イントルダー - イントルダー 第四話

キャス・ローバーは動くことを決意した。
もう、食料が尽きたのだ。
あたりには得体の知れない植物ばかり。
食べても大丈夫という保証は無い。

しかし、ここから離れれば何かが変わるかもしれない。
危険だとしても、餓死を待ったり怪しい植物に手を出すよりはましだ。

 彼には理解できなかった。
ここは、一体どこなのだろうか。

 あれは、三週間前のことだった。
彼は前々からこの辺りの妙な海流が気になっていた。
この辺りを調べれば何か大きな発見を出来る。
そう思えて仕方が無かったのだ。

 それで三週間前、やっとあの妙な海流を越えることが出来たのだ。
 
 その直後だった。
突然何かに押されるように奥へと突き飛ばされたのだ。
キャスは船から振り落とされた。

彼は思った。
僕の人生はここまでだと。
だが、気がつくと得体の知れない島に打ち上げられていた。

 ありえないと思った。
こんなところに島は無いはずだ。

 辺りを見渡し、彼は思った。
そうか僕はもう死んだのだ。
これはどう見てもこの世ではない。

 彼はただ真っ直ぐ歩くことにした。
一歩目を踏み出そうとした瞬間だ。
どこからか青年の声がした。

振り向くとそこには一人の青年が立っていた。
青年は上半身だけ何も着ておらず、全身がぬれている。
どうやらさっきまで海にいたようだ。

青年の腹には横向に大きな傷跡があった。
昔とんでもない大怪我をしたようだ。

その青年は言った。
「ここで、下手に動かない方がいい。」

彼は仕切りに辺りを見渡している。

「あそこにある大きな岩のそばに洞窟がある。
そこには三週間分ほどの食料がある。
しばらくはそこで過ごすといいよ。」

そう言うと青年は早々と去っていった。
その時見えた青年の背には腹ほどではないが、
小さな傷跡がいくつもついていた。

キャスはその姿を見ながら何も言えずにいた。




パトリックは動く植物であるモルトルを追いかけていた。
モルトルは非常に素早く、今日はまだ2つしか採れていない。
しかし、これだ3つ目になりそうだ。
パトリックが手を伸ばそうとした瞬間だ。

「パトリック!」
大きな声がしてきた。

 その声でパトリックの動きが止まった。
その間にモルトルはまんまと逃げていってしまった。

声を出したのは一人の青年だった。
彼の名はアーサー・パーシヴァル。
パトリックと共に仕事をしている相棒だ。

「そっちはヘルマン・バークレーの私有地だぞ。」

パトリックが辺りに目をやるとパトリックの一歩ほど前から、
土の色が明らかに薄くなっていた。

この土を目印にここから西はヘルマン・バークレーの私有地となっているのだ。

ヘルマン・バークレーの私有地に入ることは、決して許されないということに決まっている。

 ヘルマン・バークレーの私有地には、大きな岩がある。
そのため普段は、その岩が見えるところまで来ないようにしているのだ。

 パトリックがその岩を見るのは三度目だった。
その岩は美しいほど真っ白で、この島の光景の中でも1・2を争うほどきれいだった。

「ああ、悪かった。」
パトリックがそう返事すると二人は再び引き返していった。

引き返している途中、アーサーが言った。

「モルトルはもう良いよ。僕が5つ目を捕まえたから。」

「じゃあ、この後どうする?」

「そこら辺の植物を適当に採って帰ることにするよ。」

 二人の仕事は生態を調べることと。
主に薬品などの開発だ。

パトリックはアーサーのアシスタントの役割をしている。

ちなみに、クラウスは外から島に来る人間がいないか監視する役。
ポールは食用の作物や家畜を育てる役だ。

 そして、パトリックが島に来た日にパトリックのいた方向を監視していたのはクラウスだった。

しかし、その日パトリックを最初に見つけたのは
ポールだった。

その為、ポールはクラウスが仕事をサボっていたと思いクラウスを責めたのだ。

しかし、実際はクラウスは仕事をサボってはいなかった。

 パトリックは監視できないヘルマン・バークレーの私有地から流されてきたのだ。

 監視しているのはイストンより外の海のため、
パトリックに気付く事が出来なかったのだ。

そのため、クラウスはポールに対して、
「サボってなんかいねーよ。」
と言ったのだ。

 そして、パトリックが目を覚ましたときの、

「いいかクラウスお前の言うことなど信用できん。」

につながるのだ。

 これも、ポールに聞いた話だ。


 パトリックとアーサーは海中に生える花を採りに行くことにした。

二人は丁度二人用位のボートを浜辺から10mほど漕いだ。

そこでアーサーが、
「この辺りいいるはずだ、どっちがいく?」
と聞いてきた。

パトリックが、
「じゃあ先に見本を見せてくれ。次は俺が行くから」
と答えた。

アーサーは、
「じゃあ、しっかりと見てろよ。」
と言いTシャツを脱ぎ捨て勢い良く海へと潜っていった。

 アーサーは中々顔を出さなかった。

 もしかして、溺れたのか?

パトリックは次第に不安になり、ついに海へ飛び込む事にした。

その時、後ろからバシャッと音がしアーサーが出てきた。

しかし、勢いのせいでパトリックは海に落ちてしまった。

 アーサーは先にボートに乗り込み、
「ははは、慌てたか?」
と言い右手を差し伸べてきた。

左手には青い花を持っている。

パンジーのような花だ。

パトリックは、
「悪ふざけはよせ」
と言いながらアーサーの左手につかまった。

その時、パトリックは初めて知った。

アーサーは腹に大きな傷を負っていたのだ。



この小説について

タイトル イントルダー 第四話
初版 2008年10月3日
改訂 2008年10月4日
小説ID 2736
閲覧数 734
合計★ 0
ルディブルの写真
常連
作家名 ★ルディブル
作家ID 402
投稿数 4
★の数 2
活動度 561

コメント (0)

名前 全角10文字以内
コメント 全角3000文字以内 書式タグは利用できません
[必須]

※このボタンを押すと確認画面へ進みます。