友達登録手帳 - 〜てのひらの〜

友達登録手帳 〜てのひらの〜


 いつもの風景・いつもの光景・いつもの生活・いつもの・・・・・・自分。

 学校の廊下を、少し跳ねた髪をポニーテールにしている女子生徒がいた。
 制服は、何故かリボンではなくネクタイをしていた。
 校則違反ではないので、教師は何も言ったりはしない。
 そんな彼女が、廊下をただ歩いていると。
「あ・・・・・・見てみて大久保さんよ」
「この前男子生徒を1人でボコボコにした。って」
「えええ〜」
 女子生徒ががやがやと話し始めた。
 その内容は、どれもいい話とはよべず、むしろ悪いものしかなかった。
 彼女はそんなことは気にて無い様子でどうどうと廊下を渡り続けた。
 そして、中央廊下に曲がって、誰もいない教室に入った。
 そこは、「物置き場」と書かれた看板がぶら下がっている部屋だった。
「また、いつもが来る」


 私がこの高校に入って、半年もたっていない。
 今は夏だ。
 当たり前のように4月に入学して、今まで過ごしてきた。
 私は特に目立った行動もせず、どこにでいるような学生のつもりだった。
 “でも”。
 いつしか、私のことが学校中で噂されるようになった。
 教師を負かした、とか、男子をボコボコにしたとか、女子をいじめたとか。
 それはどれも悪い噂だった。
 その所為で、近寄りたくない人間の1位になってしまったことだろう。
 ランキングなんてしなくても目に見えてる。
 私を見かけた生徒は皆そんな噂の事を口にしながら逃げていく。
 もちろん、私はそんことをしていない。
 所詮、噂だ。
 だが噂というのはたちが悪い。嘘でもホントでも凄い勢いで学校中に広まる。
 いつしか私は、避けられることに慣れてしまった。
 どうしてそんな噂が広まったのか、私には知る由も無い。
 今頃になってその噂は嘘だと言っても、信じるものもいないだろう。
 私はいつも1人でここにいた。
 教室には必要以上に居ることはなく、誰とも話さず、ただここにいるだけ。
 そんな生活をしていて、私は1人でいることが苦ではなくなった。
 “こんなもの”。そう、思い始めた。
 私の居場所はいつもの此処だ。
 だから、ここがなくならなければ、私はいられる。
 それなら、“そうでいい”。
「それで、いい」
 ガラッ。
 そう思っていると、そうだね。と同意してくれたのか、違うよと否定されたのか、扉が開かれた。
「あれ? 人がいたの。ごめんなさい。邪魔しちゃった?」
「・・・・・・別に」
「そう? 良かった。荷物取りに来ただけだから」
 そう言って、地面につきそうなくらいまである長い髪を2つに縛った生徒は、小さなダンボールを手にとって失礼しました。と、去っていく。
「・・・・・・・・・」
 私はただそれを見送って、いつものように其処にいた。
 見た事がない生徒だった。
 私が普段教室にいないからかもしれないけど。
 人と話したのは久しぶりだった。
 生徒はもちろん、私は教師とも話しなどしない。
 特に話す必要もないから。
 でも、本当は。
「・・・・・・・・・・・・」
 窓越しに、空を眺める。
 青い、な。
 静かな時間で眺めていると、カチカチカチと、時計の秒針の音が聞える。
 彼女が来たこと意外は、前と変わらない時間。
 そうして過ごしていると、休み時間が終わる。
 キーンコーンと鐘は響き、同時に学校中が生徒の話し声が止み、静かな時間へと変わる。
「私も戻らないとな」
 そう呟いて、その教室を出た。
 次に来るのは、昼休みだ。
 ガラッ
 音をたてて教室の扉を開け、教卓を見ると、そこにまだ教師の姿はなかった。
 私は窓側の一番後ろの、自分の席に座る。
 それから、
 数分後に教師がやってきて、授業が始まった。
 私は別に成績が悪いわけではなかった。良い訳でもないけど。
 授業はちゃんと受けている。ただ休み時間だけ此処にいないだけ。
「大久保。ここ解いてみろ」
 すると、教師が私の名前を呼んだ。
 私は言われるとおりに、黒板にチョークで回答をしていく。
 教師はよくできましたと私に言い、私は黙って席に戻った。
 それから、授業は続き。私は話も聞かずに空を見ていた。
 空は、人の悩みなどしらないだろう。
 悩み? ああ、私も本当は―――
 キーンコーン
「はい。じゃあ今日はここまで。次の時間までにこの問題できるようにしとけー」
 教師は、出て行った。
 ピシャっと扉が閉まり、同時に教室が騒がしくなる。
 昼休みだ。
 この高校では昼食は昼休みに食べる事になっている。
 私は弁当が入ったカバンを持って教室を出る。
 また、あそこで食べるのだ。
 そうして、廊下を歩いている時だった。
「あ」
 彼女が、私に話しかけてきたのは。
 彼女は私の顔を凝視して、言葉を詰まらせる。
「さっきの。えーと・・・・・・」
「お前・・・・・・・・・」
 私に話しかけてくるなんて、変わった生徒だった。
 噂を知らないのだろうか?
「ああ、人に名前を聞くときは自分からだったね。私は上遠野 由希」
 上遠野 由希と名乗った彼女は、私に笑いかけ、そう言った。
 私の名前を知らないのだろうか? 
 だから、気づかずに話しかけてきたのだろうか。
 なら、言ってしまえば―――彼女も私に近づかなく、なる。
 私を避けずに、ちゃんと目を見て接してくれたのは、彼女が始めてだった。
 また、失う。
「どうしたの?」
「あ・・・・・・・・・」
「貴方の名前は?」
 彼女は、無垢な表情で私に尋ねてくる。
 私は、答えていいのだろうか。
「・・・・・・・・・・・・」
 いや・・・・・・今更、言わなかったところで、何も変わらない。
「私は、大久保 なおき」
 その名前を聞いた生徒は、だいたい「まさか噂の!?」だの、「男の子みたいな・・・・・・ああ、もしかして、貴方が!?」などと言ってくる。
 どうせ、彼女も一緒だろう。
「大久保さんっていうのね。今から昼食? 良かったら一緒に食べない?」
 彼女もどうせ一緒なのだと、そう思っていた。
 だが、違った―――。
 今日は、違う事が何度も起きた。
 1つは、彼女とであった事。1つは、彼女が私を避けずにいてくれたこと。
 1つは、――――


「箕輪?」
「そう。彼とも最近知り合ったんだけど、とってもいい人なんだよっ」
 彼女は、楽しそうにその箕輪という男子生徒のことを話した。
「今日は学校来てないの。何があったのかなーって・・・・・・」
「心配なら、家に訪ねてみたらどうだ?」
 私は、そんな提案をして見る。
「それがね、私・・・・・・彼の家も電話番号もしらないの」
 彼女は残念そうな笑顔で私に呟いた。
 確かに、男子にそういうのを尋ねるというのも恥ずかしいと思うのかもしれない。
 私は今まで人と話してきていないから、よく判らない感情だけど。
「いつも屋上にいる人でね、3人で食べようと思ったらいないんだもの」
 彼女は、どうやらその箕輪と私と一緒に3人で食べたかったらしい。
 でも、あって間もない私をその箕輪にどう説明する気だったのだろう。
「え? 友達」
 彼女は、不思議そうに私を眺めながらきょとんとした声でそう言った。
 私は少し驚いて、彼女を見た。
 私とあったのはあの教室でが初めてだし、話したのも今日が初めてだ。
 そんな人間を、彼女は友達と呼んだ。
「あのサ・・・・・・少し気になっていたんだが、上遠野・・・・・・お前は私の噂を知らないのか?」
「噂?」
 案の定、彼女は知らないというのが丸判りな表情で言った。
「教師を負かしただの、女子をいじめただの・・・・・・」
「それ本当にやったの?」
 私は、すぐに否定した。
「まさか。なおきなんて名前のせいだか人相だか知らないが、勝手に周りがそう言い出した。それからずっとその噂は定着しているだけだ」
 私がそう言い切ると、彼女は不思議なことに大声で可愛らしく笑い始めた。
「??」
 私は何故笑ったのか、訳が判らずに彼女を見やった。
「だったら気にする事ないじゃない。噂なんて、所詮噂よ」
 彼女が立ち上がって、この高校の制服じゃないそれが風を佩びてはためく。
 彼女は、言ってくれた。
 私は、友達だと。噂は、噂だと。
「ありがとう」
「? よく判らないけど、・・・・・・・・・どういたしまして」


後書き

こんばんは。
五月です。

前からコメディ、青春ものに憧れていたものの、全然それっぽいものが書けず。
利便時です!(リベンジです。はい(オイ
自信は全然ないですよ。ええ、もちろん。

ちなみに、せんべいさん・帽子さん・丘さんに言われたところを直してみました。
もしかしたらまた見逃しちゃったりしてちゃってるかもしれませんが(汗

この小説について

タイトル 〜てのひらの〜
初版 2009年11月21日
改訂 2009年11月22日
小説ID 3621
閲覧数 1073
合計★ 8
五月の写真
作家名 ★五月
作家ID 497
投稿数 60
★の数 165
活動度 11432
一言・・・・・・頑張ります。

http://simotukiharuka.blog.so-net.ne.jp/
自分の小説ブログです。
ここに載せた小説についていろいろ書いてます。

コメント (4)

★せんべい 2009年11月21日 17時46分27秒
読ませていただきました。

いい話、で片付ける前に誤字脱字が結構目立つなぁーって思いました。
本当に推敲してるんかな? って読者側も思ってしまいます。
1つ指摘するとしたら、この一文です。

> だが噂というのはたちが悪い。嘘でもホントでも凄い勢いで学校中に広まる。

この「嘘」と「ホント」を、どちらもカタカナにするか、漢字にするかに統一した方がいいかと思いました。
たぶん全然気にしない人がほとんどなのでしょうが、誤字などと同じでそういう部分をきちんとすることで作品の質も上がるのではないでしょーか。


作品全体的には、なかなか楽しんで読むことができました!
ただ噂が立つには何かしらの理由がいるわけで・・・男子がぼこぼこにされたなら、実際学校に包帯まいた男子がいるでしょうし、生徒に負かされた教師がいるなら、当然職員室の噂になって、そう簡単にこの主人公を授業中に当てることはできないでしょう。
重箱のすみをつつくような指摘ばかりしてすみません;;

短編・・・なのでしょうか?
まぁそれはさておき、次回作も期待しております^^
★黒い帽子 2009年11月21日 18時45分01秒
 読ませていただきました、とりあえず一個気になった所を。


学校の廊下を、少し跳ねた髪をポニーテールにしている女子生徒がいた。

 学校の廊下に、
 の間違いではないでしょうか?

 話そのものは面白く、続きが気になりました。
 あ、作家情報の絵上手ですね!
★丘 圭介 2009年11月21日 18時54分59秒
久しぶりに五月さんの作品を読ませていただきました!
なるほど、レベルが数段上がっていますね。
内容のほうは新鮮な感じで読んだ後、心がすっきりしました。
面白かったです。
ただ地の文で状況説明が曖昧なところがあったので、気をつけていただければと。
では。
★五月 コメントのみ 2009年11月22日 8時13分40秒
せんべいさん>コメント有難うございます!
ああ、やはり多かったですか?(^^;(苦笑

教えていただき有難うございます。
ふむ。なるほど・・・・・・。

短編形式シリーズものです(オイ
1話だけでも話が通じるようにしていきたいです。

帽子さん>コメント有難うございます!
帽子さんも教えていただき有難うございます^^;
すいません、間違いばかり多い小説で(汗

あ、いえいえ! あれは僕がかいたんじゃないですよーう(汗
僕の好きなイラストレーターさんの絵です。
僕の絵はもっとド下手ですよ;;

丘さん>久しぶりにコメント有難うございます(笑
上がってますか? だといいのですが(苦笑
曖昧な部分ありましたかー・・・・・・見直していろいろ直します^^;


皆さん本当に有難うございますです!!
名前 全角10文字以内
コメント 全角3000文字以内 書式タグは利用できません
[必須]

※このボタンを押すと確認画面へ進みます。