ちゃってぃんぐ・みゅーじっく

ぼたもち
「普通の曲でも洒落ですまされるレベルのパクリってあるじゃん? 間奏に第九入れたりとか」
「‥‥‥何それ嫌味? 昔痛々しく色んなバンドの揚げ足とって騒いでた私へのフォローのふりした嫌がらせ?」
「いやまったくそんなつもりは」
「じゃあ何よ急に」
「やっぱりパクリ問題って全ての音楽好きが行き着く境地じゃん。行き着くっていうか通るっていうか」
「大抵は『自分はこんなにちゃんと音楽を聴いてる』アピールに使うだけだけどね」
「そうそう。ちょっと他とは違う自分を演出したくてオレンジレンジをパクリだって非難してみたり、
 YouTubeの『J-POP似ている曲ランキング』に影響されてやたら昔の曲のオリジナリティを語って見せたり、
 なのに自分の好きなグループにパクリ問題が出ると急に寛容な態度になったり‥‥‥‥って痛い痛いっ! 脇腹は痛いって!!」
「ねえわざとでしょわざとなんでしょそれ全部私の話じゃないっていうかなんで知ってんのよ!」
「裕司に話を伺いまして」
「‥‥‥‥‥あいつ後で殺すわ」
「まあ誰もが通る道だよ。
 昔の海外のロックがカッコいいと思ってわけもわからずインギーとジンギスカンとベイシティーローラーズ一緒に借りたり‥‥‥」
「あああああ! もうやめてっ! これ以上私の心を抉らないで!!」
「ビートルズのファーストアルバム眠くなりながら聴いて感動したふりしてたり‥‥」
「聞こえない聞こえない聞こえない聞こえない」
「好きなバンドがMステに出ただけで『迎合した』とか『軽くなった』とか言ったり‥‥ぐはっ」
「いい加減にしなさいよいつから私の高校生時代を笑う会になったのよ第一パクリの話だったでしょ」
「ごもっともで。そう、やっぱりパクリって音楽、ひいては芸術全てにおいて避けられない話だよね」
「アイディアの奪い合いだしね。昔からみんなひっかき合ってたのが目に浮かぶわ」
「でも絵に関して言えば模写とかって画法の一つとして確立してる感があるじゃん。音楽だと急に厳しくなるのはなんでだろ?」
「音楽は最初からビジネスとして作られてたからじゃない? モーツァルトとか仕事で曲作ってたんだし」
「それなら宮廷画家とかもそうじゃん。やっぱり現代の音楽の権利主義は強すぎる気がする」
「かくいうオレンジレンジも作曲者書き換えさせられてたしね」
「ちゃんと作曲者欄に『これちょっとパクってます』って書いとけばサンプリングとして扱ってもらえるってこと?
 でもそれを言ったらサザンとかak.hommaとか小沢健二とかは作曲者欄が凄まじいことになりそうだけど」
「その辺は怖いからあんまり突き詰めるのはやめましょう」
「俺もそうしたいね。でもあの曲は注釈必要でこの曲はなくてもいいとか、線の引き方はめちゃくちゃだよね」
「洒落ですまされる曲とすまされない曲の違いね」
「そう。そこがわからない。でもとにかくこんな風に音楽業界にはびこるグネグネした権利事情に、俺は一つだけ言いたいっ!」
「長すぎる前置きね。なんで私まで傷ついてこんな話しなきゃならなかったのかしら」
「まあまあ。ではいよいよっ!! 俺の最高にして最大級の持論をっ!!」
「早くして」
「いけずう。まあいいや。いくぞ?

 
 ‥‥‥‥‥‥『バンドなんてみんな、ビートルズのパクリだ』っ!!! そしてビートルズも、その前の誰かさんのパクリだっ!!

 
 ‥‥‥‥いかがすか?」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥私の時間を返せえぇぇぇぇっ!!」





   初夏  とある大学  部室棟  二階八号室  六畳の部屋


「新入生を入れたいんですよ、この部活に」
「‥‥‥‥‥‥この時期に?」
「おっ、いいじゃんいいじゃん。俺は賛成だよ裕司」
「尾形ならそう言ってくれると思ってましたよ。‥‥‥ただなんでそんなに痣だらけなんですか?」
「人に無駄な時間を過ごさせた罰だそうです」
「このあとあんたもこうだからね。あんだけ口止めしたのに」
「おお怖い。ではその前に話を進めますが、さっき事務の人にに話をされましてね」
「なになに? スカウト? 俺ならいつでもオッケーだよ?」
「うるさいですよ。なんでもこの部活が潰されてしまうかも知れないんですよ」
「‥‥‥‥は? なんで?」
「この大学で? 部活が? 意味わかんない」
「疑問ももっともですが、ウチの大学では数年に一度部活の整理を行うらしいんですよ」
「どういうこと?」
「知っての通りこの大学は発注ミスで部室棟が一つ余計にありまして、場所が余りまくって申請さえ出せば今でも部活を作れるんですよ」
「それでこんな部員三人でだべるだけの部活動とかしてるんだしね。『現代日本音楽研究会』なんて大層な名前でさ」
「はい。これについては大学側も黙認状態ですが、さすがに何か対策をたてて行動したって事実がないとまずいそうで、 
 結局何年かに一度『調査をした段階で最も有意義な活動が見られないサークルまたは研究会』をなくすということにしたそうです」
「‥‥‥‥‥‥‥まさか」
「そのまさかです。
 なんとその『最も有意義な活動が見られないサークルまたは研究会』の候補に、我々がエントリーされているそうです!」
「いぇーいっ! やったじゃん俺らっ!」
「あんたバカなのっ!? っていうかなんで私達が!? 他にもバカバカしい部活やってる奴らなんていっぱいいるじゃない!
 『リングの貞子ちゃんを愛でる会』とか『チュパカブラ捜索部隊』とか『目指せ彦麻呂グルメチーム』とかさあ!」
「それらの部活に関して言えば彼らはみなそれぞれの目標に向けた能動的な活動をしているそうです。自腹で壊れたテレビ買ったり」
「ほらバカじゃない! 何? じゃあ私達はそんなアホどもを差し置いて『くだらない部活』扱いを受けてるの?」
「大学側の目で見たらそうでしょう。人の目標や趣味は自由ですし」
「‥‥‥‥‥じゃあどうすんのよ。私はここなくなるのは嫌よ。ライブ前の泊まり込みにこんなに都合のいい場所ないんだから」
「それも聞いてきました。どうすれば候補からはずしてもらえますかと。
 内容は簡単。『新入生を入れろ』と『来たる文化祭に何か展示やら発表やらを行え』の二つです」
「‥‥‥‥そんなんでいいの?」
「ええ。新入生が入るなら未来も明るかろうと。あとは少しの既成事実だけでいいそうです」
「‥‥‥‥ふーん。それくらいなら何とかなるんじゃない?」
「だよね〜。 楽勝だよ! 『貞子ちゃんを愛でる会』並みの熱意がある奴呼ぼうよ!」
「それは絶対に嫌っ!」
 
 

「まあさしあたっての課題は新入生の勧誘です。二人とも誰か入ってくれそうな心当たりはありますか?」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
「わかりました。じゃあ俺たちで自己紹介の練習でもしますか」
「よっしゃOK。何言えばいいの?」
「ちょっと待ちなさいよ! なんでそれで普通に話が進むの!? 自己紹介の前にすることあるでしょ!!」
「例えば?」
「‥‥‥‥‥‥ビラ配りとか、実際に色んな人に声かけるとか?」
「その際に部員の情報を聞かれたらどうするんです? 確実に新入生を獲得するために我々のキャラ付けは必要不可欠です」
「それに俺ら四月の勧誘失敗したじゃん。次は別のアプローチでいかないと」
「‥‥‥‥‥‥やなこと思い出させないでくれない? アレもう立派な黒歴史よ」
「やはり三人でボヘミアン・ラプソティの合唱は無理がありましたね」
「いいから! この話題もう終わり! とりあえず今日の所は自己紹介の練習でいいわ」
「よっしゃ。そうこなくっちゃ」
「‥‥‥‥何なのその自己紹介へのこだわりは」
「じゃあまず俺から言いますね。二人ともちゃんと見ててくださいよ。
 ‥‥‥えー、俺は文学部二年の神埼裕司です。『現代日本音楽研究会』の会長をしています。
 好きな音楽のジャンルはアニメソングで、特に好きな曲はおジャ魔女どれみの初期オープニングの‥‥‥」
「ちょっと待て」
「何ですか?」
「何ですかじゃないわよ。なんでよりによっておジャ魔女どれみなのよっていうかアニソンは音楽のジャンルじゃない!」
「人間は正直なのが一番です。楽しい人間関係を築きたいなら本当の自分をしっかり伝えるべきです」
「あんた言ってることめちゃくちゃよ!?」
「それにアニソンはもはや日本文化の一部と言っても過言ではないくらいです」
「いや普通に過言でしょ」
「そうとも言えないよ? 実際オタクの客層って商業的にはすげえ頼もしいらしいよ? 
 前からアニメの主題歌がオリコンの上位に入ったりしてんじゃん。今だとけいおん!とか」
「そうです。もはや今の社会オタク、そして彼らに支えられているアニソンは一つの文化として無視できないレベルにまで成長しているんですよ。
 まあ俺もアニメはさほど見ませんが、偶然耳にするアニソンの完成度の高さには驚きますよ。アニメのための書き下ろしだとなおいいですね」
「‥‥‥‥それはまあわかるとしても、最近のアニソンって若手バンドの試し売り市場になってない?
 アニメと全然合わない歌なんてザラじゃない」
「確かに。『お前がギャグアニメの曲作るんかい!』とか何回言ったかわからないですよ。
 でもアニメを見る世代にとってOPテーマやEDテーマは音楽へのいい入り口じゃないですか。
 かくいう俺もカクレンジャーのOPで音楽に目覚めたクチですし」
「カクレンジャーって特撮じゃない」
「まあ結局子供向けのこれぞポップチューンみたいな曲が好きなだけですよ。
 それに若手バンドのタイアップだって捨てたものじゃありません。『東のエデン』のEDはすごいですよ?
 聴く側もいい試し買い市場だと思って聴けばいいんですよ。その中からお気に入りを掘り当てるのも音楽好きの醍醐味じゃないですか」
「‥‥‥で、それ新入生に話すの? 話せるの?」
「無理でしょうね」
「何この一連の不毛な会話!?」
「まあまあいいじゃん。俺らいつもこんなんなんだしさ。この空気を伝えたほうがフレンドリーなイメージはつくんじゃない?」
「‥‥‥‥‥‥これだとまたあんたらみたいな奴が増えそうで嫌なのよ。で、あんたの自己紹介は?」
「お、そうそう。俺もばっちり決めなきゃね〜。
 ‥‥‥俺は文学部の二年! 『現代日本音楽研究会』の尾形登ですっ!
 よく聴くバンドはポルノグラフィティとかサザンオールスターズっすっ! 『Jazz up』最高!『マンピーのG★スポット』万歳!
 他には『リビドー』とか『イエローマン』とか‥‥‥げふっ」
「もうこれセクハラの域よ? なんでわざわざ下品な歌ばっか!? 私ら全員変態みたいじゃない!」
「いやさ、今の音楽業界において下ネタ歌って評価が上がるのってポルノとサザンと福山雅治くらいじゃん。
 彼らはアミューズの中で脈々と受け継がれてきた『スケベ遺伝子』の嫡子たちでボーカルがそれぞれマジで変た‥‥‥」
「もういいもういいもういい。第一私達がそれに従う必要もないでしょ!?」
「違うんですよ恵美。今我々日本人はかの『スケベ遺伝子』にむしろ敬意を払うべきなのです。
 古来から文学者たちは過激な表現や今までと違うものに否定を示す上の世代や検閲などと闘ってきています。
 文学史はそのままそんな表現者たちと検閲や常識との闘いの歴史とも言える訳です。
 そんな古き良き挑戦の時代へと、サザンやポルノを筆頭とする彼らはポップ音楽界という位置から切り込んでいっているとは言えませんか?」
「さっすが裕司! 俺の言いたかったこと完璧に言ってくれた!!」
「カッコよく言ったってセクハラはセクハラでしょ! ていうか昔の文学だってもうちょっと節操ってもんがあったんじゃないの!?」
「逆ですよ。森鴎外だって『ヰタ・セクスアリス』という本が発禁くらってますし、谷崎潤一郎なんてその辺のAVよりエロいですよ。
 第一『源氏物語』を日本文学の最高峰とか言ってる時点で日本人の変態遺伝子はもう否定しようのないものです」
「‥‥‥‥‥‥で、これ新入生に話すの? 話せるの?」
「俺は話してもいいけど女の子たちに引かれちゃうだろうからやめようぜ〜」
「だからこの無駄な時間は何なの!? ていうかあんたたちやる気あるのっ!?」
「俺は真剣だよ〜?」
「俺もです。真剣に上げた案がダメ出しを受けただけです」
「なお悪いわ!」
「ふむ。ではそういう恵美にお手本を見せてもらいましょうか」
「そうだね。そんだけ言うなら恵美がやってみてよ」
「‥‥‥‥まああんたらの自己紹介から何か参考にすることなんてあきらめてたからいいけどね。
 ‥‥‥私は文学部二年の桜井恵美です。『現代日本音楽研究会』の副部長をしています。
 好きなバンドはTHE BACK HORNとか9mm Parabellum Bulletです。趣味は‥‥‥」
「毎朝必ず山田将司さんの写真にキスをすることです♪」
「んなことしてないわよっ!」
「え、もう他の人に乗り換えたんですか?」
「違うっつの! そりゃ菅原さんもカッコいいけどやっぱり将司の方がいいってだけで別n何言わせんのよっ!!」
「今のはお前が勝手に言っただけだろ痛い痛い痛い痛いっ!」
「うるっさいわねていうかあんたが余計なこと言いださなければソツなく終わってたのよ!」
「どうでもいいんですけど新入生に趣味とか言う必要あるんですか? お見合いじゃあるまいし」
「いやどんなイケメン君がひっかかるかわからないじゃない? 準備は多いほうがいいわ」
「合コン気分ですか。そんな気持ちでこの重要な勧誘作戦にのぞまないでほしいですね」
「そうだよいくら男日照りだからって露こtえぐっ」
「あんたらにだけは言われたくないわっ!! 結局私らまともな自己紹介なんて5秒もしてないじゃない!
 このままじゃ100パー廃部よっ!? どうすんのよっ!」
「やっぱりみんなでボヘミアン・ラプソティを‥‥‥」
「それはもういいっ!」
「スターダストレビューの『夢伝説』でもいいですよ」
「曲の問題じゃないわよっ!! 大体ねえあんたらが‥‥‥‥」


 コンコン


「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
「‥‥‥‥‥‥は?」
「‥‥‥俺らまだ何もしてないよね?」
「俺半分くらいあきらめてたんですけど。とりあえず恵美が応対してくださいよ」
「なんで私が‥‥‥‥。‥‥‥はあい? な、何の御用でしょうか?」
『あの〜、ちょっと見学させていただきたいんですけど〜』
「裕司、下手な声色はやめて」
「してませんよ。第一俺はそんなに器用じゃないですし」
「あんた『Highway Star』のギターソロ自慢げに口真似してたじゃない」
「マジで? 裕司すげえな」
「あれは楽器じゃないですか。人間の声は別物ですよ」
「いやでも『Highway Star』はすげえよ。俺『天国への階段』が限界だもん」
「出来るんかいっ!」
「ギターソロはやり方覚えればあとは練習だけですから。
 大切なのはリッチー・ブラックモアなりジミー・ペイジなり尊敬するギタリストになりきることですよ」
「‥‥‥‥口真似ごときにそこまでの熱意が裂けるのは逆にうらやましいわ」
「そういえば俺の高校の時の先輩ジェフ・ベックやってたな」
「本当ですか? 今度紹介してください」
「うーん、あの人口笛極めるために修行に出るとか言ってたからなあ」
「なんなのその無駄にロマン溢れる世界は」
『‥‥‥あの〜?』
「あっ、ごめんなさい! い、今開けますっ」



「‥‥‥どうも。 えーと、初めまして。社会学部一年の杉野昭義です」
「やはり楽曲の口真似というのは楽器演奏とも歌とも違う異質な魅力が‥‥‥」
「‥‥裕司、裕司っ! しっかりっ!」
「あ、ああ‥‥。すみません、初めまして。文学部二年の神埼です。よろしく」
「俺も文学部二年の尾形登っ! 詳しい自己紹介はまたあとでね! でさでさ、後ろの子は誰?」
「あんたがっつきすぎよ。おびえてるじゃない。
 私はこいつらと同じ二年の桜井。杉野君だっけ? 後ろの子は何者? 幽霊とかじゃないでしょうね?」
「ああ、彼女は‥‥‥‥」
「‥‥‥社会学部一年の川瀬繚子です。よろしくお願いします」
「うん、よろしくよろしくっ! 君らアレ? 入部希望ってやつ?」
「はい。大丈夫ですか?」
「もちろん! むしろ大歓迎! でもこの部活俺たち三人で延々喋ってるだけの部活だよ? そんなんでいいの?」
「はい。そんな感じがいいんです。でしょ? 繚子さん」
「うん」
「(裕司、女の子の方は内気なのかしら?)」
「(普通男が女にする質問だと思いますけど。まあ尾形なら喋らせられるんじゃないでしょうか)」
「(あいつその辺は空気読めるしね)」
「(もうしばらく様子を見ます。初対面はあいつに任せましょう)」
「(‥‥‥あんたがめんどくさいだけじゃないのよ)」
「ようしっ。じゃあそれぞれ好きなバンドとか好きな曲とか言ってもらおうかな! じゃあ杉野君からでっ!」
「はい。バンドはBUMP OF CHICKENとフラワーカンパニーズが好きで、曲は『ガラスのブルース』ですかねえ」
「いいねいいね。俺バンプって隠し曲あんのは知ってんだけど聴いたことないんだよね。面白いの?」
「(フラワーカンパニーズって知らないわ。あんた知ってる?)」
「(はれときどきぶたのEDをやっていたのは知っています。他はあまり)」
「(‥‥‥‥あんたの頭にはアニソンの検索エンジンでもついてるの?)」
「(あ、その設定いいですね。そうやって自己紹介しますか)」
「(キモいからやめて)」
「なるほどねえ。コンポだと早送りめんどくさいよね。じゃあ川瀬さんは? 好きなバンドとかある?」
「はい。好きなバンドはハイロウズで、好きな曲はハイロウズの‥‥‥‥『映画』、です」
「(‥‥むむむ〜?♪)」
「(何ですか気持ち悪い)」
「(あんた死にたいの? 今の川瀬さんと杉野君、見た?)」
「(いいえ。どうかしましたか?)」
「(川瀬さんが曲名言ったときの二人の反応よ。揃ってすっごいはにかんでたわ。
  あの二人、多分『いい関係』だわ。でその関係にさっき言ってた曲が絡んでるんじゃないかしら)」
「(執念すら感じさせる洞察力ですね。それを自分の場合にも使えたら‥‥)」
「(何か言った?)」
「(何も)」
「はいはいっ、そこの二人ひそひそ話終わりっ! 俺らもちゃんと自己紹介しなきゃ!」
「了解です」
「わかったわよ」
「でもその前に、ありがたき新入生のお二人に、俺らからプレゼントがありますっ!」
「(そんなの用意してたっけ?)」
「(俺も初耳です。第一さっきまで新入生が来るかどうかすらわからなかったじゃないですか)」
「それではっ! 『現代日本音楽研究会』から君たちへっ! 『TSUNAMI』の合唱のプレゼントを‥‥」
「んなこったろうと思ったわよっ!」
「じゃあ新入生との距離を近づけるために桜井恵美の過去を大暴露‥‥」
「‥‥‥‥‥やめてえぇぇっ!!!」
「さて、あそこのバカ二人は放っておいて、大丈夫ですか? 俺たちは終始こんな感じで時間を無駄遣いしてるだけですが」
「ええ、大丈夫です。ていうか、ちょっと楽しみです」
「それは頼もしい。川瀬さんは?」
「はい。私も大丈夫です。こういうの、憧れてたので、嬉しいです」
「なら何よりです。ようこそ、『現代日本音楽研究会』へ」
「‥‥‥はいっ!」
「ねえねえ聞いて聞いてっ!! 恵美中学の時イエローモンキーとYMO間違えてさ‥‥」
「‥‥‥‥いい加減にしろぉっ!!」


                               

........The idle talk continues

この小説について

タイトル ちゃってぃんぐ・みゅーじっく
初版 2009年6月18日
改訂 2009年6月18日
小説ID 3225
閲覧数 672
合計★ 4
パスワード
編集/削除

コメント (2)

セゼコン 2009年7月2日 0時06分42秒
セリフだけの作品にはいつも「お前が書いてるのは台本なのか」と心の中でつっこみますが、内容が面白いとそういうの、どうでもよくなりますね。そんなの。

読んでて、「楽しそうだなぁこのサークル・・・」と思いました。この喧々諤々にはついていけそうもないですが。

シリーズ物なんですかね? 気が向いたら続編とか書いていただければ、また読みに来ます。
ぼたもち コメントのみ 2009年7月11日 23時52分18秒
コメントありがとうございます!
セリフだけで書くのは自分も不安だったのですが、無駄話感をそこねたくなかったのでこうしました。
面白いと思っていただけて幸いです。
続きはいつになるかわかりませんが書こうと思っています。
もしまた見かけたら読んでやってください。
名前 全角10文字以内
コメント 全角3000文字以内 書式タグは利用できません
[必須]

※このボタンを押すと確認画面へ進みます。