イントルダー - イントルダー 第三話

 パトリックは未だに信じがたい光景を窓からじっと眺めていた。まだ昼で明るいため外の光景がくっきりと見える。

 空には相変わらず緑の雲が浮かんでいる。

 あれから一週間のときが過ぎた。

 結局ヘルマン・バークレーが何者なのかは未だに良く分かっていない。
彼ら自身もヘルマン・バークレーの事をあまり知らないらしい。

 始めは信用できながったが、
一週間のうちにそれが本当だと思えるようになっていた。

 しかし、一週間の間に少しはこの島の知識もついてきた。

この島が異様なのは、この島にしか存在しない原子が無数にあることが原因だ。

そして、それら原子がこの島にしか無いことが島に入った人間が外に出られなくなることに関係している。

 それはイストンという気体の存在のせいだ。

イストンもまたこの島にのみ存在する気体だ。

イストンは、この島の中にのみ存在する原子と反発するという性質を持っているのだ。

そしてこの島の周りにはイストンがドーム状に膜を張っている。

つまり、この島の空気を吸った瞬間、人間はイストンの膜と反発してしまうため出られなくなるのだ。

 一度試しに外に出ようとしたが、やはり無理だった。

 今は彼らの宿舎で一日中外を眺め、夜が来たら寝るという生活をしている。

 パトリックはこれから彼らと共に、この島の存在を隠す仕事を手伝うことになったのだ。

 他に選択肢など思いつきもしなかった。
もうこの島に来てから決まっていた運命なのかもしれない。

 パトリックが仕事を始めるのは明日からということになっている。

 一週間でこの島に慣れてくるというよりは、仕事が近づいてきていよいよ今までの現実化から完全におさらばだという気がしてならなかった。

 明日からは、きっともっと異様なものをたくさん見ることになるのだろう。

 そう思ってみるあの緑色の雲はより一層不気味だった。

 あの夜のあの白い髪の人は誰だったのだろうか。
あれがヘルマン・バークレーなのか。
いや、後から殴った方がそうに違いない。
それとも、二人とも関係なかったのか。

 パトリックは一週間ただ呆然とそのことを考えていた。

「おーい、調子はどうだ?」
突然、戸の外から大きな声がしてきた。

ポールが食事を持ってきたようだ。

 戸を開けるとポールが目を大きく開けて微笑んでいた。

さっきの声もこの顔もパトリックを元気付けようとしているのだ。

ポールは入ってくるなり、肩をたたいて
「今日はスパゲッティだ。スパゲッティは好きか?」
と聞いてきた。

 そういわれて皿に目をやった。
すると、ポールのせいで小さく見える皿には、おいしそうなスパゲッティが乗っていた。

「ああ、どちらかといえば好・・・」
しゃべろうとした瞬間に気がついた。

 今までまでは、この島の不思議な食べ物ばかりだったが、今は何故か普通のスパゲッティが出ている。

「何だ今回は変わった食材を使わないのか?」
すると、ポールは誇らしそうに答えた。

「俺がヘレンに頼んだんだ、故郷の味が恋しいだろう?」
ヘレンとはここの、給仕係の人でパトリックは最初の食事のときに一度会っただけだった。

「ああ、ありがとう。」
そう答えたが、正直パトリックの唯一の楽しみは、
この島の不思議な食べ物を食べることだった。

「この島にも普通のものがあるんだな」

「ああ、もちろんあるとも。他に聞きたいことはあるか?」
ポールは、よく他に聞きたいことがあるかと聞いてくる。

 ポールが色々と教えてくれるので、シュトラスがイストンの事を説明しに来たときには、既に知っていた。

「いや、今日は特に質問したいことは無いよ」

「そうか、じゃあ何か用があったらいつでも言ってくれ」
ポールはそう言うと、
スパゲッティの乗った皿を戸のそばの机に置き、
微笑みながら部屋を出て行った。

 パトリックは椅子に腰掛けてスパゲッティを食べた始めた。
久しぶりの普通の食材はおしかった。

 久しぶりの味を味わっていると、コンコンと戸を叩く音がした。

 今度は誰だと思いつつ扉を開けると、
そこにいたのはシュトラスだった。

 明日からの仕事の説明を今日の夜にしたいらしい。
それを聞いて改めて思う。
そうだ、明日からまた新しい生活が始まるのだ。

この小説について

タイトル イントルダー 第三話
初版 2008年9月23日
改訂 2008年9月23日
小説ID 2720
閲覧数 786
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ルディブルの写真
常連
作家名 ★ルディブル
作家ID 402
投稿数 4
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活動度 561

コメント (1)

★まごひげ 2008年9月24日 18時41分11秒
こんにちゎ
ルディブル様。
先日は、温かいメッセージをありがとうでした。
すごくうれしかったです。
 ショックなコメントもあれば優しいコメントもあります。
自然な関係が保てたら嬉しいなとおもっているので、
今後もよろしくですぅ!!

さっそく読みました。
 内容も、改行も、適切で読みやすかったし今回は、本当に何度も何度も読み直すほど面白かったです。

最初に読んだ小説よりも断然上手で、いや〜ルディブル様、腕を上げましたね〜!!

それでは、晩御飯の時間なので失礼します。

今後も私の小説を、読んで下さいね〜
ルディブル様も更新したら言ってください。
 コメしますので。。
今日は、コメなんかするとこなかったです。
言うことなしでしたよ!!
この調子です!頑張ってください!!!
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