから襲撃者になったのか?」
「いいえ、我等は単に生徒会に頼まれただけ。勿論そういう意見があって襲撃者になる者もいますが……我等は反対などしていません。神宮様に安全に過ごしていただきたいのは、我等も同じ。その命を貴方が受けた。それだけの事。騒ぎ立てるような事でもないし、貴方はその命に忠実にいればいいだけのこと」
「でも…」
「大丈夫だ。見たところ、神宮様はお前を信頼し、お前もそれに応えている。その信頼があれば、貫けぬものなどない!」

 合気道部の強気な言葉に、俺は少し励まされた。
 信頼。そんな言葉、俺には無縁だと思っていた。でも、悪くない。

「ありがとう、俺……頑張るよ」
「侑斗……」


 素直に感じる信頼。それが嬉しくて、それが誇りだから強くいられる。今まで感じていなかった新たな気持ち。これが自分を突き動かしているのだ。
 それに……

 俺は葵さんを見る。微笑んでいる彼女の横顔が眩しい。胸も高鳴る。顔も赤くなる。
「……? どうした、侑斗?」
「い、いや、何でも」

 ああ、そうだ。
 これが、恋。
 誰かを想う、純粋だけど苦しい気持ち。
 その人が目の前にいる、今のこの瞬間だけがあればいいと感じる。

 鳴り止まない鼓動を抑えようとしながら、俺はただ、ただひたすらに葵さんを見つめていた。

後書き

合気道なんて、慣れない事しちゃいました;;
また変なところ等ありましたらどんどんご指摘下さい。

この小説について

タイトル 第七話 適性検査三日目〜混乱と、恋の始まり〜
初版 2008年4月29日
改訂 2008年9月7日
小説ID 2057
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