うしろのひと。の話 二編

                                   
                                   
                                   
                                   
                                   
  『暗い小道で別れましょう』                    
                                   
                                   
                                   
「もう別れましょう。」

彼女は暗い顔で僕に言う。僕はわけがわからないよ、と返した。
暗い夜道。2人で歩いていた路地裏。電灯が不愉快な明かりで道を照らしている。
いつものように塾帰り、道を歩いていたら
後ろから突然彼女が手を掴んで言った言葉だった。

「私達、これ以上の関係になれないのなら、別れましょう?」

これ以上の関係ってなんだ。僕と彼女にこれ以上の関係があるのか?

「いいの、もう、諦めたから。さよなら。」

優しく微笑み、彼女は一粒涙を流す。
僕はもう一度尋ねた。意味が分からないよ。と。
彼女の言っている意味がわからない。別れるとか、それ以上の関係とか。

しかし僕の疑問を解決することなく彼女は走り去っていってしまった。
夜道を照らす電灯の光は中途半端な先までしか届かず、
彼女の姿は走り去ってものの数秒で見えなくなってしまった。

「いや、だから」

一人取り残された僕はぽつんとたたずむ。
そして誰に問いかけるわけでもなく一言。

「きみ、誰なんだよ。」



おわり。


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   孤島のストーカー



とある年齢を迎えた頃、まったくの他人ばかりを集めた孤島で私生活の半分以上を過ごすことになった。
そこはとても狭く、色々な人と衝突した。
孤島には家族はおらず、他人ばかりで
最初は私は取り乱して泣いたりもした。
だがいまは気付けば孤島で同じく過ごす同年代たちと
仲良くするようになった。

ふと気付けば、私に付きまとう男がいた。
私は彼を振り切ろうと色々逃げ惑うが、その場所はせまく、
いつも彼は私のそばでそれ以上近寄りもせず
話しかけることもせず、ただ私の近くでぽつりといるのだった。
その孤島では、彼だけが誰とも仲良くせず、ひとりでぽつりといる。
どこか不気味で変で、笑うと無い前歯が見えて気持ち悪かった。

私が彼から逃げ切れるのは、助けの船がきたときだけだ。
夜になると一台の母船が私を拾い上げ、なんとか逃げ切れる。
けれど朝になればまたあの狭い場所に押し込まれ、数人の他人と一緒に生活をともにしなければならなかった。
その場所でも頼りになる一番の年上が、私達をうまく仕切り、
争いごとがあれば対処し、娯楽などに付き合ってくれる。

今日も私達担当の年上がみんなをあつめて、一緒に娯楽をすることになった。
2人一組のペアになれという。ハッと気付けば、あの男はじっと私を見ているのだった。
これは、まずいんじゃないか。
私の予感は的中した。年上はなんの考えも無く私とあの男をペアにした。
初めてすぐそばまで彼がやってきた。内気そうな、肌の白い男だった。
そして彼と私の手が触れ合う。
男が嬉しそうに笑いながら話しかけた。

「ぼく、たけうち ゆうきです。なかよくしてね!」
「あーら!ゆみちゃん!ゆうきくん!お友達がまた一人できたわね!さあ、みんな、お遊戯の時間ですよー!」

鳴り響くピアノの音、先生の声。
私と彼は音に飲み込まれ、そして音が鳴り止むまで踊り続けた──。




おわり。

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後書き

ちょっと書きたくなったのでふらっと久しぶりにSSを。
ふたつめのやつよりひとつめのほうが気に入ってます。

この小説について

タイトル うしろのひと。の話 二編
初版 2009年10月12日
改訂 2009年10月12日
小説ID 3552
閲覧数 743
合計★ 1
佐藤みつるの写真
ぬし
作家名 ★佐藤みつる
作家ID 510
投稿数 36
★の数 189
活動度 4935
だらだら社会人やってます。
本(漫画・小説)の量が半端なさすぎて本棚がぎちぎちになってます。

コメント (2)

★ 2009年10月12日 17時42分50秒
どうも、丘です。
では、感想を。

まず、ひとつめのお話から。
最初は良いシーンだなと思いましたが……。
彼女と僕は全くの赤の他人なのですね。
最後に虚を突かれました。

ふたつめのお話。
少し理解に苦しみましたが、何とか咀嚼して理解することが出来ました。
どこか慈悲深いお話でしたね。
短い文でしたかそう思いました。

では、失礼。
★佐藤みつる コメントのみ 2009年11月26日 0時24分45秒
お返事が大変遅くなってしまい申し訳ありません!
いつもいつも感想ありがとうございます。
諸事情によりしばらくパソコンをさわる機会がなく、やっと見れた!と思えばコメントをいただいていてびっくりしました…(汗)

ひとつめの話のコンセプトは「予想外!」でした。
なるべく彼女のセリフに対する僕の言葉や心情にヘンなところがでないように考えながら書きました。
思惑通り、丘さんに「予想外!」と思っていただけた感じなので嬉しいです。^^*

ふたつめは正直、私も自分の作品ではなく他人の作品として読んだとき「???」となると思います。(笑)
それぐらいちょっと意味がわからない話でした。書いてる自分もこの先どんな展開になるか予測もつかず、
指が動くまま打ち続けているとこうなりました。(ある程度加筆・修正していますが…)
どこか慈悲深い…なんだか不思議な感想をいただけてどきっとしました。

丘さんの感想コメントはいつもなんだか嬉しいです。
私は感想を書くのが苦手なので、丘さんのようにコメントを書けるようになりたいです(汗)

感想ならびに評価の☆、ありがとうございました!!
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