全然自作次元詩選

1.『へりくちゅ』

 ほら 俺の愛はこんなにおおきいぞ
  え 説得力無いって
 じゃあ何か
  お前は俺に説得されて俺の女になったのか


2.『義理は会い路』
 
 ちちくさい奇跡 フォッサマグナ
 汽笛よ待った 泣くなよシルエット
 買った悪魔のKill ぞっと結ばれ
 シルクハットと嘘ばれたピンクめ
 むずがる瓶詰め なにもカモン
 淫爪愛汲め鬼門カシューナッツ
 無いもん 加臭夏 揃うはず
 もう 火急 ガッツウエハース人生
 肉球きつく リバースしなさい
 栗バスも銀製
 歓声


3.『お酒飲み横丁一丁目』

 人生いろいろってな具合で
 毎日みなさん汗かいてがんばってます
 つらいことや悲しいこともあるでしょうけど
 ま、今夜は一杯、どうですか

 お酒の力ってのは強いですよね
 心に埋めてしまったことも 
 お披露目したくなるようです
 お酒は人間同士を溶かして
 ぐちゃぐちゃにしてしまうようですね

 弱くてみすぼらしい人間だから
 夢くらい見てもいいでしょう
 今夜もまたお酒を飲んで
 熱さに身を委ねるのです
 

4.『お酒飲み横丁二丁目』
 
 もうシンルチューは飲まないって決めたんです
 あの人が持ってきてくれたお酒
 特別な意味を持つお酒だけど
 もう絶対に飲まないんです
 もうこの味を忘れなきゃいけないんです
 甘くて琥珀色の透きとおっているお酒
 いくらでも飲めます 毎日会いたい
 でももうやめなくちゃ
 中毒になる いつまでもほろ酔い
 この味を忘れなきゃあの人も忘れられない
 お酒の栓は固く締めて 一番奥にしまいましょう
 いいんです
 そうやってほこりをかぶっているものが 僕にはたくさんあるのですから

 すいません ライチチュー一杯


5.『誰も助けてくれないのなら』
 
 今一度立ち上がろう
 泣く人がいる
 いわれのない虐げを受け
 強者に抗えない人がいる
 正義のヒーローなんていない
 ずるいやつらばっかりだ
 誰も助けてくれないのなら
 立ち上がろう

  泣かないでほしい
  ずるいやつらのための
  あなたの涙ではない
  あなたの喜びと幸せのための涙ではないか
  清潔なやり方ではときに無力だ
  あなたの美しい瞳を 黒く塗りつぶせ
  ともに怒りの形相で
  立ち上がろう

   もはやその心は
   赤黒い血に浸され
   愛しい人の目を見られない
   新たな地平は広がっている
   傷ついた体に粗末な服をまとい
   枯れた荒野に旅立とう
   笑顔を取り戻そう
   涙を流そう
  

6.『地球から離れていって』

 地球から離れていって
 月に行った人がいる
 夜降り注ぐあやしい光を
 一番近くで浴びたことになる

 わたしから離れていって
 幸せになった人がいる
 わたしが受け取ったものはすべて
 その人に返る可能性がある

 群衆から離れていって
 独りになった人がいる
 その人はかけがえのないものを
 手に入れたと言って困ってた

 地球から離れていって
 星になった人がいる
 暗闇に消えてしまいそうなまばたき
 地球に対してそっぽ向いてる

 ここから離れていって
 遠くで暮らすことになる
 でもまたここに戻ってくるよ
 ちょっとの間 さみしくなる


7.『心理検査』
 
 以下の言葉を組み合わせて 詩を作ってください

 右往左往 進んでは引き返し
 振り出しに戻っては一息つく
 ここは留まるところ?
 疑問以下同文
 この部屋は広すぎる
 僕は一人 戸惑う


8.『慣性の感性』

 慣性の法則とは
 外からの影響がない限り 一定の運動をし続けるというものです
 
 卒業を迎え
 もう昨日のような日々は戻らないと思うと
 少しさみしくなる
 心の慣性が働いた

 楽しすぎる日常を当たり前のものと思い
 ずっと続くものだと思っていた
 心の慣性が働いた

 卒業という外からの影響を受けて
 僕たちはちりぢりばらばらに飛んでいきました
 でも彗星みたいなもので
 また戻ってくることもあるでしょう
 これもまた慣性です

 そしてこの一行で 『慣性の感性』の完成です なんちゃって


9.『くだらない』

 無数にいる生命のなかで
 何故に僕らだけ頭がいいのか
 何故にこんなに進化したのか
 ヒトという種って何?

 好きで進化したんじゃない
 それは極めて自然な流れ 風向きが変わるより普通
 神様が決めたことだから
 すべては歴史のなかのこと

 「もしかしたらさ もしかしたら だよ
 人間はどっちかっていったら特別じゃないか
 本当はさ 孤独だったりして
 僕らが他の動物とうまくコミュニケーションできないのは
 実は僕らこそ 一番進化の遅れてる生物だったりして
 だってさ こんなにおおげさに住むところ造らないと 生きていけないしさ
 他は人間が勝手やっても 生きていけるじゃないか
 僕らは人間以外に友だちをもってないね
 人間はひとりぼっちだね」

 人間は何も目的を持たずにここにいて
 僕らが排除されても 
 他の生き物も僕も ニヤついているだけさ


10.『Ti Ma Me』
 
 僕の指に血豆ができた
 僕の指に黒い塊
 僕に黒い塊

 僕の黒い塊 体のそこから現れた
 ひそむもの ひそまなきゃならないもの
 またひそむ
 きっと消えるだろうこの血豆
 ブラブラいつまでも 人には見せられない


11.『ドーナッツ挽歌2』

 明日と同じ日常に僕は飽きて明日と同じ笑顔で僕は消えた
 その日も昨日と同じ君は他愛もないおしゃべりを続けていた
 お互い さようならと言えなかったね
 またいつか出会う日が
 僕には裏切りに思えて


12.『テスト中はお静かに』

 どうして?
 みんなみんないるのに
 わたしひとりぼっちみたい
 わらってよ さみしくしないで
 たえられない 
 五十分の孤独

 「ねぇちょっと、静かにしてよ」
 「終わったなら、黙って待っていなさい」

 やっぱり?
 でもだからって わたしの心は静まらないの


13.『人間ではなく神か悪魔』

 雨が窓をたたく午前二時
 見上げると月が出ている
 
 側溝から河童
 換気扇からろくろ首(からまる!)
 鏡の前で化粧するのっぺらぼう
 下着と肌の隙間 行進するおばけたち
 インパルスより速く 脳髄に到達
 
 ビルにぬりかべ 銀幕は一反木綿
 雨粒より速く 降り注ぐ妄想

 空飛ぶ龍が月を隠す
 人魂が光源 照らされるむくろ
 透明な体
 心が浮き彫り
 ヒヒヒ 笑いながら水に溶ける


14.『だめです。』

 生きてることもないでしょう。
 歯形のついたリンゴに笑われてまで。
 わたしの表面積は邪魔ですか人類の?

 冷たい水の中に突き落とされて、
 はいあがったら右手がない。
 青い水。白い手。おいでおいで。
 中指をたてたかった。でもなかった。

 無人の無人の無人島。
 ここなら俺は生きてける。
 一週間は生きてける。
 そう思ったら実際5時間。

 次に来る電車に飛びこんでやりたい。
 でなければ誰かを突き飛ばすつもり。
 360000000の口が言う。

 「それは、だめですだめですだめです。」
 

15.『ういーむ』

 余白の時間につられて
  真っ白になって
 できたての白身を飲みこむ

 指先から毛先から
 次々と粒子が飛び出していくから
  ひとりぼっちもこわくない
 浸透していく人間な俺

 重ね着した三枚目の裏起毛のトレーナーに
  ひっかかっちゃったよ
 とれないとれないーってもがくほど
 口の中に綿が入ってくる

 雨戸につられたてるてる坊主がさ
 「黙れ」「黙れ」ってうるさいんだ
 俺は素直に時が過ぎるのを待ったよ
  あと1分22秒で

 もうぬくもりないね
 抱きしめられても俺の熱は
 あなたに沈みこんでしまう
 息が凍ってキラキラ輝く
  きれいだなって思った
 全部全てなにもかも
         かも
        かも
       かも

 
16.『かまって地面』
 
 こどもは よう傷をつくるわいな
 それは大地の手荒い祝福じゃな
 新しい生命の誕生にうれしくて
 大地がふざけてかまってるんじゃろな
 
 いっぱい怪我せいよ
 大人になると「世界」が「社会」に変わるだに
 かまってあげずあげられず
 せいぜい蚊にくわれるくらいじゃけんの
 傷の治りはもう遅いわ


17.『無罪』

 細かいまつげ震わせて
 ぎゅっとにぎってくる君の手
 薄紅の血液が 暗く黒くなるとき

 短い前髪が滴をたらして
 ぎゅっと抱いてくる君の腕
 こげた太陽こそ夜の正体
 
 本能 ほんとうにもう


18.『ぬるいミルクのプール』

 騒ぎ立てる湯気は僕らから
 赤く小さな宝石を僕の心臓から君の指へ
 バターのようにとろけて
 同じ形には戻れないね
 混ざり合って広がって
 世界中の空気が僕ら
 お前たち吸いこんで伝染 


19.『投石』

 街を歩いていたら
 石を投げられた。
 おっさんに。犬に。消防士に。
 子どもに。殿に。俺の遺伝子に。
 くつも投げられた。
 松坂に。蛤に。夜回り先生に。
 つばをかけられた。
 友だちに。恋人に。おふくろに。

 額から血が流れても
 袖で拭いて 下を向いて。
 みんなそうしてる。 笑ってそうしてる。


20.『始まりの刑』

 お前と話してると
 穴のあいた風船をふくらませてる気分になるよ
 って言われた

 どういう意味だか理解できないし
 ピスタチオの皮をむくほうが重要だ
 ピスタチオをはいい
 タイタンよりは固くない

後書き

聞き流しても損はない解説

1.『へりくちゅ』について
 この作品群の方向性はこんなんだろう、ということで先頭にもってきてみました。でもさー、女をつくるってのはある意味説得するようなもんなんじゃないの? 理屈でない部分に目がいくときは純愛になるのかな? ……ねぇ、純愛ってなに?
2.『義理は会い路』について
 『ぎりはあいじ』と読みます。次々と新しい単語が出てきては、韻を踏んで変形し、輪唱のように移動していく、単純に構造だけに注目して作りました。「フォッサマグナ」が「待った 泣くなよ」みたいに。辞書引いたりして機械的に作っているうちにだんだんナーニカが浮かび上がってきていました。「淫爪愛汲め鬼門カシューナッツ」ですね。ちなみに本当は文字にいろいろ装飾を施していたのですが、どうやら再現は無理っぽそうと判断して、これはプレーンバージョンです。
3.「お酒飲み横丁一丁目」と4.「二丁目」について
 酒を飲みだしてから、「酔う」ということについての考察をはじめ、その過程で誕生しました。シンルチューはアンズのお酒。ライチチューはライチのお酒。どちらも発売は永昌源。(←あれ? 字が自信ないぞ)
6.『地球から離れていって』と8.『慣性の感性』について
 高校を卒業して、あれ? 俺あんまりノスタルジーしてねえなぁ、と思って無理矢理してみたもの。いいよね、わりかし。
11.『ドーナッツ挽歌2』について
 2がある以上は1もありますが、本当にドーナツのことを歌っています。昔ミスドのバイトでドーナツ作ってました。
12.『テスト中はお静かに』について
 なんだかさみしいとか孤独とかよく使ってるなぁ。この作品だけじゃなく全体的に。俺はさみしくて孤独なんでしょうか? ならば友達募集しちゃうぞ。
14.『だめです。』と15.『ういーむ』について
 わたしの表面積は邪魔ですか人類の? わはは。傑作。自分で言っちゃうもん。バカすぎ。
 誰も知らないとかオールドボーイとかの映画にsyrup16gというロックバンドからの影響を、消化し結実した作品。だと自分では認識しています。

この小説について

タイトル 全然自作次元詩選
初版 2004年12月5日
改訂 2005年2月26日
小説ID 248
閲覧数 1348
合計★ 7
蓮打の写真
ぬし
作家名 ★連打
作家ID 9
投稿数 14
★の数 204
活動度 8795

コメント (2)

シキ 2004年12月5日 19時22分58秒
私的に五番目の詩が好きですねw・・・嗚呼、詩を書けるのが羨ましいorz
イカサビS 2004年12月5日 19時42分27秒
「くだらない」と、「だめです。」が好きです。
くだらない社会とくだらない知恵が、孤独でくだらない世界をおさめているというのが、鳥肌が立ちます。人は高等なのではなく、下等なことを認めない愚か者なのです。だから、自分は人が好きです。
だめです。と誰が言ったのだろうか?自分自身の声か、それとも誰かの声か。もしかしたら、汚されたくない電車が言ったのか?どれにせよ、自分の感じた事は自分の命を放棄することが出来ないという言葉です。
と、感想を漏らしてみたり・・・
凄くいいと思いました。全部にコメントをつけるほど自分に表現力が無い事が悔やまれます。
今の世の、マザーグースを聞かせてもらった気がしました。
・・・なんて、格好つけてみたりして^^;
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