鬼姫 - -敗北-

ライン

「ハ・・・・ハハハッ・・・
 キャッキャッキャッキャ!!」

響き渡るは、寛吉の声。
歓声の笑い声か、
はたまた
敗北に狂った奇声か。
開示される
両者の引いたカード。
そして、その勝敗は・・・。

「・・・カンちゃんの引いたカードは、1。
 つまり、正当。
 対して鬼姫様の引いたカードは2。
 つまり・・・敗北でございます」

「ッキャッキャッキャッキャッキャ!!!!」

「・・・・・・」

敗北。
まさかの大失態。
鬼姫、
信じられない大敗北を喫す。
4Pという大勝負を賭け、
見事に撃沈。
鬼姫の残りのポイントは1P。
後が無くなった。
勝利に甘美し、
笑いが絶えない寛吉とは別に、
やはり、
鬼姫はいっさい表情を変えない。

「バカ、アホ、グズ、低能っ・・・・!
 4Pなんて
 カッコつけるからだよ、バーカ!!
 僕に勝てると思ってるのかぁ!?
 キャッキャッキャ!」

「(やはり、何とも無かった・・・。
 本当に、自分を誇示したいがために、
 4P賭けなど暴挙に出たのか・・・・?
 この先、どうするという?
 わずか1Pで、
 まだこの女は4回戦で終わらすという気なのか?)」

「・・・・・ククッ・・・・
 次、行くよ・・・・」

「・・・へぇー。
 潔いじゃん!!
 低能のわりには割り切りが良いっ!
 まっ、
 勝たなきゃ意味ないんだけどねーっ!」

鬼姫の敗北、
寛吉の勝利により、
鬼姫の残りのポイント1P、
対して寛吉の残りポイントは5P。
すでにお先真っ暗な戦い。
それでも、鬼姫は
表情一つ変えず勝負を続ける。
カードを切り直して、
次戦の勝負をする。

「2回戦が始まる前に、
 もう賭けポイント宣言しちゃうかぁー。
 じゃぁ、僕ね、
 ・・・・・・・ねぇ、大助!
 僕、どうしたらいい!?」

「・・・えぇ、カンちゃん。
 アイツは後1Pで敗北でございます。
 ここは安全かつ必勝な、
 1P賭けが望ましいです」

「うん、分かった!!
 おいっ、
 女ぁっ!!!
 僕は1P賭けだっ!
 2回戦目でオマエを潰してやる・・・!
 オマエはどうせスルーだろ!
 早く・・・・」

「・・・・・・1P・・・・・」

「・・・・・あ、あぁ・・・・?」

「・・・・私は1P・・・・」

「ッ!!!!!!」

二回戦を行う前に、
先に賭けポイントを宣言し合うことに。
ここは寛吉、
常道に1P賭け。
当然だ。
相手はあと1Pで負けるのだから。
1P以上も、以下も必要はない。
だが、それに対し、
鬼姫が素っとん狂なことを言い出す。

「オ、お、オマエ、何言ってる分かってるのかぁ!!?
 スルーすれば、
 まだ僕がハズす可能性だってある!!
 故に、オマエは生き残る可能性だって
 出てくるんだぞ!?」

「・・・・・ふーん・・・・」

「なのに、自らポイントを賭けるだとぉ・・・!?
 自殺、
 あり得ぬ自殺だぞっ!!
 そのポイントでハズせば、
 自滅だぞっ!!
 分かってるのかぁ!?」

「・・・・・・ククッ・・・・
 乏しい思考・・・・・」

「あ、あぁ!!??」

「・・・・安全という言葉が勝機を潰す・・・・
 つまり、今のアンタと同じ・・・・。
 ・・・・・・アンタは見えて無い・・・・
 ・・・勝負というものの本質が見えて無い・・・・。
 ・・・・・勝負はつねに、一本道の生死であるべき・・・・」

鬼姫、ここにきて
またもや破滅のロードへ。
ここはスルーが賢明。
寛吉の言うとおり、
自分はポイントを賭けなくて済むのだから、
後は寛吉が3分の1の確率で
数値を当てなければ良いだけ。
しかも、
ハズせば寛吉は自滅。
4Pまで減らせるという
一石二鳥。
だが、鬼姫はそれを自ら破棄。
自身も勝負する。
決して引かぬ、勝負の本質のもとに。

「だ、だ、大助ぇ!!
 コイツ、バカなの!?
 それとも、トチ狂ってんのぉ!?」

「(この女、何を考えている・・・!?
 分からぬ・・・・!
 どう考えても、
 ここから一発逆転の可能性など無い!
 イカサマをしてくるにも、
 手持ちが1Pじゃ
 話にならないっ・・・・!
 何だ・・・?
 コイツ、何を考えているんだ・・・?)」

「だ、大助ぇえっ!!!」

「・・・・そうです、ね。
 受けましょう。
 受けてさしあげましょう、カンちゃん。
 相手は負けたがってます。
 なら、ここでトドメを刺すのが良いかと」

「・・・・うん、分かった!!
 オラッ!!
 勝負は成立だぁ!
 早くカードを裏にして並べろよ!」

勝負、成立へ。
第2回戦、
鬼姫は1ポント、寛吉は1ポイント賭け。
同じ1P賭けだが、
その内容はまったくの別もの。
圧倒的なる鬼姫不利。
鬼姫がこの勝負を逃れるには、
お互い数を言い当て、
この対戦は流局にするか、
寛吉がハズし、鬼姫が当てるというもの。
そのわずかな可能性に賭けてきたのだ。
お互い、3枚のカードを裏にして
テーブルに置く。

「(・・・やはり何かある。
 この勝負、
 必ずこの女は勝ってくる・・・!
 まさか、
 本当に運否天武で勝負してくるワケではあるまい。
 きっと、必勝な何かがある!!)」

「・・・う〜んとねぇ・・・
 どれにしようかなぁ〜!」

「(・・・恐らく奴の狙いは、
 こちらの動揺っ・・・・!!
 ・・・不信感を抱かせているのだ。
 今思えば、
 この時点で私とカンちゃんは
 コイツの罠にかかっていたのかもしれない)」

「・・・うーん、
 じゃ、これだっ!!」

「(・・・奴の4Pという暴挙が、
 花を実らせた・・・。
 私達からの、正常な意思を掻き消すための・・・!
 ・・・この女は何か狙っている、
 この女はすでにイカサマをしている・・・
 などと、
 勝手に思考の迷路へとハマッて行く・・・。
 そうか、これが狙いか・・・・!)」

大助の予感。
鬼姫に対する、幾通りもの
予想。
果たして、それは真実なのだろうか。
相変わらず、寛吉は
身を乗り出してカードを選択する。
同時に、
鬼姫も寛吉側の3枚のカードの
1枚を選択する。
そしていよいよ始まる、
運命の第2回戦。

「ッキャッキャッキャ!!
 これで終わる・・・・・!
 オマエは負けちゃう・・・・・!
 終わりだよ、全て・・・・!!」

「・・・・・私の予想は、1・・・・・」

「っぐ!!
 人の話を聞けよなっ・・・・!!
 じゃぁ、僕は・・・・
 さん・・・・3だっ!!」

両者、選択。
自分が引いたカードを予想。
鬼姫は1。
対して寛吉は3。
そして、いよいよ開示される。
鬼姫の勝敗を賭けた
第2回戦。

「(・・・甘いな、女。
 確かにここまで心理戦に持ち込んだのは褒めよう。
 その度胸、
 間違いなく強者・・・!
 だが、度胸のみで勝負は勝てん!
 カンちゃんにはアレがある!
 それを読めぬ時点で、
 ここは凌いでも、
 オマエに勝機は無いっ・・・!)」

「行くぞぉ〜・・・
 行くよぉ〜・・・・
 行っちゃうよぉお〜〜〜!!
 ・・・・オープンっ!!!」

開示される、二人のカード。
全てがかかる。
ここで鬼姫がハズせば、
全てが終わり。
何かもかも、
鬼姫が、
鬼姫が数を当てなければ。
一度、
ゴクリをツバを呑み込む寛吉。
ゆっくりと、
引いたカードを眺めて、
ニヤける。

「・・・キャッキャッキャッキャ!!!
 僕の引いたカードは3っ!!
 僕は勝ちっ!!
 僕は正当したぞぉおーーーっ!!」

「(・・・さすがはカンちゃん。
 ここは無難に当ててきた・・・・。
 問題はこの女だが、
 ハッキリ言って、
 見る必要もない。
 ・・・・勝ってる。
 間違いなく、この女も数を当てているだろう。
 でなければ、勝負は終わる。
 この女はバカじゃない。
 ましてや、何も考えずにここまで・・・)」

「・・・・・・あっ・・・・・
 2だった・・・・・・」

「!!!!!!??????」

度肝。
度肝を抜かさざるを得ない。
誰もが、
頭に?を思い浮かべた。
負けた。
鬼姫が、完全に敗北した。
これほど見事に、
あっさりと敗北してしまった。
残りポイント、ゼロ。
鬼姫、ゲームオーバー。
大助は信じられぬ顔で、
寛吉は大爆笑でそれを眺める。

「キャッキャッキャッキャッキャ!!
 勝った、勝ったぁ!!
 コイツ、本物のバカだぁー!!」

「(ほ、本当に、バカか、この女ぁ・・・!?
 負けた、
 負けやがった・・・!?
 本当に、何の策も無しに
 4P賭けという暴挙に出ていたのか!?
 もう無い、
 無いんだぞ・・・!?
 この後はもう無いっ・・・!
 オマエのポイントはゼロ・・・・!
 勝負は終わった!!)」

「・・・・・・ククッ・・・・・」

終わった。
何もかもが、終わった。
鬼姫の暴挙は、
ただの奇怪行動として終わった。
何とも無様であろう。
あの鬼姫が、
ここまで落ちぶれてしまった。
もう、どうしようもない。
だが、そこは鬼姫。
クスっと笑い、
寛吉を見る。

「・・・・・机叩いて・・・・
 何か良いことあった・・・・・・・・?」

「ッ!!!!!!!!」

この時、
寛吉と大助は心底驚いた。
我々は
鬼姫が何を言っているのか
まるで理解不能だが、
対峙している二人は、
その言葉に心臓を掴まれる思いだった。
鬼姫の一言が、
さきほどまで勝っていたという
結果に心躍らせていた寛吉を、
一瞬に凍りつかせた。
すると・・・。

バタンッ!!

「はぁ、はぁ、はぁ・・・・・!!
 お、鬼姫っ!!!」

「・・・・・?・・・・・
 遅い・・・・・」

その異様な雰囲気の中、
雀荘に駆け込んできたのは
弁慶だった。
手に紙袋を持って、
息を切らして
鬼姫のもとへとやってくる。

「な、何か、雰囲気がお通夜みたいだが・・・。
 今、何回戦まで行ったんだ!?
 鬼姫、ポイントはどれだけ残ってんだ!?」

「・・・・・・2回戦・・・・・
 そんで、ポイントゼロ・・・・・・・」

「あ、あぁあああああーーーー!!??
 それじゃぁ・・・・・!!」

「・・・・ククッ・・・・・・
 アイツら・・・・・・
 ・・・・・仕掛けてきたからね・・・・」

「?」

今さっききた弁慶には、
何が起きているのか
サッパリ分かっていなかった。
だが、鬼姫は
全てを見抜いていた。
すると、寛吉が
クスクスと笑い始める。

「・・・・キャッキャッキャ・・・。
 大助ぇ、コイツ・・・
 バカじゃないみたいだね」

「・・・えぇ、そうでございますね。
 この物量作戦を見抜いてくるとは・・・」

「ぶ、物量作戦・・・?
 鬼姫っ!!
 オマエ、何だか分かるのか!?
 アイツらが言ってること・・・・!」

「物量作戦」。
弁慶一人、何を言っているのか
サッパリ意味不明。
すると、
鬼姫は淡々と語り始める。

「・・・・・ケシゴムと、辞書・・・・・。
 地震が来たら・・・・
 ・・・・どっちが大きく動く・・・・?」

「あ、あぁ?
 そりゃぁ、ケシゴムだろうが。
 重さが違うぜ、重さが・・・・・・。
 あ・・・・あぁあ・・・・!!
 まさかっ!!!」

「・・・・・・ククッ・・・・・
 ・・・そう、重さでイカサマをしてきた・・・・。
 各カードに微妙な違いの重さをつけて・・・・・
 ・・・テーブルを揺らして判断していた・・・
 どれが1か、2か、3か・・・・・・」

「じゃ、じゃぁ・・・・!
 目に見えねぇけど、
 最初からカードには細工してあったのか・・・!?
 揺らした時、
 大きく動くか、動かないかで、
 カードの数値を暴いていたのか・・・・!?」

「・・・・そう・・・・」

なんという、外道。
寛吉達は、
最初から1〜3のカードに
細工をしていたのだ。
それぞれに微妙に重さを付け足して、
テーブルを揺らした時、
そのカードの振動の大きさで、
数値を予期していた。
明らかなイカサマ。
だが・・・。

「キャッキャッキャ・・・・。
 うん、そうだよ。
 その通りだよ・・・?
 けど、それが何?
 ・・・・勝負が終わってから言っても、意味ねぇよ!!
 無効は無しっ!!
 これが勝負だろう、低能っ!!」

「っぐ!!
 な、何言ってやがるっ!!
 イカサマやっといて、
 開き直るたぁ・・・・・!!」

「・・・・・・うるさい・・・・・・。
 それより・・・・・
 買ってきた・・・・・・?」

「あ、あぁ?
 ・・・・ま、まぁ、買ってきたけどよぉ。
 アレが、何の役に立つんだよ?」

「・・・・・ククッ・・・・・
 それが・・・・・
 勝利のカギ・・・・・。
 ・・・・この最悪な場面を覆す・・・・
 最高のアイテム・・・・。
 ・・・奴らは必ず、勝負を再戦する・・・・。
 ・・・・・必ず・・・・・・」

後書き

「ククッ・・・・・。
 ・・・そうよ、これが最高のアイテム・・・。
 ・・・・・ビックライト。
 これで相手を小さくして・・・・」

なんて鬼姫が言えば
おもしろいのだが・・・。

次回、アイテム!?

この小説について

タイトル -敗北-
初版 2008年9月5日
改訂 2008年9月5日
小説ID 2665
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