鬼姫 - -前哨-

ライン

ある休日の日。
鬼姫は、喫茶店に来ていた。
しかし、鬼姫は来るやいなや、
誰かを探しているように、
視線をウロチョロさせる。
すると・・・。

「あっ、
 お嬢ちゃんっ!
 こっち、こっちよ!」

どうやら誰かと、
待ち合わせをしていたらしい。
しかし、よく考えれば
あの鬼姫が、誰かと待ち合わせる。
それは、恐るべき奇跡。
友達らしき者すら弁慶一人の鬼姫に、
待ち合わせる者がいたのだ。
鬼姫は、ゆっくりと声をかけた者の
テーブルへと着く。

「ごめんね、急に呼び出しちゃって。
 はいっ。
 お詫び代わりに、
 チョコレートパフェ、おごってあげるわね」

「・・・・・・うん・・・・・」

「ここの喫茶店のチョコパフェって、
 絶品なのよ?
 私も・・・・・」

「・・・・・・一文字怜・・・・
 早く、要件・・・・・・」

「・・・あらあら。
 お喋りが過ぎちゃったかしら」

何と、鬼姫をここに呼びつけたのは、
神に愛されし女、
一文字怜ではないか。
左腕が無いため、
右手を器用に使って、
着ていたコートを脱ぐ。
思えば、そうであろう。
あの鬼姫を呼びつけられるほどの人間も、
考えれば彼女しかいない。
そして、本題へと入ろうとする。

「本題に入る前に、
 二つ確認しておきたいことがあるの。
 構わないかしら?」

「・・・・・うん・・・・・」

「まず、貴方のお名前から、
 おしえてくれないかな?」

「・・・・・・・・鬼姫・・・・」

「鬼姫ちゃん、ね。
 それと最後に一つ。
 アナタは西部高校なのよね?」

「・・・・・うん・・・・」

簡単な質問に、
淡々と答えを言う鬼姫。
だが、鬼姫はいつもと違う。
警戒、
警戒心を高めていた。
いや、高めざるを得なかった。
相手は、頂点に君臨する者。
何もしてないこの一瞬でさえ、
その只ならぬ気配が、
鬼姫を襲っていた。

「・・・まぁ、とりあえず大丈夫かしら。
 私、美穂ちゃんと同じ東部高校なのよ。
 それはご存じかしら?」

「・・・・・・どうでも良い・・・・」

「うん、それでね。
 最近、中部高校の人達が
 東部の勢力範囲まで、手を出してきたの・・・。
 本当に、こまっちゃうわよね」

「・・・・・・ククッ・・・
 なるほど・・・・・。
 ・・・・戦えってんでしょ・・・・?」

「・・・・ウフフッ、
 さすが、鬼姫ちゃん。
 察しが良いわね。
 ・・・・・・その通り。
 話し合いの結果、ギャンブルをすることになったの」

「・・・・アンタが出れば良い・・・・。
 ・・・・神なんでしょ・・・・」

「ゴメンね、その日は予定があるの。
 本当は美穂ちゃんとかに行かせたいけど・・・
 美穂ちゃん、この間
 アナタに負けちゃって、不安になってきたし・・・」

何と、一文字怜は、
東部高校と、中部高校に起きた
争いを、鬼姫の力を
借りて鎮めようとしていたのだ。
それを、一早く察した鬼姫。
怜は静かに微笑し、
じっと、鬼姫の表情を見つめながら、話続ける。

「問題ないでしょ?
 アナタはたぶん、
 自分の高校何かどうでも良いと思うし・・・
 それに、とっても楽しい賭博ができるわ」

「・・・・・・ふーん・・・・」

「勝負は明後日。
 時間は午後8時から、中央地区の雀荘で。
 おもしろ・・・・」

「・・・・・帰る・・・・・」

「あらあら」

拒絶。
常人ならば、怜に頼まれただけでも
有頂天になってしまうという
場面なのに、
鬼姫に限り、それは無し。
例え相手が大統領、天皇であろうとも、
自分が嫌ならば拒絶。
さすがは、鬼姫。
それを聞いて、クスクスと笑う怜。

「・・・ゴメンね、鬼姫ちゃん。
 この件に関しては、
 強引にでも、アナタに協力してもらわなきゃ
 いけないの」

「・・・・・ククッ・・・・・。
 ・・・・・・タダで戦えってんだ・・・・」

「・・・・・・・ウフッ。
 ・・・・・・じゃぁ、そうね・・・・。
 ・・・・・・・・鬼姫ちゃん・・・
 ・・・私と、勝負してみる?」

「っ!!・・・・・・・・・。
 ・・・・ク、ククッ・・・・・
 ・・・おもしろい、受けてたつ・・・・・!」

「・・・・ウフフッ。
 じゃぁ勝負の内容は・・・・。
 そうね、これでどう?」

「・・・・・・コーヒー・・・・?」

「そう。
 この4つのコーヒーカップを使って勝負する。
 そしてそのうちの一つに、
 ・・・・・・コレを入れる・・・・・」

「?」

「・・・・・・そう、睡眠薬・・・・・」

「!」

まさかの奇想天外。
こんな素っとん狂な場所で、
鬼姫と一文字怜が勝負をすることに。
その内容とは、
4つのコーヒーを使ったギャンブル。
まだ内容を把握できずに
不思議そうな顔をしている鬼姫。
そんな中、
一文字怜が懐からゆっくりと取り出した物とは、
何と、
「睡眠薬」ではないか・・・。

「ウフフッ・・・・・。
 ・・・・・本物よ、これ・・・・。
 ・・・少量なら命に別条は無いと思うけど・・・
 ・・・いっぱい入れた方が、
 おもしろいわよね、鬼姫ちゃん・・・?」

「・・・・・ククッ・・・・・。
 ・・・なるほどね・・・。
 ・・・・・睡眠薬入りのコーヒー以外を
 選べってことか・・・・・」

「・・・・そう。
 この4つのコーヒーカップの一つは睡眠薬入り。
 ・・・選択したコーヒーは、
 有無を言わず、飲みほしてもらうわ・・・。
 ・・・・例えそれが、
 睡眠薬入りだとわかってでも・・・・」
 
「・・・・・・ふーん・・・・。
 ・・・一つだけ、条件がある・・・」

「?
 ・・・何かしら、鬼姫ちゃん」

何とも常軌を逸した、
狂乱に満ちたギャンブル。
もし、
4分の一の確率で睡眠薬入りの
コーヒーを選んでしまえば、
ジ・エンド。
最悪の場合、死亡。
幸運で生き残ったとしても、
何らかの後遺症が残るかもしれないという、
あまりにもリスクの大き過ぎる勝負。
すると、
鬼姫が条件を突きだしてくる。
それを聞いた怜は、フッと微笑む。

「(フフッ・・・・。
 そうよね、いくらアナタでも・・・
 やはり”死”は怖い。
 ・・・いえ、”死”は怖くなくとも・・・
 睡眠薬入りを飲んだ時の、
 後遺症が恐ろしい・・・・。
 ・・・・それこそ、絶望の未来・・・。
 ・・・人間として生きていけない、闇の底へ・・・)」

「・・・・・ククッ・・・・
 ・・・・・・邪魔なのよ、これが・・・・!」

「え?」

ガシャァアアンッ!!

「!!!」

一文字怜は見抜いた。
鬼姫は確かに、
「死」は恐れないのかもしれない。
だが、逆の発想。
「死ねない状況」を創造した。
死ねない状況、まさに地獄の淵。
それは例え
鬼姫であろうと、恐怖の対象外ではない。
当然、震える。
恐怖のあまり、自分に有利にしたくなる。
その、ハズだった・・・。
だが、鬼姫はやはり違う。
いきなり、並べてあった4つのコーヒーカップのうち、
二つを地面にたたき落としてしまったではないか。

「っ!!
 お、鬼姫ちゃん!
 何でコーヒーカップを二つ・・・!」

「・・・・ククッ・・・・
 脳みそにウジでも湧いてんの・・・・?
 ・・・生きるにチャンスに3つはいらない。
 生も死も1回きりだからこそ、贅沢・・・・・」

「!!
 ・・・・ウフフッ・・・・
 随分とまぁ・・・
 ・・・・壊れたお人形さんだこと・・・・」

圧巻の暴挙。
鬼姫、自分の命を自ら縮める行為。
4分の1の確率から、
急転直下、
2分の1へ。
まさにキチガイじみた戦い。
二つのうちの一つは、
普通のコーヒー。
だがもう一つは、大量の睡眠薬を投与した
コーヒー。
失敗すれば、間違いなく地獄行き。
生きながらの地獄。
奈落の底へ。
そしてついに、決選の時来る・・・。

後書き

この話は本来は1話完結のハズだったり、
ギャンブルの題材はコインの
表裏当てのハズだったりと修正が多々。

次回、決着!!

この小説について

タイトル -前哨-
初版 2008年8月2日
改訂 2008年8月2日
小説ID 2543
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