透明

 ―透明―


自分が透明であるという事に気付いたのはつい二分前。
交差点の人混みの中で立ち止まる。
なんでこうなっちゃったんだろう。
あたし、どうしよう。


あたしはあたしが見えない。
じゃあ他の人には見えるのかな、と思ってあたしの前を横切ったサラリーマン風の人の肩を叩こうとしたらすり抜けた。
見えるどころじゃない。
触れない。
もしかして、とその場で叫んでみた。
・・・声も届かないらしかった。
誰にも見えないし、触れないし、聞こえない。
助けを求めることも不可能だし、自分で解決しようにも透明になったときの対処法をあたしは知らない。
どうしたらいいんだろう。


どうしようもなくて、歩き出す。
周りの音は聞こえてるのに、あたしの足音が聞こえない。
あたし、死んだのかな。
幽霊になったのかもしれない。
はぁー、と聞こえないため息をつく。
あたしは、存在してるのかな。
大体、存在ってなんだろう。
そんざい、そんざい、そんざい、・・・・・・そこにいるということ?、
声に出していってみたのに、やっぱり聞こえなくて、悲しくなるだけだった。
国語辞典引きたい。


あ。
方向を変えて、駅に向かって走り出す。
もしかしたら、もしかしたら、もしかして。
たくさんの知らない人にぶつかって、もちろんぶつからなかったけど、
駅に着いて、ぜぇぜぇと誰にも聞こえない呼吸をしながら、
あたしは、あたしの存在をたしかめたくて、
その場所に立った。


ウィーンというコンビニの自動ドアの音。
開いた。
よっしゃ!と、誰にも聞こえない声で叫ぶ。
なんでか嬉しかった。
誰にも、見えてなくても、
誰にも、触れなくても、
誰にも、聞こえなくても。
もう、しょうがないことは、どうでもいい気がしてきた。


だってあたし、ここにいるから。

後書き

初投稿です!
自動ドアじゃなくて電車に飛び込むとか一瞬考えましたが。
とりあえずハッピーエンドがいちばんです・・・。

この小説について

タイトル 透明
初版 2009年3月17日
改訂 2009年3月17日
小説ID 3048
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ゲスト
作家名 ★飴桐
作家ID 447
投稿数 1
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活動度 92
はじめまして。

コメント (2)

★水原ぶよよ コメントのみ 2009年3月21日 11時02分56秒
初めて読んでから、なかなかコメントを書き込む時間がありませんでしたが、ようやく書き込める時間ができましたので書き込みます。

オチというオチもないし、ジャンルとして、私の思い違いでなければ、これは一発ネタとは違うと思います。
内容なのですが、ネタとしては悪くないのですが、あー早まったなぁーという気がして仕方ありません。
自動ドアだけは主人公を認識してくれたということでハッピーエンドといってるみたいですが、そこで終わってしまうと、
「えー、それで終わりか、満足かぁー」
と言いたくなりますね。
同じネタを扱っているマンガや小説はありますが、私が見ている限りどれもこういう尻切れトンボみたいな終わり方はしていません。自分がなぜそうなってしまった認識をして終わるものもありますが。

もう少し先を考えて暖めて投稿したほうがよかったのではないでしょうか。
死んでいるかもしれないから霊能力者探してみるか、とか、本とか物とかに触ることはできるのか、いろいろ試してみるとか。

でも、読みやすかったし、続きがあるのであれば期待しちゃいますね。
今後に期待しております。
★飴桐 コメントのみ 2009年3月21日 14時29分53秒
水原ぶよよ様
コメントありがとうございます!
オチなし、ジャンル違い、
次は改善します。
もう少し、長く、内容を面白くできるように頑張りたいです!
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