怖い話シリーズ - 視覚と聴覚 前

 人は外の情報を認識するために、五感を用いる。

味覚、触覚、嗅覚、聴覚……そして、視覚。

それぞれが大切な役割を担っているのは周知のことだろう。

特に視覚と聴覚……この二つがあれば、
『ある感情』を極限まで高めることができると、僕は思っている。

分かりにくいなら、一つ想像してもらいたい……



       音と映像……あなたは夕暮れの公園を歩いている。



       そして、ふと公園のブランコに小学生くらいの男の子がいた。


           キィコ……キィコ……キィコ……キィコ


         ゆっくりと、ブランコの軋む音が聞こえてくる。

     
       それを見ていたあなたは、突然その男の子と目が合った……


       男の子は何かに気づいて、ブランコを降り……ゆっくりとあなたに近付いてくる。


            そしてあなたの前で立ち止まり、
            男の子はあなたに向かって、こう一言……呟いた。







           「そんなに人をおぶって、重くないの?」






          
           あなたは驚いて後ろを振り向く……しかし、誰もいない。



           何だ……ただの悪戯か、普通の人ならそう思うだろう。



            あなたはほっと息をつき、改めて前を向く。




             その男の子に、何かを言うために。




            しかし振り向くと、男の子の姿はそこには無かった……



               おかしい、さっきまでいたはずなのに……        



            どこかに隠れたのだろうか?あなたは辺りを見渡す。



              しかし、辺りには隠れる場所などない……
          


           見えるのは、誰もいないのに動いているブランコと、         




             そこから聞こえる、軋んだ音だけだった……





……どうだろか?あなたの中にも『ある感情』が生まれただろうか?

そう、僕が考えている『ある感情』とは……




              『怖い』という感情だ。



視覚と聴覚……それがあれば、簡単に人は恐怖を感じることができる。

あくまで、僕の見解だが……




       さて、この話を踏まえた上で……僕の体験談を聞いてもらいたい。




         視覚と聴覚、それだけで恐怖を感じた、そんな話を……。






             その時季節は、生暖かい春を迎えていた……







 ずいぶん暖かくなった……もう春だな。

ついこの間まで白銀の雪景色だったのが、
今は若々しい緑の草木へと移り変わっている。

まだほんのり冷たい風も、春の色を深めていく。

静かに深呼吸をしてみる、草木の香りがほんのりと香ってきた。

そして、極めつけはあの……何とも美しい、薄紅色の桜だ。

大学から見える公園に、大きな桜の木々がある。

春の到来を喜ぶように、満開に咲き乱れる桜の木々。

桜というのは、不思議だ……特に、この時期の桜は……

眺めるだけで、心が穏やかになっていき、
笑顔へと変わっていく。

花より団子と言うけれど、僕は桜を眺めているほうが好きだな。

柄にもなく、そう思ってしまった。

きっと……今日はいつもより、穏やかな時間を過ごせる。

そんな、気がしていた……



        


      「有田、何ボケっとしてるのさ!早く写真撮って!!」




……一瞬で雰囲気がぶち壊しになった、さすが吉崎先輩。

僕は深いため息とともに、さっきからバカ騒ぎしている、
サークルのメンバーの所へと向かう。

何となく桜を見て現実逃避をしてみた、
余計……虚しい。



   僕たちアウトドアサークルの面々は、
      毎年恒例のサークル行事、花見を迎えていた。
   


新入生の紹介と親睦会を兼ねたこの花見は、
毎年誰かがカメラ係(パシリ)として任命される……

カメラ係の仕事は、皆が楽しく飲んだり、食べたり、
踊ったりしているのを遠くからカメラで『常時』撮影すること。

カメラ係になった人は、ほとんど飲み物を飲むことも、
おいしい食べ物も、口にはできない……

さらに、飲み物や食い物の買い出しまで付いている、
まさに夢(地獄)のような係り……それがカメラ係だ。

だが、誰かが強制的にやらせるわけではない。

勿論、望んでやる奴など……このサークルには存在しない。

まぁ当然だと思う……誰も自らパシリはやらないだろう。

では何故か、どうやってカメラ係は決まったのか?

何故……何故……何故……どうして?








        「どうして、僕はじゃんけんが弱いのだろう……」







空虚でかつ、弱々しい言葉が僕の口から出ていった。

こんな筈ではなかったのに、
なぜ僕はこういう大事な時に……ヘマをやるんだ。

僕はじゃんけんが弱いのだろうか……?

前回もこういう時に深読みして負けてしまったから、
今回は単純に『グー』を出したのに……

何故みんな、最初に『パー』を出すんだよ!

世の中間違っている……そう思えてならなかった。

あれ、泣いている……僕?

自虐的な笑いとともに、目から心の汗が零れた。




       「有田、モタモタしないで早く走って来い!
        カメラ係なんだから、自分の仕事に責任を持ちなさい!!」




そんな僕の心情を握りつぶすがごとく、
吉崎先輩は容赦なく僕をこき使う。

「はいはい、今行きますよ……」

自分でも分かる程のやる気のない声で、僕は吉崎先輩にそう言った。

その後袖口で目をこすり、先輩のところへ走っていく。

吉崎先輩見ると、ビール片手に新入生を捕まえ、ヘッドロックをかけていた。

うわぁ……あれは決まっているな。

僕はひとり、冷めた目でその様子を見る。

吉崎先輩は、僕が所属するアウトドアサークルの会長で、
首まで伸びた黒のショートヘアに大きな茶色の瞳。

しかも長身でなおかつスレンダーな体つきをしており、
間違いなく美人の部類に入る女性だ。

しかし、見た目だけで判断して安易に近づいては危険である。

近づけば……ほら、あんな風になってしまう。

ヘッドロックをかけられていた新入生の男は、
どんどん顔が青ざめ、若干白眼になっていた。

まさに天然トラブルメーカー、恐ろしいや……

僕は白眼を向いている男に、心をこめて合掌をした。

「あ、来た来た!じゃあ、こっち撮ってもらおうかな」

「はい、わかりましたよ……」

嫌々ながらも、僕は吉崎先輩に言われたとおり写真を撮るため、
鞄からカメラを取り出す。

いまどきデジタルカメラじゃない、フィルムで撮るカメラだ。

まったく、デジタルカメラくらい貸してくれたっていいのに、
持参ってどういうことだよ。

ハァ、次から次へと愚痴が出てくるな……ストレスたまる。

「行きますよ、はいチーズ」

「チーズ!!」

吉崎先輩達は、お酒でやられた笑顔で奇抜なポーズを取る。

「有田、こっちも撮ってくれ!」

「は、はい……今行きます!」

別の先輩が、僕は手招きして写真をねだる。

「有田君、こっちもお願い!」

「はい……分かりましたよ!!」

また別の先輩から写真の催促が来た。

「有田君!」

「有田!!」

「有田先輩!!」

有田の苗字が止めどなく言われ続けた。

対する僕は広い公園を行ったり来たり、次第に僕の息が上がっていく。

それでも、カメラ係の仕事は休むことは許されない。

ハァ……ハァ……くそ、厄日すぎる……!!

早く、早く……花見よ、終わってくれ。

花見の終了を心から願う奴など滅多にいないが、
今日の僕は正しく、その中に入っていた……






          

         「タイマーをセット……じゃあ、行きますよ皆さん」







 僕はカメラのタイマーをセットした後、走ってみんなの所へと向かう。

「有田、早く早く!」

吉崎先輩が、近くまで来た僕を引っ張り近くに座らせる。

「ちょっと……服は引っ張らないで下さいよ。

「いいからいいから、細かいこと気にしすぎだよ!!」

先輩のテンションは上がりっぱなしだ。

「じゃあ皆、1+1=は?」

そして吉崎先輩は皆に向かって、大きな声でそう言った。




             「にぃー!!!」

              「にぃ……」


皆の元気な声の中に一人だけ、疲れきった声が混じっている……

誰だ?そんなに疲れてるやつは……大変だなぁ。

ああ、なんだ……僕の声か。

むなしく心の中で、一人突っ込みをした。



            ピピピピピピ……カシャ!!



うるさいタイマー音とともに、シャッターを切る音が聞こえた。

「はい、じゃあ今日はこれでお花見は終了です!」

吉崎先輩のやかましい声が聞こえる。

「二次会に行きたいやつは、勝手に行って下さい!!」

酔った顔の吉崎先輩はそう言い、勢いよく敬礼をした。

「アイアイサー!!」

それに応じて、サークルメンバーの殆どが、
先輩に向かって同じく敬礼をする。

そして、長かったお花見会はめでたく終わりを迎えた。

疲れた……すごい疲れた……未だに息が整わない。

新入生以外のメンバーで後片付けを終えた後、
僕は桜の木に寄りかかり、
疲労感と戦っていた。

「有田君お疲れ……ホントに……」

「ああ、きつかった……もう足が動かないよ」

同学年の女性メンバーに声をかけられ、
僕は力なく笑って返答する。

まったく、どれだけ写真を撮らされたんだよ……

……ええと、フィルムが1、2、3、4……5本!?あの短期間に5本も使ったのか!?

24枚入りフィルムが5本……軽く百枚は超えている。

あまりの衝撃に、僕は口が開いてしまう。

……吉崎先輩の言った通り、6本買って良かった。

吉崎先輩と一緒にフィルムを買った時、
吉崎先輩が先輩が頑なに『六本は絶対いる!!』
と言ってたのを聞いといてよかった。

足りなくなったら買いに行かされたかもしれない……危なかった。

冷汗がたらりと額から落ちてくる……ホントに危なかった。

僕は手でその汗を拭き、深く深呼吸をする。

その時、先ほどの女性がこう言った。

「そういえば有田君、フィルムにまだ写真残っている?」

「え?ああ、今見てみる……うん、まだあるよ。
 でももう5枚しか撮れないね」

僕はカメラに表示されている残量数を確認しながら、彼女にそう言った。

「そう……じゃあさ、残ってるメンバーで写真撮らない?
 私達でこのお花見企画したんだし、記念にどうかな……?」

「ああ……良いよ、じゃあ……先輩達呼んできてくれない?」

「やった!じゃあ、呼んでくるね!!」

そう言うと、元気よく彼女は先輩達の所に向かっていく。

正直疲れてあまり気が進まないのだが、
まぁ五枚くらいだし……いいか、残したらもったいないしね。





         
          「じゃあ、撮りますよ!五枚だけですから」





僕はそう言うと、カメラのアングルを先輩達に合わせる。

ピントを合わせ後、僕は先輩達に合図を送った。

「じゃあ、行きますよ……チーズ!」

「チーズ!」

一枚、二枚、三枚、四枚……スムーズ写真を撮っていく。

そして五枚目……最後のフィルムとなった。

「最後は有田も入りなよ!!」

「あ、はい……じゃあ入ります」

吉崎先輩の馬鹿でかい声が聞こえる。

何故あの人はあんなに元気なのだろう、
ガソリンか何かで動いているんじゃないのか?

一人そんなことを思っていた。

本当にどうでも良いな、僕もそう思う。

さて、ようやく最後の一枚か……これで解放される。

安堵の表情とともに、僕はピントを合わせている。

「有田早く早く!」

「吉崎先輩、そんなに焦らないでください……
 まだタイマーもセットしてませんから」

急かす先輩をよそに、僕はゆっくりカメラを覗き込む。

よし、ピントも焦点もあってるな……

僕はタイマーをセットするため、覗き口から目を離そうとした。

その時だった……



        
       先輩達の後ろに、妙な男が突然現れた。




無表情に、ただこちらを見ている……不気味なほどに。

驚いて、肉眼で先輩達の後ろの背景を見る。

しかし……誰もいない、変だな……確かに今……

もう一度カメラ越しから見てみる……やはり誰もいない。

「どうしたの有田……さっきから遠くばっかり見て?
 何かあったの……?」

吉崎先輩が不思議そうに僕を見て、そう尋ねた。

「……へ?あ、いえ……何でもありません、じゃあ撮りますよ!」

疲れて幻覚でも見えたか……まずいな、早く体を休めないと。

僕は急いでタイマーをセットして、先輩達の所へと向かった。

      

        ピ―ピ―ピ―ピピ、ピピ、


タイマー音が徐々に早くなっていく……



        ピピピ、ピピピ、ピピピピピピピピピ!!


そして、いよいよ撮影されるようだ……

カメラから赤く早い点滅が見える。

「じゃあ、最後の写真なんで!はい、チーズ!!」

吉崎先輩の掛け声が聞こえる……

「チーズ!!!」

僕も含め、全員が笑顔を作りピースサインをした。

そして、白いフラッシュと共に写真が撮影される……その時だった。






         ゾクッと強烈な悪寒が、僕の体を貫いた。




……!?何だ、今の気持ち悪い寒気は……!!

回りからは、吉崎先輩や他の皆の笑い声が聞こえる。

しかし、僕だけが笑っていなかった、笑っていられなかった。

それどころか、顔が引きつっている……自分でも分かる程に。

「じゃあこれでお疲れ!有田、ちゃんとフィルム大事に管理しといてよ!」

「……」

「……有田、大丈夫?」

「ハッ!ええ……大丈夫ですよ……」

吉崎先輩が心配そうに、僕を見つめていた。

「そう、大丈夫なら良いけど……やはりカメラ係は過酷だったんだね」

「心配してくれるなら、手伝ってくれれば良いのに……」

「いやいや、それは無理!めんどくさいし」

「言うと思いましたよ……正直、もう慣れました」

吉崎先輩はからかうように僕にそう言った、
僕も気を紛らわそうとするかのように、先輩と会話する。

でも、体は正直のようだ……必死にその悪寒の原因を探ろうと、
勝手に目線が移動する。





        突然、強い風が吹き荒れた。


       生臭く、変に生暖かい……そんな風だった。



何だか、とても嫌な感じがする……不安だ。

一人、何か得体のしれない違和感を感じながら、
いつもは綺麗だと感じていた桜の木々を、
不気味なものを見るような眼差しで、僕は眺めていた。







 
 
 それは三日後の……突然やってきた。

ハァ……やっと帰ってきた、週末にバイトを入れるべきじゃないな、
とてもじゃないが……ダルくてやってられない。

僕は自分のアパートへと戻った後、誰もいない部屋で深いため息をついた。

大学の講義に、バイト……大学生活は、楽しいがつらいものだ。

ソファに寄りかかり、僕は大きく背伸びをする……ようやく休める。




    三日前の花見の一件以来、僕はあの時のことを既に忘れていた。




いや、無意識に考えないようにしていたと言った方が正しい……

考えれば考えるほど、不安が大きくなっていく気がしたからだ。

疲れた体を癒すように、熱い風呂に入り一息つく。

「プハァッ!!やっぱり風呂上がりにはミネラルウォーターだな、
 さっぱりして生き返る」

僕は冷蔵庫から、キンキンに冷えたミネラルウォーターを取り出し、
一気に飲んだ。

タオルで頭を拭きながら、机にある時計に目をやる……

深夜0時……通り、開かれた窓からは自動車が通り過ぎる音と、
近くにある川からのせせらぎが聞こえてくる。




        ヒュオオオオオオオオオオオオオオオ……!!



強い風が、不快な音を鳴らしている。
  
……それにしても、今日の風は……やけに暖かいな。

窓からは珍しく、妙に生ぬるい風が流れてきた。

いや……何か違うな、生ぬるいだけじゃない、
何というか……動物のような、生臭さがある。

窓から外の景色を眺めてみる……変だな、
いつもはここからの眺めは好きなのだが、
今日は何だかひどく不気味に……

急に背筋に撫でられるような寒気が起きた、
やばい……風邪でも引いたか?

ここの所、歓迎会やバイトが忙しくてロクに休んでない。

それに何故だ、さっきからあの時の花見の出来事が、
フラッシュバックのように、頭の中で再生されている。

またこの感じだ……いかんな、今日は早めに寝よう。

幸い、明日は休日で大学の講義もなくバイトも無い、
ゆっくり寝ていられる。

僕は歯を磨いた後、呼び戻される花見の記憶を消すかのように、
早めに就寝することにした。

きっと寝れば何もかも忘れているだろう、大丈夫だ……きっと……

自分に言い聞かせるように、僕は頭の中で繰り返す。

そのうち……僕の意識は、だんだん暗闇に溶け込んでいった。












          ……ピリリリリリリリ、ピリリリリリリリリリリ!!






 ……誰だ、こんな時間に……電話なんて……

携帯電話が青い光を点滅させ、バイブレーションの低い音とともに、
大音量の着信音が聞こえてくる。

当然、強制的に起こされたわけだから……僕は寝ぼけていた。

明かりもつけずに、僕はふらつく体を無理に起こしながら、
携帯に手を伸ばす……

「何だ……これ、誰からだ……?」

携帯を開くと、音が鳴っているだけで……『非通知』すらついてない。

こんなこと、実際あるのだろうか?

携帯の画面は、真っ暗なまま……着信音だけが聞こえてくる。

不気味だ……とてもじゃないが、電話には出たくない。

何だか分からないが、ひどく危ない気がする……切ろう。

僕は電話に出ず、を一方的に切った。

その時、携帯の時計が目にとまった。

午前二時……ますます、不気味に感じる。

気味が悪い、早くベッドに入ろう。

僕は携帯の電源を切り……テーブルに置く。

そして僕は気味の悪さを払うため、足早にベッドに戻ろうとした、
その時……





          ピリリリリリリリ……ピリリリリリリ!!





また掛って来た……携帯を手に取る、『非通知』ですらない黒い画面。

おかしい、確かに……さっき電源を切ったはずなのに!?

何だよ、まったく……一体どうなってるんだ。

携帯が壊れて、勝手に電源がついたのか?

いや、でもあの携帯は先週取り替えた新品だ……壊れていることはないだろう。

じゃあ、何で……?

働かない頭で必死に原因を探る……

しかし自問自答が続くだけで、何も浮かんでこない。

なおも着信は続いている、不安定になる……機械音だ。

気がつくと携帯を持つ手が、手汗でびっしょりと濡れていた。

出たくない……でも……どうにかしないと。

自分でもどうしてこんなに焦っているのか、分からないでいた。

ただ電話を出るだけだ、なのにどうしてこんなに怖がっている!

僕は自分にそう強く言い聞かせた……一回だけ出ればそれで良い。

とにかく早くこの機械音を止めなければという思いから、
僕は携帯のボタンを……ゆっくりと押し、電話に出た。







           「……はい、有田ですが……」



             「…………」





返事はない……




           「あの、もしもし……聞こえてますか?」




              「…………」





僕が何かを話しても、何も答えない……





            「いたずら電話なら、やめてください……!!」




              「…………」




徐々に恐怖から、僕の声が大きくなる。

それでも、相手からの返答はない……

何なんだよ……気味悪いな、もう……

次に返事がなかったら、問答無用で切ってやる。

僕がもう一度何かを離そうとしたとき、
外からサイレンの音が聞こえてきた……




        
          ピーポーピーポーピーポーピーポーピーポー!!





どうやら救急車が通ったようだ、何……ここら辺ではよくあること、
別に今更驚きはしない……

だが、今回は違った……あることに気づいてしまったために。




        サイレンの音は、携帯からも聞こえてきた……




間違いない、僕の左の耳からは外から聞こえるサイレン、
そして右からは携帯から大音量のサイレンが聞こえてくる。

しかも、僕の部屋から聞こえてくるサイレンが一番大きくなったとき、
携帯から聞こえてくるサイレンも一番大きくなっていた。

心臓がこれ以上ないってくらいバクバクいっている。

そして、簡単に数えれるぐらい……鼓動は大きくなっていた。





       
              まさか、近くにいるのか……?





その言葉が、頭の中で反復される……

携帯を持つ手に力が入る……体が恐怖で硬直しているからだろう。

息も荒くなる……一体何なんだよ!

焦燥と恐怖で、頭が回らない。

早く、早く……携帯を切らないと、これ以上何かあったらまずい!!

僕は恐怖心からくる圧迫に耐え切れなくなる……!!





       
               「も、もう切りますから!!」





僕はその言葉とともに、急いで携帯を耳から離そうとした。

その瞬間、突然……受話器から、声が聞こえてきた。









                「ここですか?」









小学生くらいの無邪気な男の子の声だ。





                「はい……?」




あまりの急展開に、僕は呆けてそう言った……





                  ブツリッ!!




              ツー、ツー、ツー、ツー……



そして、電話は切れた……

もう、眠気も吹っ飛んでいる。




           しばらく、僕はこの音を聞き続けていた。




恐怖で動けないからだろう、ずっとその音を聞いていることしかできない。

機械音、何でこんな時……この音が、耐えられないほど不気味に感じるんだ?

ほんの数分の出来事が、こんなにも長く感じたのは……久しぶりだ。

その日、僕は放心状態のまま眠ることができず、
未だに頭に響く機械音と……さっきの不気味な少年の声の中で一夜を過ごした。







         これから起こることなど知りもせず、ただひとり……怯えながら……






後書き

駄文に長文ですが、お読みくださり、真にありがとうございました!

さて、今回の話はいかがでしたか?

私の個人的な意見も入っていますので、何分そこは了承をお願いします。

よろしければ、またコメントや改善点などを、
気軽に書いてくだされば嬉しいです。

では、続きはまたあとで……

では、失礼します。

最後に、本当にありがとうございました。

次回もまた、読んでくだされば幸いです。

この小説について

タイトル 視覚と聴覚 前
初版 2009年6月4日
改訂 2009年6月5日
小説ID 3192
閲覧数 1290
合計★ 14
みかんの写真
ぬし
作家名 ★みかん
作家ID 445
投稿数 12
★の数 167
活動度 3999
みかんです、みかんと言ったら、みかんなんです。

コメント (8)

武士つゆ 2009年6月5日 12時53分31秒
ども、武士つゆです。
今回もまたお上手ですね。その文才を少し分けて欲しい('Д`)
とまぁそんな事はどうでもいいから早くコメント書けって話ですよねスミマセン(汗)

ではいつも通り誤字、脱字から。
有田氏の下に来た一回目の謎電話を切る際の描写が脱字っぽくなっております。
修正すべきかと。

次によかった点
いつも思う事ですが話の運び方が巧い。その文才をすこ(ry

悪かった・・・と思う点(またの名を要望)
んー、完璧に個人的な感想になるのですが、五感について語ってる前フリ部分が
丸々蛇足な気がします(汗)
あってもなくてもいいというか、これ書くならもう少し続きを書いて欲しいというか('∀`;)
後、せっかくの短編連作なんですから、もう少し前後の話に関連性を付けて欲しいなぁ、と思いました。

総評
その文さ(ry

自分からはこれくらいですかね。
いつもながら長くて申し訳ない(汗)
では、そろそろいつも通りに締めようと思います。
ここで私が書いた事が、あなたが小説を書く上での一助となれば幸いです。

長文&乱筆、失礼しました。

P.S:コメント嬉しかったです。ありがとうこざいました。
★みかん コメントのみ 2009年6月5日 18時19分49秒
武士つゆさん、いつもコメントありがとうございます。

うーん、私としては最初のは必要かと思ったのですが……

違和感があるならば、やはり蛇足なのかもしれませんね。

脱字、本当にすいません……すぐに直したいと思います。

また武士つゆさんの作品が投稿されたら、見に行きますね。

では、本当にありがとうございました。
★せんべい 2009年6月5日 22時27分08秒
読ませていただきました。

すごいですね。すごいです。いや、すごい。ははははは!すげえ。
というように、狂ってしまう(?)ようにすごいですね。
すげえの詳細は無しにして、すげえんです。


確かに、視覚と聴覚で恐怖は感じれますからね。
でも、途中に嗅覚に関する描写が2つほどあったので、
なんだか嗅覚も「恐怖」に関係している的なニュアンスでとらえてしまいました。

それに、前編ということもあるかと思いますが、
ややインパクトに欠けましたかね。
後半の小学生の電話の声も、なんかいまいち足りないって感じました。
怖さのスパイスがあまり効いてなかったです。



後編のスケールのでかさに期待して、
星は1つということで。

では、超期待してますね。
★みかん コメントのみ 2009年6月6日 0時05分56秒
せんべいさん、いつもコメントありがとうございます。

うーん、前半はこういう感じで良いのかなと思っていたのですが、
もう少しインパクトを強くしたほうが良かったようですね。

確かに嗅覚の描写もありました……

ですが、後半は視覚と聴覚面に恐怖が行くようにしますので、
後半もよろしければどうぞご覧ください。

では、どうもありがとうございました。
PJ2 2009年6月6日 21時58分01秒
読ませていただきました。
今回、かなり怖かったです。次回もこの調子で書いてくださればと思います。
ダークともホラーともとれるようなものでしたが、夜に読むものじゃないですね、これは。ホント怖いです。
みかんさんには珍しく、連載ということですが、短編以上に期待してます。
なんとも言えない怖さをかもし出してください。

では、次回作待ってます。
★みかん コメントのみ 2009年6月6日 23時03分43秒
PJ2さん、いつもコメント本当にありがとうございます。

今回も、怖いという感じに書いてみたのですが、
そう思っていただき大変嬉しく思っています。

確かに、私も怖い話は夜読むと恐怖が倍になりますよね。
でも、私としてはより怖さを味わっていただくために、
夜読んでもらうことをお勧めします。

この調子で、続編を書いていきますね。

では、本当にありがとうございました。

よろしければ、次回作もどうぞご覧ください。
★くりっく 2009年7月2日 14時52分39秒
はじめまして、くりっくです

この小説読んでる時、妙に背後が気になり、途中から読めなくなりました^^;

部屋の隅で、友達とメールしてました・・・

すごく怖かったです。

母が帰って来た途端「救世主うううう」と叫んでしまいました。

本人は「?」と、訳が分からないと言う顔をしていましたが^^;


次回作も読ませていただきますね。


ではでは、失礼致しました。
★みかん コメントのみ 2009年7月2日 21時58分04秒
くりっくさん、こんばんは。

私の小説を読んでくださいまして、真にありがとうございます。

私の小説を読んで、怖くなった……それだけで、嬉しく思います。

部屋の隅でメール、なんだか申し訳ありません……

ですが、小説は自重せずに書き続けますので、
読んでくださるとうれしいです。

コメント、本当にありがとうございます。

では、失礼しました。
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