Their trip - 第肱叩Ю鐓譴離泪螢ネット

第肱叩Ю鐓譴離泪螢ネット

 どういう、ことだ?
 私は、あの時・・・・・・あそこに、皆と一緒に・・・・・・焼け果てた大地にいたはずだったのに―――――。


 深夜という時間に、何処か荒れ果てた丘を7人ほどで渡り歩く集団がいた。
 その集団が、丘のすぐ近くにある森の中で休憩をしている。
 星は瞬き、月は彼らの行き先を照らしているようだった。
 その中に、月と同じような金色の髪を持った少女がいた。
 黒いリボンでその髪を1つにしばっている。
 まるで月と夜空のようだった。
 その少女が木に寄りかかった状態で目を瞑っていると、
「ルティア。起きているか?」
 近くに若い男がやってくる。
「あ、ああ」
 ルティアと呼ばれた少女は答え、立ち上がる。
「時間だ。行くぞ」
「・・・・・・判った」
 少女と若い男は丘の道で待っている仲間と合流する。
 みな軍服を着ており、1人1人何かしら武器を持っていた。
 ルティアの腰には、ホルスター、つまりは拳銃が一丁。
「ルティア。拳銃、それだけで大丈夫か?」
 彼女の直ぐ隣を歩く、若い男性がそれを見て心配そうに尋ねてきた。
 少女は予備がまだある。と短く相手にそういい、最後に心配するな。と付け足した。
「それにしても、ルティアまで借り出されるとは。いつから俺らはそんな落ちぶれたんだ?」
 そして今度は一番後ろを歩いていた30代ほどに思える男が。
 彼らは皆軍服の上から鎧を身につけていた。
 ただ1人、ルティアだけは違ったが。
「そうだよな。ルティアは女だし、しかもまだ10代だぞ? 戦場に行くりゃあちと早すぎる」
 もう1人の30代ほどの丸刈り男もその話に同意した。
「あのなぁ・・・・・・拳銃でならお前らにも私は負けないぞ」
 ルティアは不満げな顔でそう呟いた。
「仕方ない。ルティアは女で戦闘もできる。相手が油断するだろうとの上の命令だ。不本意ながら彼女を俺も連れてきてしまったわけだ」
 この集団の中で、1番年長者と思われる体つきのいい老人が言う。
 老人は身長も高く、年寄りにもかかわらず、若い男達よりも強そうな印象をしている。
「隊長。でも・・・・・・さすがにルティアは若すぎるでしょう」
 隊長と呼ばれた老人は、どうやらそのままこの集団の隊長らしい。
「お前ら・・・・・・私を侮辱しているのか?」
 一方、ルティアは心配を裏返しに捉えていた。
 皆は、ルティアが怒った! と騒ぎ始める。
 隊長の老人はそれを微笑んでみていた。
「こんなお遊びが出来るのも今のうちだ」
 老人は呟いた。
 だが、騒いでた全員にその言葉は一文字も聞える事はなかった。
 ここは、もう直ぐ戦争が始まる。だろう。
 ルティア達は上の命令に従って戦闘に慣れているものが集まって、あいての国に向かうことになった。
 つまりは、相手の出方を見るため。監視役みたいなものだ。
 ルティアを連れてきたのは老人の隊長が言っていたように、あいての国の人間を油断させる為。
 まさか相手の国の軍が女を連れ来るとは思っていないだろう。
 だが、軍服や鎧を着ていればさすがに疑われる。
 そのため、国の中に入るのは町娘の格好をしたルティアだけになる。
「ルティア、本当に大丈夫なのか・・・・・・?」
 心配げに、男たちがルティアを見る。
 皆少なくとも25歳以上だ。10代のルティアは若すぎる。
「同情などいらぬぞ」
 皆の心境を悟ったのか、ルティアは皆に冷たい目を向ける。
 同時に、やさしそうな目でもあった。
「・・・・・・ありがとう。だが、これは私が決めたんだ」
 決意は、固く、揺ぎ無く。
 力は、強く、勇ましく。
 戦争は、虚しく、哀しく。
 剣は、迷いなく、心理を。
「着いたぞ」
 丘の上から、国が見えた。
 塀に囲まれている、森に覆われている国だった。
 それが、今回ルティアたちの国と戦争を起こすであろう、相手。
「今宵はここで大気だ。明日、ルティアに潜入してもらう」
 隊長の言葉で、男達とルティアはそれぞれ寝る場所を決める。
 ほぼ寝袋かテントだ。
「ルティア・・・・・・そういえばお前、どうして今回剣じゃないんだ?」
 ルティアがテントを張るさいに、後から1人の男が話しかけた。
「剣では、服のどこにも隠せないだろ? だから。短剣でもよかったのだが、基地に残っていなかった」
 残っていなかったとは、ルティア達意外にももちろん軍人はいる。
 いつも短剣を使っていないルティアには、本人用がなかった。
 他の軍人が練習に持って行ってしまったということだ。
「なるほどね。オレの使うかい?」
「ははは。お前は拳銃に向かない。無理はするな」
 ルティアにあっさり見栄がばれ、男は顔を赤くして苦笑する。
「そういえば、フェルゲン・・・・・・。お前テントか寝袋はどうした?」
 フェルゲンと呼ばれた男は目を丸くして、苦笑した。
 ルティアは目を半目にし、
「まさか・・・・・・持ってくるの忘れたのか?」
「いやー、持って来てたと思ってたんだけどね。入ってなかった」
 肩をすくめる彼を見て、彼女は呆れ顔で招くように手を振った。
「テントに入れてやる」
「マジで? でもいいのかね。年頃の女の子が」
 冗談気味に言う彼に、
「何かしにきたら、私の鉄槌が下る事だろう」
 冗談気味に笑って言い放った。
 その瞬間フェルゲンはまけたねと呟き、ルティアが張り終わったテントの中に入る。
 ルティアも続き、フェルゲンに毛布を投げた。
 それをナイスキャッチしてフェルゲンも寝転がり、ルティアもまた横になった。
 入り口を閉めても、風の音が聞えた。月の光も、見えていないのに、見えたような気分になった。
 そんな時、目を瞑ったままルティアは言う。
「この世界に、終焉はあるのだろうか?」
「え?」
 まだ起きていたらしいフェルゲンは横になったまま、顔もあわせることなく呟く。
「それは、まるで終わりの無いパズルのようで、1日1日進むごとに、ピースが1つずつ埋まっていく。――でも、それに終わりは無い。いつまでも、いつら紡いでも、終わらない」
 表情は見えなかったが、ルティアが哀しそうにしている気がした。
「驚いたな。お前からそんな弱音がでるとは」
 フェルゲンの言葉を、ルティアはすぐさま否定する。
「弱音じゃない。ただ、気になっただけだ」
「・・・・・・そうかい」
 フェルゲンは呟いて、ルティアは黙った。
 しばらくして、本物の沈黙がやってくる。
 風もやみ、人の声も聞えない。
 そして、夜が明ける。
「集まれ」
 朝7時には体長に呼び出され、ルティアたちはテントも寝袋もキレイにたたみ、カバンに入れ、それを一箇所に集めた状態で集まる。
「我々はこれより敵の国に乗り込む。とは言っても、入るのはルティアだけだ。私と残りの奴の仕事は、もしルティアが敵の軍だとばれた場合、ルティアを守り、それを知った者の暗殺だ」
「隊長」
 隊長の言葉が終わると、手を上げて威厳をするものが現れる。
 それはフェルゲンだった。
「どうした、フェルゲン」
「ルティアだけってさすがに危なくないですか?」
「な。フェルゲン! それは私を信用していないのか!?」
 フェルゲンの発言に、ルティアは荒らしくフェルゲンを指差して叫んだ。
 隊長は数秒黙り、
「何が言いたい。フェルゲン?」
「話が早い。オレも一緒に行ってはいけませんか?」
「!!!?」
 その発言にルティアを入れ残り全員が驚く。
 決まっている作戦では、もしもの時のためルティアだけとなっている。
 たとえ普段着になったとしても、男が入れば門で怪しまれる。
「・・・・・・・・・・・・」
 あたりは静まり返り、フェルゲンはそれでも真っ直ぐに隊長を見つめた。
 やがて、
「判った。一緒に行く事を許可する」
「隊長」
「なっ!?」
 すぐさまルティアが驚きの声をあげ、
「隊長!? いいんですか!」
「仕方あるまい。確かに、襲われた時ルティア1人よりは安心だ」
「それは私が頼りないと!?」
 隊長が言葉を発しようとした瞬間、
「ま。いいじゃないか」
 フェルゲンがルティアの頭に腕を載せて言った。
 それにルティアは怒り、その話はそこで終わった。
 結局、ルティアとフェルゲンは私服に着替え、武器を服に隠し、国の門に向かう。
「隊長。いいんですか? 2人で」
「何がだ?」
 隊長のその言葉に、残りの軍人の男達はもう何も言わずに、2人を見守っていた。
「なんで私がお前と」
 まだブツブツ言っているルティアを見ながらフェルゲンは笑い、
「いいじゃないか。国で買い物したりして過ごす。それが普通の子供の役目だ」
「子供とはなんだ。お前も20歳で変わらないじゃないか。1歳前は子供だったろう」
「そうだな・・・・・・。1歳違うだけで、世界は変わるものだな。お前の目には、この世界はどう映る?」
 フェルゲンの言葉に、ルティアはやや首を傾げる。
 そうしていると、敵軍の国の門が見えてきた。
「何だお前達?」
「国に入国を希望します。旅人なのですが、さきほど荷物を奪われてしまいまして。国の中で揃えたいのです」
 嘘八百をフェルゲンが言い、門番は少し悩んだあと、ルティアを見て
「判った。入国を許可する」
 許可を出した。
 フェルゲンは黒い笑みを門番に見えないように浮かべ、それを見たルティアは苦笑した。
「あっさり入れたな」
「あとは、どさくさにまぎれてさり気なく国人に戦争の事を聞くだけだ」 
 周りの人間に聞えない程度に、2人は言葉を交わす。
 国の中は、屋台がならび、笑顔で接客している人々も見れたが、ため息を吐いたり、憂鬱そうな表情を浮かべている者も見えた。
 それもそのはず。
 もうすぐ、“戦争”なのだから。
「世界は醜いと思わないか?」
「は?」
 突然の言葉に、ルティアは首を傾げた。
「国を守るのが、上・・・・・・つまり王の役割だと思わないか? でも、その国民を苦しめる“戦争”という憎しみを晴らそうとしているんだ。「国民の為」なんて言って、結局何も見えてはいないのさ」
「そうか? 戦争はどこにでもある。此処に限ったことじゃない。その上で、私達軍人は生きていかなければならない。誇り持って、敵を撃つ。それが私達の役目。違うか?」
 ルティアの答えに、
「そうだな」
 哀しく笑い、フェルゲンは言った。
 だが、その表情の意味が、ルティアにはまだ判らなかった。
 すると
「戦争だそうだ。大勢が死ぬのだろうな・・・・・・」
 居酒屋と思える店から、50代ほどの男の声が聞えた。
 扉が開いたままの居酒屋だった。大きな男の声はルティアたちにもよく聞えた。
 フェルゲンが店に入り、ルティアもそれに続いた。
「おや。またお客さんか」
 先ほどの声の男が、2人に気づいて話かけてくる。
「ええ。戦争が、どうのこうのといっていましたね。私達旅人で」
「ほう。旅人さんが居酒屋に何かようかね?」
「私も彼女も飲みませんよ。話が聞えて・・・・・・気になって」
 またもや嘘八百。
 だが、人間に嘘などつき物だ。
 ルティアもそんなこと気に留めていない。
「近々近くの国と戦争をする。戦車や軍人が沢山使われるだろう」
「王が、決めたんですよね?」
「そうだ。人間この世の人物だれとでも仲良くなどできぬ。うちの王は相手の王と合わなかった。それだけなんだろうよ」
 男の言葉に、フェルゲンが共感した。
「そう、ですね・・・・・・。仕方の無いこと。それで割り切るしかないのかもしれません」
「そう。人生、そんなもんだ」
 ルティアがフェルゲンの発言に首を傾げた状態のまま
 フェルゲンは続ける。
「でも、「それを何故?」と誰かが問わなければ・・・・・・何も変わらないのかもしれません」
 問わなければ・・・・・・?
 その言葉が、ルティアの心に響く。
「ふん。1人が問うたところで、何も変わりはしないのさ」
 フェルゲンは男がいう事はもっともだと言いたげな笑顔を浮かべ、居酒屋をあとにした。
「居酒屋にいたほかの人間にも聞いたことろ、使われる武器は戦車・拳銃・剣・短剣・爆弾・地雷。などだろう」
「それが全部ではないだろうが・・・・・・まぁまぁ判ったかな」
 居酒屋から離れた場所で2人は話す。
「地雷の位置までわかればよかったが・・・・・・それはさすがに国民は知らないか」
「だろうな。でも、地雷なんてやったら、仲間も踏むかもしれんじゃないか」
 フェルゲンの言葉に、
「それを承知なんだろう? あるいは、場所を叩き込まれているか」
 ルティアは淡々と答える。
 戦う場所は、推理でもすればだいたいは判るだろう。
 国から国までの間なのはわかりきっている。なら、そこら周辺に埋めてしまえばいい。
 それには時間も必要だろうが、戦争なのだ。それぐらいはするだろう。
「今もどこかで活動中だろう。国の入り口あたりは見る限りやっていなかったが」
 ルティアがここに来るまでの道を思い出し、呟いた。
 フェルゲンも頷き、話を続ける。
「使ってくる武器は、ほぼこっちと一緒だな」
「そうだな」
 すると、ルティアの金髪と、黒いリボンが風に靡く。
 国の中を通る風は、少し暖かい気がした。
 フェルゲンはそれを見て、
「ルティア。ちょっとそこの噴水の前のベンチで待っててくれ」
「え?」
 ルティアが言い終わるよりも早く、フェルゲンはすでに数メートル先に進んでいた。
 残されたルティアはなんなんだ? と呟き、仕方なく噴水の前のベンチに腰掛けた。
 顔を上に向けると、雲が空を泳いでいた。
 空は青い。
 それは当たり前のことなのに、今の私にはそれが判らない。
 軍人になって2年ほど。
 そのときの私は本当に子供だった。だが、孤児の私はそこ意外に生きるすべはなかったんだ。
 闘っているほうが、“生きてる”と思うことができる。
 それは、おかしいことだろうか?
 フェルゲンは言った。私は本当なら国の中でオシャレをしたり、恋をしたり、女の子らしく平和に暮らしていたのだろうと。
 でも、それじゃあ、私は「生きてる」と実感できないんだ。
 もう私は、軍人以外の・・・・・・何者でもないのさ。
「何やってんだ、おまえ」
 そこで、誰かに話しかけられた。
 顔を前に向けると、帽子を被った赤毛の少年が目の前にいた。
「何って・・・・・・・・・・・・」
 ルティアは言葉を詰まらせる。
 ただ、空を眺めていただけなのだから。何もないだろう。
「この噴水のベンチは俺の場所なんだよ」
「君の?」
 ルティアは顔をしかめる。
「そう。なくなったレイミーと約束した場所」
「レイミー?」
 亡くなった?
「だから、どけてくれない? おまえが座ったままじゃ、レイミーが座れない」
 少年の言葉に、ルティアはしぶしぶ隣のベンチに移った。
 そして、また空を見上げようとした時。
「戦争が、近々あるらしいんだ」
 少年から言葉が飛んでくる。
「レイミーは、前の戦争で死んだんだ。また戦争だ」
 その少年の目に映っているのは、どんな世界だろう?
 そう思い、フェルゲンの言葉を思い出した。
 “お前の目には、この世界はどう映る?”
 どう、映っていたのだろう?
 “誰かが問わなければ・・・・・・何も変わらないのかもしれません”
 フェルゲン。
 お前の瞳には、どう映っていた?
「それでさ、思ったんだ。「また戦争なのか」って。お母さんも、お父さんも・・・・・・お祖母ちゃんも、皆悲しそうにしてた。戦争って、人がしぬんだろう? レイミーみたいに、いなくなっちゃうんだろう?」
 少年の声が、心に染みる。
「そんなのは、イヤだ。友達だって、皆しんじゃうかもしれないんだ。おまえは、どう思う?」
「私、は・・・・・・・・・・・・」
 ルティア。
 ルティア。
『ルティア』
「私も・・・・・・いやかもしれない。・・・・・・私には、仲間がいる。仲間も、私も・・・・・・もしかしたらその戦争で死ぬかもしれない」
 バカか、私は。
 軍人になると決めたとき、そんな弱さは、捨てたはずなのに。
「いやだな・・・・・・君と、一緒だ」
「だよな」
 決意は、固く、揺ぎ無く。
 力は、強く、勇ましく。
 戦争は、虚しく、哀しく。
 剣は、迷いなく、心理を。
「心理・・・・・・?」
 私は、心理なんて求めていない。
 だから、フェルゲンの考えがわからなかったのだろうか?
 彼が、いつも世界に問うていたことが。
「お祖母ちゃんが言ってた。「戦争は、悲劇なんだよ」って」
 戦争は、悲劇?
 だから?
 フェルゲンは、いつも哀しい瞳をしていた。
 そのときの私は、そんなことは些細で、気にもしていなかった。
 だって、軍人の私達がするべきことは「ただ的を殺す」って、だけなのだから。
「なぁおまえ」
「ん?」
「おまえなら、こっちのベンチに座ってもいいぜ」
 少年からの言葉。
 ルティアは立ち上がって微笑み、
「ありがとう」
 少年の隣に座った。
「おまえ・・・・・・よく見るとオッドアイだな」
「え?」
 ああ。そうか。
 私の目は、両方色が違うんだ。
 皆にも、フェルゲンにも・・・・・・最初は驚かれたな。
「綺麗だな」
「え」
「髪も金髪でさ。レイミーには負けるけど」
 綺麗なんて言われたのは、始めてだ。
「恋人とかいるか?」
「へ?」
 その質問に、脳が一瞬フリーズする。
「いないさ。どうして?」
「いや・・・・・・お互い、生きて残れたら作りたいよな」
 生きて、残れたら――。
「そうだな」
 生きて、残れたら。
「んじゃ」
 少年は最期にそういうと、ベンチから立ち上がって手を振りながら去っていった。
 それと同時に、
「ルティア!」
 フェルゲンがルティアの元にやってきた。
「遅くなってすまん」
「本当に遅かったな。ま、私は退屈しなかったが」
 フェルゲン。
 少年といろいろ話したんだ。
 おまえの瞳には、世界はどう映っているんだ?
「こ、これ」
「え?」
 聞こうとしたのに、出た言葉それだった。
 フェルゲンが何かが入った紙袋をルティアに差し出したからだ。
「何?」
「いや。その・・・・・・」
 少し恥ずかしそうな彼を見て、ルティアは怪訝そうにその袋を開けた。
 中に入っていたのは、
「ん? リボン・・・・・・?」
「あ、ああ。おまえその黒いリボンしか持ってないだろ? いろいろあったほうが、少しでもオシャレできるかなって、思ってな」
 紙袋に入っていたのは、赤いリボンとピンクのリボンだった。
「オシャレ、ね。確かに普段軍服しか着ないし、できないわな。でも、それは軍人に必要か?」
 ルティアはわざとらしく笑い、
「い、いらないなら返せ!」
「ははは。冗談だ。貰うよ」
 そう言って、ルティアは黒いリボンを解き、彼女の綺麗な金髪が中に広がる。
 そして、ピンクのリボンを取り出して、結びなおす。
「どうだ? 似合っているか?」
 笑って、そういった。
 フェルゲンはそれを見て、
「まぁ・・・・・・にあってなくは無いな。おまえにしては」
「何だと!?」
 怒ったルティアは気づかなかったが、フェルゲンは頬を赤く染めていた。
 気がつくと、あっというかに昼近くだった。
「おっと。そろそろ帰るか」
「そうだな」
 戦争はもういつ始まっても遅くない。
 もしかしたら、明日かもしれない。
 私達の報告がおわったっら、すぐかもしれない。
 それでも、帰ろう。
 私は、役目を果たすと決めたんだ。

「ただいま戻りました」
 軍本部で、ルティアたちが横一列に並ぶ。
 隊長が報告をし、台に上がってイスに腰かけている、隊長よりも偉い人物。
 つまりは軍の一番上。国に自ら報告をする、総隊長だ。
「ご苦労であった。国には私が伝える。おって皆にも連絡する」
「失礼しました」
 部屋を出て、ルティアたちは訓練室、または自分の部屋へと向かう。
 ルティアは訓練室へと向かおうとした。
「ルティア。訓練か? オレも一緒に行っていいか?」
「あ? ああ。構わない」
 ルティアはフェルゲンとともに訓練室に向かう。
 そこにつくと、ルティアは剣を手に取る。
「剣か? オレも手伝おうか」
 手伝おうか。とは、相手になろうか? という意味だ。
 つまりは実戦訓練だ。
「なら、お願いしようか」
 ルティアはフェルゲンに剣を投げ、フェルゲンはそれをキャッチする。
 そして、訓練が始まる。
 2人意外に、人はいなかった。皆あがったのだろう。
「何事もなく終わってよかったな」
「あ? ああ。そうだな。オレたちは敵ともバレなかったし、隊長たちも無事だったし」
 2人は話しながら剣を交える。
 そのたびに、剣と剣がぶつかりあった音がする。
「もし、明日国が攻めてきたらどうする?」
「・・・・・・明日、戦争が起きたらってことか?」
 ルティアは頷き、
「そうかもしれないな」
 その質問に、あっさりとフェルゲンは同意した。
「・・・・・・そうしたら、お前はどうする?」
 ルティアは動揺することなく、次の質問に移った。
「“どうする”か。何を言ってるんだい? ルティア。俺達は軍人だ、敵を倒す。それだけの人間だ」
「――――そうだったな」
 そうだ。
 私達は、軍人だ。
 戦争なんだ。
 闘うしか、ないんだ。
「お前から、そんな質問が出るとはな」
「そうだな」
 ルティアは頷いて、剣を少し強めに振る。
 それにフェルゲンが体重を崩し、すぐに建て直す頃にまたルティアから反撃がきた。
「前の私なら、こんな質問はしなかった。「何故?」と、世界に疑問を持たなかったからだ」
 その言葉に、フェルゲンは目を見開いて驚く。
「戦争なんて何処にでもある。軍人の生き方しか知らない私にとって、それは“普通”だったんだ。だから・・・・・・疑問に思わなかった。「世界なんてそんなもの」そう受け入れてしまっていたんだ。本当は、戦争なんてしたくない。今の私は、そう思う」
「それでも、お前は軍人として戦うのか?」
 フェルゲンの質問に、彼女は力強く頷いた。
「ああ。1度、決めたからな。戦争はもう始まる・・・・・・。今更背を向けても、意味は無い。だから、生き残って世界を変えるんだ」
 ああ。
 やっといえた。
 フェルゲン。お前は、この言葉に同意してくれるか?
 間違ってない。そう、言ってくれるか?
「そうか。なら、一緒に生き残ろう」
「ありがとう」
 彼女は、笑った。
 心から、笑えた。


 次の日だった。
 国から、敵を攻めると、報告があった。
 女子と度もは朝から非難し、私達軍人は列になって敵の国に向かった。
 空は曇っていて、青空も、太陽も見えなかった。
 曇天の下、私達は進む。
 戦争をしに。
 敵も、準備はしていることだろう。
 もしかしたら、待ち伏せているかもしれない。
 それでも、進む。進むしかない。
 戦争に背を向けたって、意味はないんだ。
 それでも、私は人を殺す。
 ああ。もう、何が正しくて、何が間違っているのか・・・・・・判らない。
 私は、本当に間違っていない?
 今更、歪んでどうするんだ。
 見失うな。私は、フェルゲンと、皆と・・・・・・世界を変えたいんだ。
 そのためには、これに生き残るしかない。
 できれば・・・・・・人は殺したくない。
 だから、こちらの国が負けても構わない。
 私は殺さず、ほかの人間を殺させないように、足止めをする。
 1人でなんて、できるわけないけど。
 そこで、ルティアは隣の歩くフェルゲンを見た。
 それに気づいた彼は、静に笑った。
 フェルゲンだって、皆だっている。
「敵が見えたぞ!」
 列は足を止めて、丘の上からそれを見渡す。
 ルティアたちと同じように、列に並んだ軍団が、こちらに向かっていた。
「やはり、どちも“今日”だったわけか」
 前のほうで、隊長が呟いたのが判った。
 どこまでできるか判らないけれど、諦めたらそれで終わりなんだ。
「敵を撃つ! 全体、進め!」
 再び、列は進みだす。
 目の前から自分達に近づいてくる敵を撃つために。
 ルティアは確認の為、腰に吊っているホルスターと、背負っている剣を軽く触った。
 始まってしまう。
 敵が構えるのが見えた。こちらも構える。
 フェルゲンも、隣で剣を構えていた。
 ルティアも拳銃を握った。
 拳銃なら、何人も相手ができる。少なくとも、私の相手が死ぬ事は無い。
 そして、「戦争」が始まった。
 それぞれの軍人達の叫ぶ声が聞える。
 空は曇っていた。影が軍人達を包み、闇へと引きずり込むようだった。
「っ!」
 ルティアもまた、拳銃を握って相手に当たらないように発砲する。
 相手は怪訝そうにし、だが相手が女だからと思い、再び容赦なく襲い掛かる。
 彼女はそれを素早くよけ、彼女に当たるはずだったその剣先は、地面に突き刺さる。
 それを見て、相手の仲間の軍人がルティアを狙ってきた。
 地面に地雷はなさそうだ。生めた場所ではないということか。
 ルティアはそれを確かめて、地面を大きく蹴った。
 宙にまった彼女は目の前にいた2人と、その後にいた敵の軍人の足を狙って撃つ。
 それは命中し、何人もの足を掠った。
 軍人の男達は地面に膝を付き、握っていた武器は地面に音をたてて落ちる。
 だが、そんな音は誰にも聞こえはしない。
 他の雑音が混ざり、叫び声が混ざり、悲鳴が混ざり。
 地面に誰のだから判らない鮮血がしみている。
「っ・・・・・・こんなもので、国なんて救えない」
 ルティアは呟いた。
 それが、相手の耳にも、見方の耳にも、相手の心、見方の心にすら届かなかったとしても。
 気づくと、ルティアの背後に剣を持った敵の軍人がいた。
「!!」
 反応が送れ、ルティアが振り向いたとしても、きられるのが目に見えていた。
 私は、何もできないのか? 変えると言っておきながら。
 そんなのはダメだ。
 剣が振りかざされる瞬間、ルティアはしゃがみ、それをよけ、拳銃でその剣を数メートル先に吹っ飛ばした。
 剣はグサッと地面に刺さる。
 そんなものは、この地では「普通」だ。
 あたりを見渡せば、剣が何本も刺さっていたり、倒れていたりする。
 それは剣に限らず、武器全般だ。
 そんな時、相手の国の方向から、戦車がやってくる。
 どうじに、こちらの戦車もであった。
 あらかじめ森に隠しておき、相手が出してくるか、こちらの分が悪くなったらでてくるとのことだった。
 戦車など使われれば、当たり前に相手だって見方だって死ぬ。
 それを使わせてはならない!
 ルティアは走り、見方の戦車の前に立ちはだかる。
「止まってくれ! こんなものを使えば、見方だって死ぬのだぞ!?」
 だが、こちらが使わなくとも、見方は死ぬ。
 どうすればいい。どうすることもできないのか?
 ルティアは拳銃を捨て、背負っていた剣を抜く。
「なら、私が止める」
 剣で戦車が切れるはずなどない。無駄なことだと判っていた。
 それでも、やらなきゃならないと思ったんだ。
 フェルゲン。悪い。約束・・・・・・守れそうに無い。
「はぁぁ!!」
 剣を構え、戦車へと向かう。大砲の部分さえ炒めれば、撃てなくなるはずだ。
 お願いだ。これ以上、誰も死なないでくれ。
 あたりは死体だらけの、地に濡れた大地。生きているものさえ、血を流し、剣を交えている。
 そんなもので、どうなるんだ。何が変わる? 世界の、何が変わるんだ。
「こんなもの無意味だと! 何故気づかない!!」
 ルティアは懸命に剣を振るった。
 だが、戦車は硬く、剣はすぐに跳ね返って地面に落ちる。
 それでも、それを広い、再び振るった。
 相手の戦車も、こちらに徐々に向かってきている。
 時間がない。
 やがて気づく。
 自分の足元に、知っている人物の死体があった。
「隊・・・・・・長?」
 隊長・・・・・・。
「皆!?」
 皆も・・・・・・・・・・・・。
「フェルゲンは!?」
 見渡しても、何処に彼がいるのかは、判らなかった。
 フェルゲン。
「くっ・・・・・・う・・・・・・」
 自分も傷を追っていた。足から、手から、血が流れる。
 そして、目から何かも流れているのがわかった。
 それは血ではない。透明な、涙。
「こんな、世界・・・・・・・・・・・・」
 ドン!
 大砲が撃たれる音が轟いた。
 大地に、煙がもんもんと広がる。
 そして敵も、見方すらもそれに隠れて姿が見えなくなった。
 ルティアが力なくたっていると、後から、煙に隠れて敵が拳銃を発砲した。
 今度こそ当たる。間に合わないと、自分でもわかった。
「フェル、ゲン・・・・・・・・・・・・」
 パン。
 虚しく、世界にそれは響いた。
「え・・・・・・・・・・・・」
 打たれたのは、ルティアではない。
 それは。
「フェルゲン・・・・・・?」
「・・・・・・たく。お前が、世界を変えるんだろう?」
 彼はずるっと、地面に倒れこむ。
 それでも襲ってくる敵を、ルティアは剣で突き刺した。
 急所は避けたが、相手は地面に音を立てて倒れた。
「フェルゲン!」
「・・・・・・どーした? 強気のお前が、泣くってのは珍しいな」
 フェルゲン。
 ダメだ。
 死なないでくれ。
 お前までいなくなったら、私は何を目指して進めばいい?
 もう、判らない。
 私が生きてこれたのは、皆がいてくれたからなんだ。
 お願いだ。お願いだ。
「死ぬな・・・・・・!」
「どーだろ。正直、ヤバイ」
 そんなこと、いわないで。
 今の彼女には、戦車の発砲音も、他の軍人の叫び声も聞えなかった。
「お前がいないと・・・・・・私は」
「何言ってんだ。お前は、ずっと頑張ってた。俺達の手助けなんて、いらないだろ?」
「違う! 皆が、私を心配してくれたから・・・・・・だから、私は頑張れた。誰も隣にいなかったら、私は逃げてたんだ!」
 風に、彼女の金髪と、赤いリボンが靡く。
「そーか・・・・・・なら、オレも役に立ててたんだな」
「え・・・・・・」
 そこで、フェルゲンの瞳に光が消えた。
「フェルゲン!! フェルゲン!! ・・・・・・お願いだから、また私の隣にいてくれ・・・・・・どうでないと、私は――――」



 空が青い。
 白い鳥が、瞳の中を横切った。
「お姉ちゃん、何してるの?」
「え・・・・・・・・・・・・」
 目の前にいたのは、小さな黒髪の少年だった。
 どういう、ことだ?
 私は、あの時・・・・・・あそこに、皆と一緒に・・・・・・焼け果てた大地にいたはずだ。
 皆は、何処だ?
 フェルゲンは――。
「お母さん。血まみれのお姉ちゃんが倒れてるよ」
「え? 貴方、何があったの??」
 やさしい、人たちの声だ。
 戦争なんかで叫ぶ、虚しい声ではなく。
 ああ。私は、死んだのかな?
「ちょ、貴方! しっかりしなさい!」
 ルティア。
 フェルゲン。私も、そちらに行くようだ。
 最期に、青空が見れた。
 もう、戦争は終わったのか?
 お前も、幸せになれたか?
 私も――。
 少女の涙は、頬を伝って、地面に生えていた草に小さく当たった。

後書き

久々投稿。
かなり時間かかりました。
枯辰梁海みたいな話は、ちょっと後になります。

今回の戦場のマリオネットは、自分的には気に入ってますが、最期彼女は生きていたのか。
はたまた死んだのか。
そこは想像にお任せします。
明日のジョーかよ! って感じですが、ボクシングじゃないので気にしないで下さい(←

この小説について

タイトル 第肱叩Ю鐓譴離泪螢ネット
初版 2010年1月5日
改訂 2010年3月25日
小説ID 3732
閲覧数 771
合計★ 1
五月の写真
作家名 ★五月
作家ID 497
投稿数 60
★の数 165
活動度 11432
一言・・・・・・頑張ります。

http://simotukiharuka.blog.so-net.ne.jp/
自分の小説ブログです。
ここに載せた小説についていろいろ書いてます。

コメント (2)

★さんたろー 2010年1月7日 0時20分31秒
「Their Trip」愛読者その1です。(笑)

今回も1話完結みたいになっちゃうのかな?と思っていましたが、最後できっちり繋げましたね。物語も一気に読めました。ルティアの心情が伝わってきて、よかったと思います。

ただ、せっかくよくできてるのに、いいところで誤字が目につきました。
「そこ意外に」、「的を殺す」、「大砲の部分さえ炒めれば」。
誤字って、作品を殺してしまうと思います。
ぜひ、投稿前に何度も読み直してみて下さい!

それでは、次回も期待してます!
★五月 コメントのみ 2010年1月7日 10時42分50秒
さんたろーさん>毎回有難うございます!

話自体は、かなり前に思いついてたんですよ。
でも、なかなか進めず今まで書けていませんでした^^;
そういってもらえると嬉しいです。

・・・・・・・・・・・・ああ、誤字ですか・・・・・・(泣
もーなんというか、僕も本当見直しが下手ですね(泣
僕のこの小説を読んでくれる、リアル友達でもいればいいのですが、けめcも友恵も(ぱろしょないを探せばいる僕のリアとも)この話は読んでくれていないので、かならず何か見落としがあります;;

そうですね・・・・・・;;
直しておきます。
はい^^; 気をつけて頑張ります。

有難うございました!
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