百千 - 第一話))★★ 海岸と華

矢月が時々顔を出している喜楽屋は、士軌の家の一階にあった。
あの店を経営している駿河、滝十、刈馬の三人は、店の奥の一室に居候していた。歳も出自もバラバラな三人が何故士軌の所に居候しているのかは不明だ。

店の奥の梯子を上がると二階に士軌の住まいがある。



士軌と矢月が居間で、士軌が買ってきた昼ご飯を食べていた。


居間は広く、板の間と畳の間が襖で分けられるようになっている。部屋は他に台所と士軌の寝室、そしてあの大破した部屋があった。今、矢月はあの部屋に居候している。



二人は板の間のローテーブルに向かい合って座り、デカイ肉まんにかぶりついていた。


女の子のくせにガブリと口いっぱいに頬張って、切れ長の目を細めて幸せそうに食べる矢月を見て、士軌は呆れ顔で言う。

「アンタ生命界の女の子だよね、よく平気でそんな食べ方すンなァ」

そういう士軌は姿勢よくあぐらをかいて、意外と行儀よく食べていた。鋭いが少し子供っぽい顔に似合わない。

矢月は口がいっぱいで、黙ってモグモグしていた。やがてごくんと飲み込む。

「おいしいものこんなにもらったの初めて。」

パチッと目を大きく開き、クリッと士軌を見て言った。あっけらかんとした矢月を見て、士軌はため息混じりに笑いながら言う。

「悲しいこと言うなよ、アンタほんとに出自不明確だよね・・・またなんで変な居候が増えちゃったかな」

最後ダルそうに独り言を言って頭をかく。無造作に後ろにやった、白く光る黒髪がくしゃくしゃになる。

矢月は黙ってまた肉まんを大きく頬張った。士軌がそれを見て笑う。矢月は勢いよく食べていたが、まだ一つ目の半分も食べ終わっていなかった。口が小さいのか、食べるのが遅い。

士軌はとっくに食べ終わっていた。思い出したように言う。

「そーいや、今日 アイツ例の仕事だっけね」

矢月がさっぱりといった顔で首をかしげる。士軌は『喜楽』と達筆で書かれた湯のみで、妙に香ばしい香りのお茶を飲んで言った。

「滝十。娘さんの護衛さァ」

矢月が思い出した顔で何度もうなずく。士軌は面白がるようにそれを見て呟くように言った。

「アンタあんましゃべんないよね。表情でわかるからいいけど」

え?っと無言で矢月は士軌の顔を見た。探るような目で士軌を刺すように見る。

「ちょッおまッあんまそーゆー目で見んな なんかぃやだその視線・・・妖力で顔に穴あきそう」

矢月は慌てて下を向く。


最近矢月は妖力で困ったことばかり起こしていた。突然の騎馬隊の出現で通りのお店のショウウィンドウを割ったり、人を道の脇の水路に落としてしまったり、矢月の妖力の働き方は厄介ごとを呼ぶ。その度に士軌の財布から金が飛ぶ。


「アンタちゃんと妖力の制御の仕方おぼえないと危なくない?・・・てかこれ以上家のもんを壊さねぇでもらいたい」

いいながら士輝は居間の隅にある無骨な棚をすっかりテンション下がって見る。

その棚には割れた皿やランプ、なんか毛がめっちゃ広がった歯ブラシ、なんだかわからないが真っ黒焦げのもの、底に穴が開いたバケツ・・・いろんなものがごたごたになって入っていた。

矢月はチラッとそれを見て拗ねたような顔をする。

士軌が少しあわてて言った。

「いや、文句言ってるわけじゃねーよ?ただ、アンタも困ってるンじゃねぇの?」

それでも矢月は黙ったままだ。
士軌が頭をかいて何か言おうとした時だった。




「あれ〜?だあれ?」


甘い響きの綺麗な声が後ろから響き、二人が振り返ると、派手な水色のドレスを着た女の子が土間の台所に立っていた。
着物風のドレスは見たことも無い派手な形で、外人顔の女の子によく似合っていた。歳は矢月と同じくらいだろうか。


「亜海・・・」

士軌がめんどくさそうに呟いた。


「来ちゃった☆」

亜海と呼ばれた子はニコッと微笑して士軌の隣に座る。
深い青の目がきらびやかで、整った顔は声や態度の割に少し大人びていた。

矢月をじーっと見てまた聞く。


「だあれ?」


矢月はまるで見慣れない金髪美女に人見知りして目を伏せている。


「生命界の子。なんか強引に住みつかれた。」

そっぽ向いてめんどくさそうに士軌が言った。 
亜海は可愛い人懐っこい笑みを浮べてあいさつする。

「初めましてこんにちわ。亜海砂(あみさ)です。亜海でいーよー」

矢月はその笑顔につられてぎこちない笑みで小さく言った。

「矢月。」

あまりに不器用なあいさつに、士軌がぶっきらぼうに口をはさむ。

「それだけ?てかもうそれ声じゃねぇよ、息だよ」

言ってから亜海の方を見て言う。

「コイツいい年して人見知り激しいんだ。気にすんな」

亜海は別に士軌の説明がなくても気にしている風ではなかった。




「亜海、今日お仕事で来たんだよ〜。昨日どっかの店の貿易船がー、違法な陶器の壺もちこんでねー――」

話し出した亜海に士軌が口をはさむ。

「違法な壺ってなに?・・・アンタたちの常識はよくわかんないから」

「妖がらみのものみたいでー、呪い殺しに使うんだって、パパが。」

矢月は不思議そうに話を聞いていたが、二人の間ではよくある会話なのだろう。当然のように話が進んでいく。

「船止めた時にはもう下ろしたあとで〜パパが船員から聞きだしたの〜。」

亜海は笑顔のまま言う。

「どうやって聞き出したのかは聞きたくないな」

士軌が顔を引きつらせて言った。
亜海は楽しそうに笑って、話を続けた。

「それでね〜亜海は聞き込みするの。だから士軌に手伝ってもらおうと思って」

そこで士軌が顔色を変えた。かたくなな態度で即答える。

「俺は遠慮しとかァ」

亜海が口を尖らせて、とがめるような目で士軌を見る。
綺麗な目が迫力を増していた。

「そーゆー危ねぇところは行きたくないの」

刀を腰に差してる奴がよく言う。
矢月は急に口をはさんだ。

「それどこ?」

亜海は少しふいをつかれて、驚いた顔で答える。


「港の裏町・・・掘木(くつぎ)って通り・・」



それを聞いた矢月は少しうきうきして言った。

「滝十がいってるお店、その辺だッ。ね、滝十の仕事見に行こ」


士軌はめんどくさそうに言う。

「ンなもん、ただ店のまわりうろうろしたりするだけだよ、見に行っても面白くないとおもうよ?」

そうはいうが、条件が違ってきたのがわかる。亜海はようやく話がわかったらしく、のってくる。

「いいよー、一緒にいこーよー」


士軌の顔がムッとする―――――









後書き

最後まで読んでくださった方、ありがとうございました☆
今回は大して何も起こらず、、、つまんなかったかもです))汗
意味わかんないところとか、ほんとダメなところはあると思うんで、あったらぜひコメよろしくお願いします!!

この小説について

タイトル 第一話))★★ 海岸と華
初版 2008年10月5日
改訂 2008年10月6日
小説ID 2743
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音輝の写真
駆け出し
作家名 ★音輝
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