百千 - 第一話))★ 三日月と剣

「あッざしたァ〜」

やる気のない無駄にデカい声が、にぎわう店内に響く。
ハスキーな低い声は、斗崎士軌だ。

そしてこの店は、飲食店や興行場、商店街がにぎわう八々希町のはずれにある士軌の家の一階『喜楽』。駄菓子、菓子のたぐいや、酒、つまみなどを置いていて、近隣の常連客だけが来る小さな商売だった。

士軌の店ではなく、士軌は今日臨時で店員をやっていた。
だから、態度も格好もまるでなっていない。

上は蒼い色褪せた着物で、黒いジーンズにワイシャツのように裾をしまって着ている。いつものように何故か体中に銀製の時計やライター、チェーンなど、無駄にいろいろつけていた。黒と銀のベルトやブーツも派手だ。

この店の地元の常連客は士軌のことは知っているから、いい加減な態度や格好にも、あまり不快そうな顔をする人もいない。

しかし、最近店に出るようになった新入りには、文句を言ってくる客も多かった。



「おつり。」


店を出ようとしていた客に、後ろからいきなりぶっきらぼうで浮いた声をかけたのが、十代前半くらいの少女・・・新入りだ。


「ぁあ?つりならさっきおめーが渡しただろーが」


客はガラの悪い若い男だった。
この店にはこういうタチの奴は多い。

派手な着物を士軌とは違って普通に着て、男のくせにアクセが多く、髪も金髪に染めている。

バリバリメンチをきってくる男に、新入り・・・葛 矢月はぼーっとした、無愛想な口調で言う。

「おつり、三銭多く渡した。間違い」

少しハスキーで息混じりな声には、まだ少し幼さが残っている。


「てめー三銭なんかで何するつもりだよ?あン?財布出すの面倒くせぇよ。さっさと去ねや」

声にドスを効かせるチンピラを無表情に見上げて矢月は言う。


「三銭ごときでッ」


「はぁ?三銭がほしいわけねぇだろ。めんどくせぇっつんだよ」

男が切れて怒鳴る。

「生言ってんじゃねぇぞ!!!しばかれてぇの??」


それでも無表情に平然と男を見上げる矢月に、男は矢月の胸倉をつかむ。

途端に、弾かれたように男が店の外に転がった。





「なッ・・・」

男の顔がおびえ、声が裏がえる。何が起こったのか分からずに床に這いつくばる男に矢月は冷たく言葉を投げた。

「さわんな」

低い声は落ち着いていたが、目が光り黒いごつい手袋をはめた手が拳を作っている。

ふいに辺りに冷たく、背筋が寒くなるような空気が流れ、男の首筋に冷や汗が流れた。



「お・・・お前なにを・・・」


男の腕がガクガク震え、震えた情けない声を上げたとき、矢月の背後から声がした。




「矢月、他の客が帰っちゃうって。」

波が引いていくように冷たい空気が消え、矢月も普通の顔をして振り返る。

だるそうに立っていたのは士軌だった。後ろで駄菓子を持った子供がビビッた青い顔でうろうろしている。



「コイツつり銭返さない。」

軽い口調で文句を言う矢月に士軌は呆れ顔で言う。


「アンタが間違えたんだろ?普通返してもらわねぇよ・・・アンタは常識ってもんを知らないの?」

矢月が口を尖らせてチラッと男の方を見ると、男はとっくに消えていた。




「アンタさぁここ俺らの店じゃねぇんだから、つぶしたらアイツらが生きていけねぇんだよ?」

可哀想だぞ、とめんどくさそうに言う士軌の声に、幼い生意気な声が重なった。

「オイー、お前らまたかよー ああいうの怒らすとアイツの仲間全員来なくなるじゃんか。」




二人の横に、いつの間にか妙な三人が立っていた。

文句を言ったのは、矢月より少し年下くらいの大きな鋭い目をした男の子だ。粗末な黒い着物のわりになんだか育ちが良さそうな雰囲気のこのガキ・・・刈馬という。

士軌はどうでも良さそうに隣の男に目を向けて聞く。


「あれ 今日ァ一日いねぇんじゃなかったっけ」


スポーツ刈りのがたいのいい男が無表情に答えた。


「仕入れが予想外に上手くいったみたいな」

低く太い声音で抑揚なくみょうなしゃべり方をするこのひと、駿河 雷容(らいよう)。
声はこわいが、よく見ると顔が常に笑っているようで、つなぎの作業服のような服がよく似合っている。


矢月がもう一人の男に目を向けて弾んだ声を上げた。

「滝十、新しい刀?」


矢月の視線の先には、赤黒い鞘の刀が腰にさしてあった。

士軌と同じような――でももっと地味な格好をした優しそうな面持ちの男がはにかみがちに答える。

「久しぶりに仕事が入って金が工面できたから。」


実はこの源青滝十、士軌同様、妖剣士と呼ばれる妖術士で、迫妖と呼ばれる気迫の込められた妖刀で妖を操る。
あらゆる不思議な力を持った者が多いこの世界でも珍しい妖術士だった。


「へぇ 良かったじゃん。なんの仕事?」

ぶっきらぼうに聞く士軌に滝十は嬉しそうに答える。

「妖術師にねらわれてるっていう大店の娘の護衛でさ、礼金を弾んでくれて・・・その分責任重大だけど」

そういいながら新しい刀に手をかける。

「相手わかってんの?」

眉を上げて聞く士軌に、滝十は刀を抜いて眺めながら小さく頭を横に振って答えた。

「わからない・・・でも店同士の小競り合いらしいから大した奴ではないかな多分。」

そう言いながら刀を鞘に収めようとした。が、手が止まる。
収めようとした刀が何故かてこでも動かない。




「・・刀が・・・?」




それを見た士軌が、一人ではしゃいで刀を眺めていた矢月の腕をつかんだ。

矢月が驚いて顔を上げる。

「アンタが刀止めてんだよ、はしゃぎすぎ。とりあえず刀から頭話せ」

士軌の言葉が終わらない内に刀がガチャンと鳴って鞘に収まった。



「ごめん」

一瞬の間、矢月がケロッとして謝った。
滝十の顔が当惑する。

「これ、矢月ちゃんがやったの?」

滝十の声が高い。

「コイツ、体質だか種族なのか、妖集め安くて、気妖がハンパねぇんだ。今刀でテンション上げすぎで」

士軌がかなり面倒くさそうに説明する。
もう何回もいろんな人に説明していた事だった。

つまり、この世界の空気中にあるたくさんの妖気が、矢月の感情・・・気に反応していちいち妖力を発揮してしまう。
厄介な性質だった。


「へぇ〜だから妖刀が止まったんだ。」

滝十はなんだか浮かない顔をする。

士軌が眉を上げて見ると、滝十は情けなさそうに言った。


「俺の妖力ってそんなものなのかな」


駿河が眉をひそめて矢月を見る。

滝十が落ち込むのも無理は無い。

矢月は無意識に周りの妖気を気妖にする。
普通気妖と言ったら、所詮相手に危害を加えるものではなく、単なる妖力となった気。滝十や士軌のように意識的に妖力を集めた力には全く及ばないはずだ。




滝十の顔を見て、矢月は浮かない顔でキョトンとする。



「気にすんなよ、滝十。コイツ特殊体質なんだから、相手を黙らせたりするくらいのザコい気妖と違う。どんくらいの力なのかいつか分かるだろ」

ぶっきらぼうに言って、士軌は店の奥に消えた。

















後書き

読んでくださった方、ありがとうございました!!
今回はほんとに大変で(汗)完成度低いとおもいます・・・
説明とかも意味わかんないかもしれないです
直したいので、ダメなところを見つけたらコメしていただけたら嬉しいです
こんな小説ですが、いいものをつくりたいので、よろしくお願いします!!

この小説について

タイトル 第一話))★ 三日月と剣
初版 2008年9月21日
改訂 2008年9月30日
小説ID 2717
閲覧数 768
合計★ 3
音輝の写真
駆け出し
作家名 ★音輝
作家ID 399
投稿数 2
★の数 3
活動度 384

コメント (5)

匿名 コメントのみ 2008年9月21日 17時34分43秒
こんばんわ!
音輝様、更新待っていました。
今回のは、1話なんですね!
いや〜登場人物が多くて何回も読んでしましました””
 それでは、毎度ながらコメント・アドバイスの方書きたいと思います!!

「文章のおかしな点を直しましょう」
1、「髪も染めた金髪だ。」→例)髪も金髪に染めている。
  「まだ微妙に幼さが残っている」→例)まだ少し幼さが残っている。などなど、直せば自然に伝わる文章もなんか曖昧で想像しにくい文章ですね。。

「難しい主人公の名前などなど。。」
2、あえて難しい漢字は「あいてにとがった印象を与えます。
しかし、主人公らにそう言うのを使うと「この人誰だっけ??」
ってなりました。カタカナに直すか、その人物に特有の性格なんかを考えると、「あっこの人が主人公だ」とわかるようになります。

そこのところを直してみてください!
もっといいものになるとおもいます。

でも、この物語は、今はまだ分かりませんがきっといい物になると
思いますよ。自信を持って書いてください!!
応援していますよ!*

追伸)「バジリコ×バジル」を新しく更新しました。
是非、音輝様にまた、読んで頂きたいと思うので、読んでください
そしてまた、コメントANDアドバイスをよろしくお願いします。
 
★まごひげ コメントのみ 2008年9月21日 17時36分01秒
すみません。。
上のアドバイス。まごひげです。。
ログインするの忘れてて・・・・。
★音輝 コメントのみ 2008年9月21日 19時18分38秒
まごひげさん ありがとうございます!!
嬉しいです しっかりアドバイスがもらえて☆
匿名のところでまごひげさんだってすぐわかりましたよ))笑

表現のところ、確かにそのとおりです!!
気づかなかったです))汗
直します!!

名前、わかりにくいですか?))汗
私も懲りすぎると、、とは思っていたんですが
シキ ヤツキ タキト スルガ カルマ・・・カタカナだと覚え易くなるかもですね
あ〜でもやっぱり漢字にしたいです。。。
性格の方はこれからどんどん出そうと思ってるので多分大丈夫じゃないかと。
それに、基本は士軌と矢月の二人の行動を追っていくので。。。
二人は覚えてやってください

いろいろ考えてみますね!!

本当にしっかりアドバイスしていただいて
参考になって嬉しいです
本当にありがとうございました☆
次も頑張るので、よろしくお願いします!!


★クラムボン 2008年9月21日 20時05分25秒
いつも俺の作品にコメントしてくださってありがとうございます。
そのお礼に、というわけではありませんが、百千 - 第一話))★ 三日月と剣を拝読させていただきました。

表現等の指摘は、まごひげさんがしてくださっているので、俺はどストレートに感想を述べることにします(笑)

世界観としては江戸時代、もしくは異世界の侍世界なのでしょうか?
刀が出てきたので、なんとなくそんなイメージを持ったのですが、間違っていたら申し訳ないです。
冒頭のおつりを巡るトラブル、矢月がかっこよかったです!
それから他の登場人物も魅力的で、すごく興味をそそられました。

これからの展開に期待して、★3つつけときますね。
頑張ってください!


★音輝 コメントのみ 2008年9月21日 23時18分45秒
クラムボンさん
ありがとうございます!!
本当に嬉しいです☆

まず謝りたいんですが、これ第一話の★なんです
じつは第一話のプロローグがあります
読んでないですよね?すいません))汗
世界などベースの説明がなんとなくありますので、ぜひ読んでください!!
でも江戸時代ってゆーのは間違いではないです。
江戸時代をベースにした異世界のとある国です
イメージまんまです))笑


もうとにかく読んでくださってありがとうございます!!
私コメント読んでるとき一人でニヤけてるあやしい人になってました多分))笑っ
期待に応えられるように頑張ります!!
次回もよろしくお願いします

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