光と闇と剣と - 第3話

 「今西ー。こんな方程式も解けないから、いつまで経っても数学が2なんだよー。」
 久野川先生は、間延びした声で友則に語りかけるが、友則の口元はひきつっている。
 「それに比べて鳴海と蜂須賀は偉いねぇー。2人は高校どこでも行けるぞ。」
 「あ、ありがとうございます。」
 と、黎夏は適当に感謝し、
 「ホントに?イエーイ、やったーやったー♪」
 と、当真は心から喜んでいる。
 そんなところに、
 「遅れてごめーん!」
 と元気な声が飛んできた。
 (この声は・・・。)
 3人ともがそう思った。そう、今更あのバカが来たのだ。
 結城はテーブルの前に立ち、言った。
 「ごめんな、遅れて。いやー実はとんでもない大発見して・・・!!!」
 結城の視界の右手前に、何やらまがまがしい雰囲気を出している女性がうつむいて座っているのが見えた。
 その女性はゆっくりと立ち上がり、ゆっくりとこちらに首を向ける。
 「こんにちは、蓼科君。」
 「・・・ひぃ!」
 刹那、剣にて一閃。




 机の上には、丸められた巻物が置かれている。
 「いやー、ホントに竹藪の中にこれがあったんだよー。」
 結城は真顔で説明するが、眼の下にたんこぶができている。
 「で、これ本物なの?」
 黎夏か尋ねると、
 「本物だね。題の下に、武蔵の印が押してあるからそう判断できるだろう。」
 と久野川先生はすらすらと話す。4人から素直に、おー。という声が漏れる。
 「結城はこの中身を見たのか?」
 「あぁ、それがな・・・。」
 巻物を手に取り、紐を解いていく。そして、広げた状態の巻物を机に再び置く。
 「これは・・・。」
 巻物は、4行ほど書かれているだけで、残りのほとんどは真っ白だった。
 「先生、これ何て書いてあるの?達筆すぎて僕らには読めないよー。」
 「どれどれ・・・。」
 と、久野川先生は巻物を体に寄せる。
 「・・・優しく言えば、『光の剣の道を極めたい者たちへ。光の剣とは優しき剣。森羅万象に憐みの心を持たない者は極められない。光の剣を極めるためには、自分を信じ、仲間を信じ、剣を信じ、相手を信じることが一番の近道である。そうすれば、この書が新たな道をあなたたちに指し示すだろう。』だとさ。」
 5人はしばらく黙りこむ。
 しばらくして、久野川先生が
 「あ、もう二時か・・・。お前ら、この『光の書』についてレポートを完成させたらどうだ?それまで先生はこのことを誰にも口外しない。あと、困ったことがあったら、ここに電話して来いよ。じゃあ、先生は今から家帰って大好きなみたらし団子食べるから、さようならー。」
 と言い、ポケットからメモ帳を取り出して、電話番号をさらさらと書き、スキップでその場から立ち去ってしまった。
 結城らはまた固まってしまう。
 そんな中、最初に口を開いたのは当真だった。
 「なんか楽しそうなことになってきたねー♪」
 「気楽だな、当真は。危険な目にでも会っちまったらどうすンだよ。」
 「でも、確実にやりがいはあるよね。夏休みはあと40日以上あるんだし。」
 すると友則は、立ち上がって言った。
 「結城の話じゃ、この巻物を狙ってた怪しい男がいたんだろ?そんなの、このことについて調べたりしてたら確実に俺らは襲われちまうだろうがよ。そんな危険なことしてまで、やることじゃねェだろ。」
 結城はその話を黙って聞いていたが、ついに口を開いた。
 「・・・友則は腰抜けだなぁ。もしかしたら、今回のことで死ぬかもしれないけど、どうせお前みたいな奴は、これからの決闘で死ぬんだよ。どうせ死ぬなら長生きしたいってか?」
 結城は笑いながら友則を罵る。
 「なんだと?・・・俺は腰抜けなんかじゃねェ!俺だって今まで決闘で6人殺してきた。そんな俺が、こんなところで引いてたまるかァ!ほら、さっさと活動開始だ!!」
 と、急にやる気を出した。結城は黎夏の耳元で囁く。
 「・・・単純だろ?友則は。」
 黎夏はそれを聞いて苦笑いした。そして結城は大きく息を吸い、
 「よぉし!じゃあ明日は1時に友則の家に集合!それじゃ解散!」
 「なんで俺の家なンだよ!」
 「だって一番やる気あるしさ。」
 「それだけかよ!」
 こうして、4人は図書館を後にした。
 (明日は遅刻しないようにしなきゃな・・・。)
 結城は、小さく決心した。






 薄暗い部屋に、二人の男がいる。一人はパソコンを操作し、もう一人は椅子に腰かけて、後ろからその様子をじっと見ている。そんな場所に、一人の黒ずくめの男が慌てて入ってきた。
 「首領!『光の書』の探索に出ていた第26班の報告によりますと、『光の書』は、中学生らしき子供に奪われたとのことです!」
 首領と呼ばれる男の眉間が歪む。すると、パソコンを操作していた男がそちらを向き、
 「首領、私に良い考えがございます。」
 と言った。
 「なんだ。簡潔に言え。」
 「『光の書』を手に入れた者たちは、きっと『闇の書』を狙っていることと思います。しかし、『闇の書』はすでに我々の手中にあります。つまり、『闇の書』を餌に、奴らをおびき出せばよいのです。」
 「どのようにしておびきだすのだ?」
 「簡単なことです。剣の大会を開けばよいのです。奴らは中学生。そんなにあのほこらから家が離れているとは考えにくいです。なのであの辺りの公報掲示板にでもチラシを張り付けておけば、奴らの目に留まるのではないでしょうか。」
 「一か八かの賭けということか・・・。おもしろい、その作戦を3日後にでも決行しよう。」
 「ありがとうございます。おい、そこのお前。今すぐ会場の手配と全国の有名剣道協会に連絡を入れろ。」
 男は小さくうなずき、部屋から足早に去って行った。
 「ちっ、ウジ虫が邪魔しやがって・・・。」
 忌々しそうな顔をして、親指の爪を噛み始めた。





 結城は、寝る前に目覚まし時計のセットをしていた。
 「10時に起きりゃあ間に合うよな・・・。」
 そう言いながら床に就いた結城だったが、今朝ずっと目覚ましを鳴らしていたせいで電池が切れていることなど知っているはずがなかった。

後書き

はい!なんかだんだん文章が粗くなってる気が・・・。
次回からは本格的に剣の大会に入っていくと共に、文章が若干長くなるかと・・・。

コメントよろしくおねがいします!!


ではまた。

この小説について

タイトル 第3話
初版 2009年3月5日
改訂 2009年3月6日
小説ID 3035
閲覧数 1122
合計★ 4
せんべいの写真
作家名 ★せんべい
作家ID 397
投稿数 62
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活動度 12726
卓球とみたらし団子とピアノが大好きな変態です

コメント (2)

PJ2 2009年3月5日 19時35分24秒
私と同じ年ですか?!
中学三年生・・・・・・今年高校生ですか?
受験勉強ほったらかして小説を書いていた自分が言うのもなんですが、両立って、できてます?
私は無理ですが。
作品、良かったです。先生の危機感の無さがでているし、また裏で何か起こっているなど、続編、楽しみにしています
せんべい コメントのみ 2009年3月6日 18時08分56秒
まさか同じ学年がいたなんて・・・。

僕の場合、部活の卓球で近畿大会に出たんで部活の推薦が来て高校受験はほぼなかったんですけどね。
両立って何? って感じです。笑

コメントありがとうございました。
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