お姉さんの心霊談 -  .瀬犖个里修个硫


先日、いとこの結婚している霊感の強いお姉さんから聞いた話です。



「今まで、いろんな霊体験をしてきてシャレにならへんくらい怖い目に遭った事ってないん?」
と、僕が尋ねたら教えてくれた。
僕が聞き伝えでここに書いても、その時の恐怖の状況がうまく伝わるかどうか分からないが、これまできいた話の中ではダントツで怖かった。






舞台はお姉さんの実家のあるY県。その山中にあるNダムというダム湖のそばで起こったらしい。

実話かどうかは知らないが・・・。



お姉さんは家電量販店で働いていて、その日、Y県のT市内のとある町に注文を受けたテレビを1人で配達にいったそうだ。


たまたまその町にはお姉さんの祖母が住んでいて、祖母の方にも私用があったから配達の前に祖母の家に寄り、ついでにテレビの配達先の家を知らないかと祖母に尋ねたそうだ。


そしたらお客さんの家は、祖母の家から目と鼻の先で、テレビの配達も無事に済ませて帰路についたらしい。


帰る前、祖母に隣接するK市内に寄って帰りたいから、ここから近道はないのかと再度尋ねたら、Nダムのそばを通る裏道を教えてもらったそうで、彼女はその道を通って車を走らせていた。


その日は昼間から曇天で、薄暗かったらしいが、あまり気にせず近道と教わった山中の一本道をずっと走っていたのだが、そろそろ山を下ってK市内に出てもいいはずなのに、一向に山道を抜けないし、それどころかアスファルトの舗装もなくなり、車1台が通れる程度のすごく狭いデコボコ道になってきた。


お姉さんはさすがに道を間違えたのかな?と不安になっていたら、ちょうどそこに農作業の帰り道とおぼしき1人のお婆さんが通りかかった。


お姉さんがそのお婆さんに、
「すいません。この道はK市に抜ける道であっていますか?」
と尋ねると、
「いや、この道は違うけぇ。この先もうちょっと行ったところに民家があって、そこの家の前が広うなっとるけぇ、そこでUターンしんさい」
と、親切に教えてくれたそうだ。


お姉さんはお礼を言い、教えてもらった民家まで、車を進めた。


しばらく行くと、お婆さんの言った通りに民家が見えてきたのだが、それが、こんな山中に何で?っていうぐらい大きな屋敷で、母屋の他に納屋と倉まで建っているような昔の豪農のようなたたずまいだった。


ともかく、お姉さんはその家の前を借りて車をUターンさせようとした。その時に先ほど、道を教えてもらったお婆さんがなぜか車の横に立っている。車でかなり走ってきたのに、なんでさっき別れたばかりのお婆さんがこんなところに?


お姉さんは気味が悪くなったのだが、一応窓を開けて先ほどのお礼を再度、述べたそうだ。


するとお婆さんは、
「せっかくだから家でお茶でも飲んでいきんさい。」
とお姉さんに強く勧めるので、導かれるままに、お姉さんは車を降りたそうだ。


すると、お婆さんが家の中に向って
「おじいさーん、きょうこさんが帰ってきたよー」
と意味不明なことを口走り、その声に応じて家の中からお爺さんが出てきて、
「ああ、きょうこさん、よう帰って来たね〜」
などとお姉さんにとって理解できない内容の声をかけてきたのだ。


お姉さんの名前は「きょうこ」ではないし、その老夫婦もその日初めて会った見知らぬ他人だったのにも関わらずだ。


その時、お姉さんは母屋の中からお姉さんをじっと見つめる明らかな視線を感じた。


ぎょっとして納屋の方を見るが、もちろん中の様子は分からない。


お姉さんは気味が悪いのをこらえて、お爺さんに勧められるまま、縁側に腰かけた。


縁側にお姉さんが腰を掛けてもそのお爺さんは
「きょうこさん、よう戻ってきた」
などと変わらず、意味不明のことをお姉さんに言うので、お姉さんはこのお爺さんはきっと少し痴呆が入ってるのだ、と解釈し、
「いえ、私はただの通りすがりの者できょうこさんじゃありませんよ」
と言ってみたのだが、お爺さんは全く聞く耳を持たない。


次の瞬間、お姉さんは意識を失ってしまい、ふと気がつくと、母屋の中の仏間にお爺さんと2人でなぜか座っていた。


お姉さんは自分の意識がなぜ飛んだのかわからなかったが、おじいさんはまた一方的にお姉さんに話しかけてきた。


「昼の間は他のもんは出払っとって、ワシ1人じゃけえのう」


お姉さんは気味悪さをこらえつつ
「あ、そうなんですか?でも、納屋の方にひょっとしたらどなたかいらっしゃるんじゃないですか?」
と聞き返した。すると、
「ああ、あれはうちの孫の子なんじゃが、結核を患ろうて、ここに置いとるだけじゃ。数のうちには入りゃあせん。」
と、お爺さんは言う。


「ああ、病気の療養をされてるんですか。それは大変ですね。」
と、お姉さんが言った瞬間、何者かがお姉さんの腕をギュッと掴んだ。


びっくりしてお姉さんが自分の腕を見ると、3歳ぐらいの女の子が腕を掴んでいた。


いつの間にその部屋に来たのか、まったく分からなかったのだが、その少女は無表情な顔でじっとお姉さんを見つめている。


お姉さんは本能的にこの家がただごとではないことに気がつき、逃げようとしたのだが、体がまるで言うことをきかない。


するとお爺さんが
「こりゃ!この人はお前のお母さんじゃあないんで!」
と、女の子を叱りつけたそうだ。


次の瞬間、目を疑った。


なんと女の子はいきなりお爺さんに飛びかかり、首筋に噛みついたのだ。


しかも、先ほどの無表情な顔とは一変し、獣のような牙をむき出しにし、赤く光る、不気味な目を輝かせながら。


お姉さんの話では、本当に身の毛のよだつような恐ろしい顔だったそうだ。


とにかくお姉さんは限界だった。


逃げようと体を起こそうとしたのだが、体が全く言うことをきかない。


ふと自分の体を見ると、畳の中から無数の手が伸びてきてお姉さんの腕を掴んでいる。


そればかりではない。その無数の手はお姉さんを掴みながら、
「きょうこさん、やっと大旦那さんのとこに帰って来てくれたんじゃねえ」
「もうどこにも逃げられんよ〜」
などと語りかけてくるではないか。


もうお姉さんは気を失いそうになった。


そしてふと横にいたお爺さんを見ると、先ほどまで首筋に噛みついていた少女は消え、そのお爺さんはお爺さんではなく40代の中年の男になっていたらしい。


その男も周りの手の声と、同調するかのように
「きょうこさん、あんたはもうもどれんのじゃけえねえ」
とニタニタ笑いながら語りかけてくる。


まさに、どうしようもない状況であったらしい。


その悪夢のような状況が変わったのは、その男がいきなり立ち上がり、お姉さんの手を掴んで外に連れ出した時であった。


お姉さんは抵抗もできず、家の外に連れて行かれ、倉の前に立たされた。


わけもわからずお姉さんがおびえていると、男は倉の戸を開け、中の様子を見せたのだ。


倉の中に入っていたものは・・・時代劇などにでてくる座敷牢があり、牢の中には1人の女性が横たわっていた。


お姉さんは恐る恐る、
「こ、これは誰ですか!?」
と、男に問いかけた。すると、
「誰って、お前の妹じゃろうがあ」
と、男はニタニタしながら答えた。


お姉さんはもうパニック寸前で、そこから一刻も早く逃げ出そうとした。


ふと横を見ると自分の乗ってきた車はまだそのままの場所にある。


お姉さんは男を振り切り、車までなんとか駆け出した。


すると、突如車の前に、最初出会ったお婆さんが現れ、フロントガラスの上にカラスの死骸を置きながら、
「きょうこさん、あんたもうどこにも行かれんのじゃけえねえ!」
と、睨みつけてきたそうだ。


お姉さんは気が狂いそうになるのを必死で押さえながら、フロントガラスの上のカラスの死骸を跳ねのけ、車に乗り込んで、必死にエンジンをかけようと試みた。


この手の話の展開ではお約束のような感じだが、案の定、車のエンジンはなかなか作動しなかった。


それでもようやくエンジンがかかり、急いで車の向きを変え、もと来た道をひたすら戻ったそうだ。


後ろも振り返らず・・・。




話はここで終わればよかったのだが、この時、お姉さんにとり憑こうとしていた霊は、そんな生易しいものじゃなかったのだ。


お姉さんはやってきた一本道をひたすら走らせていたにもかかわらず、道はどんどん狭くなっていき、ついには車が走行不能な幅までになってしまった。


おねえさんはその場で立ち往生してしまい、どうしようかと悩んでいると、道の前方に、来たときにはなかったはずの赤い橋がぼんやり浮かんできたそうだ。


刹那、車の横には老婆が立っており、
「戻れん言うたじゃろう?あの橋は、あんたのために作ったんじゃけえ、渡ってもらわんといけんのんよ」
と、車の窓越しに語りかけてきた。


お姉さんはもう、覚悟を決め、車を後退させ、逃げれるとこまで逃げようとした。


老婆を無視して車をバックさせていると、今度はその老婆が逆さまで車のフロントガラスにはりつき、
「逃がさんけえねえ〜、逃がさんけえねえ〜」
と、ずっと叫び続けていた。


窓に張りつき叫び続ける老婆を無視してひたすら後退を続けていたが、今度はまたしても前方に、先ほど見た赤い橋が見えてきたそうだ。


もうその時はお姉さんも万策つきて、もうダメだ、と思ったらしい。


お姉さんは呼び寄せられるように車を降りてしまい、その橋に向って無意識に歩いていこうとした。


その時。


頭の中に直接語りかけるように、お姉さんが小さい頃、自分を育ててくれたおばあさんの声で、
「○○ちゃん!そっちに行ったらいけんよ!」
という声が聞こえたそうだ。


その瞬間、お姉さんはまたしても瞬間的に気を失ってしまった。


そして気がつくと、車を運転しており、そのまましばらく行くと、見慣れたアスファルトの道路にようやくたどり着いたのだ。


まさに、九死に一生というか、なんとかあの世の1丁目ともいうべき場所から解放された瞬間だった。





























ここまで書き進めて、この話を読んでくださった方々は
「それはいかにもネタ話だろ?」
と思われるかもしれない。


しかし、紛れもないお姉さんの実体験なんです。





しかも、お姉さんの恐怖はこれだけじゃすまなかったんです。


なんというか、そのダムにまつわる因縁めいた後日談というか・・・。




その後、お姉さんはほうほうの体で帰宅し、何気なく自分の所持品を調べたそうです。


すると、大事なものがなくなっている。


お姉さんはその日の朝まで持っていたはずの運転免許証を紛失していることに気がつき、その日のうちに、再発行の手続きをするために警察署に行ったんだそうだ。


信じられないことがあったのはまさにこの後から。


警察署に行くと、幸運にも紛失したお姉さんの免許証は落し物として届けられていた。


お姉さんは安堵しつつ、引き取りの手続きをしようとした。


ところが、その運転免許証の顔写真がお姉さんの写真ではなく、全く別人の顔に変っていたというのだ。


当然、警察では偽装とか、犯罪の可能性もあるので、お姉さんの免許証をしばらく預かり検査したのだが、これが写真が本人と入れ替わっている事実は別にして、全く偽造した形跡がない正真正銘の免許証だったのだ。


後日、警察を通じてわかった事実なのだが、その顔写真の主とはお姉さんが恐怖体験をした日にテレビを配達しに行ったF家というお宅の娘さんで、名前は「きょうこ」さんだったのだ。


しかもきょうこさんは、2年前にお姉さんが怖い目に遭った場所の近辺で交通事故死していたというのだ。




ここからはすごく因縁めいた話になるのだが、そのテレビを買われたF家のお婆さんは、その近辺の豪農の娘で、若い頃、自分の実家と折り合いが悪く、駆け落ち同然で家を飛び出したんだそうだ。


駆け落ち後はずっと長い間、東京に住んでいたらしいのだが、偶然にもその娘さんがY県のお婆さんの実家のある町の人と結婚し、年をとったからと言うので、娘さん夫婦に引き取られる形で、自分の生まれ故郷に戻ってきてたらしい。


そして、亡くなったきょうこさんとは、お婆さんの娘さんの子供、つまり孫にあたる女性で、亡くなった時の年齢は、恐怖体験をしたお姉さんと同じであったとのことだ。


なんでも、その方の実家である家(つまりお姉さんが導かれて迷い込んだ幽霊屋敷)はとうの昔にダムの底に沈んでいるというのだ。










かなり因縁めいた後日談は、まだまだこの先に衝撃の事実があるらしいのだが、僕が先日、お姉さんから聞いたのはここまで。


続きはまた今度、会った時に話してくれるそうだ。


後書き

どうだったでしょうか。
みかんさんの「怖い話シリーズ」には及ばずとも、いい感じに仕上がったと思います。

この話、ほんとに聞きました。
最初は信じられないけど、ほんとかなぁ、なんて。笑

まぁ、それなりに楽しんでもらえればそれでいいと思います。

では、また本編で。

この小説について

タイトル  .瀬犖个里修个硫
初版 2009年5月30日
改訂 2009年6月1日
小説ID 3177
閲覧数 3764
合計★ 10
せんべいの写真
作家名 ★せんべい
作家ID 397
投稿数 62
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活動度 12726
卓球とみたらし団子とピアノが大好きな変態です

コメント (6)

★みかん 2009年5月31日 0時42分11秒
読ませていただきました。

これが実話となると、とてつもなく怖い経験ですよね。

私は怖い話は好きなのですが、とても怖がりなので、
一人で読んでいると強い恐怖感を味わってしまいました。

怖かったです、本当に怖かったです。

話の不気味さとでもいえば良いのでしょうか、
突然の恐怖、意味不明な恐怖、これは本当に堪りません。

続き、おっかなびっくり待っていますね。
佐藤みつる 2009年5月31日 9時49分33秒
読んでいてぞわぞわしました。
おばあさんやおじいさんの呼びかけがリアルで本当に怖かったです。
嘘か本当かは置いておくとして、免許証の写真が違うというのも怖いところですね。
もしまたお姉さんにお聞きしましたら、続きをお願いします。

あとそれから、読んでいてとても誤字が気になったので、修正されたほうがよろしいかと思います^^;
少し誤字が多すぎると怖い話も萎えてしまいますので(笑)

では、続き楽しみにしています。
★せんべい コメントのみ 2009年5月31日 12時22分47秒
みかんさん、コメントありがとうございます。


実話なんでしょうか?
正直「赤い眼をした獣のような少女」だけは信じられなかったので、
そこは省こうかなぁと思っていたんですけど・・・。

それ以外はまあまあ信じれる内容だったんじゃないでしょうか?


確かに、意味不明な恐怖ばかりでしたね。笑

怖いと言っていただけて嬉しいです。

では、ありがとうございました。
★せんべい コメントのみ 2009年5月31日 15時03分05秒
佐藤みつるさん、コメントありがとうございます。


お姉さん、次はいつでしょうね。
たぶん夏休みじゃないでしょうか。

このほかにも、いろんなお話を聞いたので、
また、次の機会にも載せます。


誤字、多すぎですね。汗
相当急いで打ってたんでしょーね。笑
一応、気がついた部分は訂正して置きましたが、また気がつかれた場合は教えてくださいね。


まあ宣伝っぽいんですが、
本編の方も目を通してくださったら嬉しいなー、なんて言ってみたりして。



では、また今度の機会に。
★愛川千春 2009年6月1日 15時20分49秒
どうも。
愛川千春です。
以前は、貴重なアドバイスありがとうございました♪
コメント、嬉しかったです。
ところで。読ませて頂きました。
何か、凄く怖かったです。
怖い話とかが苦手な千春には、普通の人よりも多分怖く感じたと思います。。。
でも、何故か安心感があると言うか。
読んでいて怖いところもあるんですけど、安心するところもあるんですよね。
そんなところを、ぜひ見習わせて頂きます。
ですが、少し行を開けすぎかなぁと。
1行開きはまだ良いと思うのですが、2行開きは少し開きすぎだと思います。
でも、読みやすさを追求したかったのでしたら、このままでも凄く良いと思いますよ♪
こんなこと言ってる千春も、実は行がたくさん開いてる方が好きだったりしますんで。(笑)
でわ。また来ますね。
何か偉そうなこと言ってしまってすみません(-_-)
これからも頑張って下さいね♪
千春の作品にも、また遊びに来て下さい(*^_^*)
★せんべい コメントのみ 2009年6月1日 15時35分10秒
愛川さん、コメントありがとうございます。


行の話ですが・・・。

やはり、文章で読み手に『恐怖』という感情を与えるのは本当に難しいことです。
自分で話すんなら、声の代償とか強弱とか表情とか、いろいろあると思うんですが、文章ではそれができない。
となると、文章は目で読むわけですから、視覚で相手に『恐怖』という感情を与えようと思いました。

しかし、どうやって?

ボクは一応考えてみたのですが、それができるのがプロの小説家さん達で、そこまでの技量は到底あるはずがありません。
ならばと、『行』を考案してみたのです。
まず、1行で全部話を書いてみたら、淡々とお姉さんの話を語っているだけになってしまうような雰囲気だなと、自分で解釈しました。

2行、3行と増やしていくに連れて、恐怖の余韻が残るようで
いい感じに仕上がってきたのですが、4行5行はさすがにウザい。笑
というわけで、2行なんですが、どうだったでしょうか?
開き過ぎと思う人がいるならば、やっぱり他の方法で工夫するしかないですね・・・。


愛川さんも、このような工夫、大事だと思いますので、ぜひ参考までに。


本編『光と闇と剣と』にも来てくださいね。
コメントくれると嬉しい・・・。←バカ


ではっ。
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