最強女王×最弱騎士 - 第八話 適性検査四日目〜ポーカー二番勝負(前編)〜

残りはあと二日。最終日は丸一日ではないと聞いたから、きっと残り四人の襲撃者が襲ってくるとしたら今日のはず。だが、そんな緊張感の中、俺と葵さんは……

「……ううーん……」
「……」
「うーん……」
「葵さん、早く決めてください。俺、手が痺れて……」
「こういうのは迷うんだ……」
「俺、もう限界ですよ……」
「……これだ!!」
 
 葵さんは大きく声を上げて俺の持っている手札から一枚取る。そして、そのカードを見てにやりと笑った。同じ8のカードを二枚、テーブルに出して葵さんは言った。

「勝った!」
「やっと終わった……」

 葵さんの嬉しそうな声と俺の疲れきった声が重なる。それもそのはず、俺と葵さんは「暇だから」という理由で朝からずーっとトランプをしていたのだ。ババ抜きを始めたのはいいが、葵さんは何故だかトランプ(というか頭脳戦)が苦手らしく、負け続けていた。「どうしても勝ちたい」と葵さんが言って聞かないので俺達は今まで二十回以上ババ抜きを続けていたのだ。

「今日も襲撃が遅いなぁ……襲撃者が来るとしたら、今日なんですよね?」
「多分な。最終日は生徒会から正式に侑斗が執事だと学園の皆に報告しなければいけないし…来るとしたら今日のはず……」

 俺と葵さんが言っていたその時。

「ご名答」
「……え!?」

 後ろから俺達の声に答えるように低い声が響く。ドアの前には、俺が執事になるのを反対している銀髪青メッシュの南条先輩と、二年生と思われる男子生徒が三人立っていた。

「おーいるなぁ。この前のひ弱そうな男。それに葵も。……俺達が最後の襲撃者だって事位は、分かるよな?」
「南条先輩……!」

 南条先輩の声に、葵さんも俺も驚く。まさか、生徒会が襲撃者だとは思わなかったからだ。だが、俺達の驚きに興味を示すことなく俺達に話し始める。

「さーて、早速襲撃したい所なんだが、俺達が束になって葵と戦った所で、やられるのがオチだしな……そこでだ。ここは一つ、勝負の方法を変えるのはどうだ?」
「勝負を、変える?」
 
 俺が聞くと、南条先輩は俺と葵さんが先程まで使っていたトランプを指差して話を続ける。

「ちょうどここにトランプがあるだろ? 最後はトランプのポーカーで勝負をつける。どうだ、葵?」
「別に構わない。だけど、具体的にはどうやって?」
「俺達の方は四人から俺ともう一人が代表で出る。二人一チームでポーカーをして一番順位の低いものが抜ける。それぞれ二回勝てば勝利。それでいいか?」
「…………」
 
 つまり、ポーカー二番勝負。俺は不安になった。こう言うのは悪いが、葵さんはトランプとかの頭脳戦に弱い。今までとは違い、俺でも少しは役に立てるのは嬉しいが、南条先輩はこういう頭を使った勝負に慣れている様に見えるし。俺と葵さんは、とにかく勝負を受けて、ポーカーで決着をつける事になった。




 ここで、ポーカーを知らない、という人の為に説明をしておこう。
 使用するものは、ジョーカーを抜いたトランプ一組52枚。
 ディーラー(カードを配る人。今回の場合は勝負に参加しない二年生の人)が五枚の手札を配る。残りは山札となる。そして手札を持ち、その手札からホールド(手元に残しておくカード。枚数は制限無し)するカードを決める。そして、ホールドしないカードを捨てて山札からその捨てた枚数だけ引く。そしてその手札五枚の強さを競うのがポーカー。

 それで、手札の強さはというと、ワンペア(同じ数字が二枚)、ツーペア(ワンペアが二つ)、スリーカード(同じ数字が三枚)、ストレート(カードの数字が連続すること、例1、2、3、4、5、)、フラッシュ(五枚とも同じマーク。数字は何でもいい)、フルハウス(ワンペアとスリーカードの組み合わせ)、フォーカード(同じ数字が四枚)、ストレートフラッシュ(五枚とも同じマークで、かつ数字が連続)、ロイヤルストレートフラッシュ(同じマークで、かつ10、J、Q、K、Aが揃っている)の強さ。そして、これらのどれにも当てはまらないノーペアが一番弱い。強さが同じだった場合はペアになっている数字の大きさで決める。(1〜13の数字どおり13が一番強くて1が弱い)。けど、今回はこの引き分けの要素は無し。つまり、引き分けだったら同時に失格になるという事。
 これが俺の知っているポーカーのルール。まあ、人によってやり方は違うと思うけど。


 今分けられた俺の手札を見てみると、
 ハートの3、ハートの5、スペードの6、クラブのQ、ダイヤの9。見れば分かるとおもうけれど、今の時点じゃ弱い。だってペアがないんだから。俺はとりあえずクラブのQとダイヤの9を捨てる。山札から上手く4と7が出てくれればストレートを狙える。葵さんは三枚捨てていた。俺は緊張しながらも自分自身に言い聞かせる。
(俺自身のことなんだから、俺が頑張らないと……!)

 俺は山札から引いたカードを見る。ダイヤの3とスペードのJ。ワンペアが揃っているだけで、勝てるかどうかは微妙だった。

「じゃあ、出すぞ」

 南条先輩の言葉に、俺や葵さんは一斉に手札を広げる。

「オープン!」

 みんなの手札を見てみると、俺ともう一人の二年生がワンペア。葵さんが2と5のツーペア。南条先輩は何と7とKのフルハウス。どこからどう見ても、葵さんと南条先輩の勝ちだった。

「ま、負け……!?」

 俺は思わず声を上げた。マズイ。この展開は非常にマズイ。今、葵さんが勝ってくれたとはいえ、南条先輩は相当の強さだ。頭脳戦には、やはり慣れているのだろう。葵さんが負けるなんて考えたくないが、そうなったら完全に全てが終わる。
 だが、葵さんは俺の不安に気付いたのか、俺のほうを向いて、いつもの強気な姿勢を崩さずに微笑んで言った。

「大丈夫だ、侑斗。私は勝つよ。私を、信じて……!」
「……はい!!」

 波乱のポーカー二番勝負は葵さん対南条先輩の一騎打ちとなった。
 泣いても笑っても勝負はあと一回。
 葵と侑斗、二人の運命やいかに。

後書き

本格的なポーカーをやらせてみました。
後編へ続きます。

この小説について

タイトル 第八話 適性検査四日目〜ポーカー二番勝負(前編)〜
初版 2008年5月25日
改訂 2008年9月7日
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作家名 ★ひとり雨
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コメント (1)

ming1111 vcvcb コメントのみ 2018年8月14日 19時00分43秒
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