スノウ・ホワイト - グリモワール

 男子寮の3階の305号室の扉が開いて、疲れ顔のライディールが部屋に入り、ベッドに倒れこむという現象が、一週間続いた。同室のニコラスは、一週間前に何があったのかとたずねたが、ものすごい形相で睨まれたため、もう二度と聞かないことを誓った。

 ライディールがこんなことをする理由は、他でもない、ローズマリーのためだった。ダンスパーティで、十中八九ではあるが、ローズマリーの気持ちに気づいたライディールは、二重人格の精神をわける方法があれば、よいのではないかと思い、一週間前から授業が終わり次第図書室に駆け込み、ありとあらゆる精神医術の本を読みふけり、寮に帰ればベッドに直行。その生活を一週間続けているわけだ。

 一週間たった今でも方法は見つかっていない。

 そんな現実にぐったりしてしまっているライディールだが、その上でちゃんと成績も(中の下ではあるが)キープしており、授業中居眠りもしないというその努力は賞状物である。

「ライディール、何か調べ物してるんだったら、いい情報があるんだけど」

ニコラスの声がライディールの夢の世界に行きかけた頭を正常に戻した。ライディールは飛び起き、その情報を話すようニコラスをせかした。
「そんなに急かさないでよ。えっと、確か、医学関係の本棚のところに、一番分厚い本があるよね?」
「ああ、僕が頼りにしている内容ではなかったがな。それがどうした?」
「あれってさ、呪文を唱えると魔道書に変わるんだって。」
「魔道書だと?それは本当か?」
「多分。先輩から聞いた話だし。呪文が謎だからどうにもならないんだけど。呪文さえわかればどうにかなるんじゃない?」
 ニコラスはにこりと笑った。しかし彼の言う通り呪文がわからなければどうにもならない。ライディールは呪文を知ってそうな人物は誰かと尋ねたが、ニコラスは首を横に振った。ライディールはまた、外に飛び出そうとしていたが、すでに消灯時間であった。

 翌日、ライディールは外出許可をもらい、実家に帰ることにした。その手には、大きな鞄があり、その中には、図書室から借りた医学関係の本の中で一番分厚い本が入っている。

 ライディールの実家は、ヴィスペニアで、一番小さな村である、ベルク村にある。その地には曾祖母、つまりスノウがいた時代から住んでいる。キングベル魔術学校からは少々遠い位置にあるが歩いていけないほどの距離ではない。せいぜい30分位かかるかからないかである。

 村の中の一番小さな家の木戸を開ける、実家なのでノックは不要だろう。
「ただいま。」
ライディールが中に入ると、父のエクスカロス・ミヴァーナ・ホワイトと、セレナ・ホワイトが驚き顔でライディールを見た。
「兄さん!?」
「ライディール!?」
と、いって二人は立ち上がり、ライディールの近くに駆け寄った。
「ライディール、帰ってくるときは連絡入れろと僕は言わなかったかい?」
「すみません父上、全く頭に入ってませんでした。」
「兄さん兄さん。彼女はできた?友人はどんな感じの人?」
「彼女はいないし、友人はふざけた奴だ。」
とりあえず、三人はテ−ブルに座り、ライディールが用件を切り出した。
「父上、この本について何かご存知ありませんか?」
 ライディールは、テーブルの上に本を出し、エクスカロスのほうに押す。エクスカロスは、本をとり、ぺらぺらとめくりはじめた。それを終えると今度は魔力が秘められているかどうかを探り始めた。
「これは、魔力が秘められているね。何か呪文を言うと本が変わったりするのだろうけど、その呪文がわからないと。」
「ええ。父上何かわかりませんか?」
エクスカロスは首を横に振った。しかし、続いてこういった。
「ただ、この魔力を宿した本人は知ってるよ。」
その言葉にライディールは飛びつき、バンッと音を立てて席を立つ。
「誰ですか?それは?」
エクスカロスは紅茶を一口飲んで、一息ついてこういった。
「レウィシア・ラクシーヌ。今はなくなっているけど、僕の師匠。」
エクスカロスがそういうと、本が光を放っていた。その光は10秒ほどで止まり、その後、本の表紙には「グリモワール」と書かれておりその下には「レウィシア・ラクシーヌ」とあった。ライディールは、恐る恐るその本の表紙を開いたのだった……。

後書き

次回。
真実が明かされます。

この小説について

タイトル グリモワール
初版 2009年10月21日
改訂 2009年10月21日
小説ID 3572
閲覧数 867
合計★ 2
音桜の写真
ぬし
作家名 ★音桜
作家ID 504
投稿数 21
★の数 20
活動度 4200
すっごい未熟ですけどがんばります。自分の小説にコメントをいただけたらうれしいです。応援よろしくお願いします。

コメント (2)

★ルビナ 2009年10月21日 22時24分12秒
こんばんは!
ルビナです!!
今回の展開もいいと思います。
でも、私的にセレナ・ホワイトには「お兄ちゃん」と言ってもらいたかったです。
勝手な意見を言ってしまって申し訳ありません………。
★音桜 コメントのみ 2009年10月22日 17時26分30秒
えっと申し訳ありません
それは無理です。
セレナちゃんの話し方が
変わってしまいますので

 すみません。
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