僕と村の魔女 - かぼちゃと魔女と春の海__01__

 陽射しが眩しい午後のこと、窓辺に小さな影が三つ。

「右よし」
「左よし」

 もぐら叩きのごとく小さな頭がぴょこぴょこと上下している。
三人のうちリーダーだと思われる子供が懐に忍ばせていた棒切れを
胸の前に出すといきなり決意表明。

「よし、今日こそ村の悪女をやっつけるんだ!」
『おーーっ』

 だが、絶妙なタイミングで左右から伸びてきた腕に阻まれた。

「あたっ」
「いてっ」

 一瞬だがチビッコサンドイッチの出来上がり。歯がたたなそうだ。
三人の中で一番不幸なのはやっぱり真中だろう。
なぜなら、左右からのダブルパンチならぬダブル頭突き。…いたそー。

「こらっ、ま〜た お前らか。いい加減にしろよ。少しはへこたれろ」

 そう_彼らは何かとつけ、ここに来ては村にいる唯一の魔女に
ちょっかいを出しているのだ。しかし毎度毎度、躰よくやられていたりする。
相手はなんたって魔女。お子様にはハードルが高すぎるようだ。

「邪魔するなよ、アドニス。少しくらい年上だからって威張るなよ」
「…少しくらいだと? テメー等より五歳は上だ、ぼた餅坊ちゃん」

 魔女にしてみたらタイシテ変らない気がするのだが…。
 とりあえず 頭をさすりながら
呻く子供達を尻目にアドニスは窓枠を乗り越え、室内に侵入した。
チビッコ達もあわてて後につく。

こっちに来んな、な心境のアドニス。顔が嫌がっている。
自分たちの背よりも高い窓枠に悪戦苦闘を強いられるチビッコ達。
よじ登ったはいいが、どうやって降りるのだろう?

「ぐえぇ」
「ぐはっ」

 やっぱりお約束な展開らしい。一番下がちょっと気の毒。
 アドニスは近くのソファーに座り、その光景に腹を抱えている。

「とりあえず、今日は何を仕掛けに来たんだ?」

 先日は開けたらびっくりっ☆蛙パーティ&蜘蛛のハーモニー。
なんちゅうゲテモノ…。
さすがは魔女、結局彼女の薬の材料になっていた。  
 ようやくチビッコ達は起き上がり、
少し遅いが それぞれの立ち位置についた。                        
「聞いて驚け、一番隊隊長 キイナ」
「二番隊隊長 トミー」
「そして、悪女を倒すべく立ち上がった将軍の俺様―チャパ」

…隊長って、部下いないじゃん。
そもそも、将軍と隊長ってどう違うんだ? …なんか混ざってるし。

『王の命により、我らが無敵のパンプキン討伐隊 参上!』         
「……」

 …なんか、あいつ等にスポットライトが。心なしかBGMまで。

「って、こらぁ! ア〜ド〜ニ〜スゥ、目ぇ開けたまんま寝んな!!」
「悪い、悪い。んで、パンプキンがどうしたって?」
 少し間があったが、
チビッコ達のお立ち台は一応成功と言っていいのだろうか?

「なっ、なんだよ。その嬉しそうな顔は何なんだよ?!」
『やっっった〜〜〜!!』
「は?」

 自称、王の命を受けたパンプキン討伐隊は
なぜか手を取り合って声を上げた。

「チャパ殿っ やりましたね! 成功です」
「ですー」

 だから、なにが?

「初めて台詞も詰まらず、言い切れましたよ!」
「だい、だい、だい成功〜〜」

 思わず椅子からアドニスが落ちた。
 っていうか。

「悪女ってなんだ、悪女って」

 全く、最近の子供は何処からそんな言葉を引っ張り出してくるんだか。
気分はもう 説教が仕事のどこぞの先生だ。

「だから、魔女だよ、魔女。あいつは悪女だって言ってるだろ。
頭悪いな、アドニス」

 口をとがらせてチャパが言った。ちなみに髪の色は見事な栗毛色。
卵を産む奴だったら、から揚げ決定だな。可愛げゼロ。

「そんなアドニスさんには〜、トミーの何でも教えましょ〜コーナー♪」
 いつも脇役な彼の久々の出番なだけに気合いが入っている。

 たぶんメンバーの中で一番博識があるのであろう。
ただし、
教養範囲は十二〜十四歳程度なので何処までが本当なのか分からない。

「この村の唯一の魔女、ミモレットさんは推定年齢286歳。
今年の10月13日に誕生日を迎えるようです。            
ミモレットさんの職業は不明。なんせ、魔女ですから。
家族関係は_、さすがに僕でも分かりません。                
けれど兄、弟がいるようです。
ちなみに彼氏はいません。(たぶん)
仮にいるとしたら、
見習いでこの家に同居しているパルノさんが一番怪しいかと。
そうそう、なぜ僕たちが彼女のことを略して悪女と呼ぶのかは…」

「俺の親父がミモレットは悪い魔女だって言ってたからだ」

 前置きの長いトミーを押しのけてチャパが割り込んできた。
どうやら彼の家では父親が言ったことが全て正しいらしい。

「って、変な略の仕方すんな!
それよか、何でミモレットのこととかそんなに詳しいんだよ?!」
「妬きましたか? 僕は子供なので、その辺は良く分かりませんが。
よく、おやつの時間に誘われるのでして」
「誰が妬くかっ マセガキ」

 見た目も精神年齢も低く見られてしまうのは
ここにあるような気がしてならない、
なんてトミーが思っていることはつゆ知らず。
世の中には知らなくてもいいことが多いはず。
きっとこれも、そのうちの一つであろう。

…なんてね。

後書き

連作ものなので、ぜひ続けて読んでいただけると幸いです。

このお馬鹿な子達にどうぞ、お付き合いください(笑)

この小説について

タイトル かぼちゃと魔女と春の海__01__
初版 2010年1月22日
改訂 2010年1月22日
小説ID 3763
閲覧数 872
合計★ 2
札木翼の写真
熟練
作家名 ★札木翼
作家ID 637
投稿数 10
★の数 9
活動度 1113
はじめまして、こんにちは。
のんびりと掲載していきたいと思っています。
よろしくお願いします(m^□^m)

コメント (2)

★丘 圭介 2010年1月24日 18時29分20秒
はじめまして(^-^)/

軽い感じの内容で少し物足りない気がしますが、続きがとても気になります。
推定年齢286歳の魔女、ミモレットさんが一番気になるところですね。

では。
★札木翼 コメントのみ 2010年1月24日 21時07分16秒
>>丘さん

コメントありがとうございます。
物語が動き始めるまでもう少しかかりそうです。
ミモレットさんはこれからたくさん出てきますよ。乞うご期待(笑)

またぜひ、続きも読んでいただけたら幸いです。
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