光と闇と剣と - 第10話

 「鳴海は気づいたらしいな・・・。しかたない、単刀直入に言おう。久野川流の真相というのはだな・・・。」
 3人は息をのむ。黎夏は何かに脅えているような表情をしていた。
 先生は、ゆっくりと口を開いた。

 「亡霊による強さだ。個人の強さではない。亡霊の生前の強さが憑依しているだけなんだ。」

 室内に沈黙が下りる。黎夏を除く3人が口を開けていた。
 (やっぱりか・・・。)
 黎夏はつぶやいた。この世の全てを悲観するかのように。
 「・・・意味わかんないし。そんなの、俺らが一生懸命特訓したから強くなったんだぜ。」
 「そうだ。お前らが先生の与えた無理難題をクリアしようとしたから亡霊が憑依したんだ。」
 「なんで先生にそんなことがわかるんだよ!」
 結城の口調がだんだんと強くなってきた。
 「先生に憑依している亡霊が、『沖田総司』だからだ。」
 その言葉を聞いた結城は、一気に大人しくなった。
 「お、沖田だって?」
 先生は頷いた。
 「そうだ。あの有名な『沖田総司』だからこそ、先生の周りに剣豪の魂が集まってくる。それを、お前らに憑依させたというわけだ。」
 「そんなめちゃくちゃな・・・。」
 確かに、先生の言っていることはつじつまが合う。こんな短期間で、あそこまで剣術が上達するはずもない。
 やはり、結城達の強さは、亡霊による強さなのだろうか。
 「・・・こんな強さ、俺は認めねーよ。」
 体を震わせている結城を見て、先生は、はぁ?と、漏らした。
 「俺が求めてるのは、自分自身で相手をぶった切る強さなんだよー!!!」
 大声で叫ぶ。隣の部屋から、慌てたような足音が聞こえてきた。
 「蓼科、落ち着け。誰も一生このままなんて言っていないだろう。」
 暴れていた結城の動きがピタリと止まる。
 「お前がその亡霊の強さを超えたとき、自然に亡霊は体から抜け出す。」
 「どういうことだ?」
 結城は鼻息を荒くして言う。
 「つまり、お前自身が亡霊を超えればいいんだ。その時まで、亡霊の力を借りて強くなれ。蓼科。」
 「お、おう・・・。」
 結城はすっかり納得してしまった。再びその場に腰を下ろし正座をし始めた。
 「先生。つまり私たちは確実に強くなっているんですか?」
 「そうだ。それだけは安心してくれ。」
 その時、思い出したように友則が言った。
 「そうだ先生。俺が試合してる時に、どこからか声が聞こえてきたンだけど・・・。それって亡霊の声なのか?」
 それを聞いて、先生はきょとんとした顔をした。
 「・・・いや?先生の経験上、亡霊と会話したことなんてなかったなぁ。気のせいじゃないか?」
 「いや・・・。でも俺はその声のお陰で勝てたンだよな・・・。」
 友則は首をかしげながらも無理やり自分自信を納得させた。
 「よし、もう十分理解できたか?まぁ理解できてなくても事実だから鵜呑みにしてくれ。じゃあたくさん食べて眠いから先生は寝るからなー。おやすみー。」
 と言うと、そばに敷いてあった布団に寝転がった。
 布団は人数分しかないのだが、先生は2枚も占領している。
 「ほんと、先生ってお気楽な人かも。」
 まさに当真の言うとおりである。
 「明日って試合なかったよね?」
 「うん。だからゆっくり寝て疲れを取った方がいいかも。」
 (蜂須賀君の「〜かも。」っていう口癖、曖昧で困るんだよね・・・。)
 そんな会話のうちに、結城と友則も眠ってしまっていた。
 「・・・うちのチーム。図太い神経の人が多いみたいだね。」
 「・・・それ、僕も思ったかも。」

 突然の告白が行われた夜は、こうして簡単に更けていった。






 
 (黒羽様・・・。初めて顔を見ることになるのか。)
 時刻は午前3時。
 真夜中の森を、黒い影が駆け抜ける。 
 (黒羽様、やはり『真・白虎隊』の一員というのだから、相当腕が立つお方なのだろう。楽しみだなぁ。)
 月の光に照らされ、一瞬その影の姿が露になる。
 長い髪の男だった。眼光はやわらかく、優男にしか見えない。
 そんな男が、暗黒の森を人間では考えられないスピードで走っている。
 しばらくすると、結城たちが激戦を繰り広げた武道館が見えてきた。
 その目の前で立ち止まると、高い武道館の外壁を見上げていた。
 「・・・ここに黒羽様が。・・・月待颯詩(つきまちそうし)ただいま参りました。」






 室内は、騒音が響きわたっていた。
 (ね、眠れないー!!昨日もそうだったけど、今日はそれ以上だしー・・・。)
 黎夏は枕を頭にかぶっていびきをなんとか凌ごうとしていたが、無駄な努力だった。
 (そういえば、一体誰のいびき?もう、マジありえない・・・。)
 黎夏は、音のする方向を探す。
 (・・・先生?いや、やっぱりこういうところではしっかり女らしい部分があるんだ。)
 黎夏は妙に感心してしまった。
 (じゃあ結城?・・・違う。いびきはしてるけど、それほどうるさくもない。じゃあ・・・今西君?)
 友則の方に耳をすませる。すませたくもないという気持ちがあるのは当然だが。
 (・・・違う!!じゃあ一体誰が・・・。)
 はっ!!と、黎夏は気づいた。
 恐る恐る隣で寝ている残りの一人に神経を集中させる。
 ぐおおおぉぉぉ・・・。ぐおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ・・・。
 爆音は、間違いなくそこが音源だった。

後書き

すんません。時間なくて更新遅れました。

そのせいでの稚拙、幼稚な文章は、目をつぶって頂けたら幸いです。
そのせいで、文章も短くなってしまいました。



次回は、今回の面目躍如となる作品を書き上げたいです。


では、コメントいただけたら嬉しいです。

この小説について

タイトル 第10話
初版 2009年4月11日
改訂 2009年4月11日
小説ID 3097
閲覧数 1070
合計★ 13
せんべいの写真
作家名 ★せんべい
作家ID 397
投稿数 62
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活動度 12726
卓球とみたらし団子とピアノが大好きな変態です

コメント (5)

★みかん 2009年4月12日 0時00分06秒
中々面白い展開になってきました。

自分の力で強くなりたい……それがやはり本音ですよね。

主人公らしい思いが感じ取れました。

今後の展開が気になりますね。

では、次回作も楽しみにしております。
PJ2 2009年4月12日 3時16分37秒
こちらは、成り行き上進学校なんかに合格したせいで、せんべいさんほどではなくともやる事が山積みに。
そんなことより、読ませていただきました。
いやぁ、なんとも結城が主人公らしさを発揮してましたね。良かったと思います。
あと、『沖田総司』は、何者ですか? 補足説明があると助かったのですが・・・・・・すいません、武将や武士の関係はあまり知らないので。
白虎や麒麟、朱雀なんかも日本の神様(に近い)なんで、上手く活用すると良いと思います。
では、続編を楽しみにしています。  
★せんべい コメントのみ 2009年4月12日 10時29分44秒
みかんさん。コメントありがとうございました。
お褒め頂き誠に光栄でございます。

そうなんです。
あいつ、主人公なんですよね。
名目上ではなく、今回で立派な主人公になったなー。と、思いました。

次回作もがんばります。
★せんべい コメントのみ 2009年4月12日 10時35分55秒
PJ2さん。コメントありがとうございます。

結城、主人公です。覚えておいてください。

・・・たぶんですけど。

でもそんなに具体的には決めてないんですよね。
メインキャラと敵がかっこよく剣を交えてくれたらなぁ。
と、思っております。

個人的に当真がお気に入りなので、
最後のいびきのシーンに使ってみたり。

最後に、沖田総司ですが・・・。
江戸時代後期、幕末の新選組の隊士。副長助勤、一番隊組長、撃剣師範。江戸時代の無類の天才剣士である。

とりあえず、すごい人です。

次回も読んでいただけるとうれしいです。
ほっしー 2009年4月12日 15時48分43秒
読ませていただきました。
みなさんが言われているように、主人公らしさが出ていたと思います。
いやー、結城の信念が伝わってきました。
かっこよかったです。はい。
次回も心待ちにしています。
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