スノウ・ホワイト - 黒き瞳

 ライディールが転入してきて、1ヵ月という月日がたった頃、校外宿泊学習というものが行われた。場所は隣国の、アメジスト国。
 実を言うと、ローズマリーにとってこのアメジスト国は、特別な国だ。三年前に亡くなった父の出身国なのだ。そのため、この行事が始まる前から、少々ローズマリーの様子が変だったのを、寮で同室のアンジェリーナ・フローラとローズマリーの友人サラ・グリンドルとライディールはうすうす気づいていたのだが、あえて聞かなかった。雰囲気が聞かないでくれと物語っていたのである。
 
 列車の中でローズマリーのことを心配しているライディールは、窓の外を見ながらため息を吐いた。窓のガラスが白くなる。
「ライディール。どうかした?」
「別にどうもしない、」
隣に座っていて、ライディール唯一の男子の友人であり、同室でもあるニコラス・アルベルトにそっけなく返事をして、ライディールはもう一度ため息をついた。
「まぁ、ライディールの考えることってハーネットさんがらみなんだろうけどそんなに心配なら、行けばいいのに」
「アルベルト。僕とハーネットはただの師弟関係だと何度言えばわかる。」
1ヵ月前から同じような質問を男子や女子から毎日のように聞かされているこちらの身にもなれと、ライディールは付け足した。
「でも、ライディール、君らがやってるのはどうやっても、仲のよい恋人同士だよ。どうしてそう見えるのかって顔してるけど君があの子にライド君と呼ばせて、ほかの子には呼ばせてないからあの子は君の特別なんじゃないかと思われるんだよ」
「・・・。」
ライディールは、いまさら気づいたような顔をした。同時に、ショックを受けたという顔をして、しばらく、話さなかったのだが、「ちょっと待て」と言い出した。
「別に僕は他意があったわけではない。」
「じゃあどういう意味だったのさ。」
「知るか。とにかく僕にハーネットへの特別な感情はない。」
まぁ、そうしている間に、隣国に着いたのである。

 一番最初に行った先は、アメジスト国博物館。そこで、1時間程度自由時間なのだが、ローズマリー国の全体図を前にして動かない。そこに、ライディールが声をかけた。
「ハーネット。」
「ライド君。」
いつもより、小さな声がしてその声を発した少女は小さく笑った。
「移動するぞ。聞きたいことがあるんだ。」
といって、ローズマリーの手を引いてライディールは1階の、休憩所に降りた。
「で、お前は何をそんなに沈んでいるんだ?」
ものすごく直球な質問をライディールはした。それに、クスリとわらって、ローズマリーは答えた
「この国は、お父様の出身国です。いえ、お父様が持つべき国でした。」
「?」
「私の父は、この国の第一王子だったんです。けれど、こちらの国に来たときたまたまあの町によって、お母様に一目ぼれしたらしいです。王様からはものすごく反対されたんだそうですが、そのときに兵隊さんを全員倒されたそうで、それで、王様は唖然として国を出る許可をしたんだそうだとか。」
「・・・。」
少し唖然として、ライディールは続きを話すように言った。
「私がそのことを知ったのは、三年前、お父様とお母様と、おばあ様が火事でお亡くなりになられたとき。王室執事の方がいらっしゃって、教えていただきました。お父様はちゃんとこの国が好きでしたよ。小さい頃よく聞かされてました。けど、この国はお父様が捨てていった国だから、お父様の思い出が良くも悪くも残っているからきらいです。」
「そうか。悪いことを聞いたな。しかし、そうやって溜め込むのはなしだ。フローラや、グリンドルがどれほど心配していたかお前も知っているだろう?僕らだって愚痴ぐらいは聞いてやれるんだぞ。」
「ぐ、愚痴って、相談とか言ってくださいよ」
そういって、ローズマリーはきれいに笑った。ここ数日で、ローズマリーが見せた久しぶりの笑顔だった。ローズマリーが元気を取り戻したということで、ライディールは満足した表情を見せ、集合場所に向かった。そのときは、自分は本当にローズマリーを思っているのかもしれないと思い始めていた。
 

 しかし、ライディールは、その二時間後、黒き瞳を持った少女に出会うことで、その思いをつぶす。その少女はこういった。
「こんにちは、ライディール君。わたしは、イキシア。ローズマリーのもう1つの人格といえばわかるかしら?わたしが、今出てきたのは、アレを片付けるためもあったけどあなたに用があったの。ライディール君。ローズマリーを愛さないで、わたしが消えてしまったら、困るのはあの子なの。」
黒き瞳の少女は、そういって、悲しげに笑って見せた。ライディールは言葉を失っていた。

後書き

はい。なんかシリアスな展開へと向かっております。
このイキシアについては次回お話します。乞うご期待、する方はどうぞ。

この小説について

タイトル 黒き瞳
初版 2009年10月4日
改訂 2009年10月4日
小説ID 3535
閲覧数 971
合計★ 2
音桜の写真
ぬし
作家名 ★音桜
作家ID 504
投稿数 21
★の数 35
活動度 4200
すっごい未熟ですけどがんばります。自分の小説にコメントをいただけたらうれしいです。応援よろしくお願いします。

コメント (2)

★ 2009年10月4日 13時32分33秒
どうも、丘です。
では、感想を。
うん。確かにシリアス展開になってきましたね。
イキシアと言う少女はローズマリーのもう一つの人格と言うことは、ローズマリーは二重人格なのでしょうね。この後イキシアとローズマリーの2つの人格がどうなっていくのか楽しみです。
では。
★音桜 コメントのみ 2009年10月4日 17時31分36秒
ご感想ありがとうございます。
はい。そうです、二重人格です。
次回をお楽しみに。
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