りれしょ物語 - 生き地獄

 図書館から九条先輩と雛利と別れた俺達の三人。
目の前には須藤家(小雪の家)が建っている。
キリコ先生はニコニコした満面の笑みで呼び鈴を鳴らそうと指を前に出す。
俺は慌ててキリコ先生の右腕を掴み、呼び鈴を鳴らすまいと必死に抵抗をした。
なぜ小雪の家に来たのかという疑問を持ちつつ、もう一つ疑問になる要素があった。
それは、キリコ先生が持っている黒いアタッシュケースだ。
そのアタッシュケースにはいつも俺達への拷問道具(勉強道具)が入っていて、特に俺と村崎が苦しめられていた。
その苦い経験からこのパターンはまずいと体全身に脳から伝達されるような感覚に陥っていた。

「キリコ先生は俺達を連れて小雪の家で何をさせるつもりですか?」
「何って今は小雪は事故を起こしてからやっと仮退院できるほどに回復しているんだろ? だったらお見舞いしないと、それこそ失礼じゃないのか」
「だったら今じゃなくてもいいでしょ。 煽だってることですし、また日を改めてということにしましょう」

煽も状況が把握が出来ていないみたいで、キョトンとした表情のまま首を傾げていた。
しかしキリコ先生は自分にしがみ付いている俺を体ごと振り払おうと懸命に体を動かした。
俺は宙を左右に振り回されながらも懸命にしがみ付いた時にひんやりと冷たい風が俺の体を遮って須藤家の玄関に向かった。
その瞬間に玄関のドアがゆっくりと開く。

「あら、キリコ先生に剛君。 えっと……ごめんなさいね、お名前を伺ってもよろしいですか?」
「申し遅れました。小雪さんと剛君と一緒の高校に通っている煽 初音(あおり はつね)です」
「まぁそうだったの。 さぁ中に入ってくださいな、小雪も仮退院で帰ってきたはいいものの暇を持て余してしまっっているので、話し相手にでもなってくださいな」
(……おばさん、なんでで出てくるんだよ)
「ん? 今何か言った?」
「な……なんでもないですから、おばさん」

 まるで俺の心を見透かしたように小雪のお母さん。
小雪のお母さんは世話好きで、いつも俺や村崎と御堂の心配をしてくれるので感謝していたが、今日はさすがに恨んだ。
そしてさっきの風はキリコ先生が呼び寄せた悪魔が玄関を開けたと真剣に思った。
俺達三人は小雪の部屋に向かった。
小雪に逢える嬉しさとキリコ先生が居る戸惑いという気持ちが俺の脳内で渦を巻き、自分の体に重りが背中にぶら下がっているかと思うほど足取りが重かった。
『ガチャリ』
小雪の部屋のドアを開けるとベッドから小雪が俺達三人を出迎えてくれた。

「いらっしゃい。 あ、初音ちゃんも来てくれたんだ」
「うん。 体の方は大丈夫?」
「まあね。 でも学校に復帰するのはまだまだ先かなぁ。 そうそう剛、ちょっとこっちに来て」
「ん……なんだ?」
「必殺!小雪拳!!!」
「ゴフッ……ゲホ……ゲホ」

さっきまで煽と仲良く会話をしていたと思っていたから、急な小雪拳をボディ(みぞおち)に受けて倒れ込んでしまった。
下から見た小雪の表情は険しく、俺を睨みつけるように上から見下すようだった。
それをびっくりとした顔をしていたのは煽だったが、その横で腹を抱えながら笑いを堪えるキリコがいた。

「はぁ……やっぱりベッドの上からだと小雪拳も威力半減だね。 でも腕は鈍ってないようだったから安心したよ」
「キ……キリコセンセイ、もしかしなくても小雪拳は……」
「あんたの察した通りだよ。 元々はキリコ拳だったんだけどね、私が小雪に伝授したんだ」
「キリコ先生の技は私なんかよりもっともっと凄いんだからね。 そんなことでいちいち大袈裟に倒れ込まないでよ」

俺は言葉が出なく、恐るべしキリコ拳と小雪拳だなと改めて肌で感じ取った瞬間だった。
キリコ先生は思い出したかのようにポンと手を叩き、持ってきていたアタッシュケースを開けようとした。
俺はまたしても先生の腕を掴み、それを阻止しようとする。
そうしていると俺の携帯から着信をが鳴り出した。
その瞬時に不意を突かれて、先生の腕を離してしまった。
俺もう諦めて携帯の電話に出た。

「もしもし剛? 今日のデートはどうだったかな」
「お前のせいで今日は散々な一日だったよ。 今日の恨みは明日返してやるからな」

電話の主はもちろん御堂からだった。
捨て台詞を吐いて電話を切った先にはアタッシュケースから取り出されている道具とともに勉強という生き地獄が待っていたのは言うまでもなかった……。

後書き

やっと投稿できました。
大学生になって初めての投稿です^^

さて今回は小雪を退院させるかどうかで迷いました。
とくに重い怪我だったのですんなり退院させるのもどうかと思いましたんで、仮退院という形で終わらせてもらいました。
あとは小雪拳も出したいと思ったので使わせてもらいました。とても強い方なので小雪の師匠関係でも面白いかなぁと思ってこうしました。

次は日直さんですね。
またりれしょ1の方のリーダーとしても頑張ってください。私も微力ながらもお手伝いがあったら手伝いますので^^

この小説について

タイトル 生き地獄
初版 2009年4月16日
改訂 2009年4月16日
小説ID 3108
閲覧数 1047
合計★ 3
達央の写真
ぬし
作家名 ★達央
作家ID 183
投稿数 22
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活動度 6872

コメント (2)

★日直 コメントのみ 2009年4月18日 18時44分25秒
実は霧架先生なのでキリカ先生なんですよー。後で修正お願いします。

キリカ拳ー。今回は彼女の裏にある怪しい設定とかいろいろ思い浮かべられて楽しいお話でした。小雪は霧架流を勝手に自分流へと変えちゃったんですね。
次回はそこら辺を突いて頑張ってみたいと思います。ではー。
ひとり雨 2009年4月19日 15時10分10秒
キリカ先生、滅茶苦茶ですねえ。そこが破天荒でいいんですがw

小雪も小雪で、剛を呼んだと思えば小雪拳をお見舞い……腕は全く鈍りというものを知らないようで(笑)
キリカさんから伝承されたというのは、うなずける設定です。
そういう指導もしているキリカ先生、はっきりと浮かびますねえ。
次も楽しみにしていますw
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