隙間に生きてる。 - 生産性の無い人々

思い起こせば、ガキの頃から変なやつだった。
綺麗なオネイサンよりもカッコいいオニイサンにばかり懐いたし、いつも目がいくのは女じゃなくて、男だった。


世間では同性愛者と呼ぶらしい。
おれはつまり男なのに男が好きなのだ。

いつもの様にそういう人向けの出会い系の掲示板に書き込みをする。
普通は出会い系って聞くだけで引く人もいるとおもうが、少なくとも同性愛者の安全な出会いの方法はこれしかない。

町中でいい感じの男に声をかけるなんて当然不可能だし、普通の合コンに出たって意味がないのだ。

その点、同じく同性が好きなやつしか集まらない掲示板は、安全だ。

だから俺は今日も書き込みをした。

「 題名:暇しています
  本文:今、三角駅にいます。
     暇なんで相手してくれるひとメールください。
     165#60#18            」

最後の数字列は順に身長、体重、年齢だ。
手っ取り早く自分の趣味にあった相手を捜すためによく使われる。

たいてい、いつも書き込みをするとしばらく経ってから2・3通メールが来る。

その中から気が合いそうなやつを選んで返信するんだが、今日は書き込んでから随分経つのにメールが来ない。

「今日は駄目かな。」

一人ごちて、書き込みを消そうとした時だった。

RRRR RRRR RRRR

携帯の着メロが鳴った。
携帯なんかで音楽を聞かないから着うたなんてとったことない。
ぼんやりとそんなこと考えて携帯を手に取る。

『件名:掲示板見ました
 本文:初めまして、掲示板見ました。
    180#70#19のテツといいます。
    よかったら、今から軽くしませんか。 』

よくあるメールだったが、何となく気になったので返信することにした。

『件名:Re
 本文:メールありがとうございます。
    いいですよ、東口の個室トイレ一番奥で待ってます。 』

軽くするって言うのはつまり、そういうことだ。
突っ込みはしないが、抜き合ったり、銜えたりすることをいう。

多くの場合、こういうことは淡々と行う。
余韻を楽しんだりなんかはしない。
抜けた、気持ちよかった、じゃあサヨナラ。って感じだ。
そこら辺はいやにサッパリしてる。

東口に向かう途中で返信が来る。

『件名:ReRe
 本文:わかりました。
    ノック5回したら鍵あけてください。』

俺はそれに了解の返信をしてトイレに向かった。
時刻は18:40だった。





コンコンコン、コンコン

個室の灰色の戸が向こう側からノックされる。

何回こんな事をしていても、この瞬間が一番どきどきする。
なんだかんだいって、やっぱり相手の顔は整っている方がいい。

ガチャ。

ほかの個室に聞こえないように静かに戸を開ける。


開いた戸の向こうには見た目プロフ通りのやつが立っていた。
無言で個室に入り、また静かに戸を閉める。

場所柄、必然的に小声になる。

「じゃあ、さっそく。」

端的に言えば、そいつは顔が整っていた。
短髪で今風の服装。

モテるんだろうな。  

俺は何故か嫉妬ににた気持ちをやつに抱いていた。


やつはそういうと徐にベルトをゆるめ、あっという間に下着をも脱いだ。
下半身丸出しのその格好は、やつの容姿と共存して、じつに滑稽だ。

「ぷ。」

やつのデカくなったものが目の前にあるのがさらに滑稽さを助長して、思わず軽く吹き出してしまった。

「なんだよ。」

あくまで小声のやり取りだが、確かにやつの声は尖っている。

「ごめん、何でも無い。」

そうごまかして、ブツを手に取って数回しごいてみる。
やつは目を閉じて、刺激に集中し始めている。

小さいけどよく響く水音が東口の男子トイレ中に響き続けて、しばらくたったころ、やつはやっぱり小声で話しかけてきた。

「銜えて。」

元々そういう目的だったし、こいつならいいか。と無言で口に運んだ。


結果、やつは勝手に人の口で果ててくれたわけだが、人の気も知らないで、勝手に感想を教えてくれた。

「最高、うまいな。
 またやろうぜ。 」

喉に絡まる名残が俺が喋るのを億劫にする。

「ああ、そうだね。」

適当にそう返すと、やつはまた俺に何か言って、自分の後始末だけしてそそくさと個室から出て行った。



「見た目は良いけど、性格がな・・・。」

洗面台でうがいをしながら、やけに冷静にそう思った。


後書き

非エロ目的

この小説について

タイトル 生産性の無い人々
初版 2008年7月16日
改訂 2008年7月16日
小説ID 2359
閲覧数 592
合計★ 0
072の写真
駆け出し
作家名 ★072
作家ID 330
投稿数 2
★の数 9
活動度 181
1、生産性の無い人々
2、天の邪鬼

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