鬼姫 - -蟻-

ライン
ついに始まる、
本来の勝負。
鬼姫が望んでいた
命と命のやり取り。
鬼姫5P、寛吉5Pで、
再び、
勝負が続行される。
その前に、
弁慶が寛吉にかみつく。

「ちょ、ちょっと待ちやがれっ!!
 オマエ、
 今度またイカサマなんてしたら
 承知しねぇからな!!
 無条件で敗北だぞ!」

「・・・うるさいなぁ、分かってるよ。
 それより、早く勝負を済ませた方が良いんじゃない?」

「あ、あぁ?」

「・・・キャッキャッキャ。
 低能が、
 死んじゃうかもしれないよ・・・?」

「ッ!!!
 お、鬼姫っ!!
 大丈夫か・・・・!?」

「・・・・・ッグ・・・・」

やはり、無茶をしていた鬼姫。
傷は浅かったのだが、
それでもかなりの出血。
その場の治療なら
弁慶が難なく施したのだが、
それだけでは足りない。
一早く病院に行かなければ
鬼姫が絶死する可能性だってあるのだ。
少し顔をしかめて、
3枚のトランプを握りしめる鬼姫。

「・・・・・ック、ック・・・・・。
 確かに・・・・
 早く、済ませた方が良い・・・。
 ・・・・・故に、4回戦なんだけどね・・・」

「ッ!!!!」

この時、
寛吉と大助は
心臓が外に飛び出るぐらいに驚いていた。
そして、
ふと思った。
「踊らされている」。
自分達は、鬼姫に踊らされている。
鬼姫は、
予測していたのだ。
この展開を。
だからこそ、あの時4回戦などと
見栄を張った。
末恐ろしい女、鬼姫。

「(・・・こいつ、本当に化け物か?
 あの4回戦という暴言は、
 このことを予期していたのか・・・?
 つまり、
 今までのことは全て、
 奴の予想通りだとでも言うのか・・・?)」

「そ、そんな結果論バカげてるっ!!
 早くカードを裏にしろよ!
 どっちにしろ、
 僕が勝つっ!!
 ・・・・勝つのは、僕だっ・・・!!」

「・・・・・ククッ・・・・・」

不穏な空気を残しつつ、
第3回戦、開戦。
お互い、
3枚のカードを裏にして
並べて置く。
そして、
置き終わった時点で
この勝負の
賭けポイントを宣言する。
至って、普通の流れ。

「・・・僕の賭けは・・・・
 ねぇ、大助ぇ。
 僕、どうしたら良い?」

「(・・・怖い・・・・。
 ハッキリ言って、怖いよ、この女・・・。
 もしかしたら、
 本当に見透かされてるんじゃないのか?
 なにもかも・・・・
 最悪、
 この先の展開もずっと・・・・)」

「だ、大助ぇ!!」

「ッ!!
 す、すいません、カンちゃん。
 そうですね。
 やはりここは無難に1Pにしましょう。
 流れを掴むためにも、
 無理はご法度でございます」

「うん、分かった!!
 僕は1P賭けだっ!!
 オマエはどうすんだよ、低能っ!」

「・・・・・ククッ・・・・」

「(ど、どうする鬼姫・・・?
 オマエのことだ、
 何P賭けるかなんて
 俺レベルじゃ推測できない・・・。
 ただ、
 オマエに全てを託す・・・。
 何もかも、
 オマエの判断に俺の身を預ける・・・!)」

「(・・・ここでもし、
 この女がバカでかい数値を言ってきたら、
 用心しなければならない。
 こいつは・・・
 最初から狙っていた。
 そう、私とカンちゃんの命を。
 この機を、待っていたのだ。
 ・・・・マズイことになってきた・・・・)」

交差する、
心理戦。
大助はじょじょに恐怖を
察知しつつある。
鬼姫という、巨大な怪物の。
底知れぬ、
未知数のモンスターを。
果たして、
鬼姫が第3回戦に
賭けるポイントとは・・・。

「・・・・・1P・・・・・
 私も1P・・・・・」

「キャッキャッキャッキャ!!
 あくまで
 スルーは無しかっ!!
 まぁ、良い。
 お互い命を賭けた勝負だ、
 慎重にもなるだろうよ」

「(1P、か・・・。
 やはりこの女、策無しか・・・?
 それとも、
 物量作戦しか見抜けていない・・・?
 血で我々を脅し、
 イカサマを封じこめようとしているだけ・・・?)」

「じゃぁ、行くぞ!!
 お互いのカードを引・・・・」

「ちょっと待ちなっ!!」

カードを引こうとする
寛吉を、弁慶がいきなり制止する。
寛吉は不機嫌そうに、
身を乗り出そうとする体を
強引に止める
弁慶を睨みつける。

「テメェ、カードに細工してんだろ!?
 だったらテメェは
 カードを指で選択して、鬼姫に取らせなっ!!
 信用ならねぇ・・・!
 オマエはそこから動くなっ・・・・!!」

「・・・・ッチェ。
 もうそんなことしないのにさぁー。
 いいや、じゃ、
 右から3番目の奴」

「・・・・・・私は、これ・・・・・」

弁慶の当たり前の
ファインプレーにより、
寛吉はカードを指で選び、
鬼姫に取らせることに。
そして、お互い、
相手のカードを1枚ずつ選択。
とりあえず、1P賭けの勝負。
これっきりで、
絶望の淵の立たされるという
ことはまずない。
負け込んでも、
3Pは残る計算。
とりあえず、安全圏が光る対戦。

「・・・僕はねぇー・・・
 じゃぁ、1っ!!」

「・・・・・・私は・・・・
 ・・・・2・・・・」

「(ここはあえて、
 この女も見に来たか・・・・。
 やはりまだ、
 コイツは探る段階なんだ。
 探っている程度。
 まだ答えにはたどり着いていない。
 もし、そうならば・・・
 勝てる・・・・
 勝てる可能性、100%・・・!
 カンちゃんは、勝てるっ・・・・!!)」

「・・・キャッキャッキャ・・・・。
 じゃぁ、行こうか。
 ・・・・・カード・・・
 オープンッ!!!!」

開示される、
両者のカード。
寛吉の予想、1。
それに対し、鬼姫は2。
内容的にはセーフティーな戦いだが、
これは、
お互いの手のうちの探り合いの勝負といえよう。
相手が、
イカサマをしているかどうか、
不審な動きをしているか、いないかの、
様子見の勝負。
そして、結果は・・・。

「・・・キャッキャッキャ!!!
 僕のカードは1っ!!
 正解だっ!!」

「・・・・・・ククッ・・・・
 残念だったね・・・・・
 私も、2・・・・・
 ・・・・流局・・・・・・」

「ッ!!!
 ッチぇ・・・・
 まっ、3分の1だから仕方ないかぁー」

この対戦、流局。
二人とも、
何とかして数を言い当てることに成功。
互いに、5Pのまま。
勝負、動かず。
だが来る。
運命の4回戦。
鬼姫が宣言した、終局の回戦が。
それを、
傍から不思議な眼差し見つめる大助。

「(当ててきた・・・・。
 あの女、
 この勝負で初めて当ててきた・・・。
 いや、
 不思議なことじゃない。
 逆に、当たり前のこと。
 3分の1なんだ。
 当てて当然・・・・・。
 だが・・・・
 それが、運否天武だとは限らないがな・・・)」

「ッキャッキャッキャ・・・・。
 低能・・・
 ついに4回戦まで来ちゃったよぉ?
 どうやって
 僕を倒すのかなぁー!?
 もしかして、
 5P賭けでもするのぉ!?
 キャッキャッキャッキャ!」

「・・・・ククッ・・・・・
 何で私がそんなことする必要があるの・・・?」

「あ、あぁ・・・・?」

「・・・・・目を覚ませ・・・・・。
 ・・・・・・オマエ自身だ・・・・・・
 5P賭けるのはオマエの方・・・・・」

「な・・・・何ぃいいいいい−−−−−!!!???」

鬼姫、
ここにきて仰天発言。
確かに、鬼姫は4回戦で終わると言った。
あの鬼姫のことだ、
意地でも4回戦で終わらすであろう。
だが、
終わるための5Pを振りこむのは、
相手、
寛吉の方だと言うから
場は騒然とした。
それを聞いて、
顔を真赤にして怒り始める寛吉。

「ふ、ふ・・・
 ふざけんなぁあああーーーーー!!!!
 何で僕が5P賭ける必要がある!?
 逆に、
 僕はそれを阻止する立場だぞっ!!
 オマエの下らぬ予言を、
 阻止する立場!!
 その僕が、5P賭けだとぉ・・・・!?」

「・・・・・ククッ・・・・・。
 まっ、見てな・・・・・。
 ・・・・じきに分かる・・・・・。
 その時が来たら・・・・
 ・・・アンタはただ震えるだけ・・・・」

「(言ってくれるな、この女っ・・・!!
 バカげたことを・・・!
 どう考えても、カンちゃんは5P賭けない!
 何をしようと、
 天地が引っくり返ろうと、
 そんな破滅を自らするワケが無いっ・・・・!!)」

「お、おい鬼姫っ!!
 いくら何でも無茶過ぎるぜ・・・!?
 相手が
 5P賭けてくるなんて、
 あり得ないこと!
 1匹のアリが高層ビルを壊すようなもんだぜ・・・!?」

「・・・・・ククッ・・・・
 ・・・一匹いれば、十分じゃない・・・・」

「え、えぇ?」

「・・・・立ち向かう一匹がいれば、どうにかなる・・・
 結果なんて、分からないんだから・・・・。
 ・・・立ち向かう意識があれば、
 どうあれ2分の1で確率が生まれてくる・・・・。
 ・・・・・勝つか、負けるか・・・・・。
 ・・・それが、勝負・・・・・・」

無謀すぎる鬼姫の理論。
どうして寛吉が5Pを賭けよう?
もしや、
寛吉は鬼姫とグルだったとでも言うのだろうか。
いや、そんなことはマズない。
鬼姫の一言が、
雀荘の雰囲気を一気に変える。
誰もが思う。
この一戦で、何かが変わる。
いや、変わるのではない。
終わる。
終わってしまう、と。

「(くそっ!!!
 この低能ぉお・・・・・・!!
 僕はそんなの賭けるワケないっ!
 それに、
 運否天武のオマエとは違って、
 僕にはまだ手がある!!
 最終兵器っ・・・・!
 まだ、必勝法が残ってるんだよぉ・・・!)」

「・・・・ククッ・・・・・
 始めよう・・・・・4回戦・・・・・。
 ラスト・・・・」

「ッ!!!
 ・・・・だ、大助ぇ、どうする?」

「(・・・何かをしてくることは事実。
 だが、
 カンちゃんが5P自ら賭ける、
 そんな暴挙が起きるのか?
 この女に、
 それだけのことをできる力があるのか?
 どうやって、
 人の意思を操作できる・・・?
 オマエは、人間だ。
 ただの人間だっ・・・・!
 人の意思など、変えられぬっ・・・!!)」

「だ、大助ぇえ!!」

「・・・・・・・・行きましょう、カンちゃん。
 私達が5P賭けない時点で、
 奴は事実上の敗北。
 ・・・策実らず、のハズです。
 ・・・・壊しましょう、私達で。
 この女と男の命・・・・
 もらいうけましょう・・・・!」

「・・・・キャッキャッキャッキャ!!
 うんっ、
 うん、うん、うん、うんっ・・・!!!
 やってやるよ、
 低能っ!!!!」

ついに、承諾。
鬼姫の怪しげな雰囲気を
漂いつつも、
有り得ぬ事実。
寛吉が5P賭けるなど、
まずあり得ぬ事実。
本人否定しているのだから、
誰がそんなこと
できよう?
だが、それでも鬼姫はひるまない。
逆に、
余裕の笑みを見せ、
寛吉を見る。

「・・・・・ククッ・・・・・・。
 ゾッとするほどの・・・・
 ・・・・奇跡・・・・見せつけてやる・・・・」

後書き

「・・・でも鬼姫、
 やっぱ蟻一匹じゃビルは壊せねぇよ」

「・・・・・・・・・・・だよね」

うん、その通りだ。
せめて白アリにしとけ。

次回、手のひら・・・?

この小説について

タイトル -蟻-
初版 2008年9月19日
改訂 2008年9月19日
小説ID 2706
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