鬼姫 - -予知-

ライン

震える雀荘。
今、始まろうとしている。
形では、
東部側と中央側の領地を
巡ったギャンブル。
その題材は、トランプの
1〜3までの数当て。
単純にして明快。
その運否天武な勝負に、
鬼姫は挑もうとする。
すると、弁慶がいきなり
テーブルのトランプを手に取る。

「ちょっと待て、鬼姫っ!!
 このカードにも、
 何か細工がしてあるかもしれねぇぜ!!」

「・・・・・?・・・・」

「へへっ!
 何かの本で見たことあんだ!
 トランプってのはな、
 傷や目印を細工に使うのが十八番だが、
 臭いを使うのもあんだよ!」

何とここに来て弁慶、
異常なほどに
真面目なことを言うではないか。
それに、
全て的を射ている。
そう、カードの勝負は
「マーク」や「傷」といった細工を
施した物が多々ある。
それ所か、カードに匂いを
染み込ませるという荒業もあるのだ。
弁慶はカードを凝視したり、
臭いを嗅いだりするが・・・。

「・・・・古典的・・・・・。
 その程度の細工をしているようじゃ・・・
 ・・・・・話にならない・・・」

「え、えぇ?
 あぁ、そうかよ・・・。
 (ひょっとすると、
 今の鬼姫の発言って・・・
 凄ぇことじゃねぇか?
 ・・・つまり、相手をみくびってない・・・!
 もっと高度で、複雑、怪奇な
 イカサマを仕掛けてくると、
 予想してる・・・・!
 そう、相手の力量を悟って・・・・!!)」

鬼姫の才気が光る。
鬼姫は瞬時に、
この寛吉という男がタダ者でないことを
悟った。
だからこそ、
マークや傷痕などのイカサマは
古典的と発言する。
相手の力量を確実に、
そして慎重に見極めて。

「で、でもよぉ、鬼姫。
 ルールはざっと聞いたが・・・。
 何回戦までかかるんだぁ?
 スルーを有効にしてたら、
 ・・・もしかしたら、
 朝までかかっちまうんじゃねぇのか!?」

「・・・・・何で・・・?」

「だってそうだろ!?
 お互い、領地を賭けた一戦なんだぜ!?
 3分の1なんて聞こえは良いが、
 ハズれるのもまた
 3分の2!!
 誰だってセーフティーを選ぶ!!
 それも、負けが込めばさらに・・・・!」

恐ろしいほどに、
今日の弁慶は冴えに冴える。
そう、一見
「3分の1」と聞けば
簡単に終わってしまいそうなものだが、
中々、終わらぬもの。
負け続ければ当然、
スルー有効を多様してくるに違いないし、
勝ってる側も、
自らが数当てを失敗して、
自滅するなんてことはしたくない。
結局は、泥沼。
もしかすると、
お互いスルー、スルー同士の
勝負だって考えられるのだ。

「いくら鬼姫でも、
 百発百中には数は当てられねぇハズだぜ!?
 相手もそうだ!
 結局、ズルズルと勝負を・・・!」

「・・・・ねぇ、二つ頼みたいことある・・・・」

「ふぇ?
 タマゴサンドなんて言わねぇだろうな」

「・・・・・それは後で・・・・・・。
 ちょっと、耳かして・・・・・」

「お、おぉ・・・。
 (珍しいな、鬼姫が俺に
 タマゴサンド以外に頼み事なんて・・・)」

百発百中など、
よほど強運ではなければ無理。
あるいは、初戦でいきなり
5ポイント賭ければ
一瞬でケリをつけられるが、
それこそまさに、
狂人。
ブッ飛んでいるだけの、
単細胞である。
寛吉は、
ひそひそと話している
鬼姫と弁慶を退屈そうに、
イラつきながら眺める。

「むぅーっ!!
 おいっ!
 まだ始めないのかよぉー!
 時間延びたら大変だろぉーっ!!
 まっ、
 僕の勝利は揺るぎないけどねぇ。
 キャッキャッキャッキャ!」

ケラケラと余裕の笑みを
かます寛吉。
果たして、この男の
力量はどれほどなのだろうか。
もしや、
一文字怜を凌ぐかもしれぬ器
なのかもしれない。
すると、突然鬼姫サイドが騒がしくなる。
いきなり、弁慶が絶叫しだしたのだ。

「な、何ぃいいいーーー!!!??
 鬼姫、
 それ・・・・本当か!!?」

「・・・・・うん・・・・・」

「だ、だって、何でそんなことっ・・・・!!
 ってか、一つ目の頼み事はまだ分かるぜ!?
 けどよぉ・・・
 二つ目の頼み事が意味不明だぜ・・・」

「・・・・・良いから早く行って・・・・
 時間が無い・・・・・
 どうせ・・・・8回戦くらいで終わる・・・・」

「っ!!!!!!」

その声は、当然、
相手側の寛吉達にも聞こえていた。
鬼姫が弁慶に
何を頼んでいたのかは
まったく分からない。
だが、その内容を聞いて弁慶が
腰を抜かすほど驚いているのは事実。
わずかに漏れた
鬼姫の言葉を聞き逃さなかった寛吉は、
テーブルを一度強く叩き、
鬼姫を睨む。

「おいっ、低能っ!!!
 ・・・・聞こえたぞ・・・・!
 8回戦で終わるだぁ?
 どーいうことだよぉぉおおっ!!
 オマエが
 負けるのが8回戦だって言うのか!?
 ハハハハッハッハ!」

「・・・・・・・・・。
 ・・・・行って・・・・・」

「・・・え、えぇ?
 ・・・・・わ、分ったよぉ!!
 行けば良いんだろ、行けばっ!!」

悪態つく寛吉を
無視し、
鬼姫は弁慶に「行く」ように言う。
すると、弁慶は困惑した
表情で外に出て行ってしまう。
果たして、鬼姫は弁慶に
何を頼んだのだろうか。
なぜ、弁慶はそれに驚いているのだろうか。
鬼姫は再び、テーブルに目を戻す。

「・・・どーしたぁ、低能ぉ?
 せっかく来てくれた
 味方を逃がしちゃって良いのかぁー?
 キャッキャッキャ!
 8回戦で負けるって
 認めてたら、しょーがないかぁー!!」

「・・・・・ククッ・・・・・」

「・・・・何だよ・・・・。
 何笑ってんだよ・・・・・・・。
 ムカツクんだよ、その笑い方ぁあああ!!
 僕をナメるんじゃねぇーーっ!!」

「・・・・・・気づいた・・・・・。
 ・・・・8回戦もかからない・・・・・
 オマエ程度なら・・・・
 ・・・4回戦が妥当・・・・・」

「っぐ・・・・・!!
 こ、この低能女がぁあああ・・・・!!
 僕をナメやがってぇ・・・・!
 やってみろよ・・・
 やってみろっ!!!
 さぁ、勝負を始めるぞっ!」

これが誠か否かは
不明である。
なんせあの鬼姫の考えること。
読み取ることは
不可能に近い。
そして、いよいよ始まる。
弁慶を抜いた、
鬼姫と寛吉の数当てのギャンブルが。
お互い、1〜3のトランプのカードを
3枚手に持つ。

「良いかぁ!?
 その3枚を裏返しで
 テーブルに置いた時点で終わりだぞ!
 もう変更は無し!
 位置の配列を変えることはダメだからな!」

「・・・・・ククッ・・・・
 さっさと始めなよ・・・・・・・」

「ッチ!!
 カードをテーブルに置いたら、
 賭けポイントの宣言だっ!!
 ・・・・・僕は・・・・・
 ねぇ、大助。
 僕、どうしたら良い?」

「・・・そうですね、カンちゃん。
 ここはひとまず、
 1ポイントにしておきましょう。
 1回戦は様子見。
 これが、強者の鉄板です。
 雑魚は初戦から勝ちに急ぐもの・・・。
 カンちゃんは強者。
 最初は様子見でございます」

「うん、わかった!!
 おい、低能っ!!
 僕は最初、1ポイントだっ!」

何と言う主従関係。
寛吉と大助の
意味不明な関係はさて置き、
寛吉の初戦の
ポイントは「1P」。
これが正解。
ハッキリ言って、
初戦はこれ以上もこれ以下も
正解は無い。
1Pが、大正解。
この大助という男も
なかなかのキレ者。
容赦できない男である。
そして、鬼姫の賭けポイントは・・・。

「ッチ!
 何もたついてんだよ!
 どうせオマエも1Pだろぉ!?
 ・・・・まさか、
 初戦からスルーするのかぁ!?
 キャッキャッキャ!
 低能っ、低能っ、低能っ・・・・!」

「・・・・・・よん・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・あぁ?」

「・・・・・4P・・・・・
 私の賭けP・・・・・」

「あ、あぁああああああーーーーー!!!??
 ナメてんのか、
 このクソ女ぁああああーーーーっ!!
 ・・・・ねぇ、大助!
 僕、どうしたら良い!?
 アイツ、意味不明なこと言ってるよ!」

「痩せ我慢でございます、カンちゃん。
 あの女、
 さきほど4回戦で終わらすなどど
 大言をいってしまったため、
 がむしゃらになって
 カンちゃんを倒そうとしているのです。
 キチガイ、道化ですよ」

鬼姫、まさかの初戦4P。
これはもう、
大助という男の言う通りでしかない。
あまりにも無謀。
エベレストに登山に行くのに、
命綱は輪ゴム、
っと言うほどの、無茶っぷり。
これを失えば、残り1P。
自然に、敗北は目の前に。
だがここで、
大助という男が何かひらめく。

「・・・・ちょっとお待ち下さい、カンちゃん」

「んー?」

「(鬼姫とかいう女、
 初戦であのような大量ポイント・・・。
 狙ってる。
 何かを狙ってる。
 ・・・イカサマ、か・・・?
 だが、あんな大量ポイント賭けて、
 しかも初戦に出してくるなんて、
 自らイカサマを
 主張しているようなもの・・・)」

「ねぇ、どうしたんだよぉ、大助ぇ!
 僕、早く勝負したいよぉー!!」

「・・・すみません、カンちゃん。
 もう少しお待ちを・・・。
 (だいたい、あの弁慶とかいう男に
 何を吹き込んだかも怪しいのに・・・。
 この女・・・・
 以外に喰えぬ・・・・。
 やはり、一文字怜の代打ち。
 そうそう簡単には崩せぬか・・・)」

「ねぇ、大助ぇーっ!!!」

「(・・・・ここは、あえて勝負してみるか。
 それに、
 カンちゃんにはアレがある・・・!
 奴が勝っても結局は
 カンちゃんも勝てば
 その対戦は流れる・・・・。
 よし・・・・!)
 す、すみませんでした、カンちゃん!
 どうぞ、ご自由に・・・・」

「うん!!
 行くぞ、低能っ!!
 勝負・・・始めだっ!!」

第1回戦、始まる。
やはり、心理戦の要は
寛吉という男ではなく、
大助という男。
裏で、寛吉の操作しているのだ。
それを知っているのか
知らないのか、
鬼姫はただ、淡々と
寛吉の前に並べられた3つのカードを
選ぶ。

「よいしょっと!!
 どのカードにしようかなぁ・・・!」

「・・・・・・・・・・・」

寛吉は、鬼姫の手前に並べられた3枚のカードを。
鬼姫は寛吉の手前に並べられた3枚のカードの
1枚の選ぼうとする。
小柄な寛吉は、
テーブルに身を乗り出して
カードを選択しようとする。

「う〜ん・・・じゃぁ、コレ!!
 おいっ!
 低能、オマエも早く決めろよ!」

「・・・・・・・・コレで良い・・・」

「(・・・一見、
 不審な行動はしていなかった。
 だが、やはり何かある・・・・・。
 何の策も無しに
 4P賭けなどあり得るわけがない。
 ・・・ナメるなよ、女・・・。
 必ず見破ってやる・・・・)」

「えーっと、じゃぁね・・・
 僕の引いたカードの予想は・・・・
 うぅ〜ん・・・・
 ・・・・・・1っ!!!
 おらっ、
 早くオマエも数を言えよ!」

「・・・・・・ふぅ・・・・」

「?」

互いに、相手の裏側になっている
カードを引き合う。
そして、次に行うは
このゲームの主題「数当て」。
自分の引いたカードの数を
当てるというもの。
寛吉、
初戦は「1」。
対して、鬼姫が予想する数値は。
だが、急に鬼姫が黙り込んでしまう。

「・・・・・ククッ・・・・・
 何でだろうね・・・・・
 ・・・・何を言っても・・・・
 負けか、流局にしかならない気がする・・・・」

「ッ!!!!
 (この女っ・・・・!!)」

「な、な、なっ、
 何言ってるんだよぉおーーーっ!!
 ぼ、僕が、
 イカサマとかでもしてると思うのかぁ!?」

「・・・・・さぁね・・・・・・。
 ・・・まっ・・・・・
 今はただ進むだけ・・・・・・。
 ・・・・・数値は、3・・・・・・」

「・・・・っぐ!!
 いくぞ、カード・・・・
 オープンだっ!!!」

鬼姫の発言に、
動揺を隠せない寛吉と大助。
やはり、鬼姫は
何かに気付いている。
その上で、
4P賭けをしているのだ。
何かをしてくる。
大助の脳裏に、不吉な予感がよぎる。

「(バカなっ・・・。
 コイツ、ハッタリを言ったのか・・・!?
 いや、そうは思えん!
 何か確証を持ってる・・・?
 まずい、
 この勝負、
 もしかすればっ・・・・・!!!)」

大助の焦りむなしく、
勝負は結果残すのみ。
鬼姫と寛吉、
お互い、
引いたカードを開示にしようとする。
果たして、
鬼姫が仕掛けた罠とは・・・・。 

後書き

寛吉、良いキャラしてるじゃないか。

次回!
・・・・・・・・・えっ、負けた?

この小説について

タイトル -予知-
初版 2008年8月29日
改訂 2008年8月29日
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