百千 - 第一話)) 曇天と月

音輝
誰もいない真冬の海で、少女が波に呑まれて消えた・・・


きちんと揃えられた小さな白いサンダルだけが、一つの命がこの世から消えたことを知っていた。



でも少女の血も命も、この世を離れても海に運ばれ、別の時間で騒ぎ続ける。









少女が流れ着いたのは、綺麗な砂浜の海岸だった。

ただ、辺りには魔力や妖力、神力・・・名称もついていないような奇怪がひしめく。

そう、ここは、あらゆる世界との狭間に囲まれ、異世界のものが集まる『集結界』。本来、世界を隔てて存在するものが、当たり前のように共存している。そしてこの砂浜は、地元では咲浜と呼ばれる、生命界との狭間だと伝えられる浜だった。



知らぬ間に異世界に来てしまった少女を見つけたのは、斗崎 士輝 という男だった。












斗崎士輝の家の二階の和室に、少女は寝かされていた。


少女の色も長さも斑な天パが、汗で首にまとわりついていた。うなされているのか、少女の顔が強張り、手は強く拳を握りしめている。

少女の手に生温かいものが流れ、少女の切れ長の綺麗な鋭い目がハッと開いた。少女が身体を起こして手を見ると、ツーっと血が滴り、動転したように少女の顔が強張る。

握りしめた手に長い爪が食い込み、手の平を切って血が出ていた。
何度もそういう事があったかのように、手の平は数ヶ所、爪の跡がついていた。

少女の空ろな目に映る血は、まったく止まろうとせず、一向にポタポタと滴り続けた。






少女は急に我に返ったように顔を上げ、見慣れない場所にいる事に気づいたようだった。桃色がかった渋い砂壁や、もう色が抜けた畳を見て、張り詰めた顔になる。

部屋は狭く、少女が寝かされていた布団が二枚敷けるくらいの広さしかない。大きな木の格子窓と、押し入れと、漆塗りの小さな飾り棚以外に何もなく、生活感の欠片も無かった。

少女は戸惑い、髪の毛をくしゃくしゃにして窓の外を眺めた。

暗くてほとんど何も見えないが、周りにも家が建っている事は確かだった。水路でもあるのか、水の音が微かに下の方から聞こえていた。

少女は緊張した顔で目を凝らし、耳をそばだてたが、それ以外何もわからない。

三日月だけが、雲間にわずかに見えた。


「・・・」


ふいに妙な音が聞こえ、少女の肩に力が入る。
わずかな月明かりに照らされた少女の顔が強張った。



「・・・ヤツ・・・ヤツキ・・・アヤツキ・・・」



恨みに満ちた女の声が小さく響き、少女はピクリとも動かずに町の暗闇の一点を見つめていた。

次第に声は大きくなり、近づいてくる女の声は、恨みを込めて一つの言葉を繰り替えした。


――アヤツキ・・・。


はっきりとその言葉を聞いた途端、少女の顔がますます張り詰め、肩が大きく上下した。少女の目が恐怖と期待の間で揺れているような、妙な光を放っていた。

手からドクドク血が流れるのを、気にもしていなかった。



パアンッ



突然の音に少女が振り向くと、押し入れから男が顔を出していた。

少女は驚いて飛び上がり、おびえた目で男を見る。

押し入れから男が出てくるなんて勿論おかしい。
暗くて顔も見えなかった。
ただ、剣呑な空気だけが感じられる・・・。

男は何か細くて長い棒のようなものを持って、押し入れから飛び出した。女の声はもう気配を感じるほどに近くに来ていた。
 
男は音もなく一瞬で少女の横に飛び降りる。


「大丈夫だから」


拍子抜けするほど落ち着いた低い声が聞こえた途端、銀にギラつくものが窓を大破した。




ガッシャッー――ンッッ
バキッ パリ――ンッ





耳を劈くような派手な破壊音が静けさの中で突然響き、ガラスが派手に飛び散った。


「――――ッ!!!!」


少女は反射的に目をつぶり、腕で顔をかばったが、何故かガラスが飛んでくる事はなかった。

薄目を開けると、目の前に男のたくましい腕があった。しかし、男の腕もまったくの無傷に見える。
少女は驚いて男を仰ぎ見たが、次の衝撃が少女を襲った。



ドー――――ッンッ!!!





大きな衝撃に部屋が揺れ、異常に大きな衝撃波がもう一つの窓を瞬時に割った。
少女は衝撃波より早く男の腕になぎ倒されて衝撃波は逸れたが、柱に頭をぶつけ、ぼーーっとして目の前が暗くなりかけていた。
男が銀に光るものを持っているのがわずかに見えた。
さっき光ったものを思い出し、少女の頭に疑問が過ぎる。



「アヤツキィィィィィィィィ!!!!」



迫力を増した女の声が二人の頭に不自然に響く。少女は目を見開き、壁にもたれたまま荒い呼吸で固まったまま動かなかった。

甲高い高笑いが町に響いた。

少女の見開かれた目には、黒い着物を着た恐ろしい女の姿が映り、肩が大きく震えていた。男が刀を構えているのがすぐ近くに見える。

何の重圧に耐えているのか、腕が大きく震えていた。


「ンだよ お前ッ!!!…コイツになんの用だよ!?妖がッ!!!」


面倒くさそうに苛ついたハスキーな低い声は若い男の声だった。
聞きなれない言葉を聞き、少女の目が光る。


ニヤぁ〜〜〜ッ


女は口が裂けるように恐ろしく笑った。

男は苛々した口調で言葉を続ける。


「海にもいただろォ あン時はこんなめんどくさいたァ思わなかったよ」


女は恐ろしい妖しい声で言った。


「これがお前のようなものに匿われているとあってはただではすまされない」


呟くような落ち着いた声なのに、少女の耳にガンガン響いた。
少女の手がまた強く拳を握る。



「俺の事ァ知ってたんだ、だったら・・・」

男は軽く言って言葉を切り、ふいに刀が銀の光を放って女の手前で空を斬った。


バァァァァァァァァァァァァァァァ


風が鳴り、女の姿が飛ばされて雲の向こうに消えた・・・。















後書き

読んでくださった方、ありがとうございました!!
未熟でヘタな小説ですが、改良してうまく面白いものを書きたいので、コメしていただけたら嬉しいデス!!

一応プロローグ的なものです。
ここから日常戦闘笑い感動・・・いろいろ交えながら書いて行きたいと思うので、これで興味を持っていただけたら、ぜひぜひ続きも読んでください!!
辛口コメなど大歓迎です!!
なんでもいいのでコメ、お願いします!!

この小説について

タイトル 第一話)) 曇天と月
初版 2008年9月11日
改訂 2008年9月15日
小説ID 2684
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コメント (3)

★風味譚 コメントのみ 2008年9月13日 20時58分59秒
はじめまして。
プロローグから、すごく引き込まれて続きがすごく気になります。
文章に動きがあって、テンポよく話が進んでハラハラします。
続き楽しみにしています。
では、失礼します。
★まごひげ コメントのみ 2008年9月14日 15時02分29秒
音輝様、こんにちゎ
百千シリーズ:曇天と月、拝読させていただきました。
 まだ、先はわかりませんね。だけど、読んでいてワクワクします
戦記と言うか戦う感じの小説だと言うことはわかりました。

少女とあのたくましい男の正体が気になります
文章の間隔も適度に取れていましたし状況表現もバッチリでしたよ

 もう少し、難しい表現をもっと簡単な言葉に直してみてください
読む方も、難しい言葉ばかりでは飽きるものがありますね
例)「妖しい」をわざと「あやしい」と平仮名で書くとか

 あまり難しい表現や熟語を使いたい場合は、振り仮名をつけるなど工夫してみてください
音輝様なら、きっと良い小説が作れますよ
期待しています
次号、更新を頑張ってください!!
音輝 コメントのみ 2008年9月15日 1時00分44秒
風味譚さん―――
はじめまして☆
読んでくだって本当にありがとうございます
コメント本当に嬉しいです!!
具体的にいっていただいたので、そこを伸ばしたいと思います!!
続き頑張ります!!まだ出来てないのですが、載ったらぜひ読んでください!!






まごひげさん―――
本当に読んでくださって嬉しいです!!
アドバイスもありがたいデス
ちょっとかっこつけ過ぎたですね))汗

プロローグは戦闘になりましたが、基本が戦闘ではないんです
自分のテーマとして、輝いてる人達を書きたいって思ってます

期待なんてほんと嬉しいです☆
もうなんか気合入りますね!!
がんばるので、次もぜひ読んでください!!



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