「都市伝説」シリーズ - 都市伝説 第一章 〜口裂け女〜

都市伝説 第一章 〜口裂け女〜

今から約30年前の1978年。岐阜県で日本を恐怖のどん底に叩き落とす事件が起こった。小学生の男子が、帰宅途中、何者かによって殺害された。
ただ殺害されたのなら、これほどの大騒ぎにはならなかった。ただ、奇妙だったのは、
殺された少年の口が、耳まで大きく裂かれていたこと・・・・。そして、少年の胸に刺さったままになっていた鎌から検出された指紋が誰のものかが分からなかったことだった。この二つの「奇妙性」が、後に「口裂け女伝説」として今もなお語り継がれることになった原因だった。

中島直樹は、静かに本を閉じた。
俺は、栄端(えいたん)学園高校に通う高校2年生。
俺には、特殊な能力がある。
「夢の中で、時空間を行き来する能力」
・・・やっぱり、最初はバカにされたし、誰もそれを信じてはくれなかった。
でも“とある事件”をきっかけに、みんなが自分の能力を認め、信用してくれた。

俺は、「都市伝説」なんてものは、まったく信じていなかった。
霊感だってまったくないし、第一、妖怪とか幽霊なんてものも信じていなかった・・・。そんな俺が考えを変えたのは、“とある事件”を解決してからだった・・・・。

あれは、夏休みもだいぶ終盤に近づいた夕暮れだった。
巻き込まれたのは、俺の親友の「有原俊哉」
彼が、自分の家に向かって歩いていると、赤い服を着た女が、こちらを背にして、道の隅に立っていた。あいつは、すごく優しい奴だったのを覚えている。そんなあいつは、
立ち尽くすその女を見て、「具合でも悪いのかな・・・?」と感じた。
彼は、その女に声をかけた。
「あのぅ・・・、大丈夫ですか?具合でも、悪いんですか?」
・・・おかしいことに、女は全く反応しない。
彼は何度も、
「もしもし?具合は大丈夫ですか?救急車呼びましょうか?」
と声をかけ続けた。
・・・・すると、女は振り返った。
その女は、大きなマスクで口を覆っていた。

どこかで聞いたことのある風貌ではあったが・・・・思い出せなかった。
(そうか・・・。この人は、風邪を引いていたんだ・・・・。)
そう思った彼は、
「あの・・・、うち、すぐそこなんで風邪薬持ってきますね?そこで待っててもらえます?」と、家に風邪薬を取りに帰ろうとした・・・・・。ところが、
「ワタシ、きれい?」
と、女は彼に声をかけた。
「ありがとう」でも、「お構いなく」でもない反応に、少し驚きはしたが、それでも、
「えぇ。とっても綺麗だと思いますよ。」
と答えた。
・・・・嘘ではなかった。
スタイルはいいし、うまくいけば十代にも見える。
化粧もちょうどいいし、それになにより、彼のタイプの女性だった。
女は、
「そう・・・。それなら、これでもきれいって言ってくれる?」
と、おもむろにマスクを外した。

・・・・女の口は、耳まで裂けていた。
彼はかつて父親から聞いた事を思い出した。
「その女はな・・・、口が耳までパックリと裂けていて、見つかったら鎌で口を裂かれて殺されるんだ。なに、ただの「伝説」だよ・・・。」
あの時の父は、酒を片手に笑っていた・・・・・・。

そうだ・・・。あれは、たしか「口裂け女」とか言う伝説だったな。

・・・「伝説」だって、言ったじゃないか・・・・・・。

それが、彼が最期に思ったことだった。

女の振り下ろした鎌が胸を貫いた。
痛い・・・・と言うか、熱い。
だんだん身体から、血の気が引いて行き・・・・・・最後は、真っ暗になった。
彼は最期に、女の高笑いを聞いた。

「その女」は、血しぶきを浴びながら高笑いし、夕闇に消えた。


次の日、学校中が大騒ぎだった。
この事件はニュースにも取り上げられ、教頭と校長は、いつになくピリピリしていた。
警察の話によると、彼の遺体は、口が耳まで裂かれていて、胸に刺さった鎌が、痛々しかったらしい。・・・不思議な事にその鎌から検出された指紋は、誰のものなのかが全く分からなかった。
・・・そして、この事件は解決することのないまま迷宮入りし、事態は、もっと深刻なものになっていくのだった。

5日が過ぎた・・・・。
俊哉が殺されて以来、小学生の惨殺事件が後を絶たず続いていた・・・・・・。
俺はその日、俊哉の通夜に列席するため、彼の家に向かった。
彼の母親は、泣き崩れていた。
・・・・無理もない。俺は、そう思った。
だって、自分の息子があんな死に方をしたのだ・・・・。

あんなに優しかった奴が・・・・・・。
俺は涙をこらえて、下を向いた。
焼香の列に並んでいるとき、俺の涙線は爆発しそうだった。
・・・それでも俺は、涙をこらえた。

帰り際に、幼馴染の紗希が声をかけてきた。
「直樹・・・気の毒だったね。俊哉くんは・・・・すごく優しい子だった。」

・・・そんなの分かってるよ!だから、何だってんだよ!?
そう、怒鳴ってやりたかった・・・。
でも、紗希も気を遣ってくれているのだ・・・・・。そう感じたから、怒鳴らなかった。

「あのさ・・・直樹、たしか小さい頃「夢の中で時空間を行き来できる」って言ってたよね?わたし、そう言うの信じない性質だけど、今回は、直樹を信じていい?」
紗希が続けた。
「いいけど、そんなことが、何の役に立つんだ?俊哉が戻ってくる訳じゃないのに。」
・・・紗希は、何をバカな事を言っているんだ。
確かに俺は、「夢の中」で時空間の移動ができる。
「直樹の「その能力」を使って、「口裂け女」を説得するの。」
紗希は、当たり前のような口調で言った。
「俊哉が死んだショックで、頭イカれたか?」
不謹慎なのは重々承知だったが、思わず吹き出してしまった。
「そんな、実在するかも分からないような伝説の存在を「説得」するのか?・・・へぇ、なかなか、楽しそうじゃん?」
直樹は、紗希に皮肉をぶつけた。
「イカれてなんかいないし、「口裂け女」は、たぶん実在する。現に、こうして不可解な
惨殺事件が多発してるじゃない?」
紗希は突っ張った。
「わぁかんねぇぞ?「そういうの」を楽しんでやってる奴もいるかも知れねぇじゃねぇか?それに、指紋なんて、拭けば取れるんだろ?」
直樹は、受け流した。
・・・聞く価値もないバカ話だと思ったから。
でも、本当に実在するなんて、その時には微塵も思わなかったんだ。

「そう・・・。なら、もういいよ。私一人でやる。」
紗希は、目に涙を溜め、直樹を睨みつけた。
「やる・・・って、何を?」
「この事件を解決する。「口裂け女」は実在して、しかも、今回の事件に関わっているんだってことを証明する。」
直樹は驚いた。
・・・どうして、そんな馬鹿げた伝説を真に受けるのだろうか。
確かに、俊哉を失ったのは悲しいが、心のどこかに「仕方ない」と言う想いもあった。
だって・・・もう、戻ってくる訳じゃないんだし。
「好きにしろよ。俺は、手伝わないからな。」
紗希は、さっきよりキツく直樹を睨みつけると、そのまま去っていった。
・・・言い過ぎたな。
なんとなく、「申し訳無い」と言う想いもあったので、こっそりと一人で図書館に行き、
都市伝説関連の本を片っ端からあさってみることにした・・・・・。
「口裂け女」と言うものが、どういうものなのかは分かったのだが、それが「実在する」という確証は、どこにもなかった。
・・・まぁ、所詮「伝説」に確証を求めることの方がおかしいのだが。
そして、さっきから本を開いたり閉じたりしている訳だった。
とりあえず、手掛かりとなりそうなキーワードは片っ端からノートに書き留めた。
「岐阜県」だとか「1978年」だとか・・・・・・。
けど、調べれば調べるほど馬鹿らしくなってくる。
「見た」だの「聞いた」だのいかにも本当のことのように書かれてはいるが、やっぱり、どこか矛盾する点は否めなかった。
そんな事を続けて一週間が経った頃、またしても「その女」のニュースが流れた。
テレビ画面には、「口裂け女再来か!?」と書かれた派手なテロップが付けられている。
直樹は、昔からそうなのだが、こういうテレビ局の無思慮な報道を見ていると、
だんだん腹が立ってくる。
「気の毒ですねぇ。」とか「ご冥福をお祈りします」とか言ってるわりに、その取材や
インタビューは鋭く、容赦ない。
そうやって傷つけられた遺族の心をさらに抉るかのように、取材記者は、腹の立つ質問を続ける。
・・・仕事だから仕方がないのだろうが、もう少し、遺族の気持ちも考えても罰は当たらないと思う。
遺族にも、「黙秘権」と言うものはあるはずだ。

嫌になってきた直樹は、テレビの電源を切り、ソファに寝転んだ。
・・・・何やってんだろう?俺。
さんざん紗希のことを「ばかじゃないのか?」とけなしておきながら、
自分も、紗希と同じことをしているなんて・・・・・・。
そんなことを、呆然と考えた。

・・・今ごろ紗希は、どのくらい分かったのだろう?
直樹は、紗希に電話をかけることにした。
「プルル・・・プルル・・・・」
おそらく今、紗希のケータイは「森のくまさん」の着信音を発しているのだろう・・・。
直樹は、そんな事を考えていた。
なぜか紗希は、俺のケータイの着信音だけ「特別」と言ってこの曲にしたのだった。
どこが「特別」なのか、さっぱりわからなかったが、人には「好み」というのがあるのだろうと考えた直樹は、何も言わなかった。
「・・・・もしもし。」
紗希はまだ、怒っているようだったがその声は、普段と変わらずよく通った。
「あ・・・あのさ、俺だけど・・・・・」
直樹は照れくさそうに、何を話そうか考えた。・・・・まぁ、考えるまでもないのだが。
「この前は・・・・悪ぃな。ちょっと、言い過ぎたわ。それでさ、申し訳程度に、俺も、その「口裂け女」について調べてたんだけどさ、紗希は、どのくらい進んだ?」
その後の紗希の態度は、明らかにさっきとは違っていた。
「え・・・・?わ・・・私?あぁ・・・私はねぇ、とりあえず、今回の事件で被害に遭った人のご遺族の家に行って、話を聞かせてもらっているの。やっぱりみんな、テレビ局に取材された後だったから、口を開きたがらない人もいて・・・・・。それでも、頭下げて、やっと話を聞かせてもらえたりして・・・・。でも、まだ「確証」が得られなくって。
確かに、「殺された」と言う事実はあるし、それはもうニュースとかではっきりしてることなんだけど、「犯人」を「見た」って人が、まったくと言っていいほどいないの。いたとしても、精神を病んでいて話せる状態じゃ無かったりとか・・・・・・。何かしら、「犯人」も手を打ってあるみたいで・・・・・・。でも、「精神を病ませる」なんて、普通の人間には不可能よね?」

「筋道を立てて、計画を立て、行動する。」
このことに関しては、紗希の方がよっぽど上手かった。
要は、紗希は「論理的」なのだ。・・・悪く言えば「理屈っぽい」
直樹は、紗希の話を聞きながら、ますます自己嫌悪に駆られた。
・・・・紗希はわざわざフィールドワークまでして情報を集めてるのに。
・・・・やっぱり俺、何やってんだろう?
そして、直樹は決意した。
「なぁ、紗希。俺、事件解決に手を貸すよ。」

その翌日から、紗希と二人でフィールドワークや図書館での資料集めが始まった。
紗希が言う「調査」と言う言葉に、なんだか小学生が感じるようなくすぐったさを感じた。
・・・・やっぱり俺って、まだまだガキなんだな。
そんな事をぼんやり感じながら、「平田家」のインターホンを紗希が押した。
出てきたのは、小柄でぽっちゃりした優しそうなおばさんだった。
「あの・・・平田様でよろしかったでしょうか?」
紗希は敬語がとてもうまい。
「はい・・・そうですけど。」
「あの・・・・私たち、友人を「殺されて」しまって・・・。今、事件解決のために、
独自で調査をしているんです。友人の無念を、晴らしてあげたいから。」
そう言う紗希の目が、微かに潤んでいた。
「・・・・そうですか。息子の話が聞きたいんですね。わかりました。上がって下さい。」そう言うと、「平田」と呼ばれた女性は、俺と紗希をリビングへと通してくれた。
温かそうな紅茶が3つのマグカップに注がれていた。
平田は、二人と向かい合うように座った。紗希が話を始めた。
「私たちは、おそらく、この事件が今から約30年前に起きた「口裂け女伝説」によるものだと考えているんです。なんと言うか・・・その・・・・・あなたの息子さんを殺したのも、私たちの友人を殺したのも、たぶん「口裂け女」だと思うんです。犯人が分かったところで、目撃証言も、存在を証明する手がかりもありませんからどうにも出来ないんですけど・・・・・それでも、出来る限りの事は、してあげたくて。・・・・友人のために。」
紗希は、その後静かに紅茶を飲んだ。
平田は、何か考えに耽っているようだったが、やがて話し始めた。
「息子の・・・「駿太」って言うんですけど、駿太を塾に送っていくために私、車を運転していたんです。車から降りた駿太を、私はしばらく見送りました。私、その「赤い服を着た女」が塾の目の前に立っていたものだったから、思わず関係者だと勘違いしてしまって。そのあと、車を発進させた時、背後から小さな何かが追いかけてきたんです。・・・・・・あとで知りました。それが、「口裂け女」から必死に逃げる息子だったんだってことを・・。私、怖くて・・・・・。ずっと、駿太の後ろをものすごい速さで走る「赤い服を着た女」にばかり集中してしまっていて・・・・・・。駿太が、どんな思いで私を追いかけ、
どんな思いで最期を迎えてしまったのか・・・・・・。私、話したくなかったんです。
マスコミには。・・・でも、私、見てしまったんです。バックミラーに映った、「その女」の顔を・・・。口が耳まで裂けていました。・・・・笑っていた・・・・・。」
そう言って平田は、ハンカチに顔をうずめながら泣き崩れた。
・・・・そう言うことだったんだ。
「目撃情報」は、「無い」んじゃなくて「言いたくない」だけだったんだ・・・・・・。
その時の惨劇を、また思い出したくなかったんだ・・・・・。
「想い」に囚われて精神を病んでしまって、きっと話せる状態ではなくなってしまったんだ・・・・・・。
泣き崩れる平田を、紗希が優しく抱擁していた。
「ねぇ・・・。直樹、とりあえず眠ってくれる?過去に行って、駿太くんを見てきてくれないかな?・・・・・もしかしたらね、駿太くん、還ってくるかも。」
紗希は、直樹に囁いた。・・・・そして、
「あの・・・すいませんが、駿太くんの写真とかってありますか?」
紗希は丁寧に、平田に聞いた。
「はい。あります。・・・ちょっと待って下さいね。」
そう言うと平田は、隣の和室へ入った。
「こちらです。来てもらえますか?」
平田の遠くから呼ぶ声がした。
「はい。分かりました。」
そう言うと紗希と俺は、和室へと入っていった。
・・・・そこには、大きな仏壇があった。
たくましい顔つきの男と、丸っこい母親似の顔の男の子の写真が額に納まっていた。
「旦那さんも、亡くなられたんですか・・・・・・?」
「はい。5年前に。脳卒中で倒れまして、その4日後に死にました。・・・・・駿太が、
まだ3歳の時でした・・・・・。」
また泣きだしそうな平田を、心配そうな顔で紗希が見ていた。
駿太・・・・。なかなか可愛い顔をしていた。5年たったと言うと今は8歳で、おそらくは小学校3年生か4年生くらいだったのだろう・・・・・。
きっとこれから、やりたいことをやって、目一杯笑って、目一杯泣いて、目一杯、母親の愛情を受けて育つはずだった少年は、もう、たった一枚の写真の中にしか存在していないのだ。俊哉のように・・・・・・。もう、自分たちの手の届かない世界に行ってしまったのだ・・・・。

紗希が優しく微笑んでいた。
・・・・どうやら、俺は泣いていたらしい。
紗希が、自分のハンカチで優しく俺の頬を伝う涙を拭ってくれた。
「ありがとう・・・・・」俺は呟いた。
「どういたしまして。」紗希も呟いた。

またしてもこんな場で、不謹慎だと言う事は重々承知だった。
・・・・・だが、
今の直樹は、紗希を「幼馴染み」としてでなく「一人の女」として意識していた。
・・・紗希が、いつも以上に輝いて見えた。

「俺・・・・行ってくる。」
直樹は、意を決して布団にもぐり、駿太の顔を思い浮かべた・・・・・・・・・・・。
そばで紗希が、
「行ってらっしゃい。」と呟くのを聞いた・・・・・・。



ここはおそらく、駿太の通う塾なのだろう・・・・・・。
その塾は「将輝(まさき)予備校」と言う名前らしい。看板にそう書かれていた。
だいぶ日も暮れたのか、辺りはほの暗くなってきていた。
やはり残暑と言う事もあって、夕暮れから夜は涼しい。
だいぶ街灯が灯り始めた頃、向こうから一台の黒い車がやってきた。
・・・おそらく駿太は、あの車に乗っている。
・・・・・ビンゴだった。
「行ってきます!」
駿太は元気よく車を飛び出すと、こちらに向かって歩いてきた。
直樹は、近くのゴミ箱の裏に身を潜めた。

しばらく監視していると・・・・・・「その女」が現れた。
「ワタシ、きれい?」
「その女」は駿太に問いかけた。
駿太は、その場に凍りついていた。
母親の車に戻ろうとした駿太は、発進してしまった母の車を必死で追いかけた。
「その女」はマスクを外し、鎌を取り出して追いかけた。
その口は、耳まで裂けていて、おぞましい形相をしていた。
・・・・あれが、「口裂け女」なのか。
紗希の言うことは正しかった。「口裂け女」は実在していた。そして、今回の事件に、大いに関わっていた。・・・・・と言うか、「その女」こそが「犯人」だった。
「ポマード ポマード ポマード」
駿太は叫びながら走っていたが、「その女」には全く聞いていなかった。

・・・・許せない。あの女。
直樹は、ありったけの声を振り絞り、
「ポマード ポマード ポマード」と叫んだ。
今はただ、「口裂け女」に対する憎しみだけが直樹を突き動かしていた。
絶対に人の声が届かない範囲に「その女」はいた。
・・・・・だが、女は振り返り、しわがれた声で、
「私は、それが嫌いだ。だが、それを聞いた位で退散するほど私の恨みは浅くない。」
と言った。
・・・・一瞬だった。
女は、ものすごい速さでこちらに接近し、持っていた鎌を振り下ろした。
避けられたのが、奇跡だった。
女の振り下ろした鎌は、地面に深く突き刺さり抜けなくなってしまった。
「どうして・・・・・私ばかり・・・・・・こんな目に遭わなきゃならない?」
女は、呟いた。
直樹は、身体が硬直していた。
・・・・こんな近くに「伝説」とされていた「口裂け女」が立っているのだ。
「口裂け女」は直樹の首を絞めた。
想像を絶する苦しみの中で、直樹は無意識に
「・・・・何で・・・・あなたは・・・・ポマードが・・・・嫌いなんですか?」
と聞いていた。
・・・・・女の手が緩んだ。
直樹は地面に叩きつけらて、咳込んだ。
「私は・・・・・・整形手術の途中に・・・・・・・・その匂いを嗅いだ。・・・・とても嫌なにおいだった。・・・・私は、思わず顔を背けたわ。・・・・・そうしたら・・・・・ザクッ!・・・・・・よ。・・・その時はまだ、裂けたのは頬辺りまでだった。
・・・けど、その夜、二人の姉に耳まで口を裂かれたの・・・・・・・・・。嫉妬よ。
私は、まずその二人の姉を殺した。口を裂いて・・・・内臓を抉り出して・・・・・・」
ここまで言うと、女はヒステリックに笑った。
・・・・なぜだろう?
本当なら、恐ろしくて声も出ないはずなのに、今はすごく落ち着いている。
「・・・・・辛かったんですね。・・・・・とても、苦しかったんですね・・・・・?」
直樹は・・・・・・泣いていた。
なぜ泣いているのか、自分でも分からなかったが、口を裂かれる苦痛が痛いほど分かった。「痛かったでしょう・・・・?死にたいと・・・・そう感じたでしょう・・・・・?」
「口裂け女」は、直樹を見つめた。
「私には・・・・婚約者がいた。「春樹」と言う名前だった。春樹は・・・・私のことを、とてもきれいだと言ってくれた・・・・・。それがとても嬉しくて、毎日のように
「ワタシ、きれい?」「ワタシ、きれい?」と聞いていた。・・・・・・そして、私の口がこうなってしまったあの日・・・・あの日も私は、春樹の所へ行った・・・・・・・・。けど、春樹の口から出てきたのは・・・・・「死ね!ブス!」と言う言葉だった。私は、
春樹も恨んだ。そして、何度も死のうとした・・・・・・。それでも、死ねなかった。
・・・・私は、小学生のころ「ブス子、ブス子」と呼ばれていた。小学校の同級生を恨み、私を裏切った二人の姉を恨み・・・・そして、春樹を恨んだ。気が付いたら私は、春樹さえも殺していた・・・・。もう、自分で自分が止められなくなっていくのが分かった。」
口裂け女の声は、今やしわがれた声ではなく、生前の美しくよく通る声になっていた。
「優しい人に・・・・・出会えなかったんですね・・・・・・・。あなたは・・・・。」
自分でも驚いたことに、直樹は、口裂け女を抱きしめていた。
そしてさらに、口裂け女までもが、直樹を抱きしめていた・・・・・・・。
「芳子・・・・本当に、すまなかった・・・・・。」
直樹の声は、別の男の声になっていた。
「あぁ・・・・春樹。私の方こそ・・・・・・ごめんなさい・・・・・。あなたを、ずっと愛していたのに・・・・。」
口裂け女の口が、だんだんと塞がってきた。
「・・・俺も、芳子にひどい事を言ってしまった・・・・・。芳子だと、気付かなかった。まったく別の女が、仮装でもして俺に結婚を申し込んでいるんだと思いこんだんだ・・・。本当に・・・すまなかった。あの時の俺は・・・・・異常だった。」
直樹は・・・いや、春樹は、涙ながらに謝罪していた。
「もういいのよ。私は今でも、春樹を愛している・・・・・・。」
もう、「口裂け女」ではなかった。
大きく裂けた口は、もはや元通りになっていた。
鬼のようなおぞましい形相も消え、安らかで美しい端麗な顔に戻っていた。
・・・・確かに、美しかった。
「芳子さん」の二人の姉が、嫉妬をするのも分かるような気がした。

「芳子さん」は光に包まれ、もう一人の男の光と抱き合いながら、空に昇っていった・・・・。

何時間が経ったろう・・・・・・?俺は、地面に張り付いていた。
俺は、激痛に呻きながらも、身体を起こした。
深呼吸をすると、夜の新鮮な空気が肺に広がっていった。
・・・・・とりあえずは、生きているのだ。
俺は、また地面に大の字に寝転がり、静かに目を閉じた・・・・・・・。
夜空には、たくさんの星が瞬いていた・・・・・・。

「おかえり、直樹。・・・・・・お疲れ様。」
紗希の優しくて温かい声が、直樹の心に響いた。
直樹は、静かに目を開けた。
紗希の隣には、小さな男の子が座っている・・・・・・・。
「君・・・・駿太だね?」
直樹が聞くと、駿太は首を大きく振った。
・・・・・・そして、
「ありがとう・・・・・お兄ちゃん。」
そう言うと俊太は、微笑みながら天へと昇って行った・・・・・・。

直樹は起き上がり、布団から出た。
そして、布団の上に正座したまま、紗希と見つめあった・・・・・・。
紗希の透きとおった瞳、柔らかい頬・・・・そして唇。
すべてが、今の直樹には輝いて見えた。
二人は、無言で抱き合い、お互いの健闘をたたえ合った。
平田さんはそれを、温かい表情で見ていた。

これが、俺の能力がみんなに認められるきっかけとなった“とある事件”だった。
紗希から後で聞いた話なのだが、駿太の死因は、走りすぎの「心臓発作」が原因・・・と言うことになったらしい。
・・・「駿太の死」と「母親の一生の後悔」は救うことができなかった・・・・・・。
でも、そんな俺を紗希は責めなかった。むしろ、優しく、
「それでも、その「芳子さん」の心を解放してあげられただけでも、十分、よくやったと思うよ・・・・・・。」と、言ってくれた。
おそらく事件は、この後も続いて行くのだろう・・・・・・。
でも俺は、その事件をすべて解決し、出来る事ならなるだけ多くを救いたい。
今回の「芳子さん」や「駿太」のようなひとを、もう二度と出さないために・・・・・・。

結局、何が怖いって・・・・?
たぶん、一番怖いのは「人間」で、一番温かいのも「人間」だと思う・・・・・・。

今回の事件で俺は、それを確信した・・・・・・。
そして、「口裂け女」や「花子さん」のように、「伝説」として語られるものには、
必ず始まりがあり・・・・そして終わりがある。
その「終わり」を、明るいものにしてあげられるなら、俺はどんな事でもするつもりだ。
それに、俺の隣には、紗希がいる・・・・・・。それだけで、十分だから・・・・・・。
確かに、失ったものはもう戻らない・・・・・。でも、これ以上失わないようにすることはできると思う。
紗希と、あの世の俊哉が、俺にそう教えてくれた気がした・・・・・・。

<おしまい>

後書き

佐藤絵梨子さん主演の映画「口裂け女」の予告編を見たときに、「自分も、こういう話が書きたい!」と思い、書きました。30年前に実際に社会問題にまでなったこの事件。映画や、ほかの小説にかぶらないような、オリジナルな「都市伝説」を書きたくて思いついたのが、特殊能力を持った少年の青春ホラーを描こう。と言うことでした。僕は「ウルフマン」と言うシリーズものも書いているのですが、その主人公が持つ、特殊能力からヒントをもらいました。・・・・話は長くなりましたが、僕の描いたこの作品で、皆さんが楽しんでいただけたであろうことを願っています。

この小説について

タイトル 都市伝説 第一章 〜口裂け女〜
初版 2009年9月11日
改訂 2009年9月11日
小説ID 3483
閲覧数 3548
合計★ 16
かっぱの写真
駆け出し
作家名 ★かっぱ
作家ID 583
投稿数 3
★の数 28
活動度 301
初めまして!お目汚しとは思いますが、精一杯書きました。読んだら、感想をください。お願いします。

コメント (9)

初芽楓 2009年9月12日 11時32分58秒
すごいです!
感動しました。
都市伝説とかただ怖いとおもっていたけど、この小説をよんだら、口裂け女もあんまり怖くなくなりました。

これからもがんばってください。
次回作楽しみにしています!
★ 2009年9月12日 18時55分25秒
どうも、丘です。
では、感想を。
序盤のシリアス展開。最後の感動シーン。
全てにおいて完璧だと思います。
なんと言っても口裂け女の過去。
小学生のころ周りからブス子と言われ、『死ね! ブス!』と一番愛しい人から言われたら、死にたくなるのも当然。そんな口裂け女の過去を僕はしみじみと読みました。
良い作品をありがとうございます。
では。
弓射り 2009年9月13日 11時08分55秒
人の感性をあーだこーだ言うのは筋違いでしょうが、「全てにおいて完璧」なんて、あまり軽々しく言ってほしくないなー。

いちゃもん付け屋の弓射りです。空気クラッシャーです。
自分独自の解釈の都市伝説を書く、という試みはとても魅力的で、挑む価値のある話だと思います。「赤いクレヨン」なんて作品も昔あったのを思い出します。

うーん、ホラーとご自分で称するなら、そして実在する都市伝説をわざわざ取り上げたのなら、どうしてもリアリティーが欠かせないと思うのですが、学園もののラノベみたくなっちゃってて、上手く取り上げたテーマを生かせてないと思いました。あと幽霊とかも普通に出てくる話になっちゃってるし。そのへんで少し世界観も書きたいこともごちゃごちゃしてるのかな、と。

あと瑣末なことですけど、三点リーダ「…」の使い方があやふやなので、そこを改善されると幾分読みやすいかと思います。

映画「学校の怪談」で見たときは怖かったなぁ、口裂け女。ちょい役だったけど。あの映画は名作だと思います。
★かっぱ コメントのみ 2009年9月15日 19時01分49秒
皆さんの温かいご感想、ありがとうございます!!すごく、励みになりました。この作品は第二章、第三章と進んでいきます。まだまだ、三点リーダも多く登場します!(笑)読みにくいとは思いますが、━━ ←こういうのがなかなか、うまくいかず悩んだ結果が、「・・・」の使用でした。現在、第三章まで書きあがっているので、それ以降は「━━」をうまく活用できるように頑張ります!!これからも、好評も酷評もすべて自分の活力にして、頑張っていきますので、応援、よろしくお願いします!!
★仮面ライター 2009年9月27日 9時40分29秒
おもしろいです!!
こういう系の話好きです。僕。(笑)
最後もいい感じにまとまってるんじゃないかなって思います!!

ただ、
駿太が俊太になっているのがあるのが多少気になります。

あと主人公が寝るあたりから、話の進むスピードが急に速くなって
ちょっとそのへんは読みづらかったです。

まぁ僕の個人的な意見なんで、あんまり気にしないで下さい。

この作品好きです。
いまから2章、3章も読みますので楽しみです。



ジュリアン コメントのみ 2010年5月7日 21時20分12秒
口裂け女が誕生したのも、そんな事情があったんですね!! つらかっただろうに……
caiyan 2017年4月20日 11時22分17秒
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