光と闇と剣と - 読みきり第一弾:久野川先生編

 友則と当真は、学校の帰りに桜坂駅前のデパートで遊んでいた。
 「暗くなってきたし、そろそろ帰ろっか。」
 「そうだな、確か母ちゃんが今日の晩飯はすき焼きだって言ってたから早く帰らねェとな。」
 「えー!いいなー!」
 そう言いながら、二人はデパートを出た。
 すると。
 「・・・ねぇ友則、あれって久野川先生だよね?」
 「あァ?ホントだな、なにしてんだろ・・・。」
 久野川先生は、桜坂駅前広場のベンチに一人で座っていた。
 「話しかけにいこっか♪」
 「バカ!誰かきたぞ!」
 久野川先生に、一人の男が近づいて行った。その男は先生と同い年ぐらいで、先生と笑顔で会話している。
 「・・・これは!」
 二人は口をそろえて言った。そして友則は当真の耳元で話す。
 「・・・おい当真。先生に彼氏っていたっけか?」
 「・・・そんな話、聞いたことないかも。」
 久野川先生は、確かに美人だ。28歳で、身長も170センチ以上あり、バスト・ウエスト・ヒップ・などと共に、女性としてはトップクラスの外見を誇るが、その問題は例え恐竜と決闘しようが全く逃げなさそうな男勝りな性格にあった。そんな久野川先生が、デートだなんて信じられるはずがない。
 「よし、尾行すっか。」
 「楽しそー♪やるやる!」
 と言っているうちに、先生と男は二人並んで歩いて行ってしまった。
 「しまった!当真、急げ!」
 急いで後をつける。先生たちは、メインストリートのCDショップへと入って行った。
 「なんかいよいよデートっぽいなァ。」
 電信柱の影に隠れながら友則は言うが、当真は
 「こんなに人がいるんだからいちいち隠れなくてもいいじゃん。」
 「このほうが雰囲気出るだろォが。」
 二人は外からガラス越しに中の様子を観察する。すると、肩を寄せ合ってCDを選んでいる姿があった。
 「・・・おいおい。あの先生が男とくっついてるぜ!」
 「友則、しっ!二人が出てきたよ。」
 先生たちは、さらにメインストリートの奥へと進んでいき、角のコインパーキングに止めてあった車に乗り込んだ。その車は、いつも学校に停めてある久野川先生のものに間違いなかった。
 「・・・確定だな。」
 「だね♪」




 次の日、授業がすべて終わった後、友則と当真は早速昨日の出来事を結城たちに話した。
 「はぁ?先生に彼氏?お前らどんな夢見てるんだよ。」
 と、結城は全く聞く耳を持たないが、
 「先生いいなぁ・・・。私も彼氏ほしいなぁ・・・。」
 と、目を輝かせている。
 「本当なンだよ!駅前の通りでデートしてやがったンだよ!」
 「信じられないならあそこにいる先生に聞いてみたらいいかも。」
 「・・・まぁ、結構気になるしな。」
 ということで、教卓の上で学級日誌を書いていた久野川先生に聞いてみることにした。
 (当真、お前が聞けよ。)
 (えー、・・・わかった。)
 「先生、昨日駅前広場でなにしてたんですかー?」
 四人は、先生の返事を目を見開いて待つ。
 「え?・・・あちゃー、お前ら見てたのか。まためんどくさいことに。」
 「ってことは・・・。」
 「んなワケねーだろが。あれは先生の弟だよ。」
 え?彼氏じゃない?という声が四人から無意識のうちに漏れる。そんな四人を見て、一瞬目を細めたが構わず続ける。
 「先生はもともと地方の出身でな、今回田舎から弟がこっちで仕事探すって言うから、私が面倒看ることになっただけだよ。」
 四人は肩を落とした。先生に彼氏なんて、この上ない大ニュースだ。そんな中、黎夏は聞いてみた。
 「先生に今彼氏はいないんですか?」
 「そんなものは今必要ないね。」
 先生は微笑んで答え、さらに続けた。
 「今はお前たちを希望の高校に行かせることが先生の目標だよ。そりゃあ恋人は欲しいけど、この性格じゃあねぇ・・・。いつもお前らに怒鳴り散らしてばかりで、先生のことお前らも嫌いだろうけど、正しいことで怒ったことはないはずだしさ、しっかりした将来を歩んでほしいんだよ。これからは合唱コンクールや体育祭とかいろんな行事があるけど、そう言う時に先生がクラスを1つにして、『このクラスでよかった。』って思って卒業してほしいんだ。まぁこんなこと、みんなの前じゃ絶対いえねぇけどな。」
 黎夏と当真の目には、うっすらと涙がたまっている。友則も、下を向いて動かない。結城は口を半開きにしている。
 しかし四人とも、こんな言葉が先生の口から聞けるなんて夢にも思っていなかった。
 「・・・私、先生のこと尊敬してます。こんな強い女性になりたいです。」
 「・・・ありがとう。鳴海。」
 教室には、夕日が差し込みオレンジ色の景色になっている。
 しかし、そんな感動的な雰囲気をブチ壊す言葉が結城から発せられた。


 「先生がそんなこと言うなんて、太陽系が直列して、日本が沈没するぐらいありえねぇよな・・・。(笑)」


 結城は言ってから気づいた。俺、殺される。
 そして三人な遠い目で結城に訴えかけた。グッドラック!
 なんだか、地響きが聞こえる気がする。いや、気のせいではない。
 「・・・蓼科。口は災いのもとって言葉しってるか?」

 ひぃ。
 
 叫ぶ間もなく、結城の顔面がへこんだ。


後書き

えーやっぱし先生は先生ということで。笑

コメントよろしくお願いします。

この小説について

タイトル 読みきり第一弾:久野川先生編
初版 2009年3月7日
改訂 2009年3月7日
小説ID 3038
閲覧数 915
合計★ 4
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作家名 ★せんべい
作家ID 397
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活動度 12726
卓球とみたらし団子とピアノが大好きな変態です

コメント (2)

PJ2 2009年3月9日 12時56分39秒
読ませていただきました。
結城は顔がへこんだぐらいで済んでよかったですね。首が飛んでもおかしくないと思いました、あの例えは。太陽系が直列はひどいですね。
作品全体としては、もう少し先生のデートらしきものが続くと良かったのですが、それは読む側の好き嫌いなので。
作品自体良かったと思います。
それでは、本編の続きを待ってます。

★せんべい コメントのみ 2009年3月18日 10時43分08秒
コメントありがとうございます。

確かに、尾行はもう少し長いほうがおもしろいですね。


ご忠告、ありがとうございました。
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